ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 5月31日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦イタリアGP
■開催日:2009年5月29日(金)フリー走行1
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:30度 ■路面温度:45度
REPORT
ロレンソとロッシが1、2番手
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソとV・ロッシは第5戦イタリアGPのフリープラクティスに臨み、それぞれ1位と2位のタイムを記録。前回のフランスGPは悪天候に悩まされたが、今回はトスカーナ地方の明るい太陽に迎えられて気分良く走ることができた。
ロッシに1ポイントをリードし、ランキングトップに立って今大会を迎えているロレンソは、セッション序盤から素早くリズムをつかむと唯一、現行のラップレコードを上回るタイムを叩き出した。
一方のロッシもしばらくはトップをキープしていたが、最終的にはロレンソにコンマ2秒遅れて2位。明日の午前中のセッションでセッティングをさらに向上させ、連続8回目の優勝を狙う。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ5位と11位。
エドワーズは、セッション序盤でマシンに小さな問題が発生したためスペアマシンに乗り換えての走行となった。路面温度が50度にも達する難しいコンディションのなかで、ブリヂストンはハード・タイヤを選択。エドワーズは最も硬いリアタイヤを使いこなして1分50秒891を記録した。
一方のトーズランドは、序盤はセッティングが思うように進まず、マシンの向き換えに問題を抱えており、その結果として腕上がりの症状に悩まされてきた。最も高速かつテクニカルなコースのひとつであるムジェロでは、とくにその影響が大きかったが、そのなかでも良い走りを見せてトップ5からコンマ5秒差の1分51秒401。トーズランドのマシンには今回、‘ゼッケン50’のステッカーが貼られている。元テック3チームのライダーのシルバン・ギュントーリが、ドニントンパークで行われたイギリスのスーパーバイク選手権で足を負傷しており、これに励ましの意味をこめたものだ。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'49.870 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'50.065 |
3 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'50.144 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.808 |
5 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'50.891 |
6 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'50.898 |
7 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'51.007 |
8 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'51.030 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'51.206 |
10 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'51.359 |
11 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'51.401 |
12 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'51.823 |
13 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'51.994 |
14 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'52.319 |
15 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'52.403 |
16 | 高橋 裕紀 | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'52.607 |
17 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'52.619 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行1番手/1分49秒870/27周)
「スタートとしては上々だけれど、決勝結果のことまで話すのはまだ早過ぎるだろうね。だってまだ、たったひとつのセッションが終わっただけなんだから! それでも今日の走行では何の問題もなかったということは確かな事実だから、今はとても満足しているよ。僕はまだブリヂストン・タイヤについて勉強中なので、コースが変わるたびにどんなことが起こるかわからないと思っているが、今のところはいつもとても調子がいい。ここはとても暑くて大変なんだけれど、これまで雨ばかりだったから、久しぶりの太陽がすごくうれしいんだ! 週末まで、このまま天気が続いてくれることを望んでいるよ!」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「最高の形でウイークをスタートすることができた。なかでもレコードラップを上回ったことは、ホルヘの好調ぶりを証明していると思う。マシンの仕上がりも非常に満足しているが、さらに改善できる部分も残っているので、それが明日の我々の仕事ということになる。ライバルたちも良くなってくるはずなので、トップのポジションをしっかりとキープできるよう最善を尽くしたい」
V・ロッシ選手談(フリー走行2番手/1分50秒065/28周)
「調子はいいよ。まだウイークが始まったばかりで先は長いんだけれど、決勝はきっと見応えあるバトルになると思っている。というのは上位の数人がかなり接近しているからね。僕自身は、まだ思い通りに乗れるというところまでいっていないので、これからまだマシンの調整が必要だけれど、リズムは少しずつ良くなってきているし、このコースのデータは豊富に持っているからまったく心配はしていないんだ。ここは僕にとって、とても大切な場所なので、前回が良かったか悪かったかは全然関係ない。通常のチャンピオンシップからちょっと離れたところにあるような感覚があって、いつも、自分でも驚くくらいのやる気を与えてくれるんだ。しかも今日は太陽が輝いている! とてもハッピーな気分だよ!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「バレンティーノは安定して速く、終始、上位をキープした。つまり調子は上々だ。明日はマシンをもう少し調整して、さらにコンマ何秒かを伸ばしていきたい。今日はかなり暑かったが、明日以降もこれが続くとなると、ライダーたちにとっては厳しい戦いになるだろう。それでも雨よりはいいと、誰もが思っているよ! ポジティブな気持ちで臨むことができているので、このまま好調のうちに作業を進め、明日はさらにマシンに磨きをかけたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行5番手/1分50秒891/25周)
「セッションのほとんどをスペアマシンで走ったことを考えれば、5位という結果に満足していいと思うよ。1台目のマシンはほんの小さな問題が出ていたので、チームクルーたちが素早く作業を済ませて2台目のマシンで送り出してくれたんだ。このマシンはサスペンション・セッティングが硬めにしてあったので、フロントが動いてしまってちょっと苦しかった。そして終盤になってハード・コンパウンドのタイヤを履いたら、挙動はさらに激しくなったんだ。でも、ブリヂストンは素晴らしい仕事をしてくれている。その製品は非常にシンプルで、経験があればとてもわかりやすいんだ。これまでも使ってきた最も硬いリアタイヤだったけれど、今日のような高い路面温度にもかかわらずフィーリングはとても良かった。そしてブリヂストン特有の、走れば走るほど速くなっていく特徴がよく出ていて、僕はこの頃この感覚に夢中になっているほどなんだ。この調子ならあとコンマ5秒は簡単に伸ばせると思うけれど、その一方で僕自身はもう少しスムースなライディングを心がけなければならない。サスペンション・セッティングが硬めなので、よほどしっかりと仕上げないと、スムースな走りは難しい。でもアイディアはたくさん出ているので、きっとうまくいくと信じているよ」
J・トーズランド選手談(フリー走行11番手/1分51秒401/24周)
「走りは悪くなかったし、1回目のセッションとしては満足しているよ。序盤はあまりフィーリングが良くなかったんだけれど、いつものようにチームが懸命に頑張ってくれて、セッティングの問題を解決してくれた。はじめはマシンの向きを変えるのが難しくて、腕上がりの症状を経験してしまったんだ。これは、僕が腕でマシンをねじ伏せようとしていたからなんだけど、一旦そうなってしまうと、なかなか治らなくて苦しかったよ。それさえなければ、マシン自体はあとコンマ3から4秒は確実に伸ばせるだけのポテンシャルをもっていると思う。そうすると6位以内に上がる計算なんだ。また、ハード・タイヤもフィーリングが良かった。このタイヤはセパンのテストでも使ったもので、あのときは転倒してしまったんだけれど、今回はこれで5位からコンマ5秒差につけているのだから、どうやら僕らは関係を修復できたようだね! 今日は本当に暑くて、路面温度は50度にもなったが、あのハード・タイヤがよく機能してくれた。今日の問題は僕の腕だけ。マシンのほうは好調なので、明日以降はきっともっとうまくいくと確信している。だから今は、明日またコースに出るのが楽しみで仕方がないんだ。また、シルバンを支えるために、テック3チームを代表して彼のゼッケンをマシンに貼っている。チームのみんなが彼を思い、早く良くなることを願っていることを表しているんだ。彼は素晴らしいライダー。一日も早く、また彼が走る姿を見たい」