ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 10月4日 ポルトガル
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第14戦ポルトガルGP
■開催日:2009年10月4日(日)決勝
■開催地:ポルトガル/エストリル(4.182km)
■コースコンディション:ドライ
■PP:J・ロレンソ(ヤマハ/1分36秒214)
■FL:D・ペドロサ(ホンダ/1分36秒937)
REPORT
ロレンソがポール・トゥ・ウインで今季4勝目
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソがポール・トゥ・ウインで今季4勝目。V・ロッシは4位となり、ランキングではロッシが250点でトップを維持。2位のロレンソは232点となり、二人の差は18ポイントに縮まった。なお、フィアット・ヤマハ・チームが、チームランキングでタイトルを獲得した。モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズは5位、J・トーズランドは9位だった。
レースはD・ペドロサ(ホンダ)のホールショットで始まるが、ポール発進のロレンソはすぐにトップに立ち、その後はレースをリード。序盤から毎周のようにリードを広げ、後続を引き離していく。8周目には、2番手C・ストーナー(ドゥカティ)との差は1.5秒、さらに1秒半ほど後ろにペドロサ、さらに1秒半遅れてロッシが続くオーダー。ロレンソはファステストラップこそペドロサに譲るが、終盤にはいるまでは1分37秒台のハイペースでラップを重ね、結局2位ストーナーに約6秒差でトップでフィニッシュした。
一方、ウイークを通じてロレンソのペースに届かなかったロッシ。ヤマハで100回目となるこのレースではリアのグリップに問題があり、さらに難しい展開を強いられることになった。予選2番手発進のロッシはペースが上がらないまま中盤へ。3番手のペドロサを追うが、折り返しの14周目には既に4秒以上の差をつけられ、終盤に入っても挽回できず4位でゴールした。エドワーズは予選順位を守りきり5位でチェッカーとなった。
ランキングではロッシがトップ、ロレンソが2位をキープしており、ふたりのうちいずれかがチャンピオンとなることがすでに決まっている。今回でふたりの差は18ポイントに縮まっており、これからますます激しい戦いが予想される。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズはレース序盤、ロレンソ、ストーナー、ペドロサ、ロッシのハイペースに懸命について行き、後続のA・ドビツィオーゾ、N・ヘイデン、L・カピロッシらを徐々に引き離して行った。最終的には前の4台から水を開けられることとなったが、そのまま5位を守りきってチェッカーを受けた。シーズンも残り3戦となった今、シリーズポイントではドビツィオーゾに8ポイントと迫る6位につけており、ノンファクトリー・ライダー最上位をキープしている。一方のトーズランドは、レース前半でヘイデン、カピロッシらと7番手争いを展開、最終的に9位となった。現在、ランキングは13位だが、戦いは熾烈でランキング7位にわずか12ポイント差まで迫っている。
シーズンは残り3戦。次の戦いは2週間後、ヨーロッパを離れてオーストラリア、マレーシアの‘ダブルヘッダー’で行われる。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 45'35.522 |
2 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 6.294 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 9.889 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 23.428 |
5 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 32.652 |
6 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 35.709 |
7 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 35.723 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 38.830 |
9 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 44.093 |
10 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 52.863 |
11 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 55.698 |
12 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'04.515 |
13 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'04.538 |
14 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'27.299 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 250 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 232 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 173 |
4 | C・スト―ナー | Ducati | 170 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 142 |
6 | C・エドワーズ | Yamaha | 134 |
13 | J・トーズランド | Yamaha | 85 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 330 |
2 | Honda | 236 |
3 | Ducati | 211 |
4 | Suzuki | 126 |
