ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月24日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦ダッチTT(オランダGP)
■開催日:2006年6月24日(土)決勝結果
■開催地:オランダ/アッセン(4.555km)
■観客数:91,500人
■周回数:26周(118.43km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:29度
■PP:J・ホプキンス(スズキ/1分36秒411)
■FL:N・ヘイデン(ホンダ/1分37秒106)
REPORT
エドワーズ、首位を走るもゴール寸前の転倒で13位 ロッシは8位完走!
キャメル・ヤマハ・チームのC・エドワーズとN・ヘイデン(ホンダ)の一騎討ちは最終ラップ最終シケインにもつれ込むが、グラベルに乗りバランスを崩したエドワーズが転倒し決着。ヘイデンが今季初優勝。エドワーズは再スタートし13位となった。V・ロッシはグリッド最後尾スタートから追い上げて8位だった。
レースは予選3番手、フロントロウ発進のエドワーズのホールショットでスタート。これにJ・ホプキンス(スズキ)、中野真矢(カワサキ)、ヘイデンが続く。まもなく中野が遅れヘイデンが3番手に浮上、首位のエドワーズ以下3人のアメリカ人ライダーが上位を走る。エドワーズはその後も1分37秒台の安定したペースで首位を走行。その後方では9周目にヘイデンがホプキンスをかわし2番手に浮上する。中盤以降はエドワーズが0.5~0.7秒のリードを保ちレースが進んでいくが、20周目を境に接近。21周目からは0.1秒差の文字通りのテール・トゥ・ノーズで終盤を迎える。
迎えたラスト2周のシケイン、ヘイデンがエドワーズのインをさしてトップに浮上。一方エドワーズはそこで行き場を失ってコースアウト。すぐコースに戻るが約1秒のリードを奪われてしまう。しかしラストラップ、エドワーズが猛烈な追い上げをみせヘイデンを捕らえ再び首位に返り咲く。そして最終シケイン、エドワーズが1つ目のシケインをクリアしたとき、すぐ後方のヘイデンが曲がりきれずコースを外れる。と同時にエドワーズは次の左切り返しのグラベルに乗りあげ転倒。コースに戻ったヘイデンが今季初優勝を果たした。エドワーズは再スタートして13位完走となった。
金曜のフリー走行で激しく転倒し右手首と左足を痛め予選を途中で切り上げたロッシは、18番手最後尾スタート。スタート直後は16番手だったが確実な追い上げを見せる。7周目にL・カピロッシ(ドゥカティ)を抜いて12番手に上がると、9~12周目は上位陣と同様の37秒台を連発し先行するライダーを追撃。16周目に玉田誠(ホンダ)、17周目にC・バーミューレン(スズキ)を抜くと、21周目にはテック3・ヤマハ・チームのC・チェカを抜いて9番手に。最終周のエドワーズの転倒で8番手とし、チェッカーを受けた。
今季自己ベストの予選8番手グリッド、3列目発進のチェカは、ロッシに続く9位でゴール。チームメイトのJ・エリソンは4周目12番手走行中に転倒しリタイヤに終わった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 42'27.404 |
2 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 4.884 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 7.525 |
4 | C・ストーナー | Honda LCR | Honda | 7.555 |
5 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 8.078 |
6 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 17.065 |
7 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 18.090 |
8 | V・ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 23.951 |
9 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 29.027 |
10 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 31.627 |
11 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 32.841 |
12 | A・ホフマン | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 34.143 |
13 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 40.412 |
14 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'03.648 |
15 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'17.303 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | N・ヘイデン | Honda | 144 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 102 |
3 | L・カピロッシ | Ducati | 100 |
4 | V・ロッシ | Yamaha | 98 |
5 | M・メランドリ | Honda | 98 |
6 | C・ストーナー | Honda | 78 |
7 | C・エドワーズ | Yamaha | 63 |
15 | C・チェカ | Yamaha | 31 |
18 | J・エリソン | Yamaha | 12 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 176 |
2 | Yamaha | 127 |
3 | Ducati | 109 |
4 | Suzuki | 64 |
5 | Kawasaki | 57 |
6 | KR211V | 55 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(8位)
