ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 7月22日 アメリカ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦USGP
■開催日:2007年7月22日(日)決勝結果
■開催地:カリフォルニア州/ラグナセカ(3.610km)
■観客数:50,000人
■周回数:32周(115.52km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:30度 ■路面温度:46度
■PP:C・ストーナー(ドゥカティ/1分22秒292)
■FL:C・ストーナー(1分22秒542)
REPORT
ロッシは4位、玉田今季自己ベストの8位
【速報】
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシが4位、テック3・ヤマハ・チームの玉田誠は今季自己ベストの8位となった。優勝はC・ストーナー(ドゥカティ)で今季6勝目。
快晴下の決勝。ポール発進のストーナーは1周目から首位に。序盤、その後ろにはD・ペドロサ(ホンダ)、C・バーミューレン(スズキ)が続き、ロッシが4番手、C・エドワーズが5番手、さらにその後方にM・メランドリ(ホンダ)が6番手という展開。まもなくバーミューレンが2番手に浮上し、ストーナーとともにオーストラリア人選手が1-2位でリードする。
グリッド2列目発進のロッシは中盤、追い上げてきたメランドリに抜かれて5番手に後退。後半に入り、メランドリに抜かれ後退してきたペドロサがロッシの前に現れる。ロッシは20周目、このペドロサをかわして4番手に復活。しかしこの段階で既にトップとは約20秒の差。その後力走するも及ばす4位でのチェッカーとなった。
予選11番手発進の玉田は、中盤まで8番手をキープ。終盤、玉田を含めてR・ド・ピュニエ(カワサキ)、エドワーズ、A・ウエスト(カワサキ)の4選手による6番争いが繰り広げられる。そのなかで玉田はエドワーズをかわして単独7番手に浮上するが、残り3周のところでウエストに抜かれ8位でチェッカー。エドワーズは徐々に後退して11位だった。
【レポート】
予選グリッド5位の位置からスタートしたロッシが、難しい状況のなかで4位を獲得。チームメイトのエドワーズはホームレースでの成功を達成することができず、11位に留まった。優勝はポイントリーダーのストーナー。
路面が新しく舗装され、グリップが向上したラグナセカ。エドワーズとロッシはしかし、その利点を味方につけることができず、ウイーク初日から厳しい展開を強いられた。
金曜日の午前中に行われたフリープラクティスは、A・ホフマン(ドゥカティ)とS・ギュントーリの転倒によって約10分間の中断。そうしたなかでも健闘を見せた二人はそれぞれ3位、5位で走行を終えた。ところが午後になって気温が上昇して全体のペースが上がってくると、エドワーズがトップのストーナーから0.538秒、ロッシが0.551秒離されてポジションを下げることとなった。
土曜日の午前中、ロッシは第6コーナー立ち上がりで、コースと縁石の境目にタイヤを接触させて転倒。マシンを放して自らもコース上を滑っていったが、幸いにも左手小指の切り傷と右手の擦り傷を負っただけで大事は免れた。その後けがの手当てを受けたため、そのセッションは残りを棒に振ることになったが、午後からの予選には出場することができた。一方、ピットではメカニックたちが懸命の作業を行ってマシンを修復していた。
予選は開始からわずか数分でメランドリが転倒して赤旗中断。約20分後に再開された。ロッシとエドワーズは主にセッティングの最終調整とタイヤチョイスに取り組み、終盤の15分でタイムアタックに臨んだ。
ロッシは一時3番手まで浮上したものの、その後N・ヘイデン(ホンダ)とストーナーに先行されて5番手に後退。エドワーズは予選セッションのなかで徐々にペースを上げてきていたが上位には届かず、トップから0.651秒差の8位となった。
決勝日の朝も好転に恵まれ、気温は30度まで到達。午後2時の決勝スタート時には路面温度が46度まで上昇し、ライダーにとってもタイヤにとっても厳しいコンディション。
そのなかでロッシはスタートで出遅れ、オープニングラップの序盤はエドワーズの後方。まもなくエドワーズを抜き去ってロッシは4番手、エドワーズは5番手と並んで1周目を終了した。二人はこのポジションを5ラップ目までキープしたが、メランドリに追い上げられると、まずエドワーズが、さらに10周目にはロッシも先行され、それぞれ一つずつ順位を下げることとなった。その一方で上位争いはブリヂストンユーザーのストーナーとバーミューレン。ミシュラユーザーでは唯一、ペドロサが、ホールショットを奪って一時レースをリードする好調ぶりでロッシの前を走行した。
メランドリは16周目、ペドロサをパスして3番手に浮上。これによってペドロサの後姿を視界にとらえることとなったロッシは、一気にその差を詰めていく。そして5ラップ後にこれを抜き去り4番手。そしてさらに3番手のメランドリを追っていったが、レース終盤はタイヤのグリップ不足に悩まされてペースが上がらず、最終的には5秒以上の差をつけられてチェッカーを受けた。優勝したストーナーからは30.664秒離された。
