ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月14日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2014年9月12日(金)フリー走行総合結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■コースコンディション:レイン
■気温:16度 ■路面温度:18度
REPORT
ミサノのウイーク初日は雨
P・エスパルガロがヤマハ勢最速
第13戦サンマリノGPのフリープラクティスがミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでスタート。その初日は終日、雨が降り続き、モビスター・ヤマハ・モトGPのJ・ロレンソとV・ロッシは、ウエット・コンディションでのライディング・スキルをテストするに留まった。
ロレンソは第1セッションで慎重な走り。少しずつウエットの感触をつかみながら自信をつけ、第2セッション終了までに4秒近くもタイムを短縮して総合8位につけた。一方のロッシは、午前中に行われた第1セッションで転倒があったが、幸い怪我はなく、走行を続けることができた。そしてロレンソ同様、第2セッションで大きく前進し、2.5秒短縮して総合10位となった。
ウエット・コンディションにしっかり対応して大幅な進歩が見られたが、明日以降は好天が予想されているため、フリープラクティス第3セッションでチームは、ドライ・ コンディションに合わせてまた初めから作業をやり直すことになる。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのP・エスパルガロがフリープラクティス初日から好調。終日の雨のなかで難しいコンディションを克服し、6位を獲得した。 第1セッションから積極的に攻めていったエスパルガロは中盤で転倒。しかし固い決意を維持したまま走ってピットに戻り、再スタートして8位を獲得した。第2セッションでも降り続く雨や滑りやすい路面と格闘しながら1分50秒761をマーク。このタイムはヤマハ勢最速のもので、しかも3位にわずか0.4秒差という見事な記録。さらにはT2でのセクション・タイムでも最速を記録した。エスパルガロは明日の予選に向けて自信をつけており、決勝グリッドの2列目までを狙っている。
チームメイトのB・スミスは、第1セッションの1周目で転倒してそのまま走行を中止。午後のセッションでは再びコースに戻り、チームとともにマシンの立て直しに取り組みペースアップを図った。周回が進むにつれてラップタイムが向上すると順調にトップ10に入って来たが、セッション終盤で転倒を喫して総合18位に留まった。残念な結果に終わったもののスミスは自信を失っておらず、明日の予選ではファクトリー勢のすぐ後ろのポジションを狙う。
NGMフォワード・レーシング・チームのA・エスパルガロはウエットでのマシン・セッティングに取り組みながら第1セッションで6位獲得と健闘。総合順位では12位となった。2回の転倒があったが幸い大きな影響はなく、フィーリングも良くなっていることから明日以降に自信を見せている。
一方、ホームGPに臨むA・デ・アンジェリスは午前中の第1セッションで11位。第2セッションでは転倒があり、ラップタイムを更新することができず20位に留まった。明日もセッティング作業を続け、決勝での活躍を期す。
明日以降は好天が予想されており、ふたりはドライ・コンディションのミサノを走行 することを楽しみにしている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'49.195 |
2 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 1'50.310 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.356 |
4 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.519 |
5 | D・ペトルッチ | Octo IodaRacing Team | ART | 1'50.641 |
6 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'50.761 |
7 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'50.848 |
8 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'51.541 |
9 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 1'51.603 |
10 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'51.738 |
11 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 1'51.757 |
12 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'52.164 |
13 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'52.213 |
14 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'52.298 |
15 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 1'52.584 |
16 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 1'52.814 |
17 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'53.326 |
18 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'53.329 |
