ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 9月24日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2006年9月24日(日)決勝結果
■開催地:栃木県/ツインリンクもてぎ(4.801km)
■観客数:63,195人
■周回数:24周(115.224km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:43度
■PP:L・カピロッシ(ドゥカティ/1分45秒724)
■FL:V・ロッシ(ヤマハ/1分47秒288)
REPORT
ロッシ2位表彰台を獲得!
【速報】
予選2番手発進のV・ロッシは中盤15周目、先行のM・メランドリ(ホンダ)を抜き2番手に浮上、首位を走るカピロッシ(ドゥカティ)を追うが及ばす2位でチェッカーとなった。ポイントリーダーのN・ヘイデン(ホンダ)は5位。この結果ランキングでヘイデンとロッシの差は12点差となった。
三人のイタリア人がフロントロウから発進した決勝。ホールショットはL・カピロッシ(ドゥカティ)。これにメランドリ、S・ジベルナウ(ドゥカティ)、ロッシ、中野真矢(カワサキ)が続く。ロッシはこの周ジベルナウをパスして3番手に。2周目以後はオーダーも落ち着き先頭のカピロッシにメランドリ、ロッシ、C・ストーナー(ホンダ)がトップグループをつくりレースを進める。この中からストーナーがやや遅れ、7周目にはトップ三台が0.8秒内のテール・トゥ・ノーズを展開。その後はカピロッシにメランドリが接近し、ロッシはやや後方から様子をみる走り。10周目、2番手メランドリがブレーキミスからタイムロスし、ロッシは労せずしてメランドリに接近。メランドリ、ロッシの攻防はその後も続き、15周目のS字コーナー立ち上がりで直線的にラインをとったロッシがメランドリをパスし2番手に浮上する。
次の16周目ロッシは47秒288のファステストラップを叩き出しカピロッシを追撃。17周目カピロッシの後方1.3秒まで追い上げるが、先行するカピロッシはその後47秒台を連発してスパート。一方ロッシも追撃を図るも48秒台に留まり差は広がってしまいカピロッシに5秒差の2位でチェッカーを受けた。メランドリは3位となり、予選1~3位のイタリア人がそのままの順で表彰台に立った。
C・エドワーズは1周目12番手と出遅れるが終盤K・ロバーツ(ホンダKR)をパスして9番手まで浮上。最終周の中野の転倒で順位を上げ8位でフィニッシュ。テック3・ヤマハ・チームのC・チェカは14位、J・エリソンは15位となりヤマハ選手全員がポイントを獲得した。
【レポート】
キャメル・ヤマハ・チームのロッシは第15戦日本GPで2位を獲得。ポイントリーダーのヘイデンとの差を12ポイントまで縮小した。今日のこの表彰台は連続4回目、ここ10戦中8回目の記録。優勝はカピロッシ、3位にはメランドリが入り、予選グリッドのフロントロウがそのまま表彰台に立った格好だ。今回の2位で20ポイントを獲得したロッシは、チャンピオン争いのライバル、ヘイデンが5位に留まったことから、その差をさらに9ポイント縮めることに成功した。
台風の接近が心配されていたこの週末だが、幸い、決勝は明るい太陽に迎えられて開催されることとなった。スタート直前の午後2時頃には気温が27度まで上昇、詰めかけた63,195人の観客は好天と好レースをエンジョイした。
ロッシは前日の予選終盤で見事な走りを披露し、決勝ではフロントロウにマシンを並べていた。プラクティス初日の金曜日の午前中には2番手のタイムを記録。午後からはさらにペースを上げ、それをコンスタントにキープした。レース用タイヤでラップレコードに迫る1分48秒044のタイムを記録した後、リアをソフトコンパウンドに履き替え、土曜日の予選に向けてテストも行った。
その予選では最初のタイムアタックで目の前のライダーが転倒。これで予定外のピットストップを強いられたロッシ。再びコースインした頃には終了時間が迫っており、10秒後にチェッカーが降られたため残されたチャンスはたった1周のみ。ここで見事な集中力を見せたロッシは2005年のポールレコードを上回る1分45秒991をたたき出したが、トップのカピロッシにはわずかに及ばず2位となった。
ロッシと互いに協力し合って作業を進めてきたチームメイトのエドワーズもまた、決勝用タイヤではコンスタントに1分48秒台前半のハイペースをキープ。ベストラップでは1分47秒968も記録してトップグループの仲間入り。ところが土曜日午後の予選で予選用タイヤを履いてからはそのペースを上げることができず、セッション終盤で順位を下げて10位となった。これで決勝は4列目スタートと厳しい展開を強いられることとなった。
決勝レースで真っ先に1コーナーに飛び込んだのはカピロッシ。ロッシも好スタートを切って好調のカピロッシについていく。その後三人のイタリアンは互いに競り合いながら後続を引き離していく。そのなかで、まずメランドリが懸命にカピロッシを追いかけ何度もパッシングを試みるが、なかなか成功せず、ついにはトップ争いから離脱。一方のロッシは15周目、メランドリをパスして2番手に浮上。前方がクリアとなったこの周に、サーキットレコードを1秒以上も上回る1分47秒288のファステストラップを記録した。
この好調でロッシは、残り8周の段階でカピロッシとの差を約1秒まで短縮。しかしこれに気づいたカピロッシがペースを上げて1分47秒台をキープすると、毎ラップ、コンマ数秒ずつ差が拡大し、ロッシは最終的には5秒ほど離されて2位でチェッカーを受けた。
