ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月24日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦ダッチTT(オランダGP)
■開催日:2006年6月22日(木)フリー走行2
■開催地:オランダ/アッセン(4.555km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:22度
REPORT
エドワーズがトップタイム
キャメル・ヤマハ・チームのC・エドワーズがフリープラクティスでトップタイムをマーク。しかしチームメイトのV・ロッシは午前中のセッションで高速走行中に転倒、負傷して病院へ運ばれている。ロッシは2度目のコースインの2周目、最終シケイン手前の高速左コーナーでリアがグリップを失い転倒してしまった。サーキットのなかのクリニカ・モービルでレントゲン検査を受けたところ右手と足首に細かいひびが入っていることが判明。その後アッセン病院でさらに胸部の検査を受けたが、幸い大きなダメージは見つからなかった。ロッシは午後にはコースに戻りプラクティスに参加。12位を獲得している。
テック3ヤマハ・チームではC・チェカが、トップのエドワーズにわずかコンマ1秒差で2位を獲得。チームメイトのJ・エリソンも健闘し、トップから1.3秒差、そしてロッシのすぐ後ろの13位につけた。シーズンもほぼ中間地点まできた今、上位陣とのギャップを徐々に詰めてきており、このことはダンロップタイヤの開発が着実に進んでいることを示した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・エドワーズ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'38.144 |
2 | C・チェカ | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'38.259 |
3 | C・ストーナー | Honda LCR | Honda | 1'38.416 |
4 | K・ロバーツ | Team Roberts | KR211V | 1'38.510 |
5 | R・ド・ピュニエ | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'38.610 |
6 | J・ホプキンス | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'38.659 |
7 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'38.720 |
8 | 玉田 誠 | Konica Minolta Honda | Honda | 1'38.921 |
9 | 中野 真矢 | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'38.965 |
10 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.142 |
11 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.166 |
12 | V・ロッシ | Camel Yamaha Team | Yamaha | 1'39.458 |
13 | J・エリソン | Tech 3 Yamaha Team | Yamaha | 1'39.645 |
14 | M・メランドリ | Fortuna Honda | Honda | 1'39.647 |
15 | A・ホフマン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.248 |
16 | L・カピロッシ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.688 |
17 | J・ルイス・カルドソ | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'42.814 |
18 | I・シルバ | Pramac d’Antin MotoGP | Ducati | 1'43.699 |
COMMENT
C・エドワーズ選手談(フリー走行1番手/1分38秒144/28周)
「マシンは絶好調で、コースに出た瞬間からとても楽に走れる。コースは改修されたが依然としてバンク角は十分にあって、しっかりと負荷がかかるので、セッティングにもあまり時間がかからなかった。これまでは、M1より劣るマシンで走ってきて問題もたくさんあったが、M1は本当に素晴らしくて、今日はほとんどいじらずここまで走れてしまった。アッセンは好きなコースで好成績も何度もあったが、初めて走った1995年以来、毎年のように少しずつ改修されてきた。そして今回のものはかなり大幅な改修で、もはやMotoGPの“カテドラル(大聖堂)”とは呼べなくなってしまった。ダッチTTの魔法は確かに失われてしまったよ。そのことと、そしてバレンティーノのけがとで残念な一日でもあった。午後になって彼がピットに戻ってきてくれたときには本当にうれしかった。明日はまた一緒に、もっと速く走るために仕事ができればいいが」
