ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 4月26日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦日本GP
■開催日:2009年4月26日(日)決勝結果
■開催地:もてぎ/日本(4.801km)
■観客数:41,533人
■周回数24周(115.224km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:31度
■PP:V・ロッシ(ヤマハ/1分48秒545)
■FL:J・ロレンソ(ヤマハ/1分48秒477)
REPORT
YZR-M1のロレンソがMotoGP通算2勝目!
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが優勝、MotoGPでの自身通算2勝目を飾った。V・ロッシは2位、モンスター・ヤマハ・テック3チームのJ・トーズランドとC・エドワーズは、それぞれ9位と12位だった。
雨で予選がキャンセルされ金曜・土曜のフリー走行の総合タイム順でグリッドが決められ、決勝は開始された。ポールポジションスタートのロッシが序盤をリード。以下ロレンソ、D・ペドロサ(ホンダ)A・ドビツィオーゾ(ホンダ)、C・ストーナー(ドゥカティ)が先頭グループをつくる。ロッシに序盤やや差をつけられていたロレンソだったが、9周目にロッシをさしてトップに浮上。首位争いはロレンソ、ロッシのテール・トゥ・ノーズに。中盤はその後方、約1.5秒のところでペドロサとドビツィオーゾが3番手争い。
後半にはいると、15周目に最速タイムを叩き出すなど快調に飛ばすロレンソがリードを拡大。一方、ロッシはロレンソに約1.5秒遅れと後退するが、これに追いついたのがペドロサだった。ロッシとペドロサの激しい抜き差しは2~3周に渡り展開される。一時ペドロサの先行を許していたロッシだったが、19周目には抜き返し単独2番手をキープ。その後は、さらにペースを上げ、一時は約2秒差まで開いていたロレンソとの差を詰めていく追い上げ。しかし好調ロレンソを追いきることは出来ず2位となった。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのJ・トーズランドとC・エドワーズは、それぞれ9位と12位。
トーズランドはソフト・コンパウンドのタイヤをチョイスして、グリッド4列目から絶好のスタート。1周目を終えたときには7位までポジションを上げていた。10位以内を目標にしていたトーズランドはレース終盤、C・バーミューレン(スズキ)とR・ド・ピュニエ(ホンダ)の執拗な追撃を抑え込み、9位でチェッカーを受けた。
一方のエドワーズは、レース序盤で小さなトラブルを抱えペースが上がらなかったが、ひとたびリズムをつかむと本来の実力を発揮し、その後は好タイムを連発。一時はトップ5と同等のペースで走行し、6番手のタイムを記録したが、最終的にはトップ10に3秒遅れの12位でレースを終えた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 43'47.238 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 0'01.304 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 0'03.763 |
4 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 0'05.691 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 0'09.207 |
6 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 0'30.555 |
7 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 0'32.756 |
8 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 0'39.416 |
9 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 0'43.106 |
10 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 0'43.245 |
11 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 0'44.834 |
12 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 0'46.540 |
13 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 0'53.525 |
14 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 1'21.804 |
15 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | -1 Laps |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 41 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 40 |
3 | C・スト―ナー | Ducati | 38 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 22 |
5 | D・ペドロサ | Honda | 21 |
6 | C・エドワーズ | Yamaha | 17 |
14 | J・トーズランド | Yamaha | 7 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 45 |
2 | Ducati | 38 |
3 | Honda | 27 |
4 | Suzuki | 18 |
