YAMAHA FACTORY RACING TEAM 3連覇をめざして力強くキックオフ
6月27~28日、鈴鹿サーキットでYAMAHA FACTORY RACING TEAMが鈴鹿8耐プライベートテストを行った。鈴鹿8耐仕様のYZF-R1が並ぶピットは、平静でありながら確固とした自信と力強さに満ちていた。
昨年、YAMAHA FACTORY RACING TEAMはヤマハにとって28年ぶりとなる2連覇を達成した。その精鋭たちが、再び鈴鹿サーキットに結集した。「青の真価」をスローガンに3連覇を懸けて戦う今年、ライダーは中須賀克行選手、アレックス・ローズ選手、そしてマイケル・ファン・デル・マーク選手と、全員が鈴鹿8耐優勝経験者だ。チームは2日間の日程で行われたプライベートテストを順当にこなし、好スタートを切った。
テスト初日の6月27日は好天に恵まれ、終日ドライコンディション。日本人ライダーとしては鈴鹿8耐史上初となる3連覇が懸かった中須賀選手、昨年は2度目の鈴鹿8耐参戦ながら安定した走りで勝利に貢献したローズ選手、そして鈴鹿8耐では他チームで2勝を挙げているファン・デル・マーク選手の三者は、YZF-R1のコンディションや自身のフィジカルコンディションを確認しながら着実に周回を重ねた。
午前、午後にわたったテストは順調に進行。すでに実績のあるYZF-R1に微調整を加えながら、より精度を高めていく。「鈴鹿8耐仕様のYZF-R1に乗るのは初めて」と言うファン・デル・マーク選手は、スタッフやチームメイトたちに積極的に質問し、いち早くマシンを自分のものにすべく努めていた。
2日目の28日は、前夜から降り出した雨が残り、午前中の走行をキャンセル。ピットでは和やかに親睦を深めるライダーたちの姿が見られた。「お互いが信頼し合うことが何よりも大切」と言う中須賀選手を中心に、YAMAHA FACTORY RACING TEAMへの参加は2年目となるローズ選手が場を和ませ、チーム初参加となるファン・デル・マーク選手の気持ちをほぐす。こうした空き時間の濃密なコミュニケーションも、優勝に向けての重要な礎となる。
昼過ぎには雨が上がり、初夏らしい強い日差しが路面を乾かし始めた。テスト終了時刻の30分前にファン・デル・マーク選手がコースイン。ところどころにウエットパッチが残る難しいコースコンディションながら危なげなく周回し、セッティングやポジションを入念に確認した。
走行を終えてピットに戻ったファン・デル・マーク選手を、中須賀選手、ローズ選手、そして多くのチームスタッフたちが取り囲み、走行インプレッションをヒヤリング。さらなるステップアップに向けて情報交換を行った。
2017鈴鹿8耐のキックオフとなる2日間のプライベートテストを順調にこなし、より結束を強めたYAMAHA FACTORY RACING TEAMは、この後、7月11~13日の合同テストに参加する予定。「自分たちが実力を発揮できれば必ず勝てる」と吉川和多留監督が語った通り、強い自信を携えたチームは一丸となり、7月30日の鈴鹿8耐決勝で表彰台の頂点に立つべく、さらに戦闘力を高めていく。
なお、ヤマハ鈴鹿8耐スペシャルサイトでは、テストの様子から決勝レースまで、さまざまな情報を公開していく予定です。どうぞご期待ください。
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手談
「3連覇という声が聞こえてくるが、自分としては連勝を意識するより、とにかく目の前の勝利をもぎ獲ることに集中しています。気持ちとしては毎年変わることなく、あくまでもチャレンジャーです。今回のテストでは、アレックス(ローズ選手)、マイケル(ファン・デル・マーク選手)ともに、粒揃いの実力があることが改めてよく分かり、安心できました。アレックスとは2回目、マイケルとは初めての鈴鹿8耐になりますが、コミュニケーションも良好で、信頼関係が築けています。勝利には信頼がもっとも大切だと思っているので、あとは着実にやるべきことをやるだけ。タイヤの選択もうまくいっているし、セッティングも問題ありません。決勝を終え、みんなで喜び合えるように全力を尽くします」
アレックス・ローズ選手談
「走り込むほどに鈴鹿8耐仕様のYZF-R1のフィーリングと鈴鹿サーキットのコースレイアウトを思い出すことができ、順調にテストをこなすことができました。R1は特に鈴鹿サーキットですばらしい走りを見せてくれるので、真剣なテストの中でもライディングを楽しめました。僕はふだんスーパーバイク世界選手権でスプリント仕様のR1を走らせていますが、ベースのフィーリングは同じなので、違和感なく乗れています。昨年見た、表彰台の頂点からの光景は、たくさんのファンがいて、たくさんの光が見え本当にすばらしかったですね。今年もあの瞬間のために、ベストを尽くします。さらにテストをこなして、再び勝つことが楽しみです」
マイケル・ファン・デル・マーク選手談
「昨年まではライバルチームにいたので、何だか不思議(笑)。ヤマハはとても手強かったし、YZF-R1にもすごく興味がありましが。今年はこうしてR1で鈴鹿8耐に参戦する機会をもらえて、とてもハッピーです。テストでは、やっぱり中須賀さんが非常に速かったですね。彼はR1での経験も豊富なので、僕もアレックスも多くのことを学べました。R1は鈴鹿ですばらしいパフォーマンスを発揮することが確認できたし、何よりも大切なコンスタントな走りが可能だということが分かりました。ベースセッティングの完成度が高いから、ほんのわずかな微調整で済みそうです。中須賀さん、アレックスとの関係も良好だし、決勝レースが本当に楽しみです」
吉川和多留監督談
「3連覇、何としてでも獲りたいですね! 昨年2連覇したからこそ得られた機会ですから、積極的に記録に挑戦していきます。ライバルが新型車で挑んでくる中、我々は3年目となるYZF-R1での戦いです。豊富な経験と実績を武器にして、自分たちのパッケージが持つ力を100%発揮できれば、3連覇を成し遂げることは十分に可能だと考えています。今回のテストも順調にこなすことができました。中須賀選手はエースライダーとして頼もしい走りを見せ、チームの士気を高めています。ローズ選手はチーム2年目で、鈴鹿8耐をよく理解しており、なおかつ明るいムード作りに貢献してくれています。チームとしては初となるファン・デル・マーク選手は、事前に全日本ロード・オートポリス大会にスポット参戦したことが奏功し、いち早く溶け込んでいます。実力のあるライダーたちが揃っており、心強い限りです。R1もベースセッティングを大きく変更することなく、次回以降のテストに臨めそうです。ただ、テストはテスト。本戦になれば路面温度も含め条件はガラリと変わります。いいキックオフができ、いい感触が得られたことは間違いありませんが、それに甘んじることなく、決勝まで緊張感を保ち続けていきます」