「本当に厳しいレースだったが、ドクター・コスタをはじめクリニカ・モービルのスタッフ全員が僕のために懸命に頑張ってくれたおかげで最後まで走りきることができた。痛みがあり、とくにスタートでは力をすべて出すことはできなかった。スタートは本当に心配していたが、いざ始まると一気にアドレナリンが出て、うまくいくと思えるようになった。そしてレース中盤になると調子も出てきて楽しくさえなってきた。
最後の3周は手の力がなくなっていたが、何とかしがみついて8位、貴重なポイントをつかみとった。こうした難しい状況のなか、チームは今回もとても良く頑張ってくれた。プラクティスで転倒してあまりたくさん走れなかったためデータも不十分だったと思うが、今日はマシンもタイヤも素晴らしかった。だからみんなにお礼を言いたい。でもコーリンのことは本当に残念。とても乗れていて優勝をほぼ手に入れていながら、最後の最後にミスをしてしまったんだからね」
C・エドワーズ選手談(13位)
「今の僕に何が言える? もちろん悔しいよ、だって勝てるレースだったんだから。マシンは初めから絶好調で、とても気持ち良く走れていた。予選のときから他のライダーたちは僕のペースについてこれなかったし、決勝でも同じだった。スタートも思い通りにできて、後はただひたすらハイペースをキープするだけ。ところがラスト2周目、ニッキーがインから飛び込んできて、その後がすごく遅いもんだから、僕はマシンをターンさせることができなくなってしまった。それで、そのまままっすぐにコースアウト。でも幸いコースに戻れる場所だったので、コースに戻りヘイデンを逃さないように必死に追いかけた。そしてついに彼を捕らえてトップを奪い返すと、今度は抜き返されないようにディフェンシブなラインを選び最終のコーナーを立ち上がろうとしたんだ。ニッキーがまさかコースアウトしているとは思っていなかった。知っていたら、そこまでする必要はなかったんだから。それで結局タイトに寄り過ぎてリアがコースをはずれ、スロットルを開けたところで僕はマシンから投げ出されてしまった。まさに死力を尽くしたが、本当に残念だ」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「素晴らしいレースだった。そしてコーリンは後ほんの数メートルというところで優勝を逃した。私達としても勝利のシャンペンをほとんど口にしたも同然だったので非常に残念。まさか最後にこんなことになるとは…。最終ラップの戦いは本当に素晴らしくて、結局転んでしまうことになるとは本人も考えてもいなかっただろうが、これがレースというものだ。またバレンティーノも良く頑張ってくれた。彼の精神的、身体的な強さには本当に驚かされる。我々二人のライダーに誇りを感じるよ」
C・チェカ選手談(9位)
「ライバルたちと互角の戦いができるようになったことをみんなで喜んでいる。序盤はメランドリやペドロサについていこうとしたが、彼らは徐々にペースが上がり逃げてしまった。僕のほうはフロントのフィーリングがあまり良くなかったので自分のペースをキープしたほうが良いと思ったんだ。そのあと玉田をパスし、さらに少しずつ上げてバーミューレンも捕らえることができた。ロッシが来ているのが見えたので何とかついていきたかったが、その頃にはフロントのチャターがひどく、転倒のリスクを避けて完走を目指した。せっかくのチームの努力を無駄にしたくなかったからね。でもシーズンの序盤に比べたら本当に速くなっているし、上位陣にどんどん近づいている。ダンロップの努力も素晴らしく、今では手強いライバルたちと互角に戦える。この2戦でまた大きく前進し、トップから1秒差というところまで来ることができた。だからこれからは、さらにその先へ進みたい。他のライダーとバトルできるのが、今は楽しくて仕方がない」
J・エリソン選手談(リタイヤ)
「リタイヤは非常に残念だが、得るものは大きかった。スタートはとてもうまくいって、その後も気分良く乗れていた。誰かが仕掛けてくれば、よりアグレッシブになれたし、他のライダーのフロントホイールが並んできたら、それを抑える自信もあった。でも1コーナー進入でちょっと熱くなり過ぎてフロントから転倒してしまった。気分良く乗れていたから、ハードにプッシュし過ぎてしまったんだろう。つかみかけていた好成績を逃すことになり、休みもなく頑張ってくれたスタッフのみんなには本当に申し訳ない。ここまで順調だっただけに何とか好成績を残したかったが、これをバネにして次のドニントンに臨みたい。足首にちょっとダメージがあり、今はまだ歩くのが辛い状態。でも1週間あるので何とかなると思う」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「とても良かったと思う。決勝結果にも予選にも満足。バルセロナのあと、さらにもう一歩前へ進むことができたのだから。先週と同じ8位に入りたかったところだが、それよりも全体として上位との差を縮められていることのほうが我々にとっては意義が大きい。今回はスズキ+ブリヂストンのバーミューレン、ホンダ+ミシュランの玉田という素晴らしいライダーと互角に戦い、そして最終的には彼らを抑え込んだんだ。またジェームスは、とても良く乗れていたしカルロスにしっかりとついていただけに残念。でも今回は二人とも、予選で速く、決勝でも強かった。タイヤは最後までしっかりともってくれたしラップタイムも非常に安定していた。トップ4台は別としても、それ以外の多くのライダーと同等のタイムが出ているので励みになる。次のドニントンはダンロップタイヤが活躍している場所なので楽しみ。この調子で改善が続けられるように頑張るつもりだ」
辻幸一談(ヤマハ発動機モトGPグループ)
「歴史と伝統を誇るオランダはアッセンでのMotoGP第8戦となりました。今年はコースが改修されたことで、ゼロからのセッティングとなりましたが、ダッチウエザーに翻弄されながらもコーリン選手が初日から上位につけたおかげで、早くからマシンの方向性を確実なものとすることができました。予選3位のフロントロウからスタートしたコーリン選手は、ホールショットを奪った後、終始レースをリードし続けました。残り2周のところで、ヘイデン選手に抜かれはしましたが、最終ラップの最後のシケインで抜き返したのもつかの間、グラベルに捕まり転倒。残念ながらMotoGP初優勝を手中に収めることはできませんでした。しかしながら最後まであきらめず、壊れたバイクをフィニッシュラインまで運び13位。連続ポイント獲得記録を更新し続けております。
ロッシ選手は、初日の転倒でけがをし、レース出場も危ぶまれた中、最後尾スタートながら着実に順位を上げ8位でフィニッシュ。テック3・ヤマハ・チームもマシン、タイヤの開発が進んだことで、特にチェカ選手は常時中盤につける実力を得られるようになっております。次節は翌週、イギリスはドニントンパークで第9戦が開催されます。ヤマハにとっては非常に相性の良いサーキットですので、皆さんご期待ください」