一方のエドワーズはレースのほとんどで安定して6番手をキープ。しかしロッシと同様、終盤になるとタイヤのグリップに問題を抱え、一気に多くのライダーの先行を許すこととなり11位でレースを終えた。シリーズポイントでは、ロッシが2位、エドワーズが7位をキープしているが、残り7戦となった今、ロッシとランキングトップのストーナーとの差は44ポイントまで拡大した。
厳しい展開を強いられたフィアット・ヤマハ・チームの一方で、テック3・チーム・ヤマハは玉田が今季最高の8位を獲得。玉田は一時は7台に膨れ上がった大集団のなかでバトルを展開。カワサキのド・プュニエとウエストには届かなかったが、A・バロス(ドゥカティ)とR・ヘイデン(カワサキ)を押さえ込んで8位でチェッカーを受けた。
チームメイトのギュントーリも大健闘を見せた。スタート直後に他のライダーと接触して順位を下げる場面があったが、すぐにペースを取り戻して挽回。トップ10フィニッシュも可能かに見えたが、C・チェカ(ホンダ)との接近戦のなかでわずかにミスをおかしてチャンスを逃し、13位でゴールした。
6週間のなかで4レースが行われたMotoGPは、このあと夏の休暇に入り、8月下旬、チェコのブルノで戦いを再開する。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 44'20.325 |
2 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 9.865 |
3 | M・メランドリ | Honda Gresini | Honda | 25.641 |
4 | V・ロッシ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 30.664 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 35.622 |
6 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 38.306 |
7 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 41.422 |
8 | 玉田 誠 | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 42.355 |
9 | A・バロス | Pramac d'Antin | Ducati | 43.520 |
10 | R・ヘイデン | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 43.720 |
11 | C・エドワーズ | FIAT Yamaha Team | Yamaha | 47.376 |
12 | 中野 真矢 | Konica Minolta Honda | Honda | 52.848 |
13 | S・ギュントーリ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 58.410 |
14 | C・チェカ | Honda LCR | Honda | 1'15.366 |
15 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | -2 Laps |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati | 221 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 177 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 155 |
4 | C・バーミューレン | Suzuki | 113 |
5 | M・メランドリ | Honda | 113 |
6 | J・ホプキンス | Suzuki | 104 |
7 | C・エドワーズ | Yamaha | 93 |
14 | 玉田 誠 | Yamaha | 31 |
18 | S・ギュントーリ | Yamaha | 21 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati | 233 |
2 | Yamaha | 197 |
3 | Honda | 190 |
4 | Suzuki | 151 |
5 | Kawasaki | 74 |
6 | KR212V | 12 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(4位)
「今日は本当に残念だった。タイヤの状態が好ましくなかったので、ライバルたちと同じ土俵に立てなかったような印象だ。僕のチームも僕自身も一生懸命に頑張ってきて、とくに昨日の転倒の後は、できる限り力を尽くしたつもりだ。ところがタイヤがグリップしてくれなかったので、上位についていくこともできなかった。僕自身はベストを尽くし、ペドロサをパスできたのはとてもうれしかったが、メランドリには届かなかった。今日はとにかく、リズムもグリップも良くなかったんだ。
また先週のザクセンリンクのことも非常に残念。あそこではミシュランがとても良く機能してくれていたのに、ポイント差を埋めるための絶好のチャンスを逃してしまった。先週のことがいかに重要だったか、これからもっと実感することだろう。
