ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 10月29日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦バレンシアGP
■開催日:2006年10月27日(金)フリー走行2
■開催地:スペイン/バレンシア(4.005km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:32度
REPORT
V・ロッシ&YZR-M1、7番手
キャメル・ヤマハ・チームのV・ロッシは今日、MotoGP世界選手権タイトルの運命を決定する、最終戦の準備を開始した。舞台はスペインの東部沿岸に位置するリカルド・トルモ・サーキット。気温25度と暖かい天候に恵まれ、フリープラクティス初日の今日からすでに、大勢のファンが詰めかけて歴史的瞬間を見守ろうとしている
午前中に行われた第1セッション。ロッシとそのチームメイト、C・エドワーズは好タイムを連発してロッシがトップ、エドワーズが6位につけた。しかし午後になると、他の多くのライダーが明日の予選に備えて予選タイヤをテストし始めたことから、二人は徐々に順位を下げて、ロッシが7位、エドワーズは午前中のタイムを更新することができず、午後の走行では12位に留まった。
ファステストタイムはL・カピロッシ(ドゥカティ)の1分32秒220。2位にはR・ド・ピュニエ(カワサキ)、3位にはC・バーミューレン(スズキ)が入った。ロッシとエドワーズは明日午前中のフリープラクティスでさらにセッティングを煮詰め、現地時間午後2時から始まる予選に備える。
テック3・ヤマハ・チームのC・チェカとJ・エリソンはセッティングがなかなか煮詰まらず、午後のフリー走行2では、それぞれ15位と16位。午前中のタイムを更新することができなかったのは、エドワーズとチェカの二人だけで、気温の上昇でタイヤ選択が変化したことが原因だったようだ。その一方でエリソンは午前中のタイムを2秒近く短縮する勢いを見せた。今晩の作業で改善され、決勝までにはチャンスが巡ってくると二人は自信をもっている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'32.220 |
2 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'32.408 |
3 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'32.786 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.019 |
5 | C・ストーナー | Honda LCR | Honda | 1'33.080 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.254 |
7 | V・ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'33.274 |
8 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'33.369 |
9 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'33.394 |
10 | T・ベイリス | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'33.433 |
11 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 1'33.556 |
12 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'33.622 |
13 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 1'33.689 |
14 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 1'33.795 |
15 | T・エリアス | Fortuna Honda | Honda | 1'33.954 |
16 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'33.967 |
17 | J・エリソン | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'34.323 |
18 | A・ホフマン | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'34.681 |
19 | J・ルイス・カルドソ | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'35.292 |
20 | G・マッコイ | Ilmor SRT | Ilmor X3 | 1'36.076 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行7番手/1分33秒274)
