ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 10月12日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2014年10月10日(金)初日総合結果
■開催地:日本/もてぎ(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:36度
REPORT
モビスター・ヤマハ・モトGPのJ・ロレンソが初日総合2位
モビスター・ヤマハ・モトGPのJ・ロレンソとV・ロッシは、日本GPのフリープラクティス初日を順調にスタート。
ロレンソは終始、冷静な態度でプラクティスに取り組み、その第1セッションでは、大径化したカーボンブレーキ・ディスクを暖めることに時間を費やした。これはツインリンクもてぎのコースの性質上、ヘビー・ブレーキングに対応するために採用されたもので、周回が進むにつれて少しずつラップタイムを更新し、終盤では1分45秒838を記録してトップに浮上。第2セッションでも順調にペースを上げて、1分45秒台を何度も記録して初日総合2位を獲得した。1分45秒580のベストタイムはトップからわずかコンマ4秒差。
チームメイトのロッシも、前回のアラゴンでの転倒の影響を感じさせない見事な走り。ヘビー・ブレーキングの箇所では負傷した指への負担が大きくなるが、痛み止めの注射を打たずに臨み、第1セッション序盤では2回にわたりタイムシートのトップに立った。ベストタイムは1分46秒184。ロレンソから0.346秒遅れて5位となった。続く第2セッションでは1分45秒890まで更新してトップからは0.75秒ほどの差。総合5位でこの日の走行を終了した。
モンスター・ヤマハ・テック3、総合7位と8位
モンスター・ヤマハ・テック3チームのP・エスパルガロが、フリープラクティス第1セッションで1分46秒365を記録して7位。第2セッションでも勢いをそのままに、1分46秒041まで更新して7位をキープした。明日の予選では、グリッド2列目までを狙う。
エスパルガロのチームメイトのB・スミスも8位獲得と好調。第1セッションでは、マシンのベース・セッティングを作るためにいくつかのオプションをテストしながら14位。午後からの第2セッションでは順調にタイムを更新し、1分46秒105を記録して一気に8位へと浮上した。5位のロッシとの差がわずか0.2秒。
NGMフォワード・レーシング、A・エスパルガロが初日13番手
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロとA・デ・アンジェリスは、それぞれ13位と17位。
エスパルガロは午前中に行われた第1セッションで1分46秒404を記録して9位と好調。午後からの第2セッションでは、電子制御システムの不具合を修復するためピットのなかで時間を費やすこととなり、マシンのセッティング作業を計画通りに進めることができなかった。それでもベストタイムを1分46秒315と更新し、総合13位で終了。明日も決勝に向けて作業に取り組む。
チームメイトのアンジェリスは、第1セッションからセッティングの方向性が定まり、1分47秒285の好タイムで15番手。第2セッションではマシンの技術的トラブルがあり、タイム更新はならなかった。
YAMALUBE Racing Team with YSPの中須賀、好感触でMotoGP初日を終了
昨年の日本GP以来、1年ぶりにMotoGPクラスを走るYAMALUBE Racing Team with YSPの中須賀克行選手。10月10日(金)の1回目のフリープラクティスでは、誰よりも多い20ラップを走行。そしてその17周目に一昨年に自身が記録した自己ベスト1分46秒780に1.193秒差に迫る1分47秒973をマークした。2回目のフリープラクティスは、1分47秒180と1回目のフリープラクティスでのタイムを上回らなかったが、11日(土)の予選、そして12日(日)の決勝に向けて好感触を得た。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'45.140 |
2 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'45.580 |
3 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'45.637 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.727 |
5 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'45.890 |
6 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.939 |
7 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.041 |
8 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.105 |
9 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 1'46.107 |
10 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 1'46.113 |
11 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 1'46.221 |
12 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'46.227 |
13 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'46.315 |
14 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 1'46.571 |
15 | 中須賀克行 | YAMALUBE Racing Team with YSP | Yamaha | 1'46.973 |
16 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 1'47.133 |
17 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'47.285 |
18 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 1'47.406 |
