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INTERVIEW

#21YAMAHA FACTORY RACING TEAM

  • 中須賀克行
  • ポル・エスパルガロ
  • ブラッドリー・スミス
インタビュー

勝利を引き寄せる「ポジティブな明るさ」

3人がインタビュールームに入ってきた途端、空気がパッと明るくなった。ムードメーカーは、ポル・エスパルガロだ。日本語の挨拶とジョークを交えながら、一気に場を盛り上げる。

いかにも真面目そうなブラッドリー・スミスも、常に真剣な中須賀克行も、エスパルガロの勢いに引っ張られて、笑顔が絶えない。

「考えてみたら、彼らは僕より10歳近く年下なんですよ」と中須賀が苦笑いする。

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全日本ロードレース最高峰クラスで5度のタイトルを獲得し、今季は前人未踏の4連覇に挑戦している中須賀は、現在33歳。Monster Yamaha Tech 3でMotoGPを戦うエスパルガロとスミスは、いずれも24歳だ。

「でも、年齢差なんて感じませんよ」と中須賀はにこやかだ。「僕はずっと18歳のつもりでいますからね」とジョークを飛ばす。全日本ではベテランの風格を醸し出している彼も、エスパルガロとスミスに巻き込まれながら、実に若々しくて楽しげである。

しかし、若さだけが彼らの明るいエネルギッシュさの源ではない。初参戦となるエスパルガロとスミスは、ふたりとも鈴鹿8耐参戦を心から待ち望んでいた。レースを直前に控え、楽しみで仕方がないのだ。

エスパルガロは、「僕が参戦することになった時、兄(アレイシ・エスパルガロ/MotoGPライダー)がすごくうらやましがったよ! 彼はずっと鈴鹿8耐に出たがっているんだ」と、ちょっと自慢げだ。

スミスは、「レーシングライダーの友人が、何人か鈴鹿8耐に出たことがあってね。みんな『たくさんのファンがサーキットに足を運んで、雰囲気も素晴らしい最高のレースだよ!』という話をしてくれたんだ。僕も2年越しで『参戦させてほしい』と頼み込んで、ようやく実現した大きな夢なんだ。テストで鈴鹿サーキットを走った時は、特別なフィーリングに包まれたよ」

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そして、参戦マシンであるニューYZF-R1のポテンシャルの高さが、3人の鈴鹿8耐への期待度をいっそう高めている。全日本ロードの前半戦を優勝で折り返して鈴鹿8耐に臨む中須賀は、「ポテンシャルの高さは全日本の戦績ですでに十分証明できていると思います。新型車ということで、鈴鹿8耐の長丁場では未知数なところもありますが、間違いなくいいポジションを走れるマシンだと思う」

「まるでMotoGPマシンをライディングしてるみたいなんだよ!」とエスパルガロ。「速い速度でのコーナーへの進入も、フロントに自信を持って飛び込んでいける。この頼もしさは、YZR-M1譲りだね」と驚きを隠さない。「特にハンドリングのクイックさは素晴らしい。鈴鹿にはとてもタイトなシケインがあって、素早く切り返さなければならないんだけど、R1はスッと向きを変えてくれるんだ」と言う。

スミスは、R1の安心感の高さに感銘を受けた。「テストではウエットの時もあったんだけど、とにかく安心してライディングできた。R1の電子制御技術には、MotoGPマシン・YZR-M1のノウハウも生かされているはずだからね。実際、トラクションコントロールのフィーリングもよく似ていて、余計に安心できたんだと思う」

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楽しみにしていた8耐。ポテンシャルの高いYZF-R1。そしてもうひとつ、彼らのモチベーションを高めているのが、チームの雰囲気だ。全日本で多くの経験を積んでいるスタッフに、全日本チャンピオンライダー、そしてMotoGPライダー。最高の布陣である。

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「ポルやブラッドリーとはMotoGPテストで一緒に仕事をしてるから、気心も知れてるし、マシンに求めるものもわかる。鈴鹿8耐のテストで一緒に走っても、あっという間に好タイムを出してくるんですよ。さすがMotoGPライダー、という感じです」と中須賀が絶賛すれば、エスパルガロは「いやいや、ナカスガのシケインの速さには本当に驚かされるよ! 彼はR1について誰よりも詳しいし、何よりチャンピオンだからね! 僕たちのいい先生なんだ。ナカスガがチームにいてくれて、本当にありがたい支えになってくれてるよ」と敬意を表し、スミスは「ナカスガとはMotoGPのウインターテストでいつも合ってるから、お互いによく理解し合えている。彼は僕たちがGPで戦うマシンを作ってくれるテストライダーでありながら、現役バリバリの日本のトップレーサーでもある。8耐では、トップレーサーとしての彼が僕たちを優勝に導いてくれるはずさ」と笑顔を見せる。

お互いがお互いの能力を認め合い、尊敬し合い、それをひとつに合わせることに心からの喜びを感じているからこそ、3人の間には実に爽やかな空気が漂っているのだ。

そして3人とも、「目標は明確だ」と口を揃えた。「勝てるマシン、勝てる体制、勝てるチームメイトを得て、目標は勝つことしかない」と、気持ちは完全に一致している。明るいムードは、困難なチャレンジであるとわかっていながら、迷いなく突き進む姿勢の表れだ。

気持ちよく、そしてまっすぐに勝利に向かう、3人のベクトル。表彰台へ、そして頂点へと、伸びやかに駆け上がっていく。

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