ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 3月23日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2014年3月21日(金)フリー走行総合結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:25度
REPORT
3度のセッションを終えてロレンソが7位、ロッシが10位
モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソは、フリープラクティス最終セッションの終盤になってタイムを上げ、7位を獲得して明日の予選第2セッションに駒を進めた。
昨日の走行からグリップ不足に悩んでいたロレンソ。今日もYZR-M1のセッティングがなかなか決まらず、フリープラクティスの第2セッションでは11位に留まった。フリープラクティス第3セッションも初めは10位以内に入ることができず、一時は予選第1セッションからの出場の可能性が高まったが、セッション中盤になって雨が降り出し状況は変化。ロレンソはこの機を利用し、リアにミディアムを履いてタイムを更新。1分45秒495をたたき出して一気に数台を抜き、7位にジャンプアップした。これで予選第2セッション出場が決定した。
チームメイトのV・ロッシもロレンソ同様、グリップ不足が原因でなかなかペースが上がらなかった。ほとんどの時間帯でロレンソのひとつ前のポジションをキープしており、フリープラクティス第2セッションは9位。トップとの差はちょうど1秒だった。フリープラクティス最終セッションでも10位以内に残るために懸命のタイムアタックを続け、残り25分で9位へ浮上。このままキープできるかに見えたが、最後にロレンソが11位から7位へ上がったため、ロッシは10位に後退した。
この結果、ロレンソとロッシはともに予選第2セッションに出場することとなり、日曜日に行われる決勝のグリッドをかけてタイムアタックに臨む。
モンスター・ヤマハ・テック 3のB・スミスとP・エスパロガロは、フリープラクティス2日目となった今日も好調をキープ。スミスは初日のタイムを0.342秒も更新する快挙。本日2回目のセッションでハイサイドの転倒があったが幸い怪我はなく、再スタートを果たして最終的には1分55秒474のタイムで6位を獲得した。
一方のエスパロガロもフリープラクティス第2セッションで転倒。肩の怪我の悪化が心配されたが、幸いにもまったく影響はなく、新たな傷を負うこともなかった。一度ピットに戻り、スペアマシンに乗り換えて走行を再開。昨日のタイムを0.227秒更新して1分55秒793を記録した。この結果、ファクトリー・チームのロッシに0.091秒差と迫る11位。GP2進出はかなわず、GP1からの出場となった。
NGM・フォワード・レーシングのA・エスパルガロが、フリープラクティス2日目の両セッションでトップを獲得。エスパルガロはハード・コンパウンドのタイヤで序盤からペースをつかみ、その後、ソフト・コンパウンドに履き換えて1分54秒773を記録。A・イアンノーネ、A・バウティスタを抑えてトップに立った。
エスパルガロのチームメイト、C・エドワーズも、ハード・コンパウンドで好調な走りを披露。明日の予選で上位を狙うため、ソフト・タイヤのベスト・マッチを探すのが課題となった。FP3では路面がかなり滑りやすくなっていたが、決勝スタートの22:00にはさらに悪化すると考えられている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'54.773 |
2 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 1'55.186 |
3 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'55.240 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'55.250 |
5 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'55.446 |
6 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.474 |
7 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'55.495 |
8 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'55.562 |
9 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'55.676 |
10 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'55.702 |
11 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.793 |
12 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 1'56.013 |
13 | C・エドワーズ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'56.238 |
14 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | 1'56.357 |
15 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 1'56.633 |
16 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 1'56.939 |
17 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'56.997 |
18 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 1'57.345 |