5 | Kawasaki | 91 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「何という素晴らしい一日! 昨年、モトGP初優勝を挙げたこのコースで、またこうして勝つことができて本当にうれしいよ! レースのインターバルの間は父とともに体力作りに励んできたが、たぶんそれが、僕にスピードを与えてくれたと思う。今回は自分でも強さを実感できたんだ。そして毎回のセッションでトップをキープして、その最終日にはこうして後続を引き離して優勝することができた。スタートはうまくいって、いくつかコーナーを抜けたあとダニをとらえてトップに立った。でもその時はまだ、こんなに大きな差をつけて優勝できるなどとは思っていなかったんだ。どうやらこのコースは僕との相性がいいようだけど、でも今なら、他のどのコースでもうまく走れそうだよ。これでチャンピオン争いはまた激しくなった。もちろん楽な戦いではないけれど、僕には失うものは何もない。また、チームタイトル獲得が決定したことはとてもうれしい。チームのみんなに、そして支えてくれたみんなに感謝と祝福を。そして最後に、今回のレザースーツとヘルメットはニール・アームストロングの月着陸をほめたたえるもので、とても気に入っている。レース後の‘ムーンウォーク’はそういうわけさ!」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「今日はきっと素晴らしいレースができると確信していたが、ここまでの圧倒的な強さは予想していなかった。ウイークを通じて安定して速かったが、チームとしてはそれで満足せずに、昨晩も作業を続けてさらに一歩前へと頑張ってきた。そして今日、ホルヘが最高の走りを見せてくれたのだ。これでチャンピオン争いはますます面白くなってきて、これからの3戦は大きな注目を浴びることになるだろう。我々としては、この挑戦をとても楽しみにしている。そして最後に、チームタイトル獲得に貢献したすべてのスタッフに、祝福とねぎらいの言葉を贈りたい」
V・ロッシ選手談(4位)
「僕にとってはとても厳しいレースだったよ。リアのグリップが不十分だったことと、タイヤがうまく合っていなかったことで、まったくスピードが上がらなかったんだ。でもきっと、問題はセッティングのほうにあったと思う。走り始めて2、3周で大変な状況がわかったので、今日は僕らのレースにならないということをすぐに理解したよ。昨日、一昨日のプラクティスでも問題はいくつかあったけれど、決勝では少なくともストーナーやペドロサにはついて行けると思っていた。ところがふたりはどうやら一歩前進していたらしく、まったく追いつけなかったんだ。金曜日の時点でコンマ3秒遅れていて、これが最後まで縮められず、決勝の結果にそのまま出てしまったということになる。ここエストリルでは去年もあまり良くなかったから、やっぱりセッティングのせいだと思うんだけれど、リアタイヤがとても熱くなってグリップしなくなってしまった。表彰台の上れなかったこともすごく残念。でもまだあと3戦残っているし、どれも素晴らしいコースだからまた頑張るよ。次のフィリップアイランドまでに今日の問題を分析して、そしてひとつひとつのレースを大切に戦っていきたい」
D・ブリビオ、チーム監督談
「今日はまったくレースにならなかった。問題がいくつかあって、バレンティーノはタイヤをうまく使いこなせなかった。その結果、トップについていくことができなかったのだ。問題の原因については、これから詳細に検討していかなければならないが、このような厳しい状況のなかで最後まで走りきったことをむしろ賞賛したい。バレンティーノはこの13ポイントが非常に重要な鍵になることを最もよくわかっているのだ。今シーズンはずっと、フィアット・ヤマハ・チームのふたりが強さを発揮し、今日はこうしてチームタイトルを獲得することができた。これは我々の最終ゴールへと向かう第一歩だ」
C・エドワーズ選手談(5位)
「昨日も同じことを言ったんだけど、世界のトップ4に続く順位なら十分に素晴らしいと思う。今日も僕は全力を出し切って頑張ったよ。スタートは良かったけれど、そのあとはまたフロントの挙動に悩まされるようになった。そのときすでに、今日は前にいるバレンティーノのついて行くことはできないとわかっていたんだ。タイヤはよく機能してくれたんだけど、セッティングのほうがどこかうまくいっていなくて、バレンティーノも苦しんではいたのに、僕は彼にプレッシャーをかけていくことができなかった。前の4台について行けないとなれば、あとは自分のペースを守るだけ。そして少しずつ後続を引き離していったんだ。そして十分なアドバンテージができたところで、もう誰にも追いつかれないようにするためにコンスタントな走りを心がけた。ランキングでは5位のドビツィオーゾとの差を縮めることができたので、このことがモンスター・ヤマハ・テック3のみんなの努力に報いることになればうれしい。残りはあと3戦。いつものように、自分の力をすべて出し切りたい。そして何としてもランキング5位をもぎ取りたいんだ」
J・トーズランド選手談(9位)
「レースを心からエンジョイすることができた。第2グループのエキサイティングなバトルに加わったこともとても良かったと思う。ドビツィオーゾやエリアスとほとんど同等のラップタイムで周回することができたし、またヘイデン、カピロッシとはいいバトルができた。そういう意味で、久々に楽しいレースだったよ。大変だったのは、ウイーク中ずっと風邪をひいていたこと。でもレースの間にかなり症状が引いて、大きな問題にならずに走りきることができた。モンスター・ヤマハ・テック3チームはウイークを通して懸命に努力をして、僕のために素晴らしいマシンを作ってくれた。シリーズポイントではランキング7位にわずか12ポイント差なので、残りの3戦で少しでも順位を上げ、何とか7位まで届くことが僕の目標になる。そしてチームのみんなのためにも、少しでも良い形でシーズンを終えたいんだ」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「モンスター・ヤマハ・テック3チームのすべてのスタッフの働きに満足している。ふたりのトップ10入りはその努力の賜物だ。コーリンはウイークを通して好調で、あまり言いたくはないが、今回もまたノンファクトリーのトップを獲得した。前の4台はあまりにも速く、追いつくことは出来なかったが、そのすぐ後ろの5位であるということがとても重要なのだ。そして後続との距離は楽に拡大することができたし、コーリンはひとつのミスもしなかった。これが我々にとっての大きな達成感だ。ジェームスのほうも決意を持った素晴らしいレースをしてくれた。モトGPライダーとしての十分な力を証明したと思う。ラップタイムもトップ6と同等だったので、良いイメージを心に抱いたまま次のオーストラリアへ向かうことができる。最後になったが、ホルヘの優勝に心からの祝福を贈る」
中嶋雅彦談(技術開発部MotoGPグループリーダー)
「予選からまずまずの仕上りの良さを見せたホルヘが序盤から抜け出し、ポール・トゥ・ウィンで今期4勝目を上げ、Yamahaの3冠をほぼ決定付けるレースとなりました。ライダー、チームスタッフに心から感謝します。バレンティーノはうまくセットアップを仕上げ切れず、厳しいレースとなりましたが、課題は明確になったので、直ぐに修正して次戦へ繋げたいと思います。目標の第一関門を突破したことで一息ついた感じですが、残り3戦はチームメイトによるライダーチャンピオンシップを賭けての戦いがより激しいものになることは必至です。我々としてはライダーが思う存分戦えるよう、マシンの高い戦闘力を維持し、素晴らしいレースを披露できるように、確実な仕事をしていきたいと思います」