ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 5月31日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦イタリアGP
■開催日:2009年5月30日(土)予選結果
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:42度
■PP:J・ロレンソ(1分48秒987/ヤマハ)
REPORT
ロレンソがポールポジション
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが、今季2度目のポールポジションを獲得。フロントロウに並ぶのは今季5度目。チームメイトのV・ロッシは4位に留まり、ムジェロにおいては250ccクラスに乗っていた1999年以来初めて、フロントロウを逃した。しかしトップから4位までは非常に接近しており、その差はわずかコンマ2秒。
昨日もトップタイムを記録したロレンソ。今日の公式予選では、ほとんどの時間帯でロッシの後ろで2位につけていた。ロレンソはコースの4分の3までは非常に速いが、最終セクションではロッシにかなわず、僅かに離されてしまっていた。しかし残り5分となって各車が新しいタイヤに履き替えると、タイムアタックの様相は変化。ヤマハの2人にL・カピロッシ(スズキ)とC・ストーナー(ドゥカティ)を加えた4台による激しい接近戦となり、最終的にトップに立ったのはロレンソ。2位のストーナーと差は100分の2秒だった。ロッシはホームコースのここムジェロでフロントロウを11回も獲得しており、今日もその有力候補のひとりとして臨み、順調にタイムを上げていた。しかし最終ラップのアタックでわずかに遅れる形となり、カピロッシに0.027秒届かず4位となった。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとJ・トーズランドはそれぞれ6位と14位。エドワーズは序盤から好調で、ロレンソ、ロッシとともにポールポジション争いを展開して上位3位をヤマハ勢が独占する形となった。ムジェロで要求される素早いマシンの切りかえしに対応するため、エドワーズは、機敏性向上のためにフロント・ジオメトリーの調整に取り組んでいた。その結果、残り13分の時点で1分49秒547のベストタイムを記録して3位まで浮上。しかしその後のタイムアタックでは順位を下げて6位、2列目に留まった。フロントロウとの差はわずか0.4秒。
一方のトーズランドは1分50秒537で14位。リアショックのセッティングに違和感があり、ブリヂストンのソフトタイヤを十分に使いこなすことができなかった結果だ。しかし決勝用のセッティングは好調で、明日は8位以内を狙っていく。ベストタイムは最終ラップに記録したもので、3列目との差はコンマ5秒、トップ10との差はコンマ2秒。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.987 |
2 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'49.008 |
3 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.121 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'49.148 |
5 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'49.499 |
6 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'49.547 |
7 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'49.648 |
8 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.073 |
9 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'50.078 |
10 | 高橋 裕紀 | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'50.305 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'50.405 |
12 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'50.448 |
13 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'50.528 |
14 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'50.537 |
15 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'50.710 |
16 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'50.924 |
17 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'51.008 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選1位/1分48秒987/30周)
