ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 9月17日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第14戦オーストラリアGP
■開催日:2006年9月15日(金)フリー、16日(土)予選、17日(日)決勝
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド
CIRCUIT DATA
■開設:1956年
■コース長:4.448km
■2005年のPP:1分29秒337(N・ヘイデン)
■2005年のFL:1分30秒332(M・メランドリ)
■2005年の優勝者:V・ロッシ
REPORT
相性抜群のフィリップアイランド
次回のMotoGPはオーストラリア、メルボルン近郊のフィリップアイランド。キャメル・ヤマハ・チームは今週末、前回のマレーシアから南半球へと移動する。例年よりも約1カ月早い開催のため、春のような気候のもと、チャンピオン争いがいよいよ佳境を迎えることになる。
V・ロッシはマレーシアGPで今季5度目の優勝を果たし、絶好調のまま第14戦を迎える。L・カピロッシ(ドゥカティ)との熾烈な戦いを制し25ポイントを獲得したロッシは、現在ランキングトップのN・ヘイデン(ホンダ)との差を26ポイントにまで短縮した。フィリップアイランドとの相性は抜群で、最高峰クラスで5年、さらにその前にはGP250で2年に渡って勝利をおさめている。
一方、チームメイトのC・エドワーズは、優勝争いを展開した第8戦ダッチTTのときのような好調を取り戻すべく懸命に戦っている。フィリップアイランドはアッセンと同様に好きなコースの一つで、世界選手権スーパーバイクでは大きな成功もおさめている。このところマシンセッティングに悩まされてきたが、相性の良いこのコースで何とか状況を変えたいところだ。
COMMENT
V・ロッシ選手談 ー “特別な場所”
先週末にはマレーシア、セパンサーキットで、またも歴史に残ることになりそうな激しいバトルを繰り広げて優勝した絶好調のロッシ。今は次のレースが待ちきれない思いだ。ポイントリーダーのヘイデンに着実に迫っており、今週末またポイント差を詰めるチャンスがやって来る。
「正直なところ、僕はいつもこのレースをとても楽しみにしている。しかも今はとくに、YZR-M1の調子がいいのでなおさらだ。オーストラリア、そしてフィリップアイランドはとても美しくて特別な場所。チームには大勢のオーストラリア人スタッフがいるから、今回はチーム全体にとっても大切な一戦。彼らにとってはホームレースというわけで、僕にとってのムジェロと同じ意味をもつレースなんだ。彼らの日頃の努力に報いるためにも頑張りたい。
フィリップアイランドはまた、僕にとっての魔法のサーキット。ここで何度も優勝し、何度かチャンピオンを決めている。“オールドスタイル”のコースの一つで、本当に大好きなんだ! 今シーズンはここでテストはできなかったが、YZR-M1はこのコースとの相性がいいから大丈夫。ただ今回はとても寒いみたいだからタイヤチョイスは難しくなりそうだ。
ラグナセカ以来、タイトルの可能性については考えないようになっていたが、ブルノの後で自分にこう言い聞かせたんだ。“OK。まだチャンスはある。トライあるのみ”ってね。今の僕の目標はとにかく毎レース勝利を狙っていき、一つでも多く勝つこと。そしてその後は最終戦のバレンシアを待つだけだ」
C・エドワーズ選手談 ー “ネクスト・チャレンジ”
エドワーズもまたフィリップアイランドへの思い入れは非常に強い。スーパーバイク時代には2001年の優勝を含め8回も表彰台に上るなど好成績をおさめてきた。またここオーストラリアにはエドワーズのファンが多く、親戚や友人を含め、大勢がいつも彼を支えている。
「父がオーストラリア人なんだ。だからフィリップアイランドは僕にとっても、ちょっとホームレースのような感じがしているんだよ。オーストラリアのファンは素晴らしくて、いつも大勢かけつけて僕を楽しませてくれる。バレンティーノと同様に僕もこのコースが大好きで、スーパーバイクを含めてこれまでにも何度かいい走りをして印象に残っている。僕らのバイクに合っていると思うが、今回は時期が少し早くて気温が低そうだから、タイヤのことは少し心配だ。何しろ前回のマレーシアは散々な結果に終わってしまったので、今回こそ何かをつかみたい。ここでどうしても好成績が欲しいんだ」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談 ー “一致団結して!”
二人のライダーにとって大好きなコースであり、またメカニックの多くにとってホームグランプリとなる今大会を、ブリビオもまた非常に楽しみにしている。ここフィリップアイランドはチームにとって最高の環境なのだ。このなかでチームはさらに結束を増し、シーズン最後の戦いへと向かっていくだろう。
「二人が好きなコースなんだから楽しみだよ。またチームスタッフの多くがオーストラリア人だから、長く厳しいシーズンを戦い続けた彼らが故郷へと戻れることもうれしい。彼らにはここでバッテリーを充電してもらい、またこの後に待っている大切な戦いに備えてもらいたい。日本人からイタリア人までチームスタッフの全員が、タイトルの可能性を残し続けるために懸命に頑張っている。今回の目標もまさにそれだ。
この3連戦はチームにとっても大変な負担となるが、ひたすら懸命に、一つ一つ集中して戦っていくだけ。マレーシアでの優勝は人々に大きな感動を与えたが、今回もまた見応えのあるレースを披露してくれるだろう。できればコーリンも上位グループに入って戦ってもらい、バレンティーノが少しでもチャンピオンに近づけるように助けてもらえればいいが」
P・アルブス談(ミシュランのタイヤ技術者) ー “テクニカル情報”
フィリップアイランドで好タイムをコンスタントに出すためには、ただマシンが速いだけでは不十分だ。ここの流れるようなレイアウトは、ライダーにマシンコントロールやスロットルワークの正確さを要求する。勇敢さや力だけでは役に立たない。崖に面した吹きさらしのバス・ストレートなどもあり、天候がいつも気になるところ。とくに今年は開催時期が早く低温が予想されていることから、タイヤチョイスが非常に重要な要素になる。
「例年とはかなり違ったものになってくるだろう。この時期にフィリップアイランドを走ったことがなく、今回は相当な寒さが予想されるからだ。いつもならば左側がハード、右側にはそれよりはいくらか柔らかく、でもソフトすぎないものを使用している。でも今回は気温が低くなってグリップの効果が減らされてしまうから、最適なコンビネーションとバランスを見つけ出すのはかなり難しそうだ。
例年はオフシーズンにテストを行うのでベースのデータがそろっているが、今回はテストをしていないためYZR-M1とのマッチングの状況はわからない。でもタイヤに関しての最大の要素と言えば、やはり天候ということになる。初めてのことに直面するわけだから大変だが、この最もやり甲斐があり面白いレースに真っ向から立ち向かっていく」