MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.05 4月27日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦スペインGP
■開催日:2025年4月25日(金)プラクテイス、26日(土)予選・スプリント、27日(日)決勝
■開催地:ヘレス/スペイン(4.423km)
CIRCUIT DATA

■開設:1986年
■コース長:4.423km
■ベストレースラップ:1分37秒449(2024年:F・バニャイア)
■オールタイムラップレコード:1分36秒170(2022年:F・バニャイア)
■2024年の優勝者:F・バニャイア(ドゥカティ)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP、ヨーロッパ・ラウンドへ準備万端
第5戦スペインGPが今週末、ヘレス・サーキットで開催される。Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロとA・リンスはシーズン最初のヨーロッパ・ラウンドに意欲を燃やしている。ウイーク翌日の月曜日にはIRTAテストも予定されており、チームにとって忙しい週末になりそうだ。
開幕以来、着実に成果を積み上げてきたクアルタラロはイースターの4月20日、26回目の誕生日を迎えた。第4戦終了時点でランキング8位につけ、さらなる前進を目指して着々と準備を進めている。ヘレス・サーキットでは2020年の第2戦スペインGPと第3戦アンダルシアGPで連続優勝、2022年に2位を獲得して計3回表彰台に上っている。
一方のリンス選手は現在ランキング16位。へレス・サーキットでは2014年にMoto3で3位を獲得して初表彰台。2016年にはMoto2で同じく3位、2019年にはMotoGPで2位と活躍している。
へレス・サーキットは1986年に建設され、翌1987年からMotoGPを開催。好天と美しい景色に恵まれ、高速コーナーとハードブレーキング・エリアが混在する全長4.4キロのコースは天然の円形競技場とも呼ばれ、訪れる大勢の観客にスリリングなレース・アクションを楽しませてくれる。
Prima Pramac Yamaha MotoGP、ポイント獲得を目指す
第4戦カタールGPではともに転倒リタイアに終わったPrima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラーとA・フェルナンデス。チームはヨーロッパ・ラウンドの象徴的サーキットのひとつ、ヘレス・サーキットで、ここまでの流れを一旦リセットし再出発と位置付けており、とくに同サーキットとの強いつながりを持つミラー選手の奮闘が期待される。
その一方で、アルゼンチンGPのスプリントで胸鎖関節脱臼を負ったチームメイトのM・オリベイラは、理学療法とリハビリを通じて順調に回復しているもののレース出場の許可が下りていない。そのためYamaha Factory Racing MotoGPのオフィシャル・テストライダーのフェルナンデスがアメリカ、カタールに続き代役として出場することとなった。
アジアのタイとカタール、北米のアメリカ、南米のアルゼンチンと他の大陸でレースが続いてきたが、今回いよいよヨーロッパ・ラウンドがスタートする。その初戦となるスペインGPを多くのライダーが「シーズンの本当のスタート」と位置づけており、ここまでの変化に富んだ環境から、より安定感のある馴染み深い場所へと戻ってきたような感覚を抱いている。
ヘレス・サーキットには極端に長いストレートがなく、高速コーナーからタイトなヘアピンまで、さまざまなタイプのコーナーが混在している。そのため究極のエンジンパワーよりも俊敏性やコーナリング性能がより重要となり、ヤマハの強みを生かせるコースと言える。またエンジニアたちが過去のデータを集めてマシンのベース・セッティングを確立していることに加え、新生チームのクルーたちもまた経験を重ね、マシンだけでなくライダーひとりひとりについて知識を深めており、M1のポテンシャルを最大限に引き出す条件が着々と揃ってきている。
ミラーは2021年に優勝、2023年に表彰台を獲得したほか、2014年にはMoto3で、2020年にはMotoGPでそれぞれ4位の好成績を残している。また2014年はポールポジション、2021年と2023年はそれぞれグリッド3番手と2番手を獲得して1ラップの速さも証明している。
フェルナンデスもまたヘレス・サーキットには良い思い出を持っており、2019年にMoto2で初めて出場した際には予選・決勝ともに3位と活躍。2022年にも4位獲得と健闘している。
第4戦終了時点でミラーは合計19ポイントのランキング15位、フェルナンデスも3ポイントを獲得してランキング20位につけている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2、リベンジを目指しヘレスへ
第4戦カタールGPでは苦戦し、今季初めてノーポイントに終わったBLU CRU Pramac Yamaha Moto2。T・アルボリーノとI・ゲバラは、ともに得意とするヘレス・サーキットでのリベンジを目指して準備を進めている。
ヨーロッパ・ラウンド初戦の舞台となるヘレスは、同チームがオフシーズンの最後にテストを行った場所。アルボリーノはそのなかで深刻なチャタリングの問題に悩まされており、同様のことが2週間前のカタールGP、ロサイル・サーキットでも発生していた。しかし今回はデータの直接的な比較が可能なうえに経験も生かせることから、セッティング面の改善が期待されている。
アルボリーノはここヘレスで2020年のMoto3と2022年のMoto2で3位表彰台を獲得。Moto2ランキング2位となった2023年も4位と健闘している。
一方のゲバラはMoto3に参戦した2022年、ポールポジションを獲得し、ファステストラップを記録し、決勝ではチームメイトのS・ガルシアと激しいトップ争いを演じて0.061秒差で勝利した。そしてこの活躍を皮切りに7勝のほかさらに5回の表彰台と好成績を積み上げ、同年、Moto3タイトルを獲得している。
チャンピオンシップにおいては第4戦終了時点でアルボリーノが合計28ポイントのランキング8位、ゲバラは合計12ポイントのランキング15位。またBLU CRU Pramac Yamaha Moto2は合計40ポイントでチーム・ランキング6位となっている。
