ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 4月27日 アルゼンチン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦アルゼンチンGP
■開催日:2014年4月27日(日)決勝結果
■開催地:テルマス・デ・リオ・オンド/アルゼンチン(4.806km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度 ■路面温度:21度
■PP:M・マルケス(1分37秒683/ホンダ)
■FL:D・ペドロサ(1分39秒233/ホンダ)
REPORT
ロレンソが3位表彰台を獲得!
モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソが、本来の調子を取り戻して3位表彰台を獲得した。グリッド2位から好スタートを切ったロレンソはホールショットを奪ってそのままレースをリード。その一方でチームメイトのV・ロッシは、グリッド6位からふたつ上げて4番手。そして次の瞬間にはロレンソが3位に後退し、逆にロッシが2位に浮上している。しかしこのポジションは長くは続かず、ロレンソが再びトップを奪い返すとロッシは4位へ。ロッシはまたA・イアンノーネ(ドゥカティ)を抜いて3位に上がった。
残り22ラップ。ロレンソとロッシが1位と2位を走る場面が見られたが、ロッシはコーナーではらみ一気に7位へ後退。再度、後方から追い上げる格好となり、ペースを上げてS・ブラドル(ホンダ)、D・ペドロサ(ホンダ)、イアンノーネを目指した。最終的な優勝者と同等のペースをキープして挽回していったが、4位走行中、ブラドルのブレーキングミスの影響を受けて大きくはらみ、その間に表彰台の可能性を逃すこととなってしまった。そして4位をキープしてゴール。トップとの差は5秒弱。
その一方でトップを走行していたロレンソは、残り9ラップの第5コーナーでM・マルケス(ホンダ)に抜かれて後退。その後は全力で2位キープを目指したが、最終ラップで仕掛けてきたペドロサを抑えきれずに3位となった。この獲得ポイントを22とし、ランキング7位に浮上。一方のロッシは合計41ポイントでランキング3位をキープしている。次回は1週間後のスペインGP。MotoGPパドックはこのあと直接ヘレス・サーキットへ移動し、いよいよヨーロッパ・ラウンドが始まる。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スミスとP・エスパルガロは、決意を実らせてそれぞれ7位と8位を獲得。
スミスはグリッド7位からスタートしたあと序盤で一時9位に後退したが、持ち前の冷静さでハイペースをキープして挽回。6ラップ目にはチームメイトを抜いて8位に上がり、さらに上を目指した。そして毎ラップ着実にドゥカティ・ファクトリーのドビツィオーゾとの差を詰め、ついにはパスに成功した。また燃料が減るにつれてスピードがさらに上がり、レース終盤の20ラップ目でパーソナル・ベスト、全体では5番目に速いタイムを記録した。
一方のエスパルガロも見事な走りで、前回に続く8位。フリープラクティスから好調をキープしてきたエスパルガロは、予選11位から1ラップ目で8位へジャンプアップ。その後もハイペースをキープしてチームメイトのスミスとバトル。レース後半になるとドビツィオーゾをとらえ、19ラップ目には前へ出た。そのまま8位でチェッカーを受け、来週はホームレースとなるスペインGPに自信を持って臨む。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロはグリッド2列目からスタートしたが、2ラップ目の第2コーナーで10位走行中に転倒。幸い、すぐにマシンを起こしてレースに復帰し、そこから見事な追い上げを見せて挽回。21位から15位まで順位を上げてチェッカーを受け、オープンカテゴリーのランキングではN・ヘイデンや青山博一を抑えてトップを守った。
一方、チームメイトのC・エドワーズは14番グリッドからスタート後、終始、非常に厳しい展開を強いられさらに順位を落とし、最終的には20位でレースを終えた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 41'39.821 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +1.837 |
3 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +3.201 |
4 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +4.898 |
5 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +15.029 |
6 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | +19.447 |
7 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +24.192 |
8 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +29.118 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +33.673 |
10 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | +43.279 |
11 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | +43.352 |
12 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | +44.819 |
13 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | +45.178 |
14 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +48.656 |
15 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | +52.250 |
16 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | +53.505 |
17 | M. ピロ | Ducati Team | Ducati | +53.669 |
18 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +56.570 |
19 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | +1'03.140 |
20 | C・エドワーズ | NGM Forward Racing | Yamaha | +1'05.760 |
21 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'16.722 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 75 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 56 |
3 | V・ロッシ | Yamaha | 41 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 34 |
