MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.07 5月25日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第7戦イギリスGP
■開催日:2025年5月25日(日)決勝
■開催地:シルバーストン/イギリス(5.902 km)
MotoGP
■コースコンディション:ドライ
■気温:16度/路面温度:33度
■周回数:19周(112.1km)
■PP:F・クアルタラロ(1分57秒233/ヤマハ)
■FL:M・ベッツェッキ(1分59秒770/アプリリア)
Moto2
■コースコンディション:ドライ
■気温:16度 ■路面温度:30度
■周回数:17周(100.3km)
■PP:A・カネット(2分02秒482/カレックス)
■FL:M・ゴンザレス(2分04秒034/カレックス)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
クアルタラロ選手、トップ走行中にトラブルでリタイア
Monster Energy Yamaha MotoGPのA・リンス選手が懸命のプッシュで14位。F・クアルタラロ選手は12ラップ目、トップ走行中にマシンの不具合が発生してリタイアとなった。
MotoGPは今回も波瀾の展開となった。レースは3ラップ目、コース上にオイルが漏れていたことが判明して一時中断。3ラップが完了していなかったため、当初のグリッド位置からクイックスタートの手順を経て再スタートとなった。周回数は全19ラップに減算された。
最初のレースで赤旗が提示された時点でリンス選手は17番手。再スタートではチャンスを活かし、第1コーナーで一気に9番手に浮上した。しかし3ラップ目には15位まで後退。その後も多くの時間帯で15~16番手を走行し、終盤で一時13番手に上がったものの再び15番手に下げてチェッカーを受けた。レース後にB・ビンダー選手(KTM)がコースリミット越えのペナルティにより1ポジション降格し、リンス選手は14位となった。
ポールシッターのクアルタラロ選手は、当初からレースをリード。再スタートでも素晴らしい飛び出しを見せ、始めはF・バニャイア選手(ドゥカティ)に続く2番手につけたがすぐさまパスしてトップに立った。オープニングラップで後続に1.2秒のアドバンテージを築くと、予選セッションのような激しいプッシュでみるみるうちに差を拡大。中盤ではM・ベゼッキ選手(アプリリア)が少しずつ近づいてきたが素早く反応し、落ち着いて対処した。ところが12ラップ目に技術的トラブルが発生。クアルタラロ選手はレースを大きくリードし、勝利を目前にしながらリタイアとなった。このように残念な結果に終わったにもかかわらず、MotoGPファンによる投票では'Rider of the Race'に選出され、その素晴らしいスキルとふるまいが評価された。
この結果、クアルタラロ選手は合計59ポイントでランキング8位、リンス選手は合計25ポイントでランキング17位。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計84ポイントでチーム・ランキング6位、ヤマハは合計84ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位となっている。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手が7位獲得、オリベイラ選手は16位
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手がヤマハ勢トップの7位を獲得。怪我から復帰後2戦目のM・オリベイラ選手は、レースのリズムを取り戻しながら16位でフィニッシュした。
ミラー選手は6番グリッドから好スタートを切って一気にペースアップ。2度目のスタートでも同様に勢いよく飛び出すと、積極的にトップグループに加わっていった。序盤はフロントに選択したソフト・コンパウンドが活かされ、ミディアム・タイヤ勢の苦戦が目立つなかでヤマハ勢が優位性を発揮。2~6ラップはクアルタラロ選手がレースをリードし、ミラー選手が2番手で続いた。
その後M・ベゼッキ選手(アプリリア)とJ・ザルコ選手(ホンダ)に抜かれたものの、7ラップ目以降はF・モルビデリ選手、M・マルケス選手(ともにドゥカティ)と激しいバトルを展開。表彰台を目標に何度も順位を入れ替える接近戦が続いたが、最後はわずかに届かず7位でゴールした。
一方のオリベイラ選手は15番グリッドからスタート後、中段の混戦に巻き込まれて苦しい展開。体力もまだ十分ではないなかで、ペースとリズムを追求しながら奮闘し、16位でチェッカーを受けた。
この結果、ミラー選手は合計29ポイントでランキング16位、オリベイラ選手は合計2ポイントでランキング23位。Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計34ポイントでチーム・ランキング11位となっている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
ゲバラ選手が5位獲得、アルボリーノ選手は14位
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のI・ゲバラ選手が5位獲得と健闘した。チームメイトのT・アルボリーノ選手は14位。
ゲバラ選手は8番グリッドから絶好のスタート。第2コーナーまでに4番手に上がり、その勢いのまま一気にトップに躍り出た。さまざまな高速コーナーが続き精確性と敏捷性が要求されるコースで、序盤の戦略は完璧。その後の混乱のなかで3番手に後退し、8ラップ目には追い上げてきた後続に飲み込まれて5番手となったものの、終始トップグループに加わり激しいバトルを繰り広げた。
終盤はテクニカル・コーナーが続く第3セクターでトラクションに苦戦しながらもブレーキングで距離を縮める果敢な走り。最後の数ラップで再びトップ争いとの差を詰め、オーバーテイクのチャンスを窺ったがわずかに届かなかった。トップとの差は0.643秒。3位表彰台に0.2秒弱まで近づく大健闘だった。
アルボリーノ選手はボスコスクーロの最適なセッティングがなかなか見つからず、ウイークを通じて苦戦が続いた。それでも予選グリッド21番手からスタート後、14番手まで挽回してチェッカー。本来のポテンシャルを発揮することはできなかったが、厳しい戦いのなかで貴重な2ポイントを持ち返った。