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手
「先週の日曜日に誕生日を迎えました。お祝いのメッセージをくださったみなさまにお礼を申し上げます。ファンのみなさまのサポートは私にとってとても大切なものです。おかげで、また仕事に戻る準備が整いました。ヘレスは大好きなコースです。このGPのあとにテストもあるので、この間にどれだけのことができるか楽しみです。私たちは今週ももちろん、100%の力を注ぎ込みます」
A・リンス選手
「ヨーロッパのファンとの再会を楽しみにしています。ヘレスは素晴らしいコースですし、スペインGPはいつも雰囲気がいいのでとても気に入っています。開幕前のテストで多くの周回を重ねたので準備も万端です。また今回はGP終了後にIRTAテストも予定されており、そこではマシン開発に集中的に取り組むことになります」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「開幕以来、他の大陸でのレースが続いてきたので、ようやくヨーロッパ・ラウンドを迎えることができうれしいです。スペインGPはファンの皆さんもイベント全体も情熱に満ちあふれていて、いつも心を揺さぶられる特別な大会です。前回のカタールGPは初日から好調で、予選順位を引き上げることができました。今回はその位置からさらに前へ進めるよう期待しています。ヤマハのマシンに合ったコースのひとつなので、ポジティブな気持ちで臨みたいと思っています。決勝翌日にIRTAテストもあってマシン開発をさらに深く掘り下げる重要な機会になるので、いつも以上に忙しい週末になりそうです」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手
「ヘレスでのレースを心から楽しみにしています。カタールGPではマシンも私自身もベストの状態ではなかったので、その巻き返しを狙っています。このコースでは以前に素晴らしい成績を残しています。いつもライディングをエンジョイしてきたので、今回はコースによく合うと思われるM1で走れるのでとてもわくわくしています。今回の目標はトップとの差を縮めることです」
A・フェルナンデス選手
「カタールで取り掛かった仕事をまた継続できることをうれしく思います。決勝中の転倒で悔しい思いをしましたが、ウイーク全体は評価できるもので、着実に進歩してトップとの差を縮めることができました。少しずつ自分のペースが戻ってきたところなので、続けて出場することで勢いをさらに加速できるのはうれしいです。一方でミゲール(オリベイラ)がまだ復帰できずにいることは残念に思っており、早い回復を願っています。それまでは彼のマシンを速く、強くするためベストを尽くします」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「何よりもまず、ミゲールがアルゼンチンでの不運な負傷後、未だに復帰できずにいることを残念に思います。ようやく新しいマシンとチームに慣れ始めたところだっただけに、彼にとっては非常に苦しい日々になっています。早期復帰を目指す彼の決意と仕事への姿勢に感銘を受けており、チームの全員が、彼が早くこのガレージに戻ってくるのを心待ちにしています。ヘレスはヨーロッパ・ラウンド最初のサーキットであるだけでなくヤマハとの相性が良いサーキットでもあるので、力強いパフォーマンスを期待しています。Prima Pramac Yamahaにとって5戦目の戦いであり、すでにシェイクダウンのフェーズが終わったと考えています。そしてマシンの経験が増え、ライダーとの連携もより明確に理解できるようになりました。カタールでの苦戦のあとで、今大会を必ずしも再出発と呼ぶ必要はないと思いますが、私たちの真のレベルを見極める重要な週末になると考えています。M1はここ数ヵ月で確実に進歩しており、さらにプッシュして良い結果を持ち帰りたいと思っています」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手
「カタールGPは最初のセッションから非常に厳しい状況でした。チャタリングの解決方法を模索し続けましたが、結局、貴重な時間を無駄にしてしまいました。マシンのフィーリングがつかめないので限界までプッシュすることができず、リズムも安定しませんでした。それでも土曜日と日曜日にはいくらか改善されて決勝の半分くらいまでは良い走りができたのですが、ベース・セッティングが仕上がっていないためタイヤを消耗し、そのあとはただ完走を目指すだけになってしまいました。ここヘレスはオフシーズン中にテストをして、同様にチャタリングが出ていたコースです。ここ数日でチームと何度も話し合い、問題の原因を追求し解決策を探ってきました。みんなが私のために最高の条件を整えようと頑張ってくれています。それができるだけ早くトップに返り咲くための重要なアプローチの方法なのだと思っています」
I・ゲバラ選手
「スペインGPがすぐそこに迫り、とても楽しみにしています。前回のカタールGPはまったくうまくいきませんでした。3日間とも難しい状況が続き、チームがどんなに努力しても期待通りの結果を導き出すことができませんでした。ここからヨーロッパ・ラウンドが始まりますが、その初戦をヘレス・サーキットで迎らえることはとてもうれしいです。感動的な1週間が待っているので、それをエンジョイすると同時に最初のセッションから順調に進められるよう全力を注いでいきたいと思っています。早い段階でベース・セッティングを確立することが重要で、それができれば本来のポテンシャルを発揮してQ2進出を決められるでしょう」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「カタールGPが残念な結果に終わっただけに、今回はリベンジに燃えています。今は新しいサーキットに行くたびに金曜日の午前中にチャタリングの問題が出るかどうかを確認するような状態です。今回も同様で、また問題解決に追われることになるのか、あるいはトップ争いのためのセッティング作業に集中できるのかまったくわかりません。前回は確かに苦戦しましたが、私はそれでも自分たちのポテンシャルを信じています。エンジニアたちはここ1週間、ロサイル・サーキットのデータとヘレス冬季テストの情報の分析に取り組んできました。すでにテストを行い、比較データを持っている最初のコースということになるので、それを生かして戦いに挑みたいと思います」