19 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'57.665 |
20 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 1'58.204 |
21 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 1'58.219 |
22 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'58.378 |
23 | D・ペトルッチ | IodaRacing Project | ART | 1'58.651 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合7番手/1分55秒495/13周)
「昨日と同様、ソフト・コンパウンドのリアタイヤに十分なグリップが感じられなかった。この状況に何とか適応しようと頑張った結果、決勝用セッティングでは上位のライダーたちのペースに近づくことができた。タイムで言えば、昨日までは1秒あった差がコンマ3から4秒になっていると思う。明日はさらに縮めることが課題になる」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合10番手/1分55秒702/16周)
「ニュータイヤが十分にグリップしてくれず、非常に苦労している。何としても10位以内に残りたいという目標はクリアできたけれど、ギリギリの結果となってしまった。でも多くのライダーが同様のペースで、僕らも大きく離されたわけではない。エスパロガロが一歩先を行っていて、決勝用セッティングのペースもかなり良さそうだ。決勝ではオープンカテゴリーもファクトリーオプションも全員が同じタイヤを使用することになると思うけれど、彼は依然としてトップ候補に残るだろう。ここはオーバーテイクが難しいコースなので、少しでも前でスタートできるようにしたい。明日の予選ではもっと上のポジション獲得を目指す」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、チームディレクター談
「セパン・テストのときと同様、リアのグリップ不足に悩まされている。このため、いまだに本来のスピードを出し切れていないが、このリアの問題を中心に、何とか状況を打開しようと頑張っているところだ。皆の力で必ず解決できると信じているし、決勝用セッティングでは良いペースが出ているので心配はしていない。明日の最終フリープラクティスでは、これまでのデータ分析の結果から新たな試みを行う予定。これがうまくいけば、少しでも上のグリッドを狙っていけるだろう。そして決勝ではすべてのカードを切る!」
W・ズィーレンベルグ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、チームマネジャー談
「フリープラクティス2日目が終了。3セッションを終えて、我々は依然としてリアのグリップに悩んでいる。ペースやスピードはいくらか上がってきたが、理想的な状態からはほど遠い。しかしまだもう一日あるし、何より我々はホルヘを信頼している。簡単なことではないが、決してあきらめない」
B・スミス選手談(フリー走行総合6番手/1分55秒474/14周)
「今日はとてもいい感じで走れたよ! 目標にしていたところにかなり近づけたと思う。コース・コンディションが改善されて、ブリヂストン・タイヤもしっかり働いてくれるようになってきた。ただ、新しいセッティングを試している最中だったので、あそこでハイサイドしてしまったのは残念だった。ビッグ・クラッシュだったのに、まったく怪我がなかったのは本当にラッキー。すぐにピットに戻ってスペアマシンに乗り換え、さらにペースを上げて6位を獲得することができたんだ。2台を乗り比べてみて、どちらにもそれぞれの強みがあることがわかった。2台をバランスさせ、ちょうど良いところを見つけるのが、明日に向けての課題というところだけれど、自信は十分。予選への準備は整っている」
P・エスパロガロ選手談(フリー走行総合11番手/1分55秒793/16周)
「今日は最高の走りというわけにはいかなかった。本来なら、もっと頑張れたはずだけれど、大転倒をしてしまって時間を無駄にした。そのなかでも怪我をせず、以前からの肩の傷を悪化させることもまったくなかったことは本当に幸運だったと思う。でもこの転倒によってタイヤを余分に使わなければならなくなってしまったので、状況はより難しくなった。路面の状態が悪くて十分なグリップが得られず苦しんでいたとき、さらに転倒までしてしまい、いろいろな思いが巡って頭がパンパンになったよ。そのような状況でもマシンはとてもフィーリングが良く、好タイムも出ているので満足している。僕にとっての初めてのMotoGPを前に、まず明日の予選で好位置を狙う。自信はあるよ。でも、とりあえず今晩はゆっくり眠りたい」
A・エスパルガロ選手談(フリー走行総合1番手/1分54秒773/13周)
「プラクティス2日目をトップで終えることができてとてもうれしいよ。決勝用セッティングでハード・タイヤを履いた状態でも、とてもいいペースで走ることができたし、そのあとソフト・タイヤでも一歩前進することができた。すでにセッティングは仕上がっているけれど、ここで終わりではなくて、さらに前に進み続けなければならない。明日の予選でフロントロウを獲得し、決勝では表彰台を目指す。それが今の目標だ。ロングストレートのトップスピードで十分について行くことができないので、決して簡単ではないだろう。でも昨日、今日と2日続けてトップに立てたのは素晴らしい成果。チームの全員が興奮し、ますますモチベーションを高めている」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合13番手/1分56秒238/12周)
「総合的に見て、好調な一日だったと言っていいだろう。ハード・コンパウンドのタイヤを使用していいペースで走ることができた。でもソフト・タイヤに関しては、すべてのポテンシャルを使いきるために、マシンのセッティング調整が必要だ。このことが明日の予選セッションで非常に重要なポイントになるはずなんだ。アレイシの好調はとてもうれしいよ。彼の見事な仕事ぶりに、チーム全員が興奮状態!」