インタビュー:ニッコロ・カネパ「目指すはYARTにとって初となる鈴鹿8耐の表彰台」
今シーズンはここまで2戦を終えましたが、開幕戦のル・マンはスタートからトラブルが発生して最後尾からの追い上げになるなど2位。第2戦のスパはトップ走行中にリタイアと、両レースともに運に見放されました。でもYARTはこの2戦の各セッション、各レースで最も速いチームでもあったのは確かで、それは、素直にうれしいことです。私たちはこの世界耐久選手権(EWC)で最も強いチームということを十分に見せてきましたが、さらにレベルが高い鈴鹿で好成績を獲得し、自分たちの実力を証明したいと考えています。
私自身は今年もスーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦するヤマハチームのテストライダーやイタリア選手権、Moto Eなど、いろいろなことにトライしていますが、すべては最優先とするEWCのためです。本来であれば、EWCのレースがもっと増えてくれるとうれしいのですが... 今シーズンはわずか4戦と少ないので、他でたくさんバイクに乗ってコンディションをキープしているのです。特に今年はたくさんのテストに参加しました。いろんなセッティングで、多様なタイヤを使うわけですが、長い時間R1に乗っているため、万全な状態でYARTのR1に乗ることができています。
私は、以前はチームで一番若かったけれど、今は一番の経験者となり役割も変わってきました。過去の経験に加え、WSBKやイタリア選手権でもバイクに乗って視野が最も広いことから、セッティングを担っています。
チームメイトの二人とは数年間にわたって一緒にやってきたこともあり、お互いが認め合い助け合える素晴らしい関係ができています。マービンは、EWCで才能を開花させてきましたが、最近はさらに力をつけており、身体的にも充実して今は速いだけでなく、とても安定しています。カレルはチームに入ってすぐにYARTのバイクに慣れてくれました。ものすごい速さを見せる時があり、特に予選タイムは抜群です。スタイルはとてもスムーズで、レースでも安定して速く走ることができます。
二人がとても速いことで、チーム全体のレベルも上がっていますが、他のチームはライダーのタイムにばらつきがあるのに対して、3人のタイムが近いことがYARTの強さの一つ。また速い二人と私の経験が融合することで強いチームになっていますが、絶妙な役割分担ができているのです。またYARTの全員がレースで勝つ、タイトル獲得という同じ目標に向かっており、EWCのチームとして最高の状態にあると思っています。
いよいよ本番が近づいてきましたが、鈴鹿8耐を走るのは3年ぶりでとてもワクワクしていますし、EWCでは最大の大会でもあるので、2019年以降ずっと楽しみにしていました。先立って行われた公式テスト(7月)では、鈴鹿を楽しみつつも、大きな手応えを得ることができました。新しい電子制御システムで鈴鹿を走るのは初めてだったので、今回はそのセッティングが中心となりましたが、テストは順調に進むと同時に、みんながとても速いラップタイムをマークできていることにびっくりしました。後はウィークに入ってからレースペース、燃費を確認し、電子制御を微調整することによってもう一歩前進できると思います。
しかし今回も強力なライバルが揃っています。J・レイ選手はWSBKで6回の世界チャンピオンを獲っているし、A・ローズ選手はヤマハで何回も8耐で勝っているライダーです。さらに燃費、スタート、天気... 鈴鹿8耐もまた何があるか想像できず、とても難しいレースになることが予想されます。
それでもR1もブリヂストンタイヤもとてもいい状態であり、世界のトップライダーたちとの表彰台争いに加わるための必要な要素が揃っています。チームとしても、このバイクとタイヤでシーズンずっと戦ってきたという経験を持っており有利な面もあるので、あとは目標となる表彰台に向けて力を尽くすのみ。ファンの皆さん、ぜひ応援をよろしくお願いします。