ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月12日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2009年4月10日(金)1日目フリー走行、11日(土)予選、12日(日)決勝
■開催地:カタール/ロサイル
CIRCUIT DATA
■開設:2004年
■コース長:5.380km
■サーキットレコードラップ:1分55秒153(2008年:C・ストーナー)
■サーキットベストラップ:1分53秒927(2008年:J・ロレンソ)
■2008年の優勝者:C・ストーナー
REPORT
2009年シーズン開幕!
昨シーズンは3冠を達成したフィアット・ヤマハ・チームが今週末、2009年MotoGP世界選手権の開幕戦を迎える。舞台はカタールのドーハにあるロサイル・インターナショナル・サーキット。ここで昨年に続き2度目となるナイトレースが行われる。昨年度チャンピオンのV・ロッシと、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したJ・ロレンソは、他の16ライダーとともにモーターサイクル・レースの頂点の座を目指す。
ロッシは昨シーズン、9回の優勝を果たして2年ぶりにトップに返り咲き、チーム・タイトル、マニュファクチャラー・タイトルの獲得に貢献すると同時に自己通算8度目となる世界選手権タイトルを手中にした。そのキャリアのなかで、これまでに97勝を達成しており、優勝回数ではG・アゴスティーニに続いて2番目に多い記録。アゴスティーニの122勝までにはまだしばらくの時間がかかりそうだが、ヤマハとすでに来シーズンまでの契約を決定していることを考えれば、決して遠過ぎる距離ではない。2月に30歳の誕生日を迎えたロッシは冬季テストも好調。ヘレスで行われた恒例の予選テストでは2位を獲得した。ロサイルでは過去に2度、優勝しているが、昨年は5位と、シーズン中で2番目に低い順位に終わった。ブリヂストン・タイヤでの初レースだったことも影響したと考えられるが、今回はそうした不安要素がすべて取り除かれており、自信を持って勝利を目指していく。
またチームメイトのロレンソは、MotoGPデビューとなった昨年のカタールでポールポジションを獲得。決勝でも2位に入る活躍で一気に注目を集めた。そして、その後の第2戦、第3戦も連続でポールポジションを獲得し、MotoGP参戦わずか3戦目のポルトガルGPで初優勝を飾っている。シーズン中盤には何度か転倒があり、怪我もしたが、終盤までには回復し、合計6回の表彰台獲得を果たしてルーキー・オブ・ザ・イヤーの栄冠に輝いた。MotoGP参戦2年目となる今シーズンは、昨年1年間の貴重な経験を生かしてレースでの勝利を目指していく。オフシーズンのテストも順調で、先月のカタールでは2位のタイムを記録している。
今シーズンはいくつかのレギュレーション変更が行われているが、なかでも最も重要なのが、タイヤの1メーカー制によって全員がブリヂストン・タイヤを使用することになったこと。それに伴い、各ライダーに与えられるタイヤの数は、レインタイヤを含めてリアが12本まで、フロントが8本までとされ、コンパウンドは2種類までしか用意することができなくなった。またエンジンの走行距離短縮のために金曜日午前中のプラクティス・セッションを中止し、その他のプラクティスの時間も45分間に短縮された。シーズン前のテストも縮小されることとなったため、先週のヘレス・テストが、マシン調整のための最後のチャンスとなった。
ナイトレース開催に際しロサイル・サーキットでは、250、1,500、2,500ワットの電球を合計3,600個用意。サッカー場70面分の広さを照らすために必要となる540万ワットを生み出すために、13メガワットの発電機が使用されるという。電球は3mから36mの高さで合計1,000本のポールに装着され、500kmの長さのワイヤーでつながれる。これらを固定するために必要となるコンクリートは30万kg。
COMMENT
V・ロッシ選手談