「とてもうれしいポールポジション!ここムジェロで、一番前からスタートできることがとても楽しみなんだ。予選中は、T4のセクションで少し問題があったけれど、全体的に見ればどのタイヤを履いても好調に走ることができていて、終盤でついに最高のタイムをマークした。
ペースもとてもいいので、明日はバレンティーノと競り合うこともできると思っている。彼は今日は4位になってしまったけれど、このコースではやはり一番の優勝候補なんだ。僕としてはまずスタートをしっかり決めて、それからバレンティーノやケイシーについて行く。そうすれば優勝争いのメンバーのひとりになれるはず。今はとてもわくわくしているよ。そして明日の決勝でいいバトルができることを期待している」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「これ以上の出来は望めない。非常に満足しているよ!ソフトコンパウンドのタイヤを履いたホルヘは、最終ラップで見事な走りを披露しポールポジションを確実にした。このことは我々にとってとても重要なのだ。決勝用のセッティングもとてもうまくいっているが、コース終盤のセクションについてはまだ改善の余地があると考えている。明日はこのまま好天が続いてくれれば、見応えある素晴らしいレースができるだろう」
V・ロッシ選手談(予選4位/1分49秒148/28周)
「フロントロウを逃したことは本当に残念!いつもならそんなに気にしないんだけれど、ムジェロは僕にとって特別だから、すごくがっかりなんだ。今日は激しい戦いで、ポールポジションの可能性も十分にあったのに、最終的にはもう少しのところで届かずロリスの後ろの4位になってしまった。
マシンのセッティングは、とても良く仕上がっている。小さなところでもう少しチェックが必要な部分もあるんだけれど、硬めのタイヤを装着した決勝用のセッティングがとてもいいので、明日のことは何も心配していないよ。もちろん、2列目からのスタートは不利になるだろうけど、そのことは考えないようにしているんだ。あとは天候がとても重要な要素になるね。このままいい天気が続けば問題ないが、もしも予報通りに天気が変化したら難しいレースになってしまうだろう」
D・ブリビオ、チーム監督談
「決勝のための準備という意味では、十分に意義のあるセッションになった。ただ皆がソフトタイヤを履いた終盤の戦いでは、ほんのわずかのところで4位ということになってしまったというわけだ。でもこれで世界が終わるわけじゃない。2列目からのスタートということで少しは厳しさもあるが、決勝用のセッティングはよく仕上がっており、バレンティーノは明日、必ず優勝争いのメンバーのひとりに加わる。いいレースを期待している」
C・エドワーズ選手談(予選6位/1分49秒547/23周)
「誰かについて行こうというような考えは全くなかったんだけれど、気がつくとちょうどバレンティーノが目の前にいて、僕のほうも問題なくついて行くことができた。それで彼がムジェロのエキスパートだということを考えて、ついて行けば何か学べるかもしれないし、特別な秘策を盗み取ることもできるかもしれないと思ったんだ。シケインなどいくつかの場所で、彼は縁石に乗って次への加速を増しているようだった。僕のほうはもっとスムースに抜けてしまっていて、十分な加速につながらなかったようなところがあったので、これはいいヒントになった。
フロントタイヤはすでに使ったもの、リアタイヤは新品を装着したが、とても安定して走れたので、明日の決勝でも1分49秒台をキープできるはず。路面温度が高いのでリアには硬めのものを使用しなければならないが、これが柔らかめのものと同等のグリップを与えてくれるのでとても助かっている。このことからもブリヂストンの素晴らしい仕事ぶりが実感できるんだ。
またフロントエンドの挙動に問題が残っていたが、フロントの安定性を向上させるためにジオメトリーを変更した結果、マシンはますます機敏に動くようになった。このことが実はこのコースでは非常に重要で、素早い切りかえしに役に立ってくれるんだ。ここでの23ラップはかなり厳しく、力でねじ伏せるのではなく流れるように周回することが要求されるからね。明日の決勝がとても楽しみ。僕のために頑張ってくれているテック3のメンバーたちに少しでも恩返しがしたいんだ」
J・トーズランド選手談(予選14位/1分50秒537/24周)
「グリッドのポジションを上げられなかったことが悔しくてたまらない。今までの経験から分かったことだけれど、決勝で6番手から10番手くらいのタイムを出すことができたとしても、このクラスはみんなのタイムが接近しているから、最後まで自分の思い通りに走るのは難しいんだ。その意味で5列目からのスタートというのは大きなビハインド。ウイークを通じてサスペンションのセッティングに取り組んできて、それはいい方向へと進んできたが、タイヤをソフトコンパウンドのものに履き替えるとリアショックのセッティングがうまく合ってくれなくなってしまう。
スロットルを開けてリアタイヤに荷重が掛かると、動きが悪くて不快感があり、それで十分なグリップ感が得られないんだ。セッション中に変更を行っても大きな改善は見られなかったんだけれど、最後の最後で少しだけフィーリングがつかめた感じがした。でもそのときはもう遅かったんだ。もう少し早くこれが見つかっていれば、ソフトタイヤでのペースを安定化できたはずなんだけれど・・・ 自信があっただけに悔しい気持ちでいっぱい。でも今晩またみんなと一緒に作業を続け、より良いセッティングを見つけられるように努力するよ。決勝ではいい走りができると確信しているしタイムもいいところをキープできると信じている。いつもどおり、最後まであきらめずに、ひとつでも順位を上げられるように頑張るだけ」