MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.19 11月17日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第19戦バレンシアGP
■開催日:2019年11月17日(日)決勝結果
■開催地:リカルド・トルモ・サーキット/スペイン(4.005km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:15度 ■路面温度:16度
■PP:F・クアルタラロ(1分29秒978/ヤマハ)
■FL:M・マルケス(1分31秒116/ホンダ)
REPORT
Monster Energy Yamaha MotoGP、シーズン最終戦はビニャーレスが6位とロッシが8位
Monster Energy Yamaha MotoGPが2019シーズンを終了。非常に寒いが完璧なコンディションのもと、M・ビニャーレスとV・ロッシは、リアグリップの低下と戦いながらそれぞれ6位と8位でゴールした。この結果、ビニャーレスはランキング3位を獲得。Monster Energy Yamaha MotoGPもチームランキングで3位をおさめた。
ビニャーレスは4番グリッドから好スタートを切り、3番手で第1コーナーへ。しかしオープニングラップの攻防は激しく、また気温の低さによりタイヤがなかなか暖まらず徐々に順位を下げてしまう。4ラップまでに7番手へ後退したビニャーレスは、その後しばらくは我慢の走りを強いられたが、後半戦に入ったころから前を走るF・モルビデリとの差を着実に詰めてゆく。そして背後に迫ってからさらに5ラップ後、モルビデリが第4コーナーで転倒。ビニャーレスは6番手に浮上し、そのままポジションを守ってチェッカーを受けた。この結果、2017年に続いて自己最高となるランキング3位となった。
一方のロッシはグリッド4列目から好スタートを切って9番手へ浮上。その後は路面のグリップレベルの低さを考慮し、安定したペースで慎重に周回を重ねてゆく。そのなかで一旦はC・クラッチロー(ホンダ)に先行されて10番手に後退したが、その後クラッチローが転倒したため再び9番手へ。さらにはD・ペトルッチ(ドゥカティ)も同様にロッシをパスしたあと転倒。そして残り9ラップではモルビデリもまた転倒して戦列を離れたため、ロッシは8番手へ上げてチェッカーを受けた。
最終戦を終了してビニャーレスとロッシはそれぞれランキング3位と7位、Monster Energy Yamaha MotoGPはチームランキング3位、ヤマハはコンストラクターズランキング2位を獲得した。
Monster Energy Yamaha MotoGPは2日後の火曜日、リカルド・トルモ・サーキットに戻ってIRTAオフィシャルテストに参加する。早くも2020年への準備がはじまる。
クアルタラロが2位とし、2019シーズン7度目の表彰台を獲得
2019シーズン最終戦でPETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamのF・クアルタラロが2位を獲得し、今季7度目となる表彰台に上った。チームメイトのF・モルビデリは、6番手走行中に転倒がありリタイアで最終戦を終えることとなった。
ポールシッターのクアルタラロは好スタートからポジションを維持してレースをリードし、2ラップ目までに1秒近いアドバンテージを築いた。その後、周回を重ねるなかでM・マルケス(ホンダ)に追いつかれ、ついには先行を許したが、2位をしっかりキープしてチェッカーを受けた。
モルビデリもまた序盤は好調な走りを見せており、5番グリッドから表彰台争いを目指した。その後ひとつ下げて単独6番手となっていたが、19ラップ目で小さなミスをおかして転倒。シーズン最終戦をリタイアで終えることとなった。
この結果、クアルタラロはトップ・サテライトとルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝き、総合ランキング5位を獲得。チームメイトのモルビデリもランキング10位と健闘し、PETRONAS Yamaha SRTは、そのデビューイヤーにサテライト・チームランキング・トップおよびチーム・ランキング4位を獲得した。
2020シーズンは2020年3月8日、カタールで開幕予定。クアルタラロとモルビデリは火曜日から、来シーズンに向けてテストをスタートする。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
M・ビニャーレス選手談(6位)
「目標にしていたランキング3位を達成することができました。表彰台や優勝のことは忘れていた感じです。今日はリアグリップに悩まされるとても難しいレースでしたが、しっかり走り切ることだけを考えました。グリップの問題はこれまでにも何度かあったことですが、今日もまた起きてしまったのでチェックが必要です。順位ではリンスにできるだけ近づき、できるだけ多くのポイントを獲得しなければならなかったわけですが、何とかそれを成し遂げ、こうしてヤマハ勢トップのランキング3位を獲得することができて本当にうれしく思います。しかし早くも、2日後から始まるニューマシンのテストを楽しみにしています。バレンシアとヘレスで行われるテストは非常に重要なもので、高いモチベーションと大きな熱意をもってテストシーズンを迎えることができそうです。マシンのフィーリングはとてもよいので、気持ちを盛り上げ、よい雰囲気のなかでチャレンジを続けていきたいと思っています。ヤマハとともにこの冬もすばらしい仕事ができると確信しています」
V・ロッシ選手談(8位)
