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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.04 6月5日 SUGO

RACE DATA

■大会名称:2016全日本モトクロス選手権第4戦SUGO大会
■カテゴリ:IA1/IA2
■開催日:2016年6月5日(日)
■会場:SUGOインターナショナルモトクロスコース(宮城県)
■レース時間:(30分+1周)×2ヒート
■天候:晴れ
■観客数:4,200人

REPORT

前戦・中国大会において1-2フィニッシュを達成、ライバルに対して確かな存在感を示した「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は、さらなるステップを踏むための準備を進め、第4戦SUGO大会に臨んだ。勝利を争うのは、当然。そこでライバルを上回る結果を残し続けてポイントを積み重ね、チャンピオン争いにおいても相手にプレッシャーをかける。平田優と三原拓也は実際、SUGOでも2名そろって好調を維持し、土曜日の予選からライバルと競り合った。ただし、日曜朝の公式練習で思わぬ事態が起きた。平田を上回るタイムを記録していた三原がセッション後半で転倒、その影響により決勝への出走を取りやめることになった。

IA1:第2ヒートで平田が今季2勝目を挙げ、総合2位に

第1ヒートは成田亮(ホンダ)がホールショットを奪い、スズキの小島庸平と熱田孝高、カワサキの新井宏彰らが続く展開に。平田はスタートダッシュで少し遅れてしまい、1周目5番手からの追い上げとなる。その平田を含める5名が構成したトップグループのラップタイムは拮抗し、全員が僅差のまま周回を重ねる厳しいレースが終盤まで続くことになるが、誰もがライバルに対する特別なアドバンテージを得られない状況下で、平田はレース後半に入った11周目に新井を抜き、4番手へと浮上した。さらに12周目には自身のベストタイムを記録、上位3名との差を縮めて見せたが、パスするまでには至らず、4位でチェッカーを受けることになった。

平田は第1ヒートで挙がった課題を即座に修正、第2ヒートのレース内容に反映する。「いちばん速いはずです」という、YZ450FMエンジンのアドバンテージをフルに発揮してホールショットを獲得、1周目からトップに立って逃げ始めた。レース序盤では成田が背後につけ、一瞬たりとも気が抜けない緊迫した状況になったが、平田は成田との差を少しずつ広げていく走りを積み重ね、マージンを徐々に拡大。レース中盤でその差は3秒以上になり、終盤の20分過ぎには5秒以上へと広げた。残り1周を迎えた段階では約7秒と、ペースを緩めず走り続けた平田は真っ先にチェッカーを受け、今シーズン2勝目を獲得。総合獲得ポイントでは成田に次ぐ2番手となったものの、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」にチャンピオンを争う意志があるのはもちろん、実際に争う力があることを改めて見せつけた。

IA2:渡辺が第1ヒートで2位。岡野が自身初のパーフェクトウィン

中国大会の両ヒートで3位表彰台を獲得した「YAMALUBE RACING TEAM」の渡辺祐介は、さらなる上位、いや優勝を目指して地元SUGOでの今大会に臨んだ。事前テストの段階で手ごたえをつかんでいたこともあり、土曜朝の公式練習からトップタイムをマーク、予選ではA組トップ通過を果たした。そして日曜日の決勝、第1ヒート。1周目を4番手で通過した渡辺は、前にいた竹中純矢(スズキ)を抜くのに少し時間をかけてしまったが、2番手にいた古賀太基(ホンダ)が転倒した後の5周目、竹中をパスして2位へと浮上。トップとの差はすでに開いてしまっており、追いつくことはできなかったものの、今シーズンのベストリザルトとなる2位でチェッカーを受けた。続く第2ヒートでは序盤からトップを争える位置につけようと、スタート直後の4番手から積極的に攻めてポジションを上げていこうとしたが、他車と接触してしまい転倒。再スタートに時間がかかり、最後尾、しかも集団からかなり離された状態からの追い上げを余儀なくされる。それでもあきらめなかった渡辺は、30分+1周をフルに使って順位を上げていく。1周目の30番手からレース中盤で10位、最終的には7位まで浮上してゴールした。

IA2では開幕戦から表彰台に上がり続けている岡野聖(フライングドルフィン サイセイ)が、他を圧倒する完璧な走りを披露した。予選では渡辺と同じA組で2番手にとどまったものの、日曜日になるとそのスピードをさらに上げ、朝の公式練習ではトップタイムをマーク。決勝はスタートも完璧にこなし、第1ヒートではホールショットを奪うと、序盤の段階で独走態勢を構築。最大で17秒以上にもなる差を後続につけ、今シーズン初優勝を遂げた。岡野の速さと強さは第2ヒートにおいても変わらず、ホールショットこそ取れなかったが、1周目にはトップの座を奪った。その直後に古賀、能塚智寛(ホンダ)らに抜かれ3番手を走行することになるが、後半に入ってリズムを取り戻した岡野は、終盤に向けて改めて勝負。能塚が転倒した後、レースをリードしていた古賀との差を着実に詰めていき、残り2周で1秒をきる背後に迫った。そのプレッシャーに耐えかねた古賀は転倒、代わってトップに立った岡野は独走態勢を築き上げ、自身初となるパーフェクトウィンを達成した。

レディース:安原さやが今季初の表彰台へ

昨年度チャンピオンの安原さや(名阪レーシング)が、ベテランならではの強さを発揮した。今年は開幕前の準備が遅れてしまい、ライバルに圧倒的な差をつけられての厳しいシーズン序盤となり、今大会においても公式練習、予選ともにその差を縮めることができていなかった。さらに決勝ではスタートでゲートに引っかかり集団に飲み込まれてしまっているのだが、1周目で6番手まで挽回した安原は、劇的な追い上げを展開。5周目には3番手へと浮上、その翌周には2番手へポジションを上げた。今シーズン、初めての表彰台獲得である。

第3戦終了時点で、安原を上回るランキング6位につけていた本田七海(TEAM KOH-Z)は、1周目16番手と安原以上の追い上げを強いられるが、レース中盤までに8番手まで回復。それ以上のポジションアップは叶わなかったが、残り2周となった段階で自身のベストタイムを記録するなど、最後まであきらめなかった。

次回、第5戦は7月2~3日、兵庫県・神戸空港島特設コースにて開催される。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

YAMAHA FACTORY RACING TEAM
平田優選手談(IA1:4位/優勝:総合2位)

「ヒート1に関しては、自分の我慢が足りませんでした。もうワンプッシュ攻め込むことができれば……と思うのです。前者に並びかけるところまではいきました。しかし、そこから先が足りませんでした。トップグループにいた全員にとって厳しいレースになりましたが、そこで一歩前に出られなければ、当然、勝つことができません。ヒート2では、その反省を生かせたかな、と思います。ヒート1のスタートではフロントを浮かせてしまい、クラッチレバーを握ったことも反省点です。マシンが持っているアドバンテージを生かせなかったのです。そのスタートをうまくこなすことができ、1周目をトップで帰ってきた時点で、“これはイケる”という手ごたえがありました。後は自分がきちんと我慢して、ミスさえしなければ大丈夫だと思いました。ただし、ヒート2で勝つことはできましたが、成田選手にはポイント上で、さらに離されてしまいました。ピンピンを取ってその差を縮めるのが理想ですが、まずは確実に総合を取る、少しずつでもポイント差を削っていくレースを続けていきたいと思います」

田島久誌監督談

「第1ヒートはタイムが拮抗した状態で30分を戦うという、難しいレースになりましたが、平田選手はよく粘ったと思います。スタートを決めることができなかった、その結果がそのままリザルトに表れてしまった、という反省点もありますが、平田選手は第2ヒートできちんと修正してくれました。まず何よりスタートで前に出て、ラップタイムの変動も少なく自分のペースを維持することができた。第1ヒートでは得意とするセクションと、そうでないセクションのギャップも感じられましたが、第2ヒートではそれもしっかりと修正できていました。もちろん、課題はまだまだあります。ポイント差を縮めていかなければならない立場なのですが、2ヒート総合で考えると逆に離されてしまいました。そもそも、我々はここまでの4戦8ヒートで、2勝しか挙げられていません。平田選手自身、そしてマシン。チャンピオンを争えるよう、チームとしてさらに力をつけていきたいと考えています」

