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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.01 4月8-9日 九州・熊本

RACE DATA

■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2023 第1戦HSR九州大会
■開催日:2023年4月9日(日)
■会場:熊本県・HSR九州
■天候:晴れ
■レース時間:IA1(15分+1周)×3ヒート
■レース時間:IA2(15分+1周)×3ヒート
■観客数:土曜日:613 人/日曜日:1,393 人

REPORT

IA1

ヒート1:ジェイがホールショットから独走でデビューウィン

2023年シーズンの開幕戦、ヤマハ発動機はYAMAHA FACTORY RACING TEAMから、昨年のチャンピオン富田俊樹と、ランキング3位の渡辺祐介。エレクトリック・パワー・ステアリング(EPS)などの技術開発を担うYAMAHA FACTORY INNOVATION TEAMから、昨年のIA2チャンピオンのジェイ・ウィルソンと町田旺郷が参戦。マシンは4人ともに2023年モデルの市販車YZ450Fをベースにモディファイを加えたYZ450FMを駆る。

初のレース形式となった予選では、ジェイが好スタートを切ると、日本のトップランカーを抑えて独走しトップ通過。3番手が富田、4番手が渡辺と続き、それぞれが決勝へ向け準備を進めた。

そして決勝ヒート1では、ジェイがこの予選とまったく同様の強烈なスタートダッシュでホールショットを奪うと、序盤にハイペースを刻んで勝負を決める。序盤で2番手の内田篤基(カワサキ)との差を5秒、6秒、7秒と開くと、後半は日本のトップライダーを相手にペースをコントロール。IA1、そして2023年型のYZ450Fをベースとしたファクトリー仕様のYZ450FMでデビューウィンを達成した。

一方のYAMAHA FACTORY RACING TEAMは不運が重なった。渡辺は7番手から追い上げるレースとなるがすぐに6番手に上げると、前をいく5番手の大塚豪太(ホンダ)、4番手の能塚智寛(カワサキ)、3番手の大倉由揮(ホンダ)らを追っていく。しかしその差を詰めるも前には出られない状況が続いた。そして6周目に転倒があり上位グループから離されてしまい、そのまま6位でフィニッシュとなった。

また富田は1周目に転倒があり15番手で2周目に入った。その後、タイム差の大きなライバルたちを着実に捉えポジションを回復したが、15分というレースディスタンスも影響しトップ10圏内には入ったものの9位でレースを終えた。

EPSを装着し開発をメインに参戦する町田は、スタートで出遅れ24番手。さらにその後に転倒もあったが、順調にポジションを上げて、最後は18位でフィニッシュとなった。

なお、2023年のオープニングレースの表彰台は、優勝のジェイに加えて、内田、能塚が獲得した。

ヒート2:ジェイが連勝で今季2勝目、渡辺が2位表彰台

ジェイが、ヒート1を再現するかのような走りを披露。スタートでホールショットを奪うと1周目からリードを広げ、序盤で5秒、中盤以降は2番手以下に10秒近い差をつけて独走。その後も安定した走りを続け、ライバルたちに付け入る隙を与えることなく最高峰で2連勝を達成した。

一方、2位争いは混戦となった。大倉、内田、渡辺、富田、能塚という日本人トップライダーたちが勢揃いしレースを展開。この中で内田が5周目に転倒で後退したことで、渡辺が3番手、富田は4番手に浮上し、前をいく大倉に照準を定めてプッシュする。

ところが富田は能塚にかわされて5番手に後退、その後も前の3人を追っていたが、7周目に単独で転倒し表彰台争いから脱落してしまった。

そしてレースは終盤へ入り、2位争いも激しさを増していった。大倉、渡辺、能塚が三つ巴の争いを繰り広げるなか、渡辺がラスト2周で大倉を捉えて2番手に浮上すると、順位を上げてきた能塚を抑えて逃げ切り、開幕戦2レース目にして今シーズン初となる表彰台を奪った。富田は5番手をキープして周回を重ね、そのまま5位でチェッカーとなった。21番手と出遅れた町田は、しっかりと追い上げて14位でポイントをゲットした。なお、表彰台はジェイ、渡辺、能塚の3人が獲得した。