V・ロッシ選手談(フリー走行12番手/1分39秒458/23周)
「僕は大丈夫。だからみんな安心してね。左足と右手首に小さなひびが入っているので、スロットルを開けたりブレーキをかけたりが少し大変なんだけど…。力が出ないし感触もあまりない。それに胸を打ってしまって長い間うまく呼吸ができなかったんだ。でも病院ですべてチェックして、その他には問題がなかったから、痛み止めの注射だけで午後にはまた復帰できた。
転倒の原因は硬いタイヤを選んでしまったこと。雨が降り出して一度停めたんだけど、もう一度走り出したときには左側のグリップが足りない感じがしていた。それでももう少し様子を見ようと思ってもう一周走ろうとしたら、高速コーナーでマシンを左に傾けたら空を飛んでしまったんだ! 大きなハイサイドで、体が路面に打ち付けられたときの衝撃はかなり強かった。今回はコーリンも証明してくれているように、マシンがとても良く走ってくれただけに本当に残念。コースは以前のアッセンとは違うけれど、そう悪くもない。とにかく明日、もっと良い状態で走れることを祈るだけ」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談
「とにかく言えることは、いつもと違う一日だったということ! コーリンが非常に好調で最初から最後までずっと速かったというのに、その一方でバレンティーノが転倒してしまったのだからね。でも、あれほどひどい転倒の後で、午後にはまた戻ってきて走ってしまうんだから驚くほかない。当然、痛みはあったが、頑張って何周か走り、我々にデータを残してくれた。コーリンが好調を維持し、バレンティーノも体調を取り戻すことができたとしたら、土曜日の決勝では二人とも表彰台のトップに立つだろうね」
C・チェカ選手談(フリー走行2番手/1分38秒259/39周)
「自分としてはもちろん、チームにとってもその努力が報われる素晴らしい結果だと思う。今はダンロップタイヤをもっともっとプッシュしていける自信がついた。リアの安定性とグリップが向上しているので、コーナーの進入も立ち上がりも速くなったんだ。もちろん常にもっと前を見ているが、今大切なのはレース距離をしっかりと走りきるための耐久性。マシンはバルセロナでフィーリングがかなり改善され、それ以来何も変わっていないが、改良点は85%をタイヤが占めている。ようやくここまで来ることができて本当にうれしい。
常に上位を走り続けることはできないもので、限界もあるし自分の力もわかっている。でも我々は世界でも最高のマシンで最高レベルの戦いをしていて、どんなに厳しい状況になろうともいつも楽しんでできるようにとベストを尽くしている。だからル・マンとムジェロのテスト以降はレースのたびに状況が良くなっているんだ。
明日はこのポジションをキープするためにもしっかりとタイヤを選びたい。またレースタイヤの選択も重要だ。今日はコンディションが変わりやすかったことと、初めてのコースを勉強しながらの走行でレース距離を走ることはできなかったが、方向性は見えているので大丈夫」
J・エリソン選手談(フリー走行13番手/1分39秒645/35周)
「今シーズンが始まってから一番うれしい日。最後の瞬間までロッシとペドロサの前にいたし、もしかしたらもう少し上のポジションにつけた可能性だってあったんだ。それは叶わず残念だったけれど、常に前進できているのは確かなのであまり気にはしていない。マシンのセットアップとタイヤがうまくいけば、自分の思い通りに走らせることができるんだ。去年と同じような感じで走れたのはこれが初めてだよ。
シーズン序盤ではマシンをに走らせることができず悔しい思いをした。僕はただ上に座っているだけで、バイクが僕を走らせていたんだ。それが今はかなりフィーリングが良くなって楽しく乗れるようになった。リラックスできているし、マシンと戦うのでなくマシンを僕の体の下で自由に動かせる。僕が上から指示を出すだけでしっかりと走ってくれるんだ。タイヤもどんどん良くなっている。トップとの差がわずか1.5秒まで縮まったのは、僕にとっては本当に大きな前進。チームにとても励みになっているだろう。いつもレースペースはいいけれどもスターティンググリッドが悪すぎるのが問題だったので、今週はポールとの差を1秒まで詰めたいと思っている。だから上位陣がもう改良できないところで僕らにはできるところが見つかるといいのだけれど」
H・ポンシャラル、テック3・ヤマハ・チーム監督談
「カルロスもジェームスもバルセロナでいいレースをしてくれたが、それが影響して今回も良い走りができている。ダンロップはいつもここアッセンでは良く走ってくれて相性がいいようなので、今回もその調子が続くことを願っている。実際、こうして好調にウイークをスタートでき、カルロスが2位を獲得したことは、ヤマハのマシンとダンロップタイヤの実力を証明していると思う。そしてジェームスも前よりも格段に良くなっている。まだ一日目だが、明日の予選、あさっての決勝とこの好調を維持できるように頑張りたい。二人ともたった1周の好タイムだったわけではなく、安定しているからきっとうまくいくだろう。明日の午前中は予選タイヤをテストする予定。二人はもっとタイムを上げたいと意気込んでいるので予選タイヤが後押ししてくれることを望む。一つだけ心配なのは天気だね」