MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.02 3月16日 アルゼンチン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦アルゼンチンGP
■開催日:2025年3月14日(金)フリー走行、15日(土)予選、16日(日)決勝
■開催地:アウトドロモ・テルマス・デ・リオ・オンド/アルゼンチン
CIRCUIT DATA

■開設:2008年
■コース長:4.806km
■サーキットレコードラップ:1分39秒019(V・ロッシ)
■サーキットベストラップ:1分37秒683(M・マルケス)
■2023年の優勝者:M・ベッツェッキ(ドゥカティ)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
第2戦アルゼンチンGPへ
2025シーズン開幕戦から2週間、Monster Energy Yamaha MotoGPは南米、アルゼンチンへ移動し、アウトドロモ・テルマス・デ・リオ・オンドで開催される第2戦に臨む。
第1戦タイGPで激しいバトルを展開したMonster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロ選手とA・リンス選手は今回、上位争いへの復帰を目指している。
クアルタラロ選手は2年ぶりとなるアルゼンチンGPを楽しみにしている。これまでに計3回出場し、2019年と2022年に8位、2023年に7位を獲得したほか、昨年から新設された「スプリント」では9位に入った。今年はさらに成績を上げ、ポイントを獲得してランキング向上を目指す。クアルタラロ選手は第1戦終了時点でランキング13位となっている。
一方、シーズン初ポイント獲得を目指すリンス選手は2017年~2019年、2022年、2023年の計5回、同サーキットでMotoGPに出場し、2018年にはMotoGPで自身初の表彰台となる3位を獲得。2022年にも3位を獲得し、相性の良さを見せている。しかし今年はコースの低グリップによる苦戦が予想されており、ウイークスタート後の状況改善に期待している。
アウトドロモ・テルマス・デ・リオ・オンドは2014年に初めてMotoGPを開催。2021年2月に火災によりパドックの大部分が破壊されたが、その後、再建された。全長4.8キロのなかに計14の高速コーナー(左-5、右-9)と1076メートルのロングストレートが設けられたエキサイティングなレイアウトとなっており、多くのオーバーテイクやレースの駆け引きがファンを魅了する。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
準備万端
開幕戦のタイGPで順調なデビューを果たしたPrima Pramac Yamaha MotoGP。J・ミラー選手とM・オリベイラ選手がそろってポイントを獲得し、とくにミラー選手の予選での戦いぶりは注目を集めた。チームは2戦目となるアルゼンチンGPに向け、着々と準備を進めている。
アウトドロモ・テルマス・デ・リオ・オンドではこれまでに計9回、MotoGPが開催され、毎回、スリリングなレースが展開されてきた。熱狂的なアルゼンチンのファンがライダーたちに大きなエネルギーを与えてくれることで知られ、息をのむほどの素晴らしいスキルを生み出すほか、激しいバトルや劇的な挽回、物議をかもすアクシデントも見られる。
ミラー選手はPramac Racingから初出場した2018年、雨の予選でスリックタイヤを履いてMotoGPで自身初となるポールポジションを獲得し、難しいコンディションを克服する能力が評価されてグリッド上で最も愛されるライダーのひとりとなった。また同サーキットでグランプリが初開催された2014年にはMoto3で3位、2018年と2019年には4位獲得と多くの好成績を残している。
一方のオリベイラ選手もアルゼンチンGPに良い思い出を持っている。2015年のMoto3と2017年のMoto2で計2回のポールポジションを獲得したほか、決勝でもMoto2で2017年に2位、2018年に3位と活躍した。2023年は怪我により欠場しており、今年は2年ぶりの出場となる。
Prima Pramac Yamaha MotoGPとしては、このコースでテストデータがなく、難しいチャレンジが予想されている。前回のタイGPとは路面グリップなどの状況がまったく異なるなかでライダーたちの適応能力が試されることとなる。
第1戦終了時点でミラー選手は合計5ポイントでランキング11位、オリベイラ選手は合計2ポイントでランキング16位。Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計7ポイントでチーム・ランキング9位、ヤマハは合計8ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位につけている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
テルマス・デ・リオ・オンドへ
MotoGP世界選手権はタイからアルゼンチンへ移動し、テルマス・デ・リオ・オンドで第2戦を迎える。このコースで好成績を残しているBLU CRU Pramac Yamaha Moto2のT・アルボリーノ選手とI・ゲバラ選手は、準備万端、レースウイークのスタートを待っている。
テルマス・デ・リオ・オンドはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスから航空機で数時間、またサーキットと同名のテルマス・デ・リオ・オンドの町から数キロの距離に位置。アルボリーノ選手とゲバラ選手にとっては相性の良いコースであり、今年も大いに期待がかかる。
ゲバラ選手は2022年、Moto3で予選3番手を獲得し、決勝でも9ラップ目までトップを走る健闘を見せたもののマシントラブルでリタイア。一方のアルボリーノ選手は2019年にMoto3で3位、2023年にMoto2で優勝を果たしたほか、2018年にポールポジション、2019年と2022年に3番グリッドと予選・決勝ともに強さを発揮してきた。ふたりは前回のタイGPを通じてBoscoscuroのマシンに適応し始めており、今回はさらなる前進を目指している。
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手
「前回のタイGPでは、とくに決勝日に気温が高く、過酷な戦いとなりました。でもそのなかで学べたこともあり、今はアルゼンチンGPに気持ちを集中しています。ここでのGP開催は久しぶりなので、ファンの皆さんも楽しみにしてくれていると思います。私にとってはあまり楽なコースではありませんが、いつもと同様、全力で仕事に取り組みます」