一方のエドワーズは、10番グリッドから好スタートを切ったものの、1コーナー進入でD・ペドロサ(ホンダ)に押し出される形となり12番手までポジションダウン。それでもそこから懸命の追撃を開始し、この間に1分47秒884の自己ベストラップも記録したエドワーズは、玉田誠(ホンダ)、R・ド・ピュニエ(カワサキ)、ロバーツらをパスして9番手まで浮上した。そして最終ラップで中野が転倒したことから、エドワーズはひとつ順位を上げて8位。目標にしていた表彰台の獲得は実現できなかった
テック3・ヤマハ・チームのチェカは200戦目のグランプリ出場。フリープラクティス、予選と調子が上がらず、決勝も思うような走りができず、チェカとチームメイトのJ・エリソンは、それぞれ14位、15位のポイント圏内でチェッカーを受けた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 43'13.585 |
2 | V・ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 5.088 |
3 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 8.378 |
4 | S・ジベルナウ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 9.712 |
5 | N・ヘイデン | RepsolHonda Team | Honda | 11.944 |
6 | T・エリアス | Fortuna Honda | Honda | 18.108 |
7 | D・ペドロサ | RepsolHonda Team | Honda | 19.937 |
8 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 22.492 |
9 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 26.824 |
10 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 30.970 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 39.263 |
12 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 39.440 |
13 | 秋吉 耕祐 | Team Suzuki MotoGP | Suzuki | 45.595 |
14 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 49.571 |
15 | J・エリソン | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'09.085 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | N・ヘイデン | Honda | 236 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 224 |
3 | M・メランドリ | Honda | 209 |
4 | L・カピロッシ | Ducati | 205 |
5 | D・ペドロサ | Honda | 202 |
6 | C・スト―ナー | Honda | 119 |
8 | C・エドワーズ | Yamaha | 104 |
15 | C・チェカ | Yamaha | 60 |
18 | J・エリソン | Yamaha | 21 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 319 |
2 | Yamaha | 262 |
3 | Ducati | 218 |
4 | Suzuki | 136 |
5 | KR211V | 110 |
6 | Kawasaki | 94 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(2位)
「今日のこの2位は本当にうれしいよ! セパンのようないいバトルではなかったけれど、自分自身のリズムはとても良かったしマシンも絶好調だった。今朝のウォームアップでは少し問題もあったんだけど、いつものようにメカニック、ヤマハのエンジニア、ミシュランのスタッフたちが頑張ってくれて最後の最後にうまくセッティングを変更できたんだ。
序盤は少し乗りにくかったが、そのうちにリズムをつかむと徐々にメランドリとの差を詰めていくことができた。そして彼をパスした後は、カピロッシを追ってプッシュ。そのときにファステストラップが出るなど好調だったんだけど、ロリスは僕が追いついて来るのに気づくとまたペースを上げてしまったんだ。とても速くてどうすることもできなかったよ。マシンのほうは金曜の朝からずっと好調。こんな素晴らしいマシンを準備してくれたみんなに感謝している。すべてが僕らの味方をしてくれたような感じで、そんなときにはライバルたちにとってはかなり厳しい状況になるよね。あまり好きではないこのコースで20ポイントを取ることができたのだから、僕にとっては上出来。これでヘイデンとの差はわずかに12ポイント。あと2戦残っているから、この調子でいけば決して不可能じゃないよ!」
C・エドワーズ選手談(8位)
「スタートはうごくうまくいったんだけど、その後の1コーナー出口でペドロサが寄ってきて押し出されそうになったもんだから、まずはそれに対処しなければならなかった。そうこうするうちにスピードが落ちて三人に抜かれてしまったので、そこから追い上げていかなければならなくなったんだ。
