MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 10月27日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦オーストラリアGP
■開催日:2019年10月27日(日)
■開催地:フィリップアイランド/オーストラリア(4.445km)
■周回数:27周(120.096 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:16度 ■路面温度:30度
■PP:M・ビニャーレス(1分28秒492/ヤマハ)
■FL:M・ビニャーレス(1分29秒322)
REPORT
ロッシが8位、ビニャーレスは最終周トップ奪還中に転倒リタイヤ
Monster Energy Yamaha MotoGPのふたりはフィリップアイランドの決勝で果敢な走り。V・ロッシはロケットスタートから一時レースをリードしたものの徐々に後退して8位。M・ビニャーレスは合計16ラップでトップを走行していたが、最終ラップで2番手走行中、ハイスピードから転倒してリタイアに終わっている。
自己通算400回目のグランプリ出場となったロッシ。グリッド4番手から絶好のスタートを切り、ライバルたちをアウト側から抜き去って真っ先に第1コーナーへ。第2セクションを過ぎるころにはアドバンテージを0.6秒まで拡大してレースをリードした。
しかしまもなく後続集団に追いつかれると徐々に遅れて8番手まで後退。レース中盤には第2集団の先頭へ出て4番手まで浮上しているが、再び後方からの追撃を受けて集団に飲み込まれる形となった。最終的にはトップから15.841秒離されて8位でチェッカーを受けた。
チームメイトのビニャーレスはポールポジションからスタートしたあと、第1コーナーの混乱に巻き込まれて後退。6番手から挽回を狙う展開となり、その後ロッシを含め2台をとらえて4番手に浮上した。次のターゲットはA・イアンノーネ(アプリリア)、M・マルケス、C・クラッチロー(ともにホンダ)の3人。ひとりずつ着実にパスしてゆくと、10ラップ目にはついにトップに躍り出た。
ここから16ラップにわたってポジションをキープしたが、背後にぴったりつけてきていたマルケスに最終ラップ直前のストレートで先行を許してしまう。ビニャーレスはあきらめずに全力でトップ奪還を目指したが、最終の高速セクションで転倒を喫してリタイアを余儀なくされた。幸い怪我はなかった。
シリーズポイントでは、ビニャーレスがランキング3位に7ポイント差の4位。一方のロッシはビニャーレスから23ポイント差でランキング7位となっている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキング3位をキープ。Monster Energy Yamaha MotoGPもチーム・ランキング3位を維持している。
PETRONAS Yamaha SRTは悔しい結果
PETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamはF・モルビデリが11位、F・クアルタラロはオープニングラップで他車に接触されて転倒リタイアとなった。
強風と難しいコンディションにもかかわらず、ここまで好調をキープしてきたモルビデリだが、スケジュール変更によって今日の午前中に行われた予選セッションでは思うようにペースを上げることができなかった。決勝のスタートで14番手に後退したあと、少しずつ挽回していったものの11位に留まっている。
一方のクアルタラロは金曜日のフリープラクティス第1セッションで転倒して足首を負傷。厳しい状況のなかでも予選2番手を獲得し、フロントローから絶好のスタートを切った。しかしオープニングラップでややはらんだところへ、後方で転倒したマシンがヒット。この衝撃でクアルタラロも転倒し、そのままリタイアを余儀なくされた。
シリーズポイントではクアルタラロが6位、モルビデリが10位をキープ。PETRONAS Yamaha SRTはサテライト・チームのランキング・トップと全体のチーム・ランキング4位をキープしている。
次回、マレーシアGPは11月1日~3日、セパン・インターナショナル・サーキットで開催される。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(8位)
「絶好のスタートを切り、しばらくの間でもトップを走行して、400回目のグランプリを自ら祝うことができて良かったです。最終的には残念な結果になってしまいましたが、表彰台に上ったジャック・ミラーからそれほど大きく離されたわけではなかったし、昨日までと比べて良い走りができていました。いずれにしても、私たちはもっともっと強くならなければなりません。ひたすらハードワークを重ね、成果が現れるのを待つだけです。フィリップアイランドのレースはいつでも素晴らしいのですが、今日は最後に厳しいバトルになりました」
M・ビニャーレス選手談(DNF)
