ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月12日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2009年4月10日(金)フリー走行1
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:25度
REPORT
ヤマハ勢好調、ロッシが2位!
2009年度のMotoGP世界選手権がいよいよ開幕。カタールはロサイルサーキットにおいて行われた夜間の走行で、フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシとJ・ロレンソは、それぞれ2位、4位を獲得。順調に1日目のフリープラクティスをスタートした。またモンスター・ヤマハ・テック 3のC・エドワーズも3位に入っており、ヤマハの好調ぶりをアピールした。
金曜日午前中のプラクティスは今シーズンから廃止。その他のセッションも45分間ずつに短縮されて行われた。慣れないスケジュールに戸惑いを見せながらも、フィアット・ヤマハ・チームのふたりは順調に走行。先月のテストで既にベース・セッティングができあがっており、より気温が高くなった現在のコンディションにこれを適合させるのが主な課題となった。ロッシは序盤からハイペースを維持し、C・ストーナーに0.386秒差の2位。一方のロレンソはリズムをつかむまでにいくらか時間を要したが、終盤で一気にペースを上げ、ポジションもジャンプアップした。
ロッシとロレンソのYZR-M1は、この日初めてオフィシャル・スポンサーであるパッカード・ベルのロゴを披露。パッカード・ベル・ブランドは最先端のデザイン、スタイル、トレンドを読む能力などをイメージさせ、創造性をかきたてるもの。新しくなったレッド・カラーと丸味を帯びたスタイルは、MotoGPの世界にマッチし競争精神、スタイル、トレンドなどを想像させる。
モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズは、最終ラップで1分 57秒835のベストタイムを記録して3位獲得と好調。コスト削減策の一環としてセッションが45分間に短縮された新しいルールのもとで、エドワーズは素早くフロントエンドのセッティングを仕上げることに成功した。
風の強い1日となったが、気温は先月のテスト時より10度も上昇。そのなかでエドワーズは順調に走行を続け、残り19分の時点で2位に浮上。終盤のタイムアタックではロッシに0.396秒届かず3位に後退した。またチームメイトのJ・トーズランドは1分58秒850で11位。10位との差はわずか0.079秒だった。しかもセッション終盤を迎えるまでは6位をキープするハイペースも披露しており、シーズン前の2度の転倒の影響がすでになくなっていることをアピールすることができた。また今回は、トーズランドの52が特別な意味を持つこととなった。チーム監督のH・ポンシャラルが今日、52歳の誕生日を迎えたのだ。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'57.053 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'57.439 |
3 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'57.835 |
4 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'58.272 |
5 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'58.452 |
6 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'58.468 |
7 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'58.499 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'58.506 |
9 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'58.757 |
10 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'58.771 |
11 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'58.850 |
12 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'59.094 |
13 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'59.158 |
14 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'59.348 |
15 | 高橋裕紀 | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'59.437 |
16 | S・ジベルナウ | Grupo Francisco Hernando | Ducati | 2'00.595 |
17 | N・カネパ | Pramac Racing | Ducati | 2'00.597 |
18 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'01.435 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行2番手/1分57秒439/18周)
