ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 4月8日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦カタールGP
■開催日:2006年4月6日(木)フリー、7日(金)予選、8日(土)決勝
■開催地:カタール/ロサイル
CIRCUIT DATA
■開設:2004年
■コース長:5.380km
■2004年の優勝者:V・ロッシ
REPORT
ロサイルで迎える開幕第2戦
開幕戦のスペインGPでは残念な結果に終わったキャメル・ヤマハ・チームだが、今週末に迫った第2戦カタールGPでその雪辱を果たすべく、まもなく中東へと向かう。スペインGPの翌日、同チームはヘレスにおいてマシンテストを実施し、悩まされ続けた振動の問題解決にもう一度取り組んだ。カタールのロサイルサーキットで2月に行ったテストでは、このような問題がほとんどなく、V・ロッシ、C・エドワーズともに好調な走りを見せていただけに期待がかかる。
カタールの首都、ドーハ郊外に位置するロサイルサーキットで初めてMotoGP世界選手権が開催されたのは2004年。5,800万USドルの費用を投じ、1,000人の労働者が1年以上も、まさに不眠不休で働いてようやく完成したサーキットだ。その歴史はまだ浅いが、このコースはいくつかの名勝負の舞台となっており、キャメル・ヤマハ・チームの二人もここで好成績を挙げている。エドワーズは第1回目の大会で2位を獲得、ロッシもまた、昨年M・メランドリと激しいバトルを展開して優勝を果たしている。
過去2年はいずれも10月に行われていたが、今年は春に開催されることとなったため気温が低くなることが予想された。しかし長期予報によれば30度近くまで上がるとのことで、体力面の負担はほとんど変わらない。例年通り決勝は土曜日。またスタート時間もCET(ヨーロッパ時間)の14時に合わせ、通常よりも1時間遅い現地時間の15時となる。
COMMENT
V・ロッシ選手談 ー “開幕のリベンジ”
ロッシにとっては最悪の結果となってしまった前回のヘレス。その雪辱を果たしたい第2戦のスタートが待ちきれない思いだ。ヘレスの第1コーナーで他車に接触されたロッシは、5年連続の開幕戦優勝という記録を更新することができなくなってしまった。この悔しさを埋めるには、今回のカタールで好成績を挙げることだ。
「開幕戦はあんなことになってしまったが、次のカタールでは遅れを取り返し、嫌な思い出をすべて消してしまいたいんだ! シーズン前にここで行ったテストはとても好調だったので、今回もきっとうまくいくと信じている。ここでもわずかな振動は出ている素晴らしいバイクで、振動が発生する場所は限られているし、まだまだ制御できる範囲。いずれにしろ初日からタイムも良かったので心配はない。
去年はここで優勝したが、あれはシーズンのなかでも最もエキサイティングなレースだったと思う。最初から最後まで最大限の力を尽くし、メランドリと激しいバトルを展開した。今年もまた、あのようなレースができたらいいと思っている。そしてもちろんまた僕が勝って、またタイトルを争う戦いの場へ復帰したい。ここは気温が非常に高いので、きついレースになるだろうが、素晴らしいコースだしエンジョイできるんだ」
C・エドワーズ選手談 ー “マシンとチームを信じて”
ヘレスではセッティングに苦しみ、ロッシ同様に不本意な成績に留まったエドワーズもまた第2戦カタールを心待ちにしている。前回のテストで好感触を得たこの場所で、3月のバルセロナテストでトップタイムを記録したときに見せたような本来の強さを取り戻すことが目標だ。
「ヘレスの次の日の月曜日は、あの場所を一刻も早く立ち去りたい気持ちでいっぱいだったんだ。ヘレスでは最初から何もかもうまくいかず、決勝もまったくいいところがなかった。でも今、新しいページをめくる時がやってきたんだ。僕はマシンとチームを信じているし、カタールではきっと、すべての歯車が噛み合うと思う。バレンティーノのピットを見ていれば、このあいだの不調が自分のライディングのせいでないことがわかる。だから自分ではまったく自信を失っていないし、今はしっかりと準備が整ったといえるだろう。
ロサイルは微妙にキャンバーが変化しているがスムーズなコースで、ライン取りがうまくいけば非常に走りやすい。グリップ性は以前より上がってきているが、砂がコースに浮いてくるので、パッシングのときにはラインを外さないように注意が必要だ。それでも砂漠の真ん中という条件を考えれば、十分に素晴らしいサーキットだよ」
D・ブリビオ、キャメル・ヤマハ・チーム監督談 ー “再びトップへ”
ブリビオは、ヘレス後もチームの士気は下がっていないと話す。そして、今は次のカタールで運を取り戻すことだけを考えているのだと強調する。決勝翌日に行ったテストでデータ収集を行っており、これが、木曜日午前中から始まるセットアップ作業に役立つと信じている。
「月曜日に行ったテストは実に有意義だった。セットアップに関しても一定の成果が見えたが、実はそのことよりも、次のカタールのためのデータを収集できたことが良かったと思っている。おかげでいくつかの選択肢を用意して次に臨むことができるのだ。一つはシーズン前のテストで見つけたベースセッティングを使用すること。ただ、あのときはライバルチームがどこもいなかったから、今回、比較できるのが楽しみだ。そしてもう一つの選択は、チャターの解決策として見つけた新しいセッティングを試すこと。
決して楽な戦いでないことは承知しているが、チームの士気は少しも下がっていないどころか、依然として非常に良い状態だ。開幕戦で十分なポイントを獲得できなかったのは確かに残念だが、それよりも今は、やるべきことに集中している。とにかく脇目もふらずに懸命に働き、しっかりとデータを分析して解決策を見つけ出し、またトップへと返り咲くんだ。チームは楽観的なムードで自信に満ちている。問題を解決すれば、必ずまたランキングトップに立つことができるはずだ」
M・フラミニ談(ロッシのデータエンジニア) ー “テクニカル情報”
開幕前のテストと昨年のカタールGPで収集したデータが、今回はいつも以上に重要な意味を持ってくるだろう。ロサイルサーキットは全長5.4km。コーナーは右が10、左が6の合計16。連続する高速コーナーといくつかの低速コーナーを持つ特徴的なコースの一つ。
「方向を変えたすぐ後に、また超低速のコーナーが続くなど非常に難しいコース。たいていのサーキットでは、長いストレートの後にハードブレーキングの低速コーナーが続くものだが、カタールではこれは1箇所だけ。例えば第6コーナーは、ブレーキをかけながら素早く右、左と方向を変えるタイトなヘアピン。このためにはマシンは非常に安定していなければならないし、同時に俊敏でなければならない。
また、セットアップの面で最も重要になるのが後半の3つの右高速。ライダーが自信を持ってスロットルを開けられるように、マシンを最大限に寝かせた状態での安定性が求められる。なぜならここが最もタイムを詰めやすい場所だからだ。ヘレスでは、最終ヘアピンの前の二つの右高速がよく似ているが、データを分析してみると、バレンティーノはここで思うようにスロットルを開けられなかったことがわかる。カタールでは、ブレーキングでの安定性とマシンを寝かせたときの安定性とを両方ともうまく詰めていけるようにしなければならない。それができれば二人は本来の実力を出し切れるんだ」