ベストセッティングに向け順調にテストを終了、タイムは2分5秒670で総合トップ
6月11-12日、2日間、8月3日(日)に決勝が開催される鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けた「鈴鹿サーキット8耐公開テスト」が行われました。「YAMAHA RACING TEAM」からは、全日本JSB1000に参戦中の中須賀克行選手と、全日本ロードレース選手権のST600に参戦する南本宗一郎選手がテストライダーとして参加しました。
ヤマハ発動機にとっては2019年以来となる鈴鹿8耐へのファクトリー参戦。マシンは全日本ロードレース選手権・JSB1000への参戦を通じて着実な進化を続けてき「YZF-R1」をベースに、燃料タンクやヘッドライトなど、エンデュランス仕様に変更を行っているため、2019年の鈴鹿8耐で使用した「YZF-R1」はもちろん、今年の全日本を走るYZF-R1とも異なるため、細かなセッティング作業からスタートしました。
さらに、チーム自体も鈴鹿8耐に向けて様変わり。全日本スタッフを軸としながら、過去に8耐経験を持つスタッフが脇を固めていますが、今回はチームとしての役割分担、ピットワークをはじめとする動き方などを確認し、現場だからこそわかる課題を洗い出す機会としました。
初日となった11日は、4時間の走行時間が設定されていましたが、雨によりコースコンディションは最後までウエットだったことから、「YAMAHA RACING TEAM」は走行をキャンセル。しかし12日の天候は回復し、各1時間半のセッションを2回走行、赤旗中断もありながら予定していたテスト項目をこなしていきました。
午前中のセッションでは、新型R1の鈴鹿8耐仕様では初走行となったこともあり、中須賀選手は車両、タイヤ各所を確認しながら走行して2分7秒210で16番手。午後のセッションは、テスト項目を消化しながらもコンスタントに2分6〜8秒台を刻むハイペースでテストを進めると、終盤には中須賀選手がペースを一気に上げて総合トップとなる2分5秒670をマーク。マシンの現状のポテンシャルとさらなる伸びしろを確認して、テストを無事に終了しました。
「YAMAHA RACING TEAM」に続き、ライバルのベストタイムは「Team HRC with Japan Post」が2分5秒736、「AutoRace Ube Racing Team」が2分6秒269、「Astemo Pro Honda SI Racing」が2分6秒328と、全日本のトップチームが上位につけました。
次回のテストは6月18-19日、「YAMAHA RACING TEAM」から中須賀選手と南本選手の二名が参加。またEWCのレギュラーチームで、現在ランキングトップに立つ「Yamalube YART Yamaha EWC Official Team」も参加する予定です。
#21 YAMAHA RACING TEAM
中須賀克行選手
「今回はR1自体にウイングレットがついて、車重も8耐仕様と重くなったことによるバイクのバランスを確認することが一番のミッションでした。そして自分自身が1年ぶりに鈴鹿サーキットを走るということでの慣熟走行。さらには東コースの路面改修がされているのでそのフィーリングの確認やタイヤ選択をしました。
初日は雨が降ってしまったので走行はありませんでしたが、今日は素の状態で走ってバイクがどんなバランスなのかを確認した後に、バネレート、ギアレシオやミッションなどを確認しながら詰めていきました。タイヤも選択肢を狭めていくことができて、次に進んでいくための基本的な部分は、この1日で確認できました。
タイムはトップでしたが、さまざまなタイヤを選択するなかで得られたもので、現時点では特に意識をする必要はありません。ただ、あるタイヤを使った際にこのタイムが出るという指標を得られたという意味では成果となりました。また、今回は3人がそれぞれの力を引き出せるマシンがなければ鈴鹿8耐は勝てないので、モチベーションを高められるようなバイクにしていきたいという一心で取り組んだし、それに向けて前進できた1日になりました」
吉川和多留監督
「ピット作業は6年のブランクがある中で、2019年からの改善に向けた確認と、チームクルーももちろんブランクがありメンバーも変わっているところでピット作業含めた全体の動き方を、より本番に近い中で確認。想定外のことがあったり、動きの連携での課題も見えたので非常に良いテストになりました。
ウィングレットがついた新型R1は鈴鹿で初の走行でした。さらに鈴鹿8耐仕様ということでのさまざまな影響を確認できたのですが、走行時間が少なかったことから、まだ確認したいことが残っていますが、タイムから新型R1が鈴鹿を十分に走れるポテンシャルがあることを確認できてホッとしました。同時に、まだまだ詰めきれてはいないので、伸び代もありこれからが楽しみなバイクです。
次回は天候も良く気温も30度を超え、路温も50度という状況になる予報なので、3名のライダーが揃う7月頭のテストに向けて、レベルアップしたバイクを作っていきたいと考えています。またチームの課題解決にも取り組んで、洗練された体制で本番に向かいたいと思います」