「テストのときはケイシーに1秒離されていたが、今日は差がかなり縮まったのでとても良かった。テストの後、ペースアップを目標にいくつかのアイディアを出した。今日の結果を見れば、それらがすべて功を奏したと言えるだろう。スピードもあるし、ペースもいいし、今シーズン最初のセッションは非常に満足できた。でもまだまだ改善が可能。今日はコースもかなり汚れていたので、それがなくなれば、明日からはもっともっとハードにプッシュしていくことができる。またテストのときと比べて気温が高くなったことも、僕らにとっては良かった。自信を持って走ることができたし、思い通りにYZR-M1を操ることができた。
45分間のセッションというのは、まだ慣れなくて変な感じ。事前にしっかりとプランをたてて、よく準備をしておかなければならないが、僕にとってはそれほど悪いことでもない。マシンには‘Forza Abruzzo'の特製ステッカーを貼った。これは先週、大地震に見舞われたAbruzzoの人々へのメッセージだ。僕の故郷のタブリアからもそれほど離れていないところなので、僕らが、いつでも彼らを支えているということを伝えたいんだ」
J・ロレンソ選手談(フリー走行4番手/1分58秒272/18周)
「問題がいくつかあった。おもにハードブレーキングの所でフロントタイヤのフィーリングがつかみにくかった。でも少しずつそれが改善できてくると、終盤には気持ちよく走れるようになった。コースがとても汚れていたので100%の力でプッシュするわけにはいかなかったが、明日はもう少し状況が良くなると期待している。最後には大きく前進することができて、ラップタイムも格段に良くなったので全く心配はない。
明日はもっとたくさん走って、さらに前に進んでいきたい。45分間では走り足りない感じだけれど、レギュレーション変更は納得できる。レースを支えるために必要なことで、これからは僕らのほうが、新しいシステムに合わせ、慣れていかなければならないんだ。明日は路面がもっと綺麗になるだろうから、さらに上を目指していく」
D・ブリビオ、チーム監督談
「前回のここでのテストとヘレスのテストで学んだことを生かすことができた。そしてマシンのベース・セッティングをさらに改良することができたので、今日の走行には非常に満足。これからも同じように着実に仕事を続け、少しでもトップに近づいていけるように頑張る。金曜日のセッションが1回だけになった初めてのレースだが、我々は時間をできるだけ有効に使えるようにしなければならない。今日はそれが上手くいったと思う」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「今年からプラクティス時間が短くなり、新しいシステムに慣れるのに少し時間がかかったが、それ以外は非常に順調。とくにホルヘは、たくさん周回することで調子を上げていくタイプなので45分間では物足りないようだった。マシンのほうはハードブレーキングを要求される所でアンダーステア気味になるという問題があったが、それも最終的には解決することができた。また路面コンディションが完璧でなかったことで難しい部分もあったが、明日はきっと良くなると期待している」
C・エドワーズ選手談(フリー走行3番手/1分57秒835/17周)
「シーズン1回目のセッションをトップに近いところで終えることができて非常にうれしい。ライダーとしては、常に上を目指して挑戦し続けることが重要だと思うからだ。マシンに関してはおもにフロントエンドの改善に力を注いだ。ヘレスのテストではハードにプッシュしようとするとフロントタイヤの挙動に問題が出て、それがスピードを制限してしまうようなところがあったが、今回の変更で改善され、フィーリングがとても良くなったんだ。大幅な改造というわけではなくて、ミリ単位の変更を加えただけ。それだけのことが、‘フロント・ガイ’である僕にとってはとても重要なんだ。
ここまで、いろいろなことが良い方向に向かっていることはとてもありがたい。というのも今年から走行時間が少なくなっているので、少しでも時間を無駄にするわけにはいかないからだ。変更を行えば自分自身とチームに何らかの影響が出るわけだが、今日はそれがすべてうまくいって、良い方向へ進むことができた。ハンドルバーにかける負荷の感覚が、バレンティーノやホルヘとは違うので、この変更がどうしても必要だった。モンスター・ヤマハ・テック3チームのために、またエルベの誕生日を祝福するためにも今日はいい走りができて満足だ」
J・トーズランド選手談(フリー走行11番手/1分58秒850/18周)
「冬季テストの間に辛い思いをしただけに、今日は序盤から非常に好調に走ることができてとてもうれしかった。11位ではあるけれど、ラップタイムではトップ6にもそう遠くない。このことは今の僕に大きな励みになるんだ。僕があまり走れないでいる間に、チームがとても頑張ってベース・セッティングを仕上げてきてくれていた。しかも僕の要望をとてもよく理解してくれていて、気持ちよく乗れるということがありがたい。ヘレスの転倒で負傷した右足はまだちょっと痛みが残っているが、走っているときは大きな問題はない。しばらくは足に体重をかけることさえできなかったので、ここまで回復できて本当に良かったと思う。
今は、もし明日が決勝だとしても6位以内を狙っていけると思う。これならもともとの僕の目標と同じレベルと言えるだろう。今日は前回のテストのときよりも10度も気温が高かった。僕は決勝で必要になるだろうハード・タイヤをキープしておくため、今日は柔らかめを履いたんだ。時間もタイヤも少なくなってしまったので、これからは今まで以上に戦略が重要になってくる。その点、僕のチームは素晴らしい。日曜日、エルベに2日遅れの誕生日プレゼントを渡せるよう、全力で頑張るよ」