MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月23日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2016年10月23日(日)決勝結果
■開催地:フィリップ・アイランド/オーストラリア
■周回数:27周(120.096 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:12度 ■路面温度:33度
■PP:M・マルケス(1分30秒189/ホンダ)
■FL:C・クラッチロー(1分29秒494/ホンダ)
REPORT
ロッシ力強いパフォーマンスで2位獲得!
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシとJ・ロレンソが、フィリップアイランド・サーキットで激しいチャージ。ロッシは予選15番手から前方集団を次々に抜き去り2位表彰台を獲得する異次元の走り。ロレンソはグリッド12番手から6位まで挽回した。
グリッド5列目から好スタートを切ったロッシは、オープニングラップで13番手。続いてS・レディング(ドゥカティ)とM・ビニャーレス(スズキ)をパスし、さらにポジションアップを狙ってN・ヘイデン(ホンダ)を追って行った。3ラップ目、ロレンソをとらえて7番手に上がると、次はロレンソとふたり揃ってD・ペトルッチ(ドゥカティ)の前へ。
ロッシは少しずつ前との差を詰め始め、A・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)とP・エスパルガロにコンマ4秒差まで接近。ここで1分29秒795の暫定ファステストラップを記録し、1ラップ後にはふたりを交わして4番手に。その後も手を緩めることなくプッシュを続け、ついにはA・エスパルガロ(スズキ)までの0.4秒を縮めて3番手へ浮上した。それから間もなくトップを走行していたM・マルケス(ホンダ)が転倒したため、ロッシは自動的に2番手へ。
ここからはロッシとC・クラッチロー(ホンダ)の優勝争い。しかしこのときすでに、2秒以上の差が開いていた。ロッシはレース序盤でフロントのソフト・コンパウンドの優位性を使い果たしており、ブレーキングのミスも出たことから、プッシュしたい気持ちを抑えて2位獲得に集中。最終的にはトップから4.218秒差でチェッカーを受けた。
エスパルガロが5位獲得!スミスも果敢な走りで8位!
Monster Yamaha Tech3のP・エスパルガロが、ミシュラン・オーストラリア・モーターサイクル・グランプリで5位獲得の大健闘。エスパルガロはフロントロウから好スタートを切ってトップに浮上。まもなく2番手に後退したが、トップのM・マルケスに食らいついて5ラップ目までこのポジションをキープした。その後2台に抜かれ、12ラップ目には6番手に後退したが、懸命にハイペースをキープして後続のJ・ロレンソを引き離していった。レース後半はコンスタントに走りきり、A・エスパルガロの転倒離脱もあって5位でゴール。難しいレースを好成績で締めくくり、早くも来週のマレーシアGPに照準を合わせている。
一方、Monster Yamaha Tech3から通算100回目のグランプリに出場したB・スミス。膝の怪我が完治しておらず完璧な状態ではなかったが、果敢に走り切って8位でチェッカーを受けた。グリッド14番手からスタートして序盤は様子を見ながら慎重な走り。ひとたびリズムをつかむと着実にペースを上げ、レースの三分の一ほどまでに4台をパスして14番手へ復帰した。その後も少しもひるむことなくプッシュを続け、ついには7台の大集団による7位争いに加わって大奮闘。最終ラップには一気にふたつ順位を上げ、8位を獲得した。
一方のロレンソは、グリッド12番手から好スタートを切り序盤で9番手まで挽回。ロッシとビニャーレスの追い上げを予期し、早めにS・ブラドル(アプリリア)とJ・ミラー(ホンダ)をパスして7番手に浮上した。しかし、その1ラップ後にはロッシとビニャーレスに先行を許し、その後はふたりのペースについて行くことができなかった。
前方でマルケスが転倒したあと、レース後半は6番手を単独走行。タイヤの熱をコントロールしながら、着実にチェッカーを目指した。
2位を獲得したロッシは、シリーズポイントを合計216に伸ばしてランキング2位をキープ。ロレンソはロッシに24ポイント差の合計192ポイントで3位につけている。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)
「今朝からペースが良くて、天気も良くて、少しずつ調子が戻って来たんだ。レース序盤、とくに1ラップ目はすごく面白くて、カル(クラッチロー)について行こうとしたけど速すぎてついて行けなった。そのあと10ラップくらいはバトルをエンジョイ。その時もまたカルがターゲットなんだけれど、僕は朝の好調ぶりからして、きっと抜けると思っていたんだ。そのうちにマルケスが転倒したので、これは勝てるかもしれないと思ってトライ。でも残念ながらカルが速すぎて追いつくことはできなかった。彼はフィリップアイランドでいつも速いんだ。このコースをとても良く理解しているんだね。僕のほうは後半がとても苦しくて、どうすることもできなかったよ。もてぎではミスをしてしまったし、昨日も最悪だった。それを埋め合わせるために今日の2位がどうしても必要だったと思っている。チームにとってもヤマハにとっても良い結果になって良かった。カルには"おめでとう"を! そして素晴らしい仕事をしてくれたチームのみんなに"ありがとう"」