5 | Kawasaki | 12 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「まず始めに、チームのみんなに、母と父に、家族全員に、多くの友人たちに感謝の気持ちを伝えたい。そしてもちろん、ヤマハに対しても心からのお礼を言いたい。レースはスタートがうまくいかなくて、1周目を終えたときには3、4番手と厳しい展開。でも、そのあと少しずつペースを取り戻すことができた。バレンティーノをパスしてから懸命に逃げて、1.5秒くらい差をつけたけれども、やっぱり彼の追い上げはとっても激しかったよ。だから最大限の力を振り絞って、ようやくトップを守って優勝することができたんだ!」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日の結果には大満足だ。優勝ではなく、表彰台を期待していたんだ。だから凄くハッピーな気分。我々は金曜日に満足のいく仕事ができて、今思うとそれが鍵になったね。なぜなら、ハードタイヤでのセッティングに注力していて、最終的にはそれが功を奏した。集めたデータをもとに、今日はマシンのセッティングを微調整するだけでよくて、それが勝利をもたらしてくれた。これでヤマハがいかに強いかを世界に証明できたと思う。次のヘレスも、今日のように素晴らしいレースになるだろうから待ちきれないよ」
V・ロッシ選手談(2位)
「本当に素晴らしいレースだったよ!長くて、難しくて、体力的にもかなり厳しかった。フロントロウから絶好のスタートを切ることができたけれど、そのあと、なかなか自分の思い通りに走れないところがあった。何らかのトラブルがあって、後続を引き離すことがどうしてもできなかったんだ。そうしているうちにホルヘに離されてしまい、それからさらにダニとバトル。レース終盤になってようやくペースが上がり、ラインもうまくとれるようになって、ラップタイムも上がって来たが、その頃にはホルヘはすでにずっと遠くに行ってしまっていたんだ。2位に満足するわけにはいかないけれど、貴重な20ポイントを獲得できたことは良かったと思う。チャンピオンシップはこれからますます面白くなりそう、だって4人ものライダーが優勝を目指して戦えるところまで来ているんだからね」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「まずは素晴らしいライディングを見せたホルヘの健闘をたたえたい。またヤマハにも"おめでとう"と言いたい。なぜなら素晴らしいこの結果は、これまでの数ヵ月間の我々の努力が報われたものだからだ。2人のライダーはともに速くて、今季一緒に表彰台に上がったのはもう2回目。いつも我々は表彰台にいるんだ!バレンティーノはとても重要な2位フィニッシュを決めた。我々の目標は常に表彰台に上がることで、今回もバレンティーノはそれを果たしてくれた。これから重要な欧州ラウンドに入るが、シリーズ戦をリードしているので楽しみだ」
J・トーズランド選手談(9位)
「10位以内を目指していたので、今日はそれが実現できて本当に良かった。金曜日のわずか45分間のドライ・セッションのなかで、フロントのセッティングがかなり向上し、それが決勝でとても役に立ったんだ。ブレーキングでのコンフォート性が良くなっていたので、今日はそこで何人かパスすることができた。リアにソフト・コンパウンドを選んだのは、金曜日にほとんどずっとそれを使用していたから。それにハード・コンパウンドは暖まるまでに時間がかかることもわかっていたので、リスクはおかしたくなかったんだ。
レース序盤は他のライダーたちよりいくらかグリップが良かったようで、もしも僕がフルタンクでもしっかりと走れていたとしたら、ケイシー・ストーナーやロリス・カピロッシをパスすることもできたはずなんだけれど…。ソフト・タイヤのアドバンテージもあって、序盤は好調だった。そして最終ラップのバーミューレンとのバトルもとても良かったと思う。バックストレートの終わりで彼が一時的に僕の前に出たんだけれど、そのあとしっかりと抑え込むことができたからね。チームのみんなが僕をしっかりと支えてくれていることに感謝している。おかげでこの結果を出すことができたんだ!」
C・エドワーズ選手談(12位)
「望んでいたような成績ではなかったけれど、時計を戻すことはできないのだから仕方がないね。でも、できればそうしたいくらいなんだ。なぜなら、本当なら表彰台を狙えたはずだと今も信じているんだよ。スタート直後にちょっとしたトラブルがあって、自分の思うような走りができなかった。それでも身体を伏せて頑張っていたら少し調子が良くなって来たので、あともう何ラップかあれば10位以内に入ることができただろう。ヤマハのために何としてもいい走りをしたかったけれど、結局、今日はこれ以上のことはできなかったんだ。
金曜日にハード・コンパウンドでたくさん走り込んでいたので、決勝には自信を持って臨んだ。金曜に比べて気温がかなり上がったが、あのときの経験が役に立つと思っていたんだ。そしてレースが始まってみると、ラップタイムはトップ5と同等まで上がってきたから、いよいよ、どんなことも起り得ると期待していたんだけれど…。調子はとてもいいと思っているので、次のヘレスが楽しみだ」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「もっと上を期待していたことは確かだが、ジェームスもコーリンも最後までしっかりと戦い続けてくれたので満足している。そして何より、ジェームスが10位以内に戻ってきてくれたことがうれしい。彼自身にとっても大きな自信になったことだろう。オフシーズンと開幕戦は厳しい試練になってしまったが、彼は決して集中力を失わなかった。そしてその結果、こうしていい走りができたことは、これからのシーズンで必ず役に立つに違いない。コーリンもまた、難しい状況のなかで本当によく頑張ってくれた。スタート前にトラブルが出て、その原因はまだわかっていない。それでもレース後半にはペースを上げてきたのだから素晴らしかったと思う。今日はこのような結果になったが、コーリンの調子は悪くない。ヨーロッパ・ラウンドに向けて、とても良い状態にあることを、我々はよく知っているんだ。
日本のファンのみなさんの前で、1-2フィニッシュを達成したヤマハに祝福を贈りたい。このことは、YZR-M1がいかに競争力のあるマシンであるかということを証明してくれた。ヤマハは2009シーズンも、チャンピオン候補の筆頭だ」
中島雅彦(技術開発部MotoGPグループリーダー)
「前戦カタールに続き、目まぐるしく変化する天候に翻弄されたレースウィークとなり、ライダー、チームにとっては難しい状況の中で決勝を迎えることになりました。ドライセッションが初日の1回だけで十分なデータが無い中、マシンの調整に苦労しましたが、チームとしてはやるべきことはできたと思います。そしてロレンソ選手、ロッシ選手らのすばらしいライディングで、日本のファンの皆様の期待に応えることができ、チームスタッフ一同胸を撫で下ろしています。しかし、まだまだシーズンは始まったばかりで、気を緩められない状況です。次戦からヨーロッパラウンドに入りますが、さらなる高みを目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いいたします」