19 | L・キャミア | Drive M7 Aspar | Honda | 1'53.699 |
20 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'54.105 |
21 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'56.128 |
22 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 1'56.632 |
M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 1'58.788 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(初日総合8番手/1分51秒541)
「少なくとも転倒しなかったのは良かった。今日はほとんど全員と言っていいくらい転倒車が続出したが、僕は幸い、わずかな残りのうちのひとりになった。このコンディションのなかでペースを見つけるのがとても難しく、リズムをつかむまでにたくさんの周回を要した。タイヤに十分な自信を持てなかったことが原因のひとつ。そしてもうひとつは僕自身だ。ライバルたちと比較しても、僕は自信をつかむまでに長い時間がかかってしまったんだ。終盤になってようやく調子が上がって来て、何とか8位まで上げることができた。ウエットではライバルたちのほうが速いので、マシンの改良が必要なことは間違いない。でも同時に僕自身のライディングの改善も求められている」
V・ロッシ選手談(初日総合10番手/1分51秒738)
「今日は誰もがとても苦労した。とくに午前中のセッションでね。運の悪いことにハード・コンパウンドのタイヤで走行しなければならなかったので、非常に難しく、非常に危険な状態。路面のグリップが低いうえにアスファルトが傷ついているところがあったため、多くの転倒車が出てしまったんだ。午後のセッションで柔らかめのタイヤを履けるようになると、ようやくマシンのフィーリングは向上したけれど、僕個人の感想として、僕らにはまだ速さが足りない。今日はリア周りを中心にいろいろなセッティングを試してみてもマシンのフィーリングをしっかりつかむことができなかったし、コーナー進入で十分なグリップが得られなかった。だから課題克服のためにこれからも懸命に取り組み、状況を改善していかなければならないんだ」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージングディレクター談
「バレンティーノとホルヘのために何とかベスト・セッティングを見つけ出そうと、我々はウエット・コンディションのなかで非常に厳しい状況を経験した。このままでは今夜は大変な作業が待っているが、前回までと同様、チーム一丸となって懸命に取り組み、明日までに準備を整えることができるだろう。天気予報によれば明日以降はどんどん状況が良くなってくるようなので、明日の朝から、そして明後日もドライ・コンディションに恵まれることを期待している」
モンスター・ヤマハ・テック 3
P・エスパルガロ選手談(初日総合6番手/1分50秒761)
「コンディションは理想から大きくかけ離れていたけれど、総合的に見て、今日の結果には満足していると言わなければならないだろう。午前中はとくにコースがとても滑りやすく、しかもブリヂストンのハード・コンパウンドのウエット・タイヤを履いていたので転倒は難しくなかった。でも午後になると柔らかめのタイヤをもらうことができたので状況が大きく変化。ようやくタイヤがグリップしてくれるようになり、気持ち良くマシンに乗れるようになったんだ。このようなコンディションのなかでは、これが不可欠の要素。それでも路面のほうは依然として大量の水があふれているので、難しいことに変わりはなかったんだけれど…。ウエット・コンディションの場合、このコースの路面は少しリスキーだと思う。その証拠に今日は非常に多くの転倒車が出てしまった。それでもウエットでは時に、ドライ・コンディションよりも多くを学ぶことができると思うので明日以降を楽しみにしている。天気が好転することも期待しながら…」
B・スミス選手談(初日総合18番手/1分53秒329)
「コース・コンディションがとても難しかった。でもそれよりもまず、2回も転倒してしまったことをチームに謝らなければならない。このようなコンディションのなかではミスをおかしやすく、ほんの小さな間違いが大きく影響してしまうことがある。2回の転倒はいずれもストレートでブレーキをかけたときに起きた。これは不思議な現象で、スピードが速過ぎたからでもなく、マシンを傾け過ぎたからでもなく、スロットルを開けるのが早すぎたからでもない。だから僕にはコントロールのしようがなかったんだ。さらに言えば、いつもなら起こらないはずのストレートでのブレーキング中の転倒だ…。転倒するまではラップタイムが順調に伸びていたので、もしも転倒していなければ最後の5ラップでもっと更新できたと思う。そうすればトップ10に入れていたはずなんだ。今日はこのように厳しいスタートになってしまったが、明日は本来の力を取り戻せるよう期待し、楽しみにしている。できれば天気がもう少し良くなることを願いたい」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(初日総合12番手/1分52秒164)
「両セッションで雨。タイヤがグリップせず、アスファルトが非常に滑りやすく苦労させられた。今日の結果は僕らの本当のポテンシャルを映したものではなく、僕は依然として自信を失ってはいないよ。フロントが切れ込んで2回も転倒してしまったが、幸い、大きな怪我はなかった」
A・デ・アンジェリス選手談(初日総合20番手/1分54秒105)
「路面がかなり滑りやすく、両セッションでずっと雨が降り続いてとても難しい状況だった。それでも、ブルノで経験したウエットと比べれば、マシンのフィーリングは今日のほうが良くなっていて、集団について行くこともできたんだ。転倒してしまったのでラップタイムを更新することができなかったけれど、総合的に見て、明日はきっとうまくいくと信じている」