ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月19日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2014年10月17日(金)初日総合結果
■開催地:フィリップアイランド/オーストラリア(4.448km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:15度 ■路面温度:35度
REPORT
好調のロレンソが初日トップタイムをマーク
モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシがオーストラリアGPのフリープラクティスを終了した。
前回まで2連勝中のロレンソは、フィリップアイランドの寒さと強風のなかでも素早くペースをつかみ、第1セッションのほとんどの時間帯で2位をキープ。トップから0.160秒差と好調をアピールした。午後から行われた第2セッションも順調に走行を続け、4ラップ目に1分29秒602を記録してトップに立つと、そのまま最後までポジションをキープ。トップで初日を終了した。セッション終盤はアシンメトリーなタイヤのテストにも取り組んだ。
一方のロッシは第1セッションの序盤で一時トップに浮上。そのあとはラップごとにタイムを更新し、最終的には1.7秒も伸ばして1分30秒051を記録。第2セッションではさらに更新し、ロレンソから0.354秒差の1分29秒954で総合6位となった。
モンスター・ヤマハ・テック3のP・エスパルガロが、フリープラクティス初日に総合8位を獲得。第1セッションはセッティングとタイヤ・チョイスを中心に行いながら11位で終了し、第2セッションではライディングのレベルアップに専念した。セッション中盤の第4コーナーで転倒したが、すぐに立ち上がってピットに戻り、スペアマシンで再びコースに復帰。そこからペースアップを図り、1分30秒103のベストラップを記録して8位に浮上した。フロントロウまであとコンマ3秒。明日の予選セッションでは6位以内を目指す。
チームメイトのB・スミスもエスパルガロと同様、マシン・セッティングとタイヤ・チョイスに取り組みながら第2セッションで11位。第1セッションでは8位につけていたが、第2セッションでは、明日以降を見据えたより実質的な作業に力を注いで1分30秒313を記録。5位まで0.359秒差と迫り、午前中のタイムをコンマ3秒以上更新する好調ぶりを見せた。明日は上位との差をさらに短縮し、ひとつでも上のポジションを目指す意気込み。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロが、第1セッションで1分29秒749の好タイムをマークしてトップ。第2セッションでは決勝用セッティングに取り組み、ラップタイムの更新はならなかったが、午前中のタイムで総合2位を獲得した。
チームメイトのA・デ・アンジェリスは、テクニカル・トラブルのため2回にわたりピットで作業を行った。セットアップのための貴重な時間を費やすこととなってしまったが、そのなかでも1分31秒108を記録して14位を獲得した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'29.602 |
2 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'29.749 |
3 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'29.752 |
4 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 1'29.803 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'29.945 |
6 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'29.954 |
7 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 1'30.076 |
8 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'30.103 |
9 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 1'30.281 |
10 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'30.289 |
11 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'30.313 |
12 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'30.678 |
13 | N・ヘイデン | Driver M7 Aspar | Honda | 1'31.034 |
14 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'31.108 |
15 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'31.137 |
16 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 1'31.143 |
17 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'31.174 |
18 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 1'31.219 |
19 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 1'31.264 |
20 | D・ペトルッチ | Octo IodaRacing Team | ART | 1'31.723 |
21 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 1'32.191 |
