YARTが公式予選で総合2番手、TOP10トライアル進出
2022 FIM世界耐久選手権 "コカ・コーラ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会の公式予選が行われ、#7 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(以下YART)のニッコロ・カネパが2分5秒863、マービン・フリッツが2分6秒138、カレル・ハニカはウエットでの走行となりベストは2分20秒643となったが、総合2番手を獲得してTOP10トライアル進出を決定した。
予選は、ブルー、イエロー、レッドライダーが、それぞれ20分間のセッションを2回ずつ行い、上位2人のベストタイムの平均値にて、順位を決める方式。YARTは、まずブルーライダーのマービンが出走し、チームに勢いをつけるように1周目で2分6秒台をマークすると、2度目のアタックでは、ここまでのチーム最速となる2分6秒138をマークして2番手を獲得した。
続くイエローライダーとして登場したカネパは、1回目のアタックこそ目の前を走るライダーが転倒した影響を受けて7秒台にとどまったが、2回目に6秒台、そして3回目のアタックで、ヤマハでは鈴鹿8耐史上最速となる2分5秒863でイエローライダーのトップに立った。
そして3人目、レッドライダーとして登場したのがカレル・ハニカ。シーズンを通して予選では好タイムを出してきたハニカも気合十分で出走するが、1周目に転倒。再スタートできたためすぐにピットに戻ってきたが、雨が降り出しウエットでの走行となりベストは2分24秒127と、トップのライダーのタイムに対して108%に入っていなかったためDNQとなった。
この108%ルールとは、「レースの出場資格を得るためにライダーは、最低1回の予選セッションにおいて、ライダーが属するグループの最も速いライダーのタイムの108%と同等のタイムを出していなくてはならない」というもの。仮に3人の内1人が、2セッションとも108%に入らなかった場合、そのライダーは予選落ちとなり、チームは2人で8時間を走らなければならなる。
迎えた2回目の予選では、マービンが転倒した車両のチェックを兼ねて走行。続くカネパはリスクをおかすことなく、走行をキャンセルした。そしてハニカが前後にニュータイヤを装着し2本目に臨んだが、再び不運が襲う。走り出してすぐに雨が降り出してタイムが伸びず、今回もアタックできないままにウエットコンディションとなり、ベストは2分20秒643。このため、108%ルールが心配されたが、このタイムが108%内となり16番手で無事予選をクリア。この結果、YARTは公式予選で総合2位を獲得。明日行われるトップ10トライアルへの進出を決めた。
#41 IRF with アズールレーン(以下IRF)は、ブルーライダーの宮腰武が一番手で出走しウィークで自身最速となる2分14秒732で41番手を獲得。続く鈴鹿8耐初出場となる川名拳豊は2分13秒390で、ここまでのチームベストを出して32番手を獲得した。しかし続いて登場したレッドライダーの西村一之は、降雨の影響で1周目を終える前にピットに戻り、その後も走行できなかったために記録ナシでセッションを終了した。
2本目に入ると、宮腰は2分18秒142としたが、108%ルールによりDNQ。川名は走行をキャンセルして記録なし。1本目で108%を満たせなかった西村は、YARTのハニカと同様、ウエットの苦しい条件の中で走行を強いられ、再びトップタイムに対し108 %内に入ることができずにDNQ。これにより、西村は予選落ちとなってしまった。しかしチームとしてIRFは41番手で決勝進出を果たし、決勝は宮腰と川名の2人で走行することとなった。
予選総合2番手:YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(2分6秒001)
カレル・ハニカ選手談
「人生の中で最も苦戦した耐久の予選かもしれません。スリックタイヤでタイム出せるコンディションではありませんでした。今日の朝はかなりいい調子がよく、いいタイムが出ると思っていたから残念です。1本目のセッションはアウトラップで転倒してタイムを残せなかったので、2回目のセッションではタイムを出さなければなりませんでした。ところが、スリックタイヤで出たのに雨が降ってきたのです。僕はそういうコンディションが苦手なライダーかもしれませんが、ミスがたくさんあってギリギリで予選通過しました。チームメイトがよく頑張ったおかげで2位となりましたが、それが一番重要です。自分のペースとチムーメイトのペースはドライでは完璧なので、僕たちのバイクが素晴らしいことを証明できたし、予選通過しレースに出ることが決まってよかったです」
マービン・フリッツ選手談
「予選で5秒台、6秒台を出せるとは思っていなかったので、かなり嬉しいです。自分のアタックの時は少しミスがありました。予選のマシンはウィーク中一回も乗っていなかったセッティングだったのです。エンジンブレーキがいつもより強く効く状態だったで、2回目のラップにはそれを合わせる必要がありました。また、少しペースの遅いライダーがいましたが、結果的にいいラップになりました。おそらくコンマ2〜3秒程度は速く走れたはずで、ニッコロみたいに5秒台出せたかもしれません。でも、満足しています。チームはとても頑張ってくれて、バイクはドライもウェットもばっちりです。なぜなら、僕がナイトセッションでトップタイムですからね。レースは安心して楽しむことができるでしょう。プレッシャーはありませんから」
ニッコロ・カネパ選手談