ヒート3:ジェイが3連勝でIA1を完全制覇

本日最終レース、再びジェイが完勝し、開幕3連勝で2023年の初戦を締めくくった。

ジェイはここまでホールショットを奪って2連勝してきたが、このヒート3ではスタート後に富田と接触。これで富田は転倒、一方のジェイも遅れ、ライバルの能塚にホールショットを奪われてしまったが、きっちりオープニングラップで遅れを取り戻し、2番手で1周目を終えた。さらにじわじわと能塚に接近すると、3周目に逆転。能塚が転倒したことで単独トップとなる。

ここから、ペースをコントロールして周回を重ねトップでチェッカー。日本最高峰のIA1でのデビューレースで、国内のトップライダーを抑えて3連勝し、総合優勝を達成した。

また、渡辺はスタートで遅れ11番手。ここからポジションを上げて6番手としたが最終ラップに転倒。これでマシンが損傷すると同時に、渡辺も負傷しリタイア(ノーポイント)となった。

富田は1周目にジェイとの接触で転倒があり18番手で2周目に突入。ここからグイグイと追い上げチームメイトの渡辺の後方7番手につけて周回を重ねていった。そして最終ラップに渡辺に転倒があったため、一つ順位を上げて6位でフィニッシュとなった。表彰台は優勝のジェイを筆頭に、大城魁之輔(ホンダ)、能塚が続き表彰台に登壇した。

この結果、総合優勝はジェイ、総合2位には能塚、総合3位には内田。渡辺、富田が総合6・7位、町田は13位で開幕戦を終えた。

IA2

ヒート1:ヤマハ勢トップに中島、3位表彰台をゲット

予選A組 6番手、総合12番手となった中島漱也(bLU cRU レーシングチーム鷹 )が予選を払拭する走りで3位とし表彰台を獲得した。

レースは15分+1周のスプリントレース。このレースでホールショットを奪ったのが西條悠人(カワサキ)。中島はこの西條、横澤拓夢(ホンダ)、阿久根芳人(カワサキ)に続き1周目を4番手でクリアする。

スプリントということで早めの仕掛けがセオリーとなるが、中島は3周目には3番手に浮上しそのセオリー通りの動きを見せた。ところがここからは西條と横澤とほぼ同等のペースとなり、逆転には至らず3位でフィニッシュ。 それでもシーズン最初のレースで表彰台獲得と幸先の良いスタートを切った。

一方、昨年のランキング2位、予選A組でトップを奪った浅井亮太(bLU cRU フライングドルフィン サイセイ)は1周目を18番手。その後、着実にポジションをアップして9位。またヤマハYZユーザーでは、スペイン出身のビクトル・アロンソ(Auto Brothers)が4位、佐々木麗(Y'sRACING with 麗BRAND)が8位を獲得している。

ヒート2:中島が好スタートから国際A級で初優勝

ヒート1で3位表彰台を獲得した中島が、2020年に国際A級に昇格して以来、4シーズン目を迎え初となるヒート優勝を達成した。

レースは、YZ250Fを駆る田中淳也(YSP浜松 BOSS RACING)がホールショットを獲得。中島は2番手の阿久根が続く3番手で1周目を終えた。2周目に入ると中島は、阿久根をかわして2番手に浮上。その後もペースは衰えることなく、じわじわとトップの田中との距離を縮めた。そして4周目、連続でジャンプが続くセクションでオーバーテイクに成功してトップに立った。

その後は田中をはじめ2番手以下との差を開き、安定した走りでトップをキープすると、そのまま逃げ切ってチェッカー。2020年に当社の育成チームであるYAMALUBE RACING TEAM withレーシングチーム鷹に所属、その後も着実な成長を遂げてきたが、ついに自身初となる優勝を飾った。

また国際A級2年目、17歳という若手の田中は、4周目に中島にかわされたが、その後もポジションを守り切って2位とし、国際A級では自身初となる表彰台を獲得した。また浅井は1周目10番手から追い上げて6位、渡辺陵(チームピットイン)が8位を獲得した。

ヒート3:ビクトルがデビュー戦で初優勝、浅井が2位表彰台

ここまで2つのレースとも異なるライダーが初優勝を飾ってきたIA2。ヒート3ではYZ250Fを駆るスペイン出身の19歳、ビクトル・アロンソが初優勝を達成した。

レースはビクトルが1周目を制し、この後方に阿久根、浅井が続いたが、すぐに浅井が2番手に上がりビクトルに続いた。そして中盤に入ると浅井がファステストラップをマークしてビクトルに迫ったが、その直後、今度はビクトルがファステストを出して引き離す攻防が繰り広げられた。

そしてレースが後方に入ってもその差は縮まらず、ビクトルが全日本初参戦で初勝利を獲得。一方、浅井もここまで苦しんできたが、最後は今季初となる2位表彰台を獲得。また、ヒート2で優勝した中島は1周目に転倒があり、19番手から追い上げ最後はトップ10に入る8位でフィニッシュした。

この結果、ヒート1で中島が3位。ヒート2は中島が優勝、田中が2位。ヒート3ではビクトルが優勝、浅井が2位と、3レースで5つの表彰台を奪う活躍。また総合成績では中島が総合優勝、ビクトルが総合4位、浅井が総合5位と、チャンピオンを目指す若手ライダーたちが好スタートを切った。

レディース:本田が2位表彰台、2度目のタイトルに向けて好スタート

2019年のチャンピオンである#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)が、2度目のチャンピオン獲得に向け、2サイクルマシン「YZ85LW」でエントリー。レースではスタートで大きく遅れてしまったが、1周目で挽回し3番手で2周目に入った。

しかし、混戦を抜け出してきた本田とトップの川井麻央(ホンダ)のギャップは2周目に入った時点で大きかった。それでも本田は諦めることなく、早々に2番手に上がり川井を追撃。本田はファステストをマークするなど接近したが、川井もすぐにファステストを更新。その差は広がって、最後まで追いつくことができず優勝こそ逃したが、次につながる2位表彰台で開幕戦を終えた。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RESULT Heat.3

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RESULT Heat.3

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

IA1

YAMAHA FACTORY RACING TEAM

富田俊樹選手談(IA1:9位/5位/6位:総合7位)

「新しいバイクということもありますが、準備不足を感じたし、レースを走って気がついたことがたくさんありました。考え抜いてのバイク作りができていなかったのだと思います。また自分の仕上がり自体はそこまで悪なかったのですが、3ヒートともに転倒。そのすべてが同じような転倒であったため、どうしても慎重にならざるを得ない状況で、体も硬くなって悪循環に陥りました。次のレースまで1ヵ月強ありますが、この状況を打開するためにも、バイク、メンタル、走りでの課題と向き合い、変える部分は大きく変えていないといけないなと思いました」

白柳弘監督談

「今シーズンから2023年型の新型YZ450Fをベースとしたバイクを採用。それぞれがこのオフシーズンの間に合わせ込みをしてきましたが、今日の結果が示す通りまだ足りない部分がありました。例えば新たにメタルメッシュが採用されたスタートは一目瞭然ですが、いくつかの課題があることを確認できました。合同テストでは3連勝のジェイ選手といい勝負ができていたのですが、特に15分のレースでは、スタートの差がそのまま結果につながってしまった感じです。次回も、メタルメッシュで3ヒート制になりますので、ジェイ選手という良き手本を参考に課題解決に取り組み、勝利を目指します。この開幕戦は、スポンサーの皆さん、ファンの皆さん、YSP佐賀の応援団など、たくさんの応援と力をいただきました。ありがとうございます。引き続き、勝利を目指すチームにご声援をお願いします」

YAMAHA FACTORY INNOVATION TEAM

ジェイ・ウィルソン選手兼監督談(IA1:優勝/優勝/優勝:総合優勝)

「IA1で私はルーキーであり、2023年型のYZ450Fをベースとしたマシンでも初参戦でしたが、素晴らしいリザルトを獲得できてとてもうれしく思います。このウィークはとてもナーバスでした。なぜなら、これまで長い間250ccを乗ってきたし、450ccに乗り換えるにあたり、周囲からも大きな期待があったからです。ただ、最高のスタートが私を勝利へと導いてくれました。これは、プレシーズンから素晴らしい仕事をしてくれたチームのおかげです。さらに新型マシンで勝利できてホッとしていますが、まだまだ今後も開発は続きますしポテンシャルはさらにアップすることでしょう。そして町田選手も初のファクトリー体制でとてもナーバスでした。実際にヒート1ではエンストや転倒があり厳しい結果となりましたが、その後に着実にステップアップしてくれました。今後も進化を止めずに上を目指して欲しいと思います」