玉田とド・ピュニエを抜くのに少し時間がかかったが、その後はただひたすら体を伏せてリズムをキープして走った。ラップタイムも上がってきて、これまでの2日間同様にコンスタントにペースをキープできた。それでもまだ、グリッドポジションと1コーナーでのアクシデントを埋め合わせるには足りなかったということだ。しかも15周目くらいからはリアをホールドしにくくなってコーナースピードが落ちてきてしまったので、状況はより厳しくなった。もちろんとっても悔しいよ。しっかり作戦を立ててあったのに、スタートポジションと1コーナーですべてが無駄になってしまったのだからね。そのなかでも良かった点は、フリープラクティスから決勝まで同じように良いペースを維持できたことかな」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「とても重要で、非常に意味のある一戦だった。我々はこれでまた9ポイントを縮め今後に可能性を残すことに成功した。今日のロリスはとても速くて、バレンティーノはついていくことができなかった。でも目標にしていた表彰台を獲得できたのだから満足だ。コーリンはレース前に掲げていた目標に届かず残念。原因がなんだったのかこれから分析しなければならない。残りはあと2戦。コーリンがまたトップグループに戻ってこられるように、我々がしっかりサポートしたい。
最後の3週間は大変なエネルギーがいるし、チームの全員に努力と集中力が要求される。彼らがそれにしっかりと応えてくれていることをありがたく思っている。最後の戦いに向けてチームを奮い立たせ、残る2戦も引き続き好成績を挙げていきたい」
C・チェカ選手談(14位)
「手放しで喜ぶことはできないけれど、少なくともベストを尽くせたので非常に満足している。一方で結果が目標に遠く及ばなかったので残念なんだ。金曜・土曜の2日間、膨大な数のタイヤをテストしたのでタイヤ選定がちょっと大変だったけれど、結果的には悪くないものになった。今年は全体のペースがかなり上がり、そのぶん自分たちの進化をアピールするのが難しいが、決勝で1分49秒台をキープできたのだから悪くない。昨年はこのタイムで4位だったからね。
ただダンロップにはさらなる進化を期待したいね。ずっとスズキのライダーたちと走っていて、抜いたり抜かれたりと何度も順位を入れ替えた。するとその間にタイヤの美味しいところを使いきって、ついていけなくなってしまった。でもいいバトルが展開できた。こういうことも自分にとっての鍛錬になるし、それにエンジョイできた。
ここのように苦労することもあれば、前回のフィリップアイランドのような好調もある。ただあのときはウエットタイヤがマッチングしなかったんだ。目標とするところはとにかく進化し続けること。自分自身も含めてね。さまざまなトラブルや制限のなかで戦っているのでいろいろな問題はあるけれど、素晴らしいチャンスを与えられていると思っている。だからこれからも前進あるのみ、勉強あるのみだ」
J・エリソン選手談(15位)
「金曜・土曜の苦しみを考えたらそれほどひどい結果じゃないんだ。このところの数戦では最も楽しかったし大勢とバトルできて、しかもチェカから大きく離されることもなかった。もちろん一つでも上がいいに決まっているけれど、完走してポイントも取れたのだから満足。実際僕のなかではこれまでで最高のレースと言ってもいいだろう。
でもその一方で本当ならもっともっと速く走れるとわかっているので悔しい気持ちもある。いろいろな問題がもしもなかったとしたら、どれほど速く走れることか? 厳しい状況のなかでここまでできたこと、そしてチームが僕ら二人の走りに満足してくれていることはうれしい。もちろん、これに満足することなくもっと上を目指したい」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「確かに今回は厳しいウィークエンドだった。金曜日と土曜は大変苦しんでいたが、結果的には意義あるレースとなった。ただオーストラリアGPからマシンとタイヤのパッケージングは好調を維持していただけに、少し残念だ。セッティングが十分でない中で、今回は二人とも頑張って15位以内に入りポイントを獲得できた。実は朝のウォームアップ走行直後は、そこまで期待できないかと思っていたんだが。今回はダンロップ社の会長や首脳陣の方々が来られチームの努力や現場を見てくださり、今後我々が何を必要としているかを確認してもらった。大変ありがたいことであり、今回の経験は今後の我々のレベルアップに繋がると思う。
シリーズ戦は残り2戦。今回の教訓を次に生かし、さらにハードワークを続けUSGPでの7位をさらに上回る成績を目指そうと思う。それは可能だしぜひ達成したい。それにしてもロッシ選手とヤマハの素晴らしいレース展開を祝福したい。この結果でチャンピオンシップにまた一歩近づいたと思う」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「昨年は思うような結果が得られず、今年は雪辱を期すべくスタッフ一同全力を尽くしました。ロッシ、エドワーズ両選手とも初日からセッティングがまとまり安定して上位につけることができ、予選はロッシ2番手、エドワーズ10番手となりました。二人ともレースタイヤでは非常に良いタイムを記録していたため決勝に期待がかかりました。
決勝はロッシ選手2位表彰台。エドワーズ選手は8位、テック3・ヤマハ・チームのライダーも14位、15位となり4選手とも完走しポイントを獲得しました。優勝こそ逃したもののチャンピオンシップポイントは9点縮まり12点差まで追い上げることができたのは大きな成果でした。残り2戦、チャンピオン獲得に向け邁進します。次戦、第16戦はポルトガルGPです。今後とも皆さんの声援をお願いします」