19 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'47.586 |
20 | N・ヘイデン | Driver M7 Aspar | Honda | 1'47.829 |
21 | D・ペトルッチ | Octo IodaRacing Team | ART | 1'48.264 |
22 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 1'49.105 |
23 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'49.159 |
24 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'49.321 |
COMMENT
ホルヘ・ロレンソ選手(初日総合2位/1分45秒580)
「アラゴンで優勝したあと、今回のもてぎでは、リアにノーマルタイヤを履くことで、より速く強く走れるはずだと考えた。昨年の経験からも、しっかりグリップしてくれることはわかっていたんだ。今日は序盤からペースが良く、予想以上にいい走りができたと思う。マシンは非常に好調。これからさらにセッティング、シャシー、電子制御システムなど、細かいところを改善していく余地はあるものの、全体的にはとてもうまくいっているのでハッピーだよ!」
バレンティーノ・ロッシ選手(初日総合5位/1分45秒890)
「マシンのフィーリングはとても良く、とくに大きな問題はなさそうだ。前回、負傷した指にちょっと痛みがあって、とくにブレーキングでは少し気になってしまうけれど、うまくできないわけではないから不安は感じていないよ。総合的に見て、ウイーク初日は順調。プラクティスを予定通りに進めることができたし、5位というポジションも悪くない。あとはもう少しマシンのバランスを向上させていきたいので、明日以降はここを中心に作業を進めていく予定。ヤマハは今回、とても調子が良さそうだよ!」
マッシモ・メレガリ、Movistar Yamaha MotoGPチームディレクター
「順調なスタート。ホルヘもバレンティーノもセッティング面で大きな問題はなく、ペースもスピードもとても良かったと思う。もちろん、これからさらに細かいところを詰めていかなければならないが、しっかり取り組んで、明日はまた何歩も前へ進めると確信している。ホームGPと言える日本GPのウイーク初日を、すべての面で好調にスタートすることができた。心配していた台風の影響はまだ先になりそうなので、それについても運がいいみたいだ」
P・エスパルガロ選手談(初日総合7位/1分46秒041)
「正直なところ、今日はとても厳しい一日だったんだ。コースはハードブレーキングの箇所が多く、またそれぞれのコーナーについてもひとつひとつ考えていかなければならなかった。まだまだ勉強の段階だ。それでも最終的な順位は決して悪くなかったし、これからさらに大幅な改善も望めると思っているよ。明日は僕自身のライディング・スタイルの改善に取り組みたい。それからマシンも細かい点を少しずつ直していく。今日の時点では、おもにコースの中盤のセクションで遅れているので、明日はそこを見直していきたい。これらのことを改善できれば、明日の予選でいい位置を確保できるはずなんだ」
B・スミス選手談(初日総合8位/1分46秒105)
「序盤こそ苦労したけれど、全体的には順調に運んだと思う。セッティングがうまくいって、はっきりした方向性も見えた。最後の走りはとくに良くて、大きく前進することができたし、ラップタイムがとても安定していたので満足している。ここはテクニカル・コースで、柔らかめのタイヤがドゥカティ勢やオープン・カテゴリーのライダーたちに有利になっているようだ。僕らがトップ10に入り、直接Q2へ進むためには、かなりのハードワークが必要になるだろう。またタイムがかなり接近しているので、予選では完璧なライディングが求められるんだ。序盤は苦しかったが、良い形で終わることができた。明日以降も自信を持って攻め続けるよ」
A・エスパルガロ選手談(初日総合13位/1分46秒315)
「今日の結果に、完全に満足というわけではない。午前中のセッションではフロントに気になるところがあったので、そこを中心に作業を進めていったら、第2セッションではいくらかフィーリングが良くなった。ところが今度は電子制御システムに不具合が出てしまい、ピットに戻らなければならなくなって時間を無駄にしてしまった。たくさんの周回を走ることができなかったので、明日の予選に向けての準備が大変になってしまったが、何とか遅れを取り戻すべくベストを尽くすよ」
A・デ・アンジェリス選手談(初日総合17位/1分47秒285)
「第1セッションではブレーキングでのリアのフィーリングが不十分だったので、午後からは解決策をいくつか試し、そのなかから少しずつ調子が上がってきていた。ところが残念なことに、セッション終盤でソフト・コンパウンドのタイヤを装着したあと、いくつかの問題が出てきてしまったんだ。それでタイムを更新できないまま終わってしまったというわけ。明日もしっかりと作業に取り組み、一歩前進を目指したい」
中須賀克行選手(初日総合15位/1分46秒973)
「MotoGPクラスに出場するのは、昨年の日本グランプリ以来1年ぶりなので、フリー走行1回目は本当に緊張しました。そして走ってみると、周りのレベルが高くなっていることに驚きました。今回の個人的な目標は、一昨年の予選で出した自己ベスト1分46秒780を上回ることで、1回目の走行から1分46秒973までタイムを詰めることができたし、マシンのフィーリングもいいので、明日の走行に期待が持てます。今回も、昨年と同様にヤマハYZR-M1開発をメインにした参戦で、ウイークを通して転倒は絶対に許されません。決勝レースでは、このことを頭にたたき込みつつ、精一杯の走りをします」
尾方宏彰、YAMALUBE Racing Team with YSP監督
「中須賀選手が戦う全日本ロードレースは、9月28日(日)に岡山国際でレースがありました。そこからYZR-M1のテストがなく日本GPを迎えたので、マシンの乗り換えが心配されましたが、冷静に走り出し、各コーナーでどうやったらもっと速く走れるかを分析していました。さらに色々なライダーの走り方を見て、その乗り方を自分で試してみることもやっていました。こうしたことはライダーとしての幅を広げることにもなりますし、より多くのデータを収集するという意味で、開発ライダーとしてとても重要なことでもあります。今日は、しっかりとデータを残し、各種パーツの評価をすることができました。明日は、今日と同様の実戦テストに加え、決勝レースを見据えたマシン造りも必要になります。忙しい一日になりますが、天気も安定しているようだし、中須賀選手には頑張ってほしいと思っています」