町田旺郷選手談(18位/14位/10位:総合13位)

「ヒート1はスタートでエンストをしたり、走りが硬くなって転倒したりと、情けない走りをしてしまいました。ただ、3つ目のヒートは、スタートで遅れながらも一番ベストな走りができました。ジェイ監督は、徐々に上げていこうという話をしてくれていますが、自分としては、こうしたチームで走られてもらう以上、上位陣に食い込むことが目標なので、次の地元である第2戦はそれができればと思います。またEPSの開発も行っていますが、昨年からのブラッシュアップとともに、新型マシンへの適合などを実施しました。特に土曜日のマディでは様々なデータを取得できましたが、こちらもしっかりと進化させていきたいと思います」

IA2

bLU cRU レーシングチーム鷹

中島漱也選手談(3位/優勝/8位:総合優勝)

「スタートが決まるようになったという前進もあったし、ヒート2で初優勝できたことで気持ちはとても楽になりました。しかしヒート3は、リラックスしてレースに臨めたのですが、1周目、2コーナーで転倒してしまいました。開幕はシーズンの戦力図が見える大事な一戦でしたが、今年は後方からでも上がっていけることを確認でき、それが自信となった一方で、常に冷静であり、最初から最後まで自分の走りに徹することができるようになることがタイトル獲得には必要だと思いました。また、ビクトル選手という新しいライバルが出現したほか、日本人のライバルも含め誰が勝ってもおかしくない状況です。シーズンの中でさらに強くなっり頭一つ抜け出せるようにしていきたいと思います。次回の地元はプレッシャーがかかる一戦ですが、乗り越えていきます!」

Auto Brothers

ビクトル・アロンソ選手談(4位/DNF/優勝:総合4位)

「全日本は初参戦ですが、このコースがとても素晴らしく楽しむことができました。事前にビデオを見ていたのですが、日本のライダーたちも速くとても大変なレースとなりました。ヒート2は大きなクラッシュがあってリタイアに終わってしまいましたが、ヒート3は優勝できてとてもハッピーです。次回のレースでもベストを尽くして勝利を目指します」

bLU cRU フライングドルフィン サイセイ

浅井 亮太選手談(9位/6位/2位:総合5位)

「ヒート1、ヒート2ともにスタートを出ることができませんでした。ただ、ヒート1よりはヒート2の方が良くなり、ヒート3はさらに良くなって表彰台に立つとこができました。レースにおける明確な課題が見つかったし、それを改善してスタートが決まれば、ヒート3のように表彰台に立てることもわかったし、追い上げのレースでもある程度まで挽回できることも確認できました。ただヒート3はビクトル選手に追いつきながら抜くことができなかったのは残念です。次回の関東大会は、初勝利を、もしくは2つのヒートで確実に表彰台に立ちたいと思います」

YSP浜松 BOSS RACING

田中 淳也選手談(15位/2位/13位:総合8位)

「ヒート2はスタートがうまく決まったのですが、その瞬間に緊張し、転倒できないプレッシャーで体がガチガチになりました。その後、中島選手にかわされてしまいましたが、後ろを気にせず、2位というポジションも気にするこなく、中島選手に離されないようについていこうという意識で走り、最後は初表彰台となる2位でフィニッシュ。開幕戦でとても良い経験ができました。ヒート1とヒート3がスタートで出遅れてあまり良くなかっただけに、成績を残すことができてよかった思います。次回はチームの地元で走っている回数は多いので自信を持ってスタート決めて、また今回のヒート2のようなレースができればと思います」

レディース

bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド

本田七海選手談(2位)

「ここ何年かと比べるとかなり乗り込みをして自信を持って開幕に臨むことができました。予選はマディだったこともありますが、乗り込んできた割には手応えがなく、練習走行からの組み立てが甘かったところはあります。決勝のスタートは、飛び出しから良くなくて、出遅れてしまいました。昨年はそういった状況に陥り焦って転倒することがあったのですが、今年はしっかりとパスして上がってくることできたのは成長だと思います。2位に上がってからはトップに近づけたのですが、勝負するところまでは接近できませんでした。ラインを変えるなど、もう少し積極的にチャレンジできればよかったです」

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