「天気以上にグリップに悩まされました。以前にも同じ問題が起きているのですが、リアのグリップ不足によってタイヤのパフォーマンスが大幅に下がってしまうため、ペースダウンせざるを得なくなってしまうのです。シーズン後半戦はこの問題に悩まされ、結局、最後まで解決することができませんでした。来シーズンを好調にスタートするために、火曜日のテストからまた全力で仕事に取り組んでいきます。年内にバレンシアとヘレスで重要なテストを予定しているので、好天に恵まれ、しっかり仕事を進められるよう願っています。ヤマハからいくつか新しいものが投入されますし、チームには新しいクルーチーフもやって来ます。その意味では、今後どのように仕事を進めいくかということも課題のひとつになるでしょう。来年また、もっと強くなって戻ってくるために重要なテストに臨みます」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「非常に厳しいレースになってしまいました。そのなかでビニャーレス選手とロッシ選手は全力で戦ってくれました。私たちとしては、ふたり揃ってリアグリップに悩まされてしまった原因を理解できていない状況です。昨日までは寒いなかでも起こらなったことですし、今朝のウォームアップでも問題ありませんでした。好成績でシーズンを締めくくることができず本当に残念です。それでもふたりの努力は無駄ではありません。ビニャーレス選手とチームがランキング3位を獲得、またヤマハは、クアルタラロ選手が2位を獲得したこともあってランキング2位に上がることができました。これはヤマハファミリーの努力の結果というわけです。PETRONAS Yamaha SRTはニューチームであり、クアルタラロ選手はルーキーであり、モルビデリ選手はヤマハ1年目であることを考えれば驚くべき成果と言うことができるでしょう。様々な困難にぶつかりながらも、メンタリティとファイティングスピリットを高く保ち続けてきたことを誇りに思います。しかしながら、この最終戦でもっと上を目指したかった私たちとしては、明後日から始まるテストのなかで休む暇はありません」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・クアルタラロ選手談(2位)
「マルケス選手の強さは昨日からわかっていたので、2位にとても満足ですし、ヤマハ勢トップを獲得できたことはうれしい結果になりました。しかも優勝のチャンスから大きく離されてしまったわけでもありません。今日の結果を誇りに思い、最終戦を全力で走り切ったことに満足しています。2018年の時点では、MotoGPに席はないと多くの人から言われていましたし、私自身も準備をしていませんでした。その私が今、7回の表彰台と6回のポールポジションを獲得し、彼らの予想が外れたことを証明できたのです! この1年の出来事にとても満足しており、チーム全体にとっても誇るべき成果だったと感じています」
F・モルビデリ選手談(DNF)
「順調にハイペースで走れていて、前のライダーにどんどん近づいていっていただけに悔しい転倒でした。単独走行のときには風を避けることができずにフロントタイヤが冷えてしまいます。その場合の選択肢はふたつ。つまりプッシュを止めて下がるか、プッシュし続けてまた暖まるのを待つかです。しかし不運にも、ピットを出たばかりと同じような状態のまま第4コーナーで転倒してしまったのです。それまでは順調に前との差を詰め、表彰台を目指していました。残念な結果となりましたが、トップ3を狙えるという十分な手ごたえを得られたことは、とても良かったと思っています」
W・ズィーレンベルグ、チーム・マネジャー談
「本当にすばらしシーズンでした。7回の表彰台、ルーキー・オブ・ザ・イヤー、トップサテライト・ライダーおよびチームと、希望リストのすべてを達成したのです。クアルタラロ選手とモルビデリ選手だけでなく、チーム全体で成し遂げた大きな成果を心から誇りに思います。1年間を振り返ってみれば、ヒューマン・エラーによるミスは一度もありませんでした。これはルーキー・チームとして非常にすばらしいことです。そしてその最終戦を2位獲得で締めくくることができ、まさに天にも昇る気持ちです。チームは早くも次のテストに集中しています。2020年が楽しみです」
R・ラザリ、チーム代表談
「今回もまた優勝には手が届きませんでしたが、この状況のなかで勝ち得る最高の成績を獲得することができました。モルビデリ選手は1年を通して素晴らしい健闘を見せながら、この最終戦でリタイアに終わったことは残念ですが、来シーズンまた必ず活躍してくれると確信しています。チームのデビューシーズンにトップ・サテライトチームおよびライダー、ルーキー・オブ・ザ・イヤー、そして総合チームランキング4位と見事な成績を達成することができました。またヤマハのコンストラクターズランキング2位にも貢献できたことをうれしく思います。2020年もまた熾烈な戦いが予想されますが、そのなかで毎回、表彰台に上ることを目標にしていきたいと考えており、そのためにチームとしてやるべきことは、わかっています。火曜日のテストから始まる新たなチャレンジを楽しみにしています」
MS開発部モトGPグループリーダー 鷲見崇宏談
「ファクトリーのロッシ選手とビニャーレス選手は、リアタイヤのグリップ不足に悩まされ、プラクティスで見せていたパフォーマンスから期待される結果には及びませんでした。ここ数戦の好調さをシーズン締めくくりにつなげられなかったことが残念です。一方、サテライトチームのクアルタラロ選手は、車両・タイヤのパフォーマンスを出し切って2位を獲得、モルビデリ選手は中盤からフロントタイヤのフィーリングが悪化したことにより転倒を喫してしまいました。
本レースをもって全19戦が終了しました。チャンピオンシップは我々が目指していたものには遠く及ばなかったものの、前半戦の苦戦から見つけてきた改善の種が徐々に実を結び、後半戦の全ヤマハライダーのパフォーマンスアップにつながったことを自信としながら、また何よりもファンの皆様からのご声援を励みとして、最後まで全力で戦いきることができました。ヤマハスタッフを代表して心より感謝申し上げます、ありがとうございました。明後日から来シーズンに向けたテストがはじまります。チャンピオン奪還を目標に強いヤマハ・YZR-M1を作るべく、ライダー・チーム・開発陣一丸となって取り組んでまいります」