22 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'32.506 |
23 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'32.843 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(初日総合トップ/1分29秒602)
「転倒は予期していなかった。だっていつも同じポイントで、同じような強さでブレーキをかけていたからね。ところが突然に、何の前触れもなくフロントが切れ込んでしまったんだ。そしてあっという間にグラベルへ突っ込んでしまった。かなり激しいクラッシュだったんだけれど、運よく怪我をしないで済んだ。レザースーツは破れてしまったけれど、僕は無事。これが大切なことだよね。アシンメトリーのフロントタイヤは、この寒さのなかでは硬すぎるのかもしれない。このようなところからいろいろ学んでいかなければならないということ。明日は別の31か、別のアシンメトリーをチョイスしないと…。もしも暑くなれば、アシンメトリーが有効になるだろう。この選択は重要だよ」
V・ロッシ選手談(初日総合6番手/1分29秒954)
「僕もアシンメトリーのフロントタイヤを試そうとしていたんだけれど、ちょうど装着を完了したところでホルヘが転倒したんだ。だからまずは様子を見ることにして、転倒の理由がタイヤのせいなのかどうか確認するまでは、代わりにソフトコンパウンドで走行を続けることにした。天候にもよるけれど、僕にはそのソフトコンパウンドのフィーリングがとても良かったので、これが決勝距離をしっかり走り切れるだけの強さを持っていることを期待している。ブリヂストンがとてもよく頑張ってくれていて、グリップ性が向上しているので恐怖感を感じることが少なくなった。たまにグリップが不足するところもあるけれど、それは通常の範囲と言っていいと思う。去年はアスファルトを張り替えたばかりで路面の抵抗力が大き過ぎたが、今年はすでに使い込まれていて、とても自然な感じ。フィリップアイランドにスライドとスピンはつきものだけど、それが楽しいんだ!」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・GP、チームディレクター談
「最初のふたつのフリープラクティスは非常に順調だった。このコースがヤマハM1に合っているので、上位につけることができたと思う。ホルヘもバレンティーノも午前中のセッションで早々にベース・セッティングを完了。ペースもとても良かった。ふたりのフィーリングは上々で、セッティングとソフトコンパウンドのフロントタイヤに自信を持つことができたようだ。午後のセッションではホルヘがアシンメトリーのフロントタイヤをテスト。転倒はあったが、マシン自体はこのタイヤでも好調に走ってくれていたと思う。今日の結果には非常に満足しているが、明日以降もさらに上を目指してハードワークを続けていく」
P・エスパルガロ選手談(初日総合6番手/1分30秒103)
「午後のセッションで転倒してしまった。かなりの高速だったのに怪我がなかったのは幸運だった。あのときはハードコンパウンドのタイヤを履いていが、コーナリング中もフィーリングがとても良かったので、なぜあんなことになってしまったのか未だによくわからない。マシンがまっすぐに立った状態でブレーキをかけ始めたところだったのに、なぜ転倒したのか、なんとか原因をつきとめないとね。現時点で考えられることは、その前のいくつかのコーナーは左ばかりで、あの第4コーナーではタイヤの右側が暖まっていなかったということ。そうだとすると、明日以降もアシンメトリーのタイヤが問題になる可能性がある。今日はあらゆるコンビネーションを試し、その結果、転倒はあったけれどもやっぱりハードコンパウンドが気に入ったんだ。でも明日はまた、ベスト・オプションを目指してリサーチを続けるよ。モト2とは大きな違いがあって、今のところはまだ、モト2のほうが乗っていて楽しかった気がする。でもそれはきっと経験不足のせいだろうから、これからもっと慣れていかないとね。午後のセッションではいくらか良くなったと思うけれど、トップとはまだまだ差があるのでもっと頑張らないと。明日は少しでも上のグリッドを獲得できるようベストを尽くす」
B・スミス選手談(初日総合11番手/1分30秒313)
「総合的に見て、とても充実した1日になったと思う。何よりニュータイヤを試すことができたのが良かった。ブリヂストンが今回のために用意してくれたタイヤは、どうやら決勝距離をしっかり走り切ることができそうだ。ここでは、それがとても重要なんだ。でもその代わり、このタイヤに合わせるためにいつもとはちょっと違うセッティングが必要になる。だからニュータイヤのフィーリングを把握し、何が必要かをしっかり理解しなければならないんだ。それを含めても、今日はとても順調だったと思うので満足しているよ。安定して走ることができたが、皆がとても接近していたので結果は11位。明日は直接Q2へ進めるよう、初めからペースを上げていかないとね。僕の感触では、路面のグリップが去年よりも少なくなっているが、天気が良くて風が少なかったので良い走りができたと思う。明日の目標は1分29秒台。もうちょっと伸ばせれば予選でも好位置を獲得できるはずなんだ」
A・エスパルガロ選手談(初日総合2番手/1分29秒749)
「今日の結果には大満足。午前中のセッションからフィーリングが良くて、このテクニカル・コースをハイペースで走ることができたんだ。日本のもてぎと比べると、ハードな加速がないので僕らの強みを十分に発揮できる。午後のセッションでもペース良く走ることができたので、きっと決勝で役に立つはずだ。明日は予選でもう一歩前進し、さらに決勝に向けて準備を整えるべく作業を続ける」
A・デ・アンジェリス選手談(初日総合14番手/1分31秒108)
「とても悔しい結果。前回の日本GPからの問題を未だに解決することができず、それに対処するために時間を無駄に費やしてしまった。午後のセッションではセッティング面でいくつか新しいものをテストすると、フィーリングが良くなってコンマ4秒ほど更新することができた。でもその代わりに、決勝を想定したロングランを完了することができなかったのが残念」