「マルクが最後に仕掛けてくるとすればブレーキングを遅らせるので、その可能性を考えて、それまで以上に縁石に近づけて最終ラップに挑みました。しかし彼は、スタート/フィニッシュラインの手前で抜いていったのです。そこで私は第10コーナーで抜き返すために第3セクションを全力で攻めていきました。ですから、あのときすでにブレーキングせずに飛び込んでいく準備ができていたのです。しかしリアがロックして投げ出されてしまいました。今日は2位ではなく、勝つべきレースでした。チャンスがあると思ったので挑んでいったのです。優勝は逃しましたが、非常にポジティブなレースだったと感じています。転倒してしまいましたが、満足しています。毎ラップ、ベストを尽くし、マシンもとてもよく走ってくれました」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「望んでいたような結果にはなりませんでした。バレンティーノは絶好のスタートを切りましたが、27ラップにわたってトップ・ペースを維持することはできませんでした。タイヤ・グリップが低下していましたし、トップスピードの差も感じていましたが、彼は今週、確実に前進し、上位グループでバトルすることができました。結果は8位ですが、3位から大きく離されたわけではありません。マーベリックはそれとはまったく別の展開となりました。スタート直後の第1コーナーで後退したあと、懸命の挽回で10ラップ目にトップに立つと最終ラップまでレースをリードしました。ここまで絶好調だっただけに転倒はとても残念ですが、怪我がなかったことは幸いです。限界まで攻め、最終ラップまで優勝を賭けて戦うときには、このようなことも起こり得るのです。そのなかでも今回、どのようなコンディションでも力強く戦えることを証明できたことは収穫です。これからは来週のマレーシアGPに全力を注ぎ、そのあとはいよいよ、今シーズンの最終ラウンド、バレンシアへと向かいます」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・モルビデリ選手談(11位)
「とても難しいレースでした。今朝の予選のときからすでに苦戦を強いられていたのです。昨日までは非常にフィーリングが良かったのでグリッド好位置を狙っていましたが、今朝は大幅にパフォーマンスが低下。その結果、望んでいたポジションからスタートすることができず、そこからの挽回も思うようにいきませんでした。タイヤをコントロールしながら、毎ラップ丁寧に正確な走りを心掛けましたが、ペースは上がりませんでした。今日になってペースが落ちてしまった原因を、しっかり調べなければなりません。そして次のマレーシアでもう一度、トライします」
F・クアルタラロ選手談(DNF)
「非常にタフなウイークでした。金曜日にビッグ・クラッシュし、日曜日にもまた転倒してしまいました。今朝は好調で、初めてQ1に出場してフロントローを獲得。決勝では、もしもペトルッチがぶつかってこなかったとしても、グリーン上に出て大きくポジションを下げていたと思います。いずれにしても、私はGPルーキーとして、どんなことも勉強だと考えています。次のマレーシアまで少し休養をとり、できるだけ怪我を回復させて、セパン・サーキットとPETRONASのために良いパフォーマンスを見せたいと思います」
W・ズィーレンベルグ、チーム・マネジャー談
「PETRONAS Yamaha SRTにとってはとても残念な一日になりました。今回は金曜日にファビオ(クアルタラロ)が転倒、フランコ(モルビデリ)も浮き沈みが激しく、あるときは非常に速いが、それ以外のセッションでは苦戦を強いられました。決勝ではフランコがペースをキープできず、タイヤ・グリップを維持する作戦も十分ではありませんでした。ファビオのほうは逆にチャンスがありましたが、第2コーナーで接触されて転倒。ふたりともハード・タイヤを履いていたため同じタイミングでスライドしてしまったのです。最も大切なのは、ふたりとも無事だったこと。このアクシデントから学ぶことが、私たちルーキー・チームの目標で、良いことも悪いことも、みなで共有していきます。次はいよいよ、最高の舞台、マレーシアです」
R・ラザリ、チーム代表談
「シーズン最大のチャレンジでした。フィリップアイランドのコンディションは過酷で、負傷したファビオにとってはとくに厳しく、決勝でも転倒を強いられました。一方のフランコも決勝ではペースをつかめないまま終わってしまいましたが、貴重な数ポイントを獲得し、私たちはサテライト・チームのランキング・トップを維持しています」
MS開発部モトGPグループリーダー、鷲見崇宏談
「ビニャーレス選手は、ウィークを通じてコンディションによらず圧倒的なラップタイムパフォーマンスを発揮できていました。レースではスタートでポジションダウンしてしましたが、力強く追い上げ、マルケス選手との一騎打ちとなりました。最終ラップに入るストレートで抜かれた後、得意なコーナーでの最後の勝負をかけようとしたところで無理をして転倒リタイヤとなってしまいました。ポイントを逃したことよりも、あくまで勝利を目指して100%以上の力で挑んだライダーを称えたいと思います。ロッシ選手はスタート後一時トップに立ちましたが、タイヤグリップ低下に伴い徐々にポジションダウンし8位となりました。順位は望んだものではありませんが、内容的には前戦からの改善を確認できた点もありました。
モルビデリ選手は車両セッティングの課題が解決しきれず苦戦し11位。クアルタラロ選手はスタート直後のコーナーで他車の転倒に巻き込まれる形でリタイヤ、初日の転倒で負ったたケガの悪化がなかったことが幸いです。次戦に向け両ライダーともコンディションを整え、再び活躍してくれることを期待します。
YZR-M1+我々のライダーが持つ"速さ"は、確かなものになってきましたが、レースで勝つための"強さ"は、まだ足りません。今季何度も味わっている最終ラップでの悔しい思いを、マシン開発のモチベーションにつなげていきたいと思います。引き続きご声援よろしくお願いします」