J・ロレンソ選手談(6位)
「気温はウォームアップのときと同じ。だから僕のパフォーマンスもほぼ同じで1分30秒4だった。でもリア・グリップが大幅にダウンし、序盤からどうにもならないような状態だったんだ。グリップが落ちてしまうと途端に苦しくなり、マシンの問題も2倍、3倍と大きくなってしまう。次のマレーシアでは寒さに悩まされることはないし、路面が新しいからグリップの問題もないだろう。次こそ好成績を狙うよ」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「午前中のウォームアップのなかで、今日はチャンスがあると直感。セッション序盤からバレンティーノが好感触をつかんでいたため、マシンには変更を加えないことにした。あとはタイヤと、グリッド5列目スタートという問題が残っていたが、バレンティーノはそのふたつとも見事に克服したのだ! ここまで非常に厳しい状況が続いていただけに、最後に2位という好結果を達成して、ようやく気持ちが解放された。ホルヘもまた、グリッド12番手から懸命に挽回。本人は6位に満足していないだろうが、ウイークのなかで経験したいくつもの困難を乗り越え、本当によく頑張ってくれたと思う。バレンティーノとホルヘに最強のマシンを提供するためにベストを尽くしたチームのみんなを心から祝福し、感謝する。彼らのおかげで最悪の土曜日を返上することができた」
Monster Yamaha Tech3
P・エスパルガロ選手談(5位)
「持っているすべてのカードを切った。そして気持ちよくフィリップアイランドを発つことができる。スタートがとてもうまくいってトップに立ち、ミスも1度もなかった。さらにはスムースなブレーキングを心がけ、不要なリスクを遠ざけた。しかしそれでも、ファクトリー・マシンが僕を抜いていったときのことを思い出すと、ちょっと悔しい気持ちになるんだ。僕は彼らと勝負したかったけれど、残念ながらそうはならなかった。もちろん僕らはベストを尽くしたし、チームのみんなは、僕らが最初に一緒に仕事をしたときとまったく同じやり方を続けている。のこりわずかになってしまったけれど、僕は彼らの仕事ぶりが大好きだ。今回は天候に恵まれず、ドライ・コンディションでの走行が少ししかできなかったが、むしろそれが僕らにとっては幸運だったのだと思う。だからこそ何台かのファクトリー・マシンを抑えることができたのだろうが、そうだとしても、今日の結果には満足したい。そして次のマレーシアでも好成績を目指していくよ」
B・スミス選手談(8位)
「素晴らしい成績を獲得することができた。とくに最後の数ラップは本当に苦しかったけれど、幸運にも絶好のチャンスを見つけて前へ出ることができたんだ。スタートはあまりアグレッシブに行くことができず自分自身にがっかり。もちろん怪我の影響があって、どうするべきかを考え過ぎたし、タイヤを暖めることに慎重になり過ぎていた。でも一旦、リズムをつかんでからは、決して楽ではなかったけれども、どんどん前に近づいていくことができたんだ。彼らの後ろに迫ってからも冷静さを失わず、タイヤの温存を意識し続けた。だって最後の3ラップのために不可欠なものだからね。そして終盤になって何台かパスし、最終ラップではいよいよフルアタック。グリップが残っていたからこそペトルッチとミラーをパスすることができた。テック3チームの仕事ぶりに感謝。とくに昨日の転倒のあとは大変だったし、全体を通してもドライ・コンディションが少なくて苦労したけれど、僕のために素晴らしいマシンを仕上げてくれた。ここまではすべてが計画通りに進んでいる。日本、オーストラリアと順調に良くなってきているので、次のマレーシアにも期待したい」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談:
「厳しい戦いになることは始めからわかっていたし、実際にそのとおりになった。ポルの好スタートはいつものことだが、今日はそれがより一層鮮明で、彼がレースをリードする姿を見てとても感動した。残念ながらマルクに抜かれてしまって1ラップを持ちこたえることができなかったけれど、ポルはその後もペースを緩めず懸命について行った。もちろん、マルクのペースに敵わないことは明らかだったし、やがて後続が追いついてきて激しいバトルに飲み込まれた。そのなかでいくつかポジションを下げることとなったが、ライバルたちはリズムが良く、おそらく装備も上だったと思う。このように難しい展開のなかでもラップタイムは安定しており、いい戦い方ができたことを誇りに思っている。
一方のブラッドリーも本当に素晴らしかった。わずか10日前までは、彼がチームに合流できるかどうかさえわからなかったのだ。レース序盤は、マシンの状態と自分のコンディションを確認するために慎重にスタート。そのあとミッションに取り掛かり、すでに5秒近くも前へ行っていた集団との差を詰め始めた。1周につきコンマ5秒も縮めていく走りはまさに圧巻。最終ラップを10番手で迎え、最終的に8位でチェッカーを受けることになった。我々の期待をはるかに超える好成績。彼のハードワークと、懸命さと、ネバー・ギブアップの精神に祝福を贈る。悪天候と難しい路面コンディションに翻弄された今大会で、5位と8位という好成績を獲得できたことは本当に素晴らしいと思う。次のマレーシアでもこの再現を目指したい」