「素晴らしいタイムをマークできました。おそらくヤマハの歴史上で最も早い8耐でのラップタイムになると思います。誇りに思います。ですが、さらに速いタイムを出せると思います。最初のラップではライダーを抜くのにミスがあったため、2:05前半も可能だと思います。なので、明日のトップ10 トライアルでは好天になることを願っています。もっと速いタイムが出せるよう頑張ります。だけど、今日の結果には満足です。特に、大変なコンデションだったカレルが予選を通過できたことがよかったですね。そしてマービンもとても速いら方タイムを出しているし、僕たちは強く、レースに向けての準備も万全です」
マンディ・カインツ監督談
「予選では、全チームが全てを出し切った中で、とてもポジティブな結果となりました。みんなの予想をはるかに超える結果になったと思います。公式テスト、事前テストの状態から十分に戦えることはわかっていました。私たちはこの結果にとても満足してます。素晴らしいサポートをしてくれているヤマハに感謝しています。明日以降も、いい結果でヤマハファンのみなさんを喜ばせていたといいですね」
予選41番手:IRF with アズールレーン(2分14秒061)
宮腰 武選手談
「このレースウイーク中、3人のライダー中でタイムを出せていないのが僕だったので、僕のライディングスタイルに合わせたマシンを用意してもらい予選に臨みました。僕のグループのトップライダーが2分4秒台を出したことが途中でわかり、予選を通過するには2分14秒8を出さなければならず、とにかく全力で行くしかないとプッシュし、ギリギリ通過タイムをクリアできました。
決勝では、アベレージタイムを少しでも上げながら、ペースが同じライダーが近くにいても熱くならず冷静に、最後までしっかり走り切りたいと思います。
僕自身、大学生の時にふとしたことでレースの世界を知るまで、全くバイクに縁がなかったので、『アズールレーン』とのコラボレーションが少しでも多くの方にレースやバイクのことを知ってもらい、バイクを買ってもらえるきっかけになるといいなと思っています」
川名 拳豊選手談
「前を行くライダーに詰まってしまったり、いくつもミスしてしまったにも関わらず、これまでの自己ベストを1秒以上上回る2分13秒3のタイムが出ました。12秒に入れられる手応えすら感じています。周りのみんなにプレッシャーをかけられて、これはもうなんとかするしかない! と気持ちが乗った結果ですね。また連日走行を重ねるたびに動画やデータを見返して反省と修正を繰り返すことで、今年から新しくなった車両への理解が深まった成果でもあります。そして何より、メカニックがしっかり整備し安心して走れる環境を整えてくれたおかげです。
2人で決勝に臨まなければならない状況では、どうなることか予測がつきませんが、やるしかありません! 初めての8耐ですが、雰囲気が全日本のままですので特に気負うことなく、このカッコいいマシンとつなぎをきれいなままでゴールしたいですね。走りながら観客席がよく見えているので、ヤマハフラッグを振って応援してもらえたら嬉しいです」
西村 一之選手談(DNQ)
「予選の1回目も2回目も雨に翻弄されてタイミングを逸してしまい、タイムアタックできないまま、108%ルールにより予選不通過となってしまいました。そのため決勝レースには宮越・川名の2ライダーのみの出場となりますが、僕が肩を痛めていることもあって、元々その2人を中心に決勝に臨もうと思っていましたので、当初の作戦から変更はありません。
予選では、僕がセッティングを煮詰めた車両で川名が自己ベストを出してくれたことが嬉しいですね。僕のマシンづくりは、市販車でのそれに近く、自然な旋回性で安心して乗れる、まさにヤマハハンドリングが随所に活かされたものなんですよ。
今回『アズールレーン』とのコラボで、日頃のレースやバイクと接点の少ない方からもたくさん応援をいただいています。その気持ちに応えるためにも、チーム一丸となって完走目指してがんばりたいと思います。とにかく最後まで走り切れば、自ずと結果もついてくるはずです」
Overall Qualifying Classification
Pos. | No. | Team | Machine | Average Time |
---|---|---|---|---|
1 | 33 | Team HRC | Honda | 2'05.718 |
2 | 7 | YART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC | Yamaha | 2'06.001 |
3 | 10 | Kawasaki Racing Team Suzuka 8H | Kawasaki | 2'06.307 |
4 | 17 | Astemo Honda Dream SI Racing | Honda | 2'06.597 |
5 | 5 | F.C.C. TSR Honda France | Honda | 2'07.033 |
6 | 37 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW | 2'07.077 |
7 | 72 | Honda Dream RT SAKURAI HONDA | Honda | 2'07.239 |
8 | 73 | SDG Honda Racing | Honda | 2'07.287 |
9 | 25 | Honda Sofukai Suzuka Racing | Honda | 2'06.829 |
10 | 2 | EVA RT 01 Webike TRICKSTAR Kawasaki | Kawasaki | 2'07.595 |
41 | 41 | IRF with AZURLANE | Yamaha | 2'14.061 |