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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.14 9月17日 オーストラリア

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第14戦オーストラリアGP
■開催日:2006年9月17日(日)決勝結果
■オーストラリア/フィリップアイランド(4.448km)
■観客数:44,627人
■周回数:26周(115.648km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:23度 ■路面温度:33度
■PP:N・ヘイデン(ホンダ/1分29秒020)
■FL:V・ロッシ(ヤマハ/1分30秒917)

REPORT

ロッシ、チェッカー直前の追い上げで3位表彰台!
ランキング首位ヘイデンとは21ポイント差へ

【速報】

予選3番手のV・ロッシは、中盤一時8番手まで順位を落とすも挽回、チェッカー寸前でS・ジベルナウ(ドゥカティ)を振り切り3位表彰台をもぎ取った。ランキング首位のN・ヘイデン(ホンダ)は5位。D・ペドロサ(ホンダ)は15位(1ポイント)に終わり、ロッシはランキング単独2位に浮上、ヘイデンとの差は21点に縮まった。優勝はM・メランドリ(ホンダ)、2位に地元のC・バーミューレン(スズキ)が入った。C・エドワーズは8周目に7番手を走行中、転倒してリタイヤとなった。

重たい雲の中でのウォーミングアップランで小雨がパラつき、ウエット宣言のもと始まった決勝。ライダーたちにはグリッド上でタイヤを換えるチャンスが与えられたが、路面は依然としてドライに近かったため、全員がスリックのままスタート。ホールショットは中野真矢(カワサキ)で、続いてエドワーズ、メランドリ、K・ロバーツ(ホンダKR)、ジベルナウらがつける。ロッシはスタートでやや出遅れ1周目は10番手。

スタート直後様子を見ていたロッシは、3周目ごろから追い上げを開始。前をいくJ・ホプキンス(スズキ)、ロバーツ、エドワーズ、ペドロサ、メランドリらを次々パスして5周目には単独3番手に上がる。トップの中野、2番手ジベルナウ、3番手にロッシ…、と順位が落ち着いてきた7周目頃から雨足が強くなり、各選手が次々とピットイン。雨天用にセットアップしたスペアマシンに乗り換える「フラッグ・トゥー・フラッグ」※レースの初シーンが見られる。

この間の各選手のピットイン・アウトで順位が変動。ピットイン後の順位が安定してきたのは11周目頃からで首位ジベルナウ、2番手バーミューレン、3番メランドリとなり、ロッシはこの周7番手で通過する。

その後ロッシは、ヘイデンと7~8番手、6~7番手争いを展開するが、ロッシが抜け出し順位を上げる。さらに中野、ストーナーをパスして単独4番手にまで挽回すると、ヘイデンもそれを追い20周目以後はロッシのすぐ後にコンマ数秒差でつく接近戦に。首位のメランドリはその後も独走し2位以下に約10秒の差で最終周へ。2番手のバーミューレンに約2秒遅れてジベルナウ、ロッシ、ヘイデン、C・ストーナー(ホンダ)の4選手が約2秒内に入る集団で最終ラップへ突入。そしてゴール寸前でロッシはジベルナウを僅差でかわして3位となった。

※フラッグ・トゥー・フラッグ:従来はレース中に雨が降ってきた場合、走行継続が危険と判断された時点で競技監督が中断を宣言し、再スタート後の第2レースの結果を最終結果としていた。2005年シーズン途中で規則が変更され、レース中に雨が降ってきた場合は、中断せず選手はピットインしてマシンを交換しても良いという規則になった。今GPは、この規則が適用された初レースとなった。レースを中断しないという意味で「フラッグ・トゥー・フラッグ」レースと呼ばれる。