「カタールは得意なコースではないけれど、切り札がまだ残っているので、もう少し作業を行うことでいいところを狙っていくことも可能になると思う。悪天候に見舞われればテストの経過は何の意味もなくなってしまうもので、状況はすっかり変わってしまうだろう。当日どんなことになるかは行ってみなければまったくわからないから、それだけにエキサイティングでもあるんだ。だからテストがうまくいかなかったからと言っても心配はしていない。僕自身の体調は絶好調だし、M1も基本的なところでよく仕上がっているので自信は十分にあるんだ。ヤマハが良い仕事をしてくれたことに非常に満足している。タイヤのシングル・ルールについては、レースを通じて一戦ごとに対処方法がわかってくるだろう。新しいレギュレーションや要素がたくさん入ってくるので、戦略は非常に重要だ。また同時に、予選ではとくに、運が以前にも増して大きな要素になるだろう。こんなに少ないタイヤの数で、45分間のレースがどんなことになるのか、今から楽しみにしている。先週は軽くトレーニングをしながら、リラックスと充電の期間に当てた。これからいよいよ長いシーズンが始まり、そのあとは100%の状態をずっとキープできるようにしなければならない。ひとつひとつのレースを大切に、そして最終的な目標である2年連続のタイトル獲得に向けて集中していきたい」
J・ロレンソ選手談
「僕自身は絶好調で、シーズンの開幕を心待ちにしている。オフシーズン中のテストではいろいろ難しい状況もあったが、最終的にはブリヂストン・タイヤでの走り方を理解することができた。そしてカタールの最終日とヘレスで自信をつかみ、そのまま良い状態で開幕戦を迎えることができそうだ。タイヤは以前のものとかなりフィーリングが異なっていて、自分のライディング・スタイルを合わせていかなければならなかったが、ひとつひとつ問題を取り除いていき、ようやく慣れてきたところ。僕はいつも予選タイヤで速いライダーだったから、予選についての新しいルールにはちょっとがっかりしている。でも条件は誰でも同じなので、これからそれに慣れていかなければならない。昨年はここでポールポジションを獲得したわけだけれど、今の僕は、去年の僕と比べて多くの経験を重ねていて、格段に強くなっていると感じている。今シーズンの目標は昨シーズンのランキング4位を上回ること。つまり毎年、着実に前進したいということなんだ。チャンピオンについて考えるのはまだ早いと思っている。今はまず、カタールに集中するだけ。新しいゼッケン、99がM1にとてもよく映えるので、これが幸運を呼び込んでくれることを期待している」
D・ブリビオ、チーム監督談
「チームは新しいシーズンの開幕を非常に楽しみにしている。バレンティーノはテストも好調で、開幕戦のカタールは何の心配もしていない。勝利を目指して挑んでいくだけの十分な速さをすでに持っているのだ。タイヤに関する新しいレギュレーションが、実際にどのように機能するのかということも注目すべきところ。我々は昨年もブリヂストンを使用しており1年間の経験があるし、今年もとても良いニュータイヤを用意してくれているので自信を持って臨むことができる。ただ金曜日のプラクティスがなくなることにはまだ実感がない。その他のセッションに集中し、時間を有効に使って確実にマシンを作り上げなければならない。幸い、我々はパドックで1番の経験豊富なチームと言うことができる。チャンピオンを獲得するために最も重要な鍵となるのが、シーズンを通しての安定性。初戦のカタールから確実にスタートを切りたい」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「ついに開幕戦が目前まで迫ってきた。冬のテストが少なくなったあとも、我々はとても良い状態で今日を迎えている。テストのおもな目的は新型M1のベースをしっかりと作り上げること。それについては、とくにヘレス・テストで最終的なセッティング変更を行って目標を達成できたので不安はない。しかし我々の仕事はまだ終わりではない。なぜならライバルたちが非常に手強いからだ。カタールとの相性は悪くなくて、ホルヘは昨年、予選、決勝ともに素晴らしい走りを見せてMotoGPデビュー戦を飾った。あの時を再現することができれば、まさにパーフェクトと言うことができるだろう。新しいレギュレーションで初めてのレースとなるが、とくに予選に関してはタイヤの可能性を最大限に引き出すことが要求される。でもすでにお話ししたように、ベースがしっかりとできているので、大きな問題は起こらないだろう。今はただ開幕を待ちわびている。金曜日の午後、仕事を再開するのが楽しみだ」