ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 8月30日 インディアナポリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦インディアナポリスGP
■開催日:2009年8月30日(日)決勝
■開催地:インディアナ州/インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(4.216km)
■周回数:28周(118.048km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:27度
■PP:D・ペドロサ(ホンダ/1分39秒730)
■FL:J・ロレンソ(ヤマハ/1分40秒152)
REPORT
J・ロレンソが今季3度目の優勝を飾る
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが今季3度目の優勝を飾った。チームメイトのV・ロッシは転倒リタイヤに終わった。2位はA・デアンジェリス(ホンダ)、3位はN・ヘイデン(ドゥカティ)。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは5位、6位と健闘した。
レースはD・ペドロサ(ホンダ)がホールショットを奪い、ロッシがこれに続いた。ロレンソはスタートで出遅れたが、いつものように果敢な攻めで3番手に浮上。トップ3台は後続を引き離しにかかり首位争いを展開するが、4ラップ目にはペドロサが転倒して戦列を離れ、ロッシとロレンソの一騎討ちへと変化した。ロレンソは9ラップ目、第1コーナー進入のブレーキングでロッシをパスしてトップに浮上。2番手に後退したロッシはその次の周、コーナーでわずかにはらみ、路面の汚れた部分に乗って転倒。16番手でレースに復帰したものの、スロットルに問題が出たためまもなくリタイヤを余儀なくされた。
ライバルがいなくなったロレンソは、そのまま危なげなく走りきってゴール。100周年を迎えたインディアナポリスで優勝を成し遂げた。これによってシリーズポイントでは、トップのロッシとの差を25ポイントに縮めた。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ5位、6位。エドワーズはペドロサが転倒したあと一時3番手に上がったが、その後リアグリップ不足に悩んで後退し、5位でゴールした。一方のトーズランドはM・メランドリ(カワサキ)とのバトルを制して6位を獲得。8周目にメランドリが前に出たが、10周目には抜き返し、そのまま終盤まで抑えきって6位をキープした。メランドリは残り2周、7位走行中に転倒。トーズランドは6位でチェッカーを受けた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 47'13.592 |
2 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 9.435 |
3 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 12.947 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 13.478 |
5 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 26.254 |
6 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 32.408 |
7 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 34.400 |
8 | M・カリオ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 34.856 |
9 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 45.005 |
10 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 45.377 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 45.478 |
12 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 52.294 |
13 | A・エスパルガロ | Pramac Racing | Ducati | 1'03.552 |
14 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'15.086 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 212 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 187 |
3 | C・スト―ナー | Ducati | 150 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 141 |
5 | C・エドワーズ | Yamaha | 123 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 120 |
13 | J・トーズランド | Yamaha | 72 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 280 |
2 | Honda | 204 |
3 | Ducati | 182 |
4 | Suzuki | 109 |