5 | A・イアンノーネ | Ducati | 25 |
6 | S・ブラドル | Honda | 24 |
7 | J・ロレンソ | Yamaha | 22 |
8 | A・エスパルガロ | Yamaha | 21 |
9 | B・スミス | Yamaha | 20 |
10 | P・エスパルガロ | Yamaha | 18 |
17 | C・エドワーズ | Yamaha | 7 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 75 |
2 | Yamaha | 47 |
3 | Ducati | 37 |
4 | Forward Yamaha | 21 |
5 | ART | 2 |
6 | PBM | 1 |
7 | AVINTIA | 1 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(3位)
「とってもハッピー! 2回も不運が続いたあとだから、今日の3位は僕のMotoGPキャリアのなかで最もうれしい3位だよ。しかも決してベスト・コンディションというわけではなかったなかで、ホンダ勢と互角に戦って表彰台を獲得することができたんだからね! もっともっと前へ進みたい。僕は自分の身体のコンディションを改善し、マシンももっと改良し、すべてがそろったときには、以前のように毎回、優勝争いを繰り広げることができるようになるだろう。そのために常に前進し続け、その時がくるのを根気強く待つだけだ」
V・ロッシ選手談(4位)
「トップ3と互角に戦うだけの速さとポテンシャルがあったし、表彰台も夢ではなかった。でも序盤のミスで遅れてしまい、さらに運の悪いことにはブラドルのミスでもっと大きく後退させられてしまった。彼はブレーキングで深く突っ込みすぎて、僕をコースから押しだした。それで2秒も遅れてしまい、表彰台の可能性が消えてしまったんだ」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「非常に素晴らしいレースだった。レースウイーク初日の状態を考えれば、信じられないくらいの大幅な進歩だ。しかし、バレンティーノがレース中に見せたリズムとペースを結果につなげることができず、ふたりがそろって表彰台に上ることを果たせなかったのは残念なことだ。実はバレンティーノはレース序盤、フロントに選んだハード・タイヤとフロントブレーキの温度上昇により、ブレーキングに問題を抱えていたのだ。ホルヘのほうは今回の表彰台獲得で自信を取り戻した。来週からは走り慣れたヨーロッパのコースに戻るが、GPカレンダーに新しく加わったこのコースもとても素晴らしかった。良い経験ができたので、来年また戻ってくるのが楽しみだ」
B・スミス選手談(7位)
「タフなチャレンジだったけれど、最終的に良いポジションを獲得できてとてもうれしい。残念ながらスタートがうまくいかず、その後の展開は前回のオースティンと似たようなものになった。終盤になると本来のペースで走れるようになり、1分40秒台をキープすることができたが、タンクがいっぱいの前半は、いつものように苦しい戦いだった。コースが変わり、セッティングもタイヤもいろいろ変化しても同じ問題が起こるので、僕が何らか対処法を考えないと。終盤頃のスムースさがなく、コーナースピードも上がらないんだ。すでにアイディアはいくつか出ているので、次のヘレスで試してみる予定。すべてを総合して見れば、チームも僕も良い仕事ができたと思う。あとは、ちょっとだけ足りなかった部分をヘレスで補いたいと思っている。そしてトップ・サテライトとしてしっかりとチャレンジしていけるように、問題を解決して万全の状態で臨みたい。これが今の最大の目標」
P・エスパルガロ選手談(8位)
「決して悪いレースではなかったが、8位という結果は望んでいたものではないんだ。というのも、朝のウォームアップ・セッションが非常に好調でリズムもとても良かったからね。ところがレースになると同様の好感触が得られなかったんだ。おそらくフルタンクの重さのせいだと思うけれど、とくにハイスピードのコーナーでマシンを旋回しにくい。そのためスタートから序盤の数ラップで苦労することになって、そのうちには置いていかれてしまうんだ。レース後半でブラッドリーについて行こうとしたときには、彼もすでに調子を上げていたし、リアタイヤへの不安も少しあったからリスクを避けて無理なプッシュをやめた。それでも得たものも大きい。レース終盤になって調子が上がり、上位のライダーたちとの差を縮めることができた。依然として学ぶ段階にあることは間違いないが、レースのたびに、ひとつひとつ根気よく作業を続けていくだけ。うれしいことに、今回は数日後にはまたバイクに乗ることができる。他のサテライト・ライダーとバトルし、もっとポジションを上げていきたい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「非常に激しいレースだった。MotoGPの2014シーズンはかなりエキサイティングだとわかる。様々なマシンが、どれも力を持っていて、ラップタイムではファクトリーも、ファクトリー2も、オープンも、すべてが非常に接近している。今日は我々はソフト・コンパウンドを選択したが、ドゥカティのドビツィオーゾとイアンノーネはハードを装着していたようだ。そのせいか彼らは序盤で非常に速かったが、最後にはブラッドリーもポルもドビツィオーゾをつかまえた。もっともイアンノーネにはとどかなかったが…。厳しいウイークとなったことは間違いないが、チームが頑張ってくれたおかげで納得のいく順位を獲得することができた。開幕戦のカタールはノーポイントに終わったが、3レースを終えた今、チームランキングの4位まで上がることができた。これは見事な挽回と言って差し支えないと思う。チームのすべてのメンバー、そしてふたりのライダーの努力に感謝している。そして数日後に始まるスペインGPでもっと上を目指せるよう準備を整えたい」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(15位)
「転倒は非常に残念。レース序盤のフルタンクの状態のフィーリングがあまり良くないので、ここを改善していかなければいけないと思う。上位争いが接近するなかで、序盤の数ラップはとても苦しかった。そして転倒は何の前触れもなくやってきたんだ。プラクティスまでは非常に順調で、5位以内を目指せるだけのペースもあったので悔しい気持ちでいっぱい。次のヘレスで、きっと好成績を実現させる」
C・エドワーズ選手談(20位)
「大変なレースだった。マシンを思い通りに走らせることができなかったんだ。気持ちよく乗ることができないので、プッシュすることも不可能だった。昨日はセッティングが良好な状態だったのに、今日になったらうまくいかなくなっていた。明日以降も作業を続け、データを分析して新しい解決策をテストする。チームスタッフのハードワークに感謝している」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「ホルヘは終盤上位陣のペースアップについていけなかったものの、全力でレースを走り切り、今季初の表彰台でフィニッシュしてくれました。バレンティーノも終盤はトップ勢と同等のタイムで走行しましたが、時既に遅し。今シーズンもライバル達は非常に強く苦戦を強いられています。3戦目で現在の課題も明確になってきたため、レベルアップするための施策を考えていきます。なかなか結果が出せず、応援してくださっているファンの方々に申し訳ない気持ちで一杯ですが、早急に挽回できるようライダー・チーム・スタッフ一丸となってがんばりますので、引続きご支援・ご声援よろしくお願いします」