「午前中にいいセッティングが見つかってスタートから好調。でも午後になると他のライダーたちが一気にタイムを上げて来たんだ! 午後のセッションでは明日以降に照準を合わせてベストのセッティングを見つけ出すため、タイヤを含めていろいろなものを試していた。ここではタイヤが非常に重要で、とくにタイヤの左側にかかる負担が大きいことが特徴。コース自体も決して簡単ではないので、適切なセッティングを出すまでに時間がかかるが、マシンのフィーリングはいいし決勝セッティングでのペースはとても速いので心配はしていない。これから改善していきたいところが一つか二つあって、とくにハードブレーキングが必要となる場所のことが気になっている。そのあたりがもう少し良くなってくればトップ争いができると思う。今は冷静に、集中力を保っていることが大切。明日になればすべてがクリアになるんだから」
C・エドワーズ選手談(フリー走行12番手/1分33秒622)
「大丈夫! すべては想定内の出来事だよ。もてぎで見つけた“魔法のセッティング”は、エストリルでも、それを完璧なものにするためにはちょっとした微調整が必要だった。ここでも同じことなんだ。実際、このコースに合わせるために“もてぎセッティング”に何個所か小さな変更を加える必要があるようだ。いずれにしてもここで学び理解したことは、とくにセッティングの面においては、来年たとえマシンが新しくなったとしても非常に貴重なデータになる。だからとてもわくわくしながら作業ができるんだ。なぜポルトガルでは完璧で、ここでは問題が出てしまうのか、その理由はわかっている。だからパニックになる必要などないんだ。今晩、少し変更を行えば、明日はまた前のほうへいける自信がある」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「バレンティーノに関しては、今日は非常にたくさんのものを試した。依然としてファインチューニングと適切なタイヤを見つけ出すために頑張っている段階だが、状況は決して悪くない。コーリンは午前中はとても速かったが、午後はそのタイムを更新することができなかったので、原因を追求していかなければならない。今晩はそのための作業を行うことになるが、彼のチームスタッフはすでに、何をすべきか分かっているようなので、明日までに問題を解決してきてくれると確信している。完璧なスタートとは言えないが、我々は非常に落ち着いている。今はまだ金曜日、初日の段階。準備の時間はまだ丸一日あるんだ」
C・チェカ選手談(フリー走行16番手/1分33秒967)
「うまくいかなくて大変だったけれど、ハードワークは充実していた。午後のセッションではグリップに関してのコンビネーションが悪くて、チャターが出ていた。マシンも二台使ってリアタイヤをいろいろ試したが、サイドグリップについては問題が残ってしまった。壁にぶつかって、それを飛び越えることができない、今日はそんな一日だった。明日以降はまた別の何かを試して、このチャターの問題を解決してサイドグリップを改善しなければならない。アイディアはいくつかあるし、これらが明日、チャンスを作ってくれると信じている。
問題解決のためにフロントのリムサイズを変えてみたりもしたが、午後になるとフィーリングがかなり異なっていた。リムのせいなのか、あるいは路面温度の上昇によるものなのかわからないが、明日には何か見つかると思う。今日は多くが予選用タイヤを使用したが、今の段階ではまだ我々には必要ない。まずはレースタイヤで、よりコンスタントにより速く走れるようにしなければならない。ずっと僕を支え続けてくれたスタッフに恩返しするためにも何としても好成績を残したいと思っている。明日も少しでも前へ進めるように頑張るだけ」
J・エリソン選手談(フリー走行17番手/1分34秒323)
「マシンのバランスを追求するためにセッティングをいろいろ変更したし、方向性を見つけるために新しいタイヤもいくつか試した。午前中はゆっくりとしたスタートだったが、午後になると一気に良くなった。カルロスのすぐ後ろにつけることができてうれしい。おそらく今までで最も近づくことができたと思う。だからその面では僕は本当に喜んでいるんだけれど、実はまだまだ先は長くとにかく前へ進むしかない。タイムは接近しているので、それに関してはそれほど心配していない。今はタイヤの適切なセッティングとマシンのバランスを追求することだけを考えている」
H・ポンシャラル、テック3ヤマハ・チーム監督談
「最終戦ということで、当然、とても重要なレース。我々はこの一年ともに頑張ってきて、カルロスのおかげで素晴らしい仕事もできたと思っている。とくにダンロップタイヤの開発は彼の力に依るところがとても大きい。午前中は好調でフィリップアイランドやエストリルの再現かとも思えたが、午後になると状況は変わってしまってお話しすることもないような状況だ。おそらく予想以上の気温の上昇が大きく影響したのだと思う。全出走ライダーのなかで、午前中のタイムを更新できなかったのはカルロスとコーリンだけということになってしまったが、カルロスは予選タイヤを使おうとしなかったんだ。レースタイヤを使ってもトップからコンマ8秒の差に留まっているので、結果が今の状況を100%反映しているというわけではないと思うんだ。遅れていることに変わりはないが、少なくともまだスクリーンに映っていたから最悪の状態とは言えない。
カルロスは今、ともに戦ってきたこのアドベンチャーを終わらせようとしている。私は彼のために最高の1台を作り上げる自信があるし、彼もまたチームに素晴らしい贈り物をしてくれると思う。それほど大きく引き離されてしまっているわけではなく、明日もハードにプッシュしていくのできっとうまくいくと信じているんだ。ジェームスのほうはとても頑張ってタイムを短縮した。明日はそろってポジションを上げていってくれると思う」