A・リンス選手
「タイGPのデータをすべてチェックし、これからアルゼンチンGPに臨みます。初日の金曜日は路面グリップが低いので十分に集中していかなければなりません。でも走行を重ねるうちに改善されていくはずなので、その時点でまた自分たちの立ち位置を確認したいと思います。私たちは決してプッシュを止めません。それはコースの外でも同様です。意欲を持って継続的にハードワークに取り組み、改善を目指し続けます」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「多くの良い思い出が残るこのコースに戻ってくることができてうれしいです。アルゼンチンには大勢の観客が訪れ、モーターサイクル・レースの熱狂的ファンも多くいます。今週は彼らに素晴らしいショーをお見せしたいと思っています。ウイーク初日は路面コンディションがとても"グリーン(新鮮)"なので、最も苦労する1日になるでしょう。このコースでは以前もそうだったのですが、全体的には大きな問題ではないので、状況が改善されるとともに走りやすくなり、好成績につなげられることを期待しています」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手
「タイGPで自信をつけ、マシンにもより快適に乗れるようになってきたところなので、アルゼンチンGPを前にかなり興奮しています。天候がYZR-M1にどのように影響するかが気になるところです。テルマス・デ・リオ・オンドは典型的な低グリップコースで、開発段階にあるヤマハにとっては有利になる可能性もあります。このコースを走るのはいつもとても楽しく、まるでお祭りのようなファンの熱狂も大好きです。早くマシンに跨り、走りたい気持ちでいっぱいです。今回もまた好結果を残せるよう願っています」
M・オリベイラ選手
「テルマス・デ・リオ・オンドにやって来ました! 3年ぶりに戻ってくることができて本当にうれしいです。2023年は脚の怪我で欠場し、昨年はMotoGPの開催がありませんでした。アルゼンチンや南米は私にとって居心地のいい場所で、多くの熱狂的ファンもいます。そしてレースにおいてもたくさんの良い思い出があります。今回の目標はマシンやチームとともにさらに前進することです。Prima Pramac Yamahaはここまで常に前に進み続け、一度も後退したことがありません。そのことが確かな自信とモチベーションになっているのです。私たちに最善のマシンを提供し、他のチームと戦うための後押しをしてくれるヤマハの、全力のサポートに心から感謝しています。それが私の士気を高めてくれますし、ここで何を達成できるか楽しみな気持ちにさせてくれるのです」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「ヤマハのマシンが、そしてジャック(ミラー)とミゲール(オリベイラ)がどのようにコースに適応するかに興味を持っています。私たちにとってはまったくデータのない未知のコースなのです。タイでは事前に2日間のテストがあったので準備ができましたが、今回はゼロから始めなければなりません。その意味でも、私は今回が本当の初戦だと考えています。マシンを素早くセットアップし、ライダーたちの要求をできるだけ短時間で理解する必要があります。ヤマハにとっては、ライディング・スタイルが異なる4人のライダーがいることが、マシン開発の面で大きなアドバンテージになっています。そして私たちPrima Pramac Yamaha MotoGPにとってはジャックとミゲール、またMoto2のトニー・アルボリーノとイサン・ゲバラも、ここでは過去に好成績を残しており頼りになる存在です。彼らが強固な基盤を築いてくれます」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手
「タイGPは良い結果となりましたが、チームも私自身ももっと上を目指していたので満足してはいません。それだけに今回のアルゼンチンへの意欲が高まっています。テルマス・デ・リオ・オンドは大好きなコースで、いつも好成績を残しています。2023年にはMoto2で優勝、2019年にはMoto3で3位、2018年にはポールポジションを獲得しました。いつも気持ちよく乗ることができ、ベストを尽くすことができました。タイではマシンセッティングに苦しみ、昨年のマシンとは大きく異なっていましたが、素晴らしいポテンシャルを感じました。責任の一端は私にあり、まだ十分にマシンを理解できておらず、問題にぶつかったときに素早く方向性を決定することができません。今はマシンのポテンシャルの60%しか使えていない感じで、まだ伸びしろが残っています。だからこそ、テルマスのように熟知したコースに戻って来たこと自体に大きな意味があるのです。ここで自信をつかんでチーム全体の士気を上げ、上位争いに加わっていきたいと思っています」
I・ゲバラ選手
「タイで開始した仕事をアルゼンチンでも継続していきます。とても楽しみです。前回は期待通りの結果は得られませんでしたが、かなりいいレースができたので、今回はチームとしてポジションを確立し、さらに成長するための非常に重要な機会になると考えています。モチベーションは高まっており、自分たちの可能性をしっかり表現したいと思っています。このコースはMoto3時代に一度走っただけですが、そのときはマシントラブルが発生するまでずっとレースをリードしました。良い思い出があるので今回もいい走りができると信じています。最初のセッションからベストを尽くし、良いフィーリングをつかんで、ファンの皆さまにエキサイティングなパフォーマンスをお見せします」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「タイでは苦戦し、期待通りの結果を持ち帰ることができなかったので、今回はリベンジを狙っています。大好きなこのコースで優勝経験もあるトニー(アルボリーノ)が、どこまでステップアップできるかを楽しみにしています。チームとしては、前回のデータを参考にしながら彼が最初のセッションから速さを発揮できるようベストを尽くします。ブリラムでも見た通り、第1セッションがその後の戦いに大きく影響するからです。
イサンについては、タイで見せた素晴らしいスピードをより確かなものにし、初テスト以来の成長を今後も継続することを期待しています。ポルティマオで順調にデビューし、ヘレスで前進し、タイでは難なくトップ6をキープできるところを証明してくれました。テルマス・デ・リオ・オンドの経験は1度だけですが、リタイアするまで確実にトップをキープしていたのです。ですから今回も大いに期待しています」