インタビュー:カレル・ハニカ「耐久ライダーが速く強いことを8耐で証明したい」
私がこのチームに入ってから3シーズン目となります。不運には何度も見舞われましたが、私が加わって初シーズンはランキング2位でシーズンを終えているように、それなりの成績を残してきました。ポールポジションを何度も獲得し、優勝や表彰台も経験し、YARTは速いということを証明してきました。耐久では不運がつきまといますが、レースでは常に勝利の可能性を感じさせる走りをしてきたのです。今年はまだチャンピオン候補に入っている状態で、チャンピオン獲得に向けて準備を整えており、鈴鹿ではそれをチーム全員で発揮するだけの状態です。
こうした充実した状況があるのも、素晴らしいチームメイトのおかげです。たくさんの経験を持っているメンバーと一緒に戦えるのは本当に幸せなことです。ニッコロは、YARTの中では最も経験を持っているライダーであり、R1の経験も最も多く持っています。本当に、ニッコロがチームにいてよかったと思います。特にセッティングのキーマンです。方向性を定め、時には修正してチームを成功に導いてくれるとても大事な存在。もちろんレースでのペースも素晴らしく、コンディションに変化が起こる天候においては、ニッコロがチーム最強なんです。
レースとは少し関係ないけど、私とマービンは特別な関係。ほぼ家族ですからね。長く私の姉と付き合っていて、近くに住んでいることもあり、一緒にトレーニングをしたりしているんです。ライダーとしても、私よりヤマハでの経験は豊富で、走ればとてつもなく速い。特にレース中は限界までプッシュして、いつも上位のラップタイムをマークします。繰り返しになるけれど、こんなにすごいライダーがいるYARTに入っていてよかったと思います。
私自身はチームに迷惑をかけないよう、常にベストを尽くしています。まだ、夜間走行など改善すべきところもあり十分ではないけど、3人が使えるセッティングを探す手伝いや、予選のタイム出しが私の大事な仕事。特に予選タイムでは、過去4大会で3回、ラップレコードを取りました。でも一番大切なのは、できるだけ速く走りながらもリスクを避け、無事、バイクをピットに持って帰ることだと思っています。
鈴鹿サーキットに来たのは4回目で、実際に走るのは3回目になります。過去はすべて他のメーカーだったので、ヤマハでは初めてとなりますが、R1の一番のいいところは低速のパワーです。トルクが良くて、特にコーナーの脱出時は有利です。最終シケインとかヘアピンの立ち上がりがいいですね。それから軽快なハンドリング。テクニカルなサーキットでは、大体一番強いと感じています。
鈴鹿8耐は2018年以来で、すごい楽しみにしていました。久々に走った鈴鹿サーキットは最高でしたが、同時に正確性を求められるため難しく、ドライの時に経験のあるチームメイトと一緒に走り勉強しました。テストを終え今のところは好感触で、ウエットも初めてブリヂストンで走りましたがとてもいい感じでした。タイムも最終的には2分6秒台に入ったので、電子制御のセッティングが固まればさらに良くなるでしょう。もちろんレース用の正しいタイヤを選ぶことも大切です。
鈴鹿8耐は地元、日本のライダーが多く、彼らは皆、たくさんの経験を持っています。また、スーパーバイク世界選手権のライダーが多数参戦するので、私にとってはレースファンの皆さんに、「耐久ライダーは強く、耐久仕様のバイクは速く、有名なライダーと十分に戦える」とうことを知ってもらう良い機会だと思っています。実施に、事前テストではファクトリーに近づいて、その可能性を見せることができており、とても嬉しく思います。
まもなく本番を迎えますが、私自身とチームの目標は同じです。それは勝つことです。私たちは競争をしているわけで、YARTはヤマハのトップチームなのだからそれしかありません。でもレースで勝つのは簡単ではありません。特に鈴鹿8耐は特別難しいのです。バイクを最高の状態にして、すべてがうまくいけば、トップ狙えるでしょう。簡単じゃないけど、ベストを尽くします。