ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 0月/19日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第9戦ドイツGP
■開催日:2009年7月17日(金)フリー走行1
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:24度 ■路面温度:28度
REPORT
ロッシがフリー走行で3番手
フリープラクティス1回目でフィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシが3位を獲得。チームメイトのJ・ロレンソは11位に留まったが、トップとの差はわずか0.7秒。セッション序盤は路面が濡れた状態だったが、その後、気温の上昇によって急速に乾き始めるという状況。そのためマシンのセッティングもコンディションの変化に素早く対応していかなければならなかったが、ロッシはウエット、ドライともに順調で、路面がほぼ乾いた終盤に好タイムを記録した。一方のロレンソは、前回のラグナセカでの怪我が完治しない状態ながら、ドライ用セッティングを集中的にテスト。そのためタイムアタックには時間が足りなくなり順位を上げることはできなかったが、一日目の走行に十分な手応えを得て、明日以降のさらなる前進に期待をつないだ。
モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズとJ・トーズランドは、改良型の電子制御システムをテストしながら、それぞれ6位と14位。GP125のセッション中に嵐が吹き荒れ、MotoGPのフリープラクティスはウエットコンディションで始まった。明日以降も不安定な天候が予想されるなかで、エドワーズとトーズランドにとってはブリヂストン製レインタイヤをテストする貴重なチャンスとなった。
セッション後半になって路面が乾くとスリックタイヤに履き替え、エドワーズは素早くリズムをつかんでコンスタントに6位をキープ。このところ悩まされてきたフロントの問題についても、解決に向けて大きく一歩前進した。1分23秒295のベストタイムで一時2位まで上がったが、最終的には6位。3位からコンマ2秒差。
一方のトーズランドは、ル・マンやムジェロの時のようなフラッグ・トゥ・フラッグの再現を考慮しレインタイヤで走行を続けた。そして十分にデータを収集したあと、スリックタイヤに履き替えドライ用のセッティングに取り組んだ。1分24秒317のベストタイムに手応えを得ており、明日以降はどちらのコンディションになってもタイムを更新し、順位を上げていく自信を持っている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'22.779 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'23.034 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'23.088 |
4 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'23.133 |
5 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.282 |
6 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.295 |
7 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.351 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'23.367 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'23.370 |
10 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'23.466 |
11 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'23.496 |
12 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'23.705 |
13 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'24.090 |
14 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'24.317 |
15 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'24.908 |
16 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'25.161 |
17 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'24.926 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行3番手/1分23秒088/29周)
「ひとつのセッションで、あらゆるコンディションで走ることになり大変だった。でもおかげでいろいろなセッティングを試すことができた。序盤のウエットでもマシンのフィーリングが良く、タイムも速かった。そして、ほぼドライになった終盤では、こうして3位のタイムを記録することができたんだ。つまりコンディションがウエットからドライへと変化していっても、素早く対応することができたということで、とても満足している。
タイムアタックのときには、周りにたくさんのライダーがいたけれど、それがなければ、もう少し速かったかもしれない。けれど、それでも3位を獲得できたから良かった。それにブリヂストンのタイヤはとてもいいね。インターミディエイトのものがないので今日のようなコンディションのときには、少し大変だけれど、大きな問題にはならないと思う。明日以降は高速セクションでの総合的なバランスを向上させることが課題になるだろう」
D・ブリビオ、チーム監督談
「ひとつのセッションのなかにウエットとドライがあって、まるでふたつのセッションを走ったような感覚。見方によっては、これはとても良いことで、両方のセッティングをテストしてたくさんのデータを得ることができたので、決勝がどのようなコンディションになっても対応できるというわけだ。バレンティーノはウエットもドライも速く、我々にとっても自信になっている。明日はさらにセッティングを煮詰めることに集中に、完璧を目指したい」
J・ロレンソ選手談(フリー走行11番手/1分23秒496/28周)
「怪我の状態が期待していたほど良くなっていなかったのが残念。今日は初めてエアバッグ付きのレザースーツを着てみたけれど、安全性がとても高い感じがしていいね! このコースはあまり得意なほうではなくて、とくに低速コーナーは僕の乗り方に合わなくて、今回のように体調が万全でないときには余計に難しくなってしまう。しかもコンディションが変化するなかで、ここまでできたと思えば悪くない結果かもしれない。
序盤のウエットのときは、コースを思い出すことに集中。終盤になって路面が乾いてきたときには、ドライ用でチェックしなければならないこともあったので、タイムアタックの時間はほとんどなかったんだ。でも12人がコンマ7秒以内の差と非常に接近しているし、こんなコンディションだったので、結論を出すにはまだ早い。天気予報によれば明日も同じような状態らしいけど、予報が間違いであることを祈るよ」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「コンディションの変化が激しく難しいセッションだった。少なくとも、通常のフリープラクティスでなかったことは確かだ。予定していたテストがあったので、路面がドライになってからのセッティング変更の対応が遅れてしまい、タイムアタックの時間が足りなくなってしまったんだ。でも今日は多くの貴重なデータを収集することができたので、明日以降に生かしていきたい。ドライコンディションになってくれることを望んでいる。そして"通常"のプラクティスをしたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行6番手/1分23秒295/29周)
「去年のレースを思い出してみると、ブリヂストンのレインタイヤは本当に素晴らしかった。だから、今回は最近のウエットでの問題を解決するチャンスになると思うんだ。以前は荷重がリアにかかり過ぎてしまっていたけれど、今日はバランスがかなり良くなっていた。ドライコンディションに関しても、開幕戦のカタールで使用したセッティングに戻したら、まるで我が家へ帰ってきたような安心感があるんだ。
最近の2、3レースでは、方向性を外してフロントのフィーリングが何も感じられないような状態で、マシンが曲がってくれなかった。以前はフロントのセッティングが煮詰まらず、感覚がないままフロントに荷重をかけなければならなかった。けれど今では希望通りにマシンが動いてくれる。つまりすべての荷重をフロントにかけるのではなく、リアへの荷重移行をしっかりコントロールすることができるようになった。新型の電子制御制ステムも試して手応えを得た。今までは加速時にマシンをコントロールするのが大変だったんだけれど、これがとてもやりやすい。このような素晴らしいものを僕のマシンに提供してくれたヤマハに感謝。これによってコンマ数秒は短縮できる」
J・トーズランド選手談(フリー走行14番手/1分24秒317/32周)
「順位を上げることはできなかったけれど、ウエット、ドライともに多くのデータを収集することができて良かった。ウエットでの走行は重要で、そのなかでセッティングの不十分な部分がわかってきた。明日以降も雨の可能性が高いそうだが、今日の成果が役に立ってくれるだろう。路面が乾いて他のライダーがスリックに履き替えてからも、僕はウエットタイヤでの走行を続けた。これは、ル・マンやムジェロのようにレース途中から路面が乾いたときのタイヤの状態を確かめたかったからなんだ。
ウエットでは危ない場面もあって、第8コーナーではシートから体が外れてしまって、足をブレーキレバーにぶつけてレバーが曲がってしまったほど。とても痛かったけれど、幸いブーツのプロテクト部分が守ってくれたようだ。その後、ようやくスリックに履き替えてセッティングを変更していったけれど、タイムを上げていくにはもう時間が足りなかった。また、ヤマハが提供してくれた新しい電子制御システムがとても良くて、加速の時のパワーをしっかりコントロールすることができる。驚くほどの扱いやすさなんだ。コーナー立ち上がりが非常に乗り易くなっているので、僕にとっては大きな助けになっている」