この結果、アルボリーノ選手は合計31ポイントでランキング14位、ゲバラ選手は合計23ポイントでランキング16位。BLU CRU Pramac Yamaha Moto2は合計54ポイントでチーム・ランキング8位となっている。
MotoGP RACE RESULT
MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT
MotoGP RIDERS RANKING
MotoGP CONSTRUCTORS RANKING
Moto2 RIDERS RANKING
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
A・リンス選手(14位)
「最初のレースのスタートは大混戦となり、大きく順位を下げてしまいました。再スタートではうまく飛び出し、いくつかポジションを上げることができたのですが、そのあとリアタイヤがなかなか暖まらず苦戦しました。ファビオ(クアルタラロ)もミラーも問題なかったのに、なぜ私はこうなったのか原因を探る必要があります。中盤から終盤にかけては彼らと同等のペースで走れるようになったのですが、序盤はそれができなかったため早々に遅れてしまいました。またバニャイア選手が転倒したときに危うく当たりそうになり、そこでもまた大きく離されました。このように厳しい戦いでしたがポジティブな気持ちは失っていません。ヤマハは懸命にハードワークを続けており、去年と比べれば大幅に進歩していることは明らかです。それによってモチベーションは保たれており、今日のことについては、ただ序盤の苦戦の原因を追求するだけです」
F・クアルタラロ選手(DNF)
「素晴らしいレースだったのですが、残念ながら技術的トラブルが起きてしまいました。間違いなく'勝てるレース'だったと思っています。すべてがうまくいっていて、プッシュすべきところはわかっていましたし、風を考慮してブレーキを強める場所もしっかり把握していました。何もかもが十分にコントロールされていたのです。マシンは今までで最も良い状態にあります。とてもスムースに乗れていて、超高速走行が可能です。大幅に前進しており、今後も多くのチャンスが期待できるでしょう。ですから今日のレースについても満足していいと思っています。まだ十分ではありませんが、日に日に強くなっています。そして今日は素晴らしいレースができました。自己最高と言いませんが、ここ数年では最も良い走りだったと思います。もちろんとてもがっかりしています。でも前を向いていかなければなりません」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「苦い後味が残りました。ファビオ(クアルタラロ)のことは胸が潰れる思いです。今日の彼はすべてが正しく完璧でした。最初のレースでリードし、中断の間も集中を切らさず再スタートでまた素晴らしい飛び出しを見せました。それからどんどんリードを広げていったのです。まるで予選のタイムアタックのような速さで攻め続けていました。ですからこのような技術的なトラブルでリタイアせざるを得なくなったことについて、私たちはただ、彼に申し訳なかったと言うしかありません。通常はあり得ないトラブルで、ファビオはもちろん、チームもヤマハも、そしてファンのみなさんも非常がっかりしています。それでも彼がこのような形でレースをリードしたことは、私たちの着実な進歩を証明してくれました。そしてこれからもまた勝利をつかむために仕事に取り組んでいきます。ほんの小さな光に見えるかもしれませんが、長期的挑戦のなかのターニングポイントとして大きな意味を持っています。アレックス(リンス)は再スタートでポジションを上げましたが、思うようなプッシュができず中団グループから離されてしまいました。すべてにおいて理想的な展開にはなりませんでしたが、私たちはもう一度、団結し、2週間後のアラゴンに挑みます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手(7位)
「最初のスタートはクリーンに飛び出し、マシンもよく走っていました。好位置につけていましたが、レッドフラッグが出されてもう一度やり直しとなってしまいました。幸い、次のスタートもうまくいって、すぐさまリズムをつかむことができました。フロントにミディアムを選んだドゥカティ勢が苦戦していたので、彼らをパスしてファビオ(クアルタラロ)についていきました。ペースも同等でした。でもそのリズムを最後まで維持するのは難しいとすぐに気づきました。とくに第5コーナーのように場所では限界までプッシュすることになるので、そのあとは自分のペースを守ることに集中しました。終盤はマルク(マルケス)の後ろについて気持ちよく走れました。残り4ラップくらいから彼のペースが落ちてきているのがわかったのでオーバーテイクを考え始めました。でもそう思った瞬間にモルビデリに抜かれ、バトルになりました。そこにアレックス(マルケス)も加わり、少し勢いを削がれてしまいました。全体的には満足しています。マシンはここ数戦、とても良く走ってくれています。今回もヤマハにとっては非常にポジティブな週末となりました。もちろん、ファビオのことは残念に思います。まさに飛ぶような走りで、勝利を目前にしていたのですから」
M・オリベイラ選手(16位)
「これまでに経験したシルバーストーンのレースで最も難しいコンディションでした。非常に風が強く、いつも以上に身体への負担が大きくなっていたのです。今の走り方では1ラップでコンマ5秒ほど遅れてしまいますが、それでも今週は目に見える進歩があり、スピードは上がってきていると感じています。レース距離のペースはまだ不十分ですが、もう少しで取り戻せると思います。ファビオに起こったことは非常に残念です。勝利は彼の手の中にありました」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「ファビオの身に起こったことは別として、今回もまた、ヤマハ勢にとって非常に興味深い展開となりました。我々チームにとってはジャックが土曜日の予選で大活躍し、決勝でも安定的に上位を走り、非常に素晴らしい週末でした。このところの進歩は明らかです。それを十分に結果につなげられていないことは残念ですが、上昇傾向は盤石であり、ひとたび条件が揃えばさらに大きな成果が期待できるはずです。ミゲールについては、プラクティスと予選では素晴らしい走りