マンディ・カインツ:YARTファミリー全員の力で、トップ3のトロフィーを持って帰りたい
開幕のル・マンではオイルによってクラッシュがありましたが、24時間レースでよく起こる大きな問題もなく、すばらしいシーズンのスタートを切りました。しかし現在のEWCの戦いは厳しくなっています。ミスが許されず、それが小さなミスでもあっても、なかなかレースには勝てません。
タイトル争いでは、F.C.C. TSR Honda Franceもすばらしい戦いをしているので、ランキングトップとはいえ1ポイントの差しかありません。だから本当の戦いはこの鈴鹿からとも言えるし、ボルドールではたくさんのポイントを取ることができるので、この先を予測できない状態です。その鈴鹿では、タイトルに向けてポイントは欲しいのでゆっくり走るわけにはいきませんが、自分たちのレースをするだけです。
ただ昨年と異なるのはスパでの完全勝利によってチームのモチベーションが高まっていること。2位や3位だった時よりも全員に自信があり、チームの雰囲気がいいのです。
鈴鹿での表彰台は夢だと言い続けてきました。昨年は表彰台に手が届くポジションにいましたが獲得できませんでした。でも、敗北や転倒からは学びがあり、経験が増えていきます。それを繰り返してきたからYARTは強くなれたのです。耐久はただ速く走るだけでなく、問題を避けることも大事です。今年のパッケージは昨年とほぼ同じですが、スタートや電子制御、いろんな細かい問題を解決しました。これも経験があるからできることだと思います。
もう一つ、YARTには強さがあります。それがライダーとスタッフです。他のチームでずっと同じライナップのチームはあまりいないと思いますが、私はみんなを信頼しています。とにかく彼らは互いの強みも弱みも知っていますし、チームとして勝つ、チーム全員で勝利を目指せるのです。まるで大きな家族のようであり、ランキングトップにある理由の一つだと思います。
今大会もスポットで参戦するライバルがとても強く、そのライバルが本命ですが、それでいいのです。私たちはそれを意識してはいません。なぜならその事実はいくら念じたところで変えることはできないからです。ライバルが強くても、弱くても、私たちは自分たちのレースをしなければならないのです。
YARTはこの鈴鹿8耐では弱い存在だと思っています。レースの数日前に日本に到着し、ホームのアドバンテージがある日本のチームに勝つのは簡単ではないのです。さらにEWCのライバルたちも日本で生まれ鈴鹿で育ったバイクで走ることとなります。R1も速いけど、ライバルも速いのです。
実は、私のオフィスにトロフィーケースがあって、そこには鈴鹿の4位や 5位や6位のトロフィーがあります。でも私の息子が「1-2-3位のトロフィーはないの?」と聞いてくるんです。その時、私は「日本にあるよ!」と答えています。先ほども話したとおり、ライバルはいつも通り強いですが、私たちもこれまでより強くなっているので、今年はトップ3のトロフィーを持って帰りたいと思っています。そのために技術的な部分や運営ではヤマハがたくさんのサポートしてくれています。でもレースを戦う上で大事なのは、ファンの皆さんの応援です。ぜひサポートをお願いします。