今シーズンはタイヤが勝負を決める大切なファクターになっているようだ。このことはレースそのものにとっても、またファンのみんなにとっても残念なことだと思う。僕らはまだ決してあきらめてはいない。まだ7レース残っているし、ミシュランが今後、もっともっと状況を好転させていくために全力で頑張ってくれると信じているからだ。ストーナーは非常に好調で、手強い存在だということはわかっているが…。さて、このあとは少し休みに入るが、ブルノで再開後はシーズン終了まで、また最大限の力を尽くして戦っていくだけだ」
C・エドワーズ選手談(11位)
「僕らがかなり難しい状況にいるということ、そしてその理由が何なのかということを、誰もがわかっていたと思う。僕らはウイーク中ずっと問題を抱えていた。できる限りの手を尽くしてマシンをいろいろと変更してきたが、残念ながら最後まで答えを出すことができなかった。まるで同じところをぐるぐると回っているような感じで、最大の問題については何も変えることができなかった。そして何よりも、基本的な問題としてグリップが得られなかったのだ。
楽しみにしていたホームGPでこんなことになってしまったことは、もちろん非常に残念だ。家族や友達も来てくれていたし、大勢のアメリカのファンをがっかりさせてしまったことが悔しくて仕方がない。チームのみんなは、いつもと同じように本当によく頑張ってくれた。この後はゆっくり休んで、ブルノでの再開に備えたい」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「タイヤが非常に重要な役割を果たしていることが、明らかになったレースだ。先週はもっと好調だったが、今回は二人のライダーもポテンシャルを出し切れないまま終わってしまった。チャンピオンシップは力のあるライダーが互いにしのぎを削るべきものだが、今の状況は、もう一つ別の要素に支配されてしまっているようだ。
今回もチームのみんなは本当によく仕事をしてくれた。しかし残念ながら、バレンティーノは優勝争いに絡むことができなかったし、コーリンも母国の大勢のファンの前で本来の実力を出し切ることができなかった。これからも我々としてはひたすら全力で頑張っていくだけだが、この状況を変えるのは簡単なことではない。このような厳しい状況のなかでも懸命に働いてくれたライダーに、チームに、エンジニアに感謝している。この休みの間に、辛かった数カ月間の思いを癒してほしい。そして1カ月後にまた、同じファイティングスピリットをもって戦いを再開したい。我々は決してあきらめない」
玉田誠選手談(8位)
「ようやく、いい結果が残せた。今シーズンで最もいい感じで進められたレースウイークだった。早いうちからいいセッティングや、レース用タイヤを見つけられたからね。セッティングが決まっていたからレース中はコンスタントにラップを重ねることができたんだ。スタートがよく、集団の中から抜け出せた。エドワーズやバロス、ド・ピュニエらとバトルができ、レースを楽しめたよ。これで、夏休み明けにも自信を持って臨める。サポートしてくれたみんなに感謝している。次のレースが待ちきれないくらい」
S・ギュントーリ選手談(13位)
「結果には満足していないが、調子は良かった。スタートでミスし、さらに他者に接触され最後尾まで順位を落としたが、懸命に挽回し集団に追いつくことができたんだ。チェカをパスするのに時間がかかったけど、パスした後は大きく離せた。でもその後、5コーナーでミスして彼にかわされてしまった。懸命にプッシュし、再度彼をかわしたのに、またもやコークスクリューでミス! 再度プッシュしてもう一度パスしたが、こんなミスをしなかったら玉田選手に並んでトップ10圏内に入れたかと思うととても残念。でも、休み明けにはもっと上を目指せるパッケージを手にしたと思う」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「疑う余地もなく、今季最高のレースウイークだった。ちょうど夏休み前ということもあり、今シーズン残りのレースに向けて良い弾みになった。玉田とエンジニアたちの熱心な仕事を祝福したい。暑さのなかでも我々のタイヤが上手く機能したから、良い成績が残せたんだと思う。これもダンロップの進化のおかげだ。結果は8位だったが、もう少し上のポジションでも戦うことができた。ギュントーリは残念だった。スタートで出遅れたがあきらめずに戦い続けた。玉田と一緒にフィニッシュするくらいの活躍だった。でも、ラグナセカみたいなタイトコースでは一つの小さなミスが命取りになる。ダンロップは休み中もがんばってくれるだろうから、後半戦では良い結果が残せそうだ」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「非常に厳しいレースとなりました。スタート直後からタイヤがうまく働かず我慢のレースでした。ロッシ選手はミシュランユーザーの中で最上位とはいえ4位。コーリン選手は11位でチェッカーを受けました。テック3・ヤマハ・チームの玉田選手は今季最高位となる8位でチェッカーを受け、ギュントーリ選手は13位でした。
MotoGPはここで一旦サマーブレークに入り、次戦は8月19日チェコでの開催となります。厳しいレースが続きますが今後とも皆さまのご支援、ご声援をお願いします」
先頭へ