インタビュー:マービン・フリッツ「YART史上最強メンバーで打倒ファクトリー」
2022シーズンの開幕戦は良かったですね。実際は不運もあり、最後にはトップに1周遅れの2位でフィニッシュとなりましたが、私たちにとっては完走できたことこそ大きな成果でした。完走が一つの目標であったし、しっかりとポイントを獲得してシーズンをスタートすることが本当に重要だったのです。
続くスパでのYARTは本当に速かったですね。前半でトラブルに見舞われ大きく遅れたものの、そこからトップに追いついて、トップに立って... 翌朝にはトラブルでリタイアとなりましたが、8時間目と16時間目にポイントを獲ったことが重要で、2戦を終えてトップに30ポイント差とタイトルの可能性を残して第3戦を迎えることができています。
私自身はいろいろと経験してきました。特に近年はスーパーバイク世界選手権(WSBK)を何戦か走っています。今年はエストリルでタンブリーニの代わりに走りました。レース1が16位、スーパーポールレースはクラッシュしてリタイア、そしてレース2は電子制御の問題があり17位と、十分な結果は得られませんでした。EWCのブリヂストンとWSBKのピレリとの違いを克服できなかったこともありますが、そういったことも含め、自分にとってはすべてがとてもいい経験であり、いろいろと勉強にもなるので、今年もあと2回の出場を計画しています。
でもやはり私が成長を遂げたのはYARTでの時間であり、その多くがニッコロのおかげです。彼は多くの経験を持ち、その姿から多くを吸収することができました。ニッコロ自身もいい人で、一緒にビール飲んだり、レース以外の時も一緒に遊んだりしています。カレルとも仲良しです。私がカレルの姉と付き合っていることもあり、ブルノにある彼らの自宅にもいきます。彼もいい人間で、一緒にトレーニングしたり、遊んだりしています。
こうした関係ではありますが、3人ともプロライダーなので一番になりたいという気持ちがあると思います。スプリントのライダーたちは、普段は自分のためだけに走っているので、助け合うことに慣れてないと思いますが、YARTの3人は、お互い助け合うのが特徴です。たとえばあるセクションで一人だけ速い場合、一緒に走るなど常に情報を共有し改善を図りますが、自然にそれができることが私たちの大きな強みであり、一人一人の距離がどんどん近づき一丸となって戦うことができているのです。
7月の事前テストはとても良い感触を掴みました。ドライで走れないと思っていたので、運も良かったのですが、バイクのセッティングが一気に前進し、サーキットに慣れることもできました。ラップタイムについても満足しています。初日のある走行では、リアはニュータイヤでしたが、フロントはすでに25周走っている中古タイヤだったのに、ほぼ予選と同じペース走ることができたのです。これはライダー、マシン、タイヤ... 全体パッケージが向上している証拠です。さらに2日目には2分6秒台をマークしましたが、こんなに速く走れるとは想像していなかったので、嬉しいですね。でもまだ限界ではありません。もっと向上できる部分があるし、ヤマハのサポートもあって、もう少し速く走れるはずなのです。
本番ではタイトルを取るためにもEWCのライバルチームの前でゴールすることが大事です。でも鈴鹿8耐の表彰台には立ってみたいですね。ファクトリーチームがいるため難しいことはわかっていますが、私の中では今が一番いいチームだと考えています。今年はYART史上最強です。3人とも同じぐらいのペースで走れるし、安定しているし、夜間走行も苦にしないので、これまでにない成績=表彰台の可能性も十分あるので、あとは全力で戦うのみ。今から、レースウィークが楽しみで仕方ありません。