YAMALUBE RACING TEAM
渡辺祐介選手談(IA2:2位/7位:総合4位)

「両ヒートともまずまずのスタートを切れたと思いますが、第1ヒートでは竹中選手をなかなか抜くことができず、トップに立っていた岡野選手に差をつけられてしまいました。2番手に上がってからも、ペースを上げることができませんでした。地元という意識が強すぎて走りが硬くなってしまい、腕も上がってしまいました。第2ヒートでは何とか改善しようと、1周目から勝負をかけてトップを争える位置につけようとしたのですが、横に並んだ選手とラインが交錯して接触し、転んでしまいました。再スタートしてからの追い上げでは集中し、リズムよく走ることができたと思いますが、優勝することを目標にしていただけに、本当に悔しいです。以前からの課題だったスタートはよくなってきたのですが、前半のレースづくりなど、まだまだ甘い点があると痛感しました。引くべきときは引き、いくべきときはいく。引き続きスタートの練習を重ねつつ、もっとレベルを上げられるよう頑張ります」

佐藤光幸監督談

「渡辺選手自身が考えていたのと同じように、我々も勝つつもりで今回のレースに臨んだのですが、不完全燃焼に終わってしまいました。常に万全の体制を整えているつもりなのですが、結果的にはライバルのほうが一枚も二枚も上手。我々が今持っている実力が結果として表れている、ということになります。今回、岡野選手が素晴らしい走りを披露する一方、我々にも十分にチャンスがあると考えていたのですが、その考え自体が甘かった、ということになります。昨年、常に課題としていたスタートでは今シーズン、安定して飛び出せるようになってきましたし、トップとのタイム差も少しずつ、縮めてきました。それでも今回は第1ヒートで腕上がりの症状が起きるなど、新たな課題が出てきます。経験の差を一気に埋めることはできませんが、その経験を積み重ねつつ、自分たちができる部分で差を縮めていかなければならない。引き続き、渡辺選手とともに実力を上げる努力を続けていきます」

フライングドルフィン サンセイ
岡野聖選手談(IA2:優勝/優勝:総合1位)

「まず確実にスタートで前に出られるよう練習を積み重ねてきましたし、レースウィークに入ってからの練習、予選では、広い視野をもって周りの状況を判断し、ベストラインをすぐに見つけることができていました。なので“自分は乗れている”という自信はあったのですが、決勝でもその力をうまく発揮することができて本当によかったです。他のライダーを気にせず、自分の走りに集中し、安定してラップを刻むことだけを心がけました。第2ヒートでは序盤、路面コンディションの変化にうまく対応できず、自分のリズムを失ってしまったのですが、3番手まで落ちたところで、冷静さを取り戻すことができました。トップを走っていた古賀選手へ徐々に追いつき、結果的には彼が転倒したことで首位に立ちましたが、それがなくても、ラストラップでは勝負できると考えていました。今回得ることができた、いいイメージを今後も維持し、結果を残し続けていきたいと思います」

名阪レーシング
安原さや選手談(レディース:2位)

「シーズン序盤を戦いながら、本来の調子を取り戻すことができそうかな、という感触がある一方、周りのライダーは今年、さらに速くなっているので、厳しい現実にも直面しています。今回も日曜朝の時点になってさえ、トップと7秒近くタイムが遅かった。とても勝負などできません。今シーズンはその現実を認識しつつ、少しでも上を目指して戦おうと思っています。スタートでミスしながらも、1周目でかなり順位を上げることができたのは、長い経験を生かせたからでしょう。ここまで上がれたのなら、もっと追い上げようとプッシュし続けました。もちろん、まだまだいけるはずです。次戦は地元の神戸なので、1番を取れるように頑張ります」

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