【レース展開】

めまぐるしく変わる天候に翻弄される難しいコンディションのなかで、キャメル・ヤマハ・チームのロッシが最終ラップの逆転劇で3位表彰台を獲得した。

ウォームアップラップで小雨が降り出したためウエット宣言が出されて始まった決勝。ライダーたちにはグリッド上でタイヤを換えるチャンスが与えられたが、路面は依然としてドライに近かったため、全員がスリックのままスタートした。ロッシはフロントロウから出遅れて10番手まで後退。その後3番手まで挽回したが、まもなく雨が強くなり始めたため8周目にピットイン。

またチームメイトのエドワーズも同ラップにピットインしようとしていたが、その矢先に第2コーナーで水たまりにタイヤをとられて転倒しリタイヤ。このときエドワーズはマシンから投げ出されて背中から落ち、かなり強打したが、幸い怪我はなかった。

ここ数戦のなかでも今回はかなり好調で、期待も高かったエドワーズにとって、このクラッシュは大きな痛手となった。金曜日のフリープラクティスでは、予想以上に低い気温にも悩まされて適切なセッティングが見つからず苦労した。しかし土曜日になるとピットクルーたちと協力し合ってリアタイヤのグリップ向上に成功するなど、この日一日で前日までのタイムを2秒近く短縮しグリッドの好位置を確保。ロッシが3位を獲得してフロントロウ、そこから2つ後ろの5位にエドワーズ。今季最高のレースが期待されていた。ところがまたしてもバッドラックが待っていたのだった。

一方のロッシはピットインしてマシンを乗り換え、その間の40秒の遅れを取り戻すべく再度コースに戻って行った。しかしその直後はウエットタイヤに慎重になるあまりC・チェカ、バーミューレン、ストーナー、ホプキンスらの集団に飲み込まれてしまう。その後しばらくヘイデンとバトルを展開したが、その間に徐々に路面が乾き始め、ウエットタイヤの挙動が読みにくくなったために、また数周に渡ってコースコンディションをチェックした。それから2周のうちにホプキンスをパス。さらにその前の集団を追って行くとチェカも捕らえて前へ出たが、まもなくヘイデンに抜かれまたポジションダウン。その後二人は4ラップに渡ってバトルを繰り広げたが、ロッシが抜け出すと、さらにストーナー、中野もパスして4番手に浮上した。

残り8周となったこの時点で3番手のジベルナウとの差は約7秒。ヘイデンが依然としてテールに食らいついていて、また路面コンディションはところどころ完全なドライになった難しい状況のなかで、ロッシはしっかりと目標を定めラップごとにジベルナウを追い詰めてその背後に迫った。そして迎えた最終ラップ、最後の長い最終コーナーに差し掛かった時、タイヤをわずかに多めに残していたロッシが早めに立ち上がり、0.089秒という僅差でジベルナウを抑えて逆転した。

この見事なパッシングにより3位表彰台を獲得したばかりでなく、ランキングではD・ペドロサを抜いて2位に浮上。またヘイデンが5位に留まったことからポイント差をさらに5ポイント縮めることができた。優勝はメランドリ。2位にはバーミューレンが入った。

テック3ヤマハ・チームのチェカは予選6位を獲得する好調ぶりで期待されていたが、難しいコンディションのなかで実力を出し切れず残念な結果に終わった。雨が降り出すと真っ先にピットに戻ったのがチェカとそのチームメイトのJ・エリソン。これが功を奏してチェカは一時2番手に上がったが、ウエットタイヤのセッティングが不十分だったことと、めまぐるしく変わる路面コンディションのためにタイヤの消耗が激しく、再度ピットインしてマシンを交換する事態。エリソンは16位で完走したが、チェカは転倒リタイヤを喫した。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 M・メランドリ Fortuna Honda Honda 44'15.621
2 C・バーミューレン Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 9.699
3 V・ロッシ Camel Yamaha Team Yamaha 10.526
4 S・ジベルナウ Ducati Marlboro Team Ducati 10.615
5 N・ヘイデン Repsol Honda Team Honda 10.694
6 C・ストーナー Honda LCR Honda 11.323
7 L・カピロッシ Ducati Marlboro Team Ducati 26.555
8 中野 真矢 Kawasaki Racing Team Kawasaki 26.666
9 T・エリアス Fortuna Honda Honda 57.234
10 玉田 誠 Konica Minolta Honda Honda 1'02.231
11 R・ド・ピュニエ Kawasaki Racing Team Kawasaki 1'02.432
12 J・ホプキンス Rizla Suzuki MotoGP Suzuki 1'18.809
13 A・ホフマン Pramac d’Antin MotoGP Ducati 1'48.233
14 K・ロバーツ Team Roberts KR211V -1 Laps
15 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda -1 Laps
16 J・エリソン Tech 3 Yamaha Team Yamaha -2 Laps

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 N・ヘイデン Honda 225
2 V・ロッシ Yamaha 204
3 M・メランドリ Honda 193
4 D・ペドロサ Honda 193
5 L・カピロッシ Ducati 180
6 C・ストーナー Honda 119
9 C・エドワーズ Yamaha 96
15 C・チェカ Yamaha 58
18 J・エリソン Yamaha 20

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Honda 303
2 Yamaha 242
3 Ducati 193
4 Suzuki 131
5 KR211V 103
6 Kawasaki 94

COMMENT

V・ロッシ選手談(3位)

「セッティングが決まっていたからドライだったらもっと上へ行けたと思う。だから今日の3位は少し残念。でも天気のことは僕にはどうしようもないし、こんな状況で3位に入れたことを、むしろありがたく思わなくてはね。それに3位とはいえ、ニッキーとの差を詰めることはできたのだから良かったよ。マシンを換えてから、初めのうちはウエットタイヤのフィーリングがあまり良くなくて順位を落としてしまうことになった。でもこれは僕自身のミスだと思う。というのも、リズムをつかんでからはYZR-M1は好調に走ってくれてハードにプッシュできるようになったんだ。だからレース終盤は満足の走りができた。
セテとの差が7秒あったのに、詰めてやろうと決めてトライしたらパスできた。マシンもミシュランも最後まで良く走ってくれた。赤い点だったセテのマシンがどんどん大きく見えてきて、最終コーナーでついに捕らえたときはとても気分が良かったよ。もちろんここで6勝目を挙げたかったけれど、素晴らしいファンの前で表彰台に上れたのだからうれしい。これでポイント差は21。依然として大きな差だが、決して不可能ではない」

C・エドワーズ選手談(リタイヤ)

「本当に悔しい。実際、好スタートを切ることができて、その後も気分良く走れていたんだ。でも今日のようなコンディションでのレースはとても危険。誰かが転ぶまで走るしかない、誰もがそんなふうに考えていたと思う。そしてその誰かが、つまり僕だったと言うわけだ。実はちょうどピットインしようとしたところで、ストレートを下りながら足を出してスタッフに合図をしていたんだ。だからあのときはもう攻めてなどいなかったのに…。ブレーキングも加速も弱めていて、ゆっくりと第2コーナーに入って行った。そしたらリアが流れて、それからまた立ち上がって僕の体が投げ出されてしまった。路面にかなり強く叩きつけられて今も背中が痛いんだ。何しろ悔しいのが、今回は本当にいいマシンができ上がっていたということだ。晴れてくれていたら、トップを狙っていけたんだ」

D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談

「コーリンがけがをしていなかったとわかってホッとしている。でも今回はフリープラクティスで見事な仕事ぶりを見せてくれて、今日もとても良く乗れていただけに、こんなことになったことは残念で仕方がない。バレンティーノに関しては、こんなに難しいコンディションのなかでもヘイデンに対して5ポイント多く獲得することができた。いつミスをおかしても不思議でないような状況のなかで確実なレースができたのだから、とても良い結果だと考えていいと思う。この厳しい状況を克服するためチームのみんながとても良く頑張ってくれた。狙い通りの成績とは言えないが、総合的に見てとても満足のいく結果だ」

C・チェカ選手談(リタイヤ)

「チーム全員が同じ思いだが、今日は非常に残念だ。でもこのような天気の下ではどうにもならないこともある。スタートはうまくいって2番手につけることができたが、タイヤがもたず、数周するうちにひどい状態になってしまった。これ以上走れば危険なので、ピットに戻ることにしたんだ。再びコースに戻ったあと、低速コーナーでリアを滑らせ転倒した。

ウイークを振り返ってみれば全体的には得るものも多く充実していたと思う。でも決勝は天候に翻弄されてしまった。こればかりは僕らにはどうすることもできない。ベストは尽くしたが、こういう結果に終わったということだ。レースはまだ残っているので、これまでのみんなの努力が報われるような成績を挙げたい」

J・エリソン選手談(16位)

「とても奇妙なレースだったよ。雨が降ってきてからピットに戻りタイヤを換えたが、トラクションが全然ないので再度ピットインしてまた交換。それでもまったくグリップしてくれなかったんだ。何とかコースに出ていったが、マシンを立たせているだけで精一杯というような状態だった。自分たちの力を超えたところの事態に対処しなければならないような戦いで、とにかく僕は、真っ先にピットインしてタイヤを換えたライダーとして歴史を作ったね!

今日のレースは完敗、でも来週のもてぎにすべてを賭けるよ。来週がまた同じような状況にならないとも限らないわけだけれど、少なくとも今回で多くのことを学ぶことができたのだからポジティブにいきたいと思う」

H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談

「雨が降り始めるまでは、とてもうまくいっていたんだ。それだけにこうした結果に終わったことが非常に悔しい。ウイークを通じてずっと、タイヤは決勝用も予選用もとても感触が良かった。残念ながら決勝では雨が降ったが、カルロスとジェームスは誰よりも早くピットに戻ってきてタイヤを換えた。これは正しい判断だったと思う。しかもカルロスはこれで2番手に上がったのだから完璧と言っていいだろう。ところが3周もするとタイヤが消耗してしまったため、再度ピットインを余儀なくされ、今度はインターミディエイトを履いて出て行ったんだ。でも残念ながら転倒してしまった。ウェットコンディションでの練習ができていなかったことが問題。レースタイヤは本当に良くなったと思うが、これからはウエットタイヤについても作業を行っていかなければならない。今日はそのことを学んだよ。今はとてもがっかりしてしまっているが、次のもてぎが晴れることを祈って、さらに確実な作業を続けていきたい」

辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)

「モトGPで初めての“フラッグ・トゥー・フラッグ”レースとなり、ドライからウエットへとコンディションが変わる中、ロッシ選手が3位表彰台を獲得。チャンピオンシップポイントも2位になったのに加え、トップから21ポイント差となりました。予選はヤマハ勢が好調さを見せ、セカンドロウまでに3台が並ぶ結果を得ることができ、レースにも期待がかかりました。

決勝では、スタート直前に小雨がパラつき始めたものの全車ドライセッティングにてスタート。直後に雨足が強くなり、ウエットセッティングで準備したスペア車両に乗り換えレースを継続。車両交換後一時は8番手まで後退したロッシ選手でしたが、フィニッシュライン直前で前車をかわし0.089秒の僅差で3位を獲得しました。予選5番手スタートのコーリン選手はスタート直後に2位までジャンプアップするも、雨に足をすくわれ転倒、リタイヤとなりました。テック3・ヤマハ・チームのチェカ選手もタイヤ交換直後に転倒、リタイヤ。エリソン選手は刻々と変わるコンディションの中、我慢のレースを行い16位で完走しています。次戦は翌週、日本のもてぎでのGPとなります。グランドスタンドをヤマハカラーに染めるぐらいの応援を期待しています。ぜひもてぎでお会いしましょう」

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