5 | Kawasaki | 79 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「僕にとって、そして僕のチームにとって最高の結果! 前回、前々回と2回続けて転倒してしまったが、今日はこうして優勝することができたんだ! しかも最大のライバルがリタイアした...。もちろん彼らにとっては残念なことだったけれど、レースというのはこういうもので、いい時もあれば悪い時もあるんだ。今回の僕はウイークを通じてとても好調。これはやはり、素晴らしいマシンを作ってくれたチームのみんなのおかげだ。スタートで失敗してしまって挽回が大変だったけれど、何とか3位に上がってからはリズムも良くなって、バレンティーノとダニにしっかりついていくことができた。ダニがいなくなってからはバレンティーノとの厳しい戦いになると思って必死になっていて、彼が転倒したことにも、しばらく気づかなかったほどなんだ。どうやらピットボードを+0と読み間違えてしまったようだね。とにかく、僕のマシンはその後も順調で、非常に楽に走りきることができた。チェッカー後のスローダウン・ラップはすごく楽しかったよ。このような素晴らしいコースで優勝することができて本当にハッピーだ。一度は見失いかけたタイトルの行方も、1日で劇的に変化するということがある。厳しい戦いであることは間違いないけれど、僕らは決してあきらめないよ!」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「これ以上、望むことは何もない。ホルヘはウイークを通じて好調で、チームもペドロサとの差を埋める強いマシンを作るために本当によく頑張ってくれた。ウォームアップのあとでセッティングを少し変更し、さらに一歩前進することができた。このことでホルヘはさらに自信を増して、素晴らしい走りを見せてくれたのだ。もちろん、今日は運も我々に味方してくれたと言うことができる。バレンティーノにとっては残念なことだったが、これでブルノ以降、大きく開いていたポイント差が縮まった。この状況の変化を最大限に生かさなければならないと思っている。これまでも一度としてあきらめたことなどない。それがこの結果につながったと思う」
V・ロッシ選手談(リタイヤ)
「当然、悔しいよ! 今回はずっとセッティングに悩まされてきたけれど、今日になってかなり良くなっていたんだ。スタートもうまくいってペドロサについていくことができた。彼が転倒してからはホルヘとの一騎討ちになるということはわかっていたんだけれど、あの時は正直、どんな結末になるのか予想ができなかったんだ。だって今日のホルヘは本当に速かったからね。でももちろん、転倒してしまうよりは2位に入っているほうがずっと良かったに決まっている。運悪く、第1コーナーではらんで路面の汚れに乗り、フロントを滑らせてしまった。何とか再スタートして戦いに戻りたかったけれど、スロットルがだめになっていて走行を続けることができなかったんだ。ホルヘの優勝を祝福する。そして次のミザノに照準を合わせていくよ。チャンピオンシップではまだリードしている。このことが一番重要なんだ」
D・ブリビオ、チーム監督談
「奇妙な転倒だった。だからバレンティーノはピットに戻ってくるとすぐに、データを分析したがっていたよ。見たところでは、路面の汚れに乗ってしまったために、ブレーキングでフロントが流れたということのようだ。再スタートを試みたが不可能だったんだ...。ロレンソは本当によくやった。彼のチームも素晴らしかった。これでチャンピオンシップのリードが少なくなってしまったが、我々としては、また次の戦いに向けて準備を進めていくだけだ」
C・エドワーズ選手談(5位)
「期待していたほどの楽しいレースにはならなかった。だってこの母国GPでは、もっと上を狙っていたからね。ラップタイムでは昨日や一昨日までと同等だったが、今日はグリップに問題があった。マシン全体がリアに乗ってしまうというか、リアを軸に回転してしまう感じで、マシンを倒し始めるとすぐにマシンが回り込んでくるんだ。だからリアにはまったく荷重をかけることができなかった。タイヤは、今日のウイナーと同じものだったことがわかったので、僕らのセッティングか、あるいは僕のライディングスタイルの問題だったのだろう。前方にはニッキーとアンドレアが少しずつ遠ざかっていく姿だけが見えていた。僕のほうはブレーキングで何度か無理をして、やがてはそれもできなくなった」
J・トーズランド選手談(6位)
「6位獲得はとてもうれしい! このレベルで走れることがわかったし、これからは毎回、このように走らなければならないんだと思う。グリッド10位からスタートして、オープニングラップはもう必死でプッシュしていったんだけれど、今回はそのことで、誰ひとりとして友達をなくしてはいないはず! また終盤はマルコ・メランドリといいバトルができたが、残り2ラップで彼は転倒。転倒していなければ最後まで厳しい戦いになっていただろうね。ウォームアップでは実はあまり感触が良くなかったので、決勝のことが心配だったんだけれど、セッティングを少し柔らかめにしてみたら予選と同等のペースをキープすることができるようになっていた。メランドリは第1コーナーと第2コーナーがとてもうまかったので、僕はただ自分のラインを守ってプッシュするだけだった。今は次のミザノがとても楽しみ。スーパーバイク時代に何度も走ったコースなので、きっとうまくいくと信じているよ」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「ふたりが揃ってトップ6に入ったことは非常にうれしい。コーリンはスタートが良くて始めからトップグループについていったので、こちらも興奮したが、その後は少し問題が出てしまいペースをキープすることができなかった。ジェームスのほうは、昨日までかなり苦しんだが、今日はグリッド10番手から見事なリカバリーを見せてくれた。心からの祝福を贈りたい。レース自体はペドロサとロッシが転倒してしまうことになって残念だったが、我々としては多くのポイントを獲得することができて、おかげでチーム・ランキングで4位をキープすることができた。また、ここ2戦の苦しみを乗り越えて優勝したホルヘにおめでとう!」
中島 雅彦談(技術開発部MotoGPグループリーダー)
「今年アメリカでのGP開催2回目となるインディアナポリスGPは、昨年のドライセッションのデータが充分に無く、これまでの実績をベースに手探り状態でのスタートとなり、コースの攻略に苦慮しました。レースは好天に恵まれ、予想通りバレンティーノ、ホルヘ、ペドロサ選手のトップ3がぶつかり合うレースとなりましたが、滑りやすい路面の中、ライバル同士が一歩も引かないハイペースの戦いで、ペドロサ選手、バレンティーノが相継いで転倒、ホルヘの独走態勢となり今シーズン3勝目、前2戦のノーポイントを払拭する走りを披露してくれました。バレンティーノの転倒リタイヤは残念でなりませんが、次週サンマリノGPは彼のホームグランプリ。気持ちを切り替えて期待に添える走りをしてくれると思います。チャンピオンシップも佳境を迎えることになりますが、我々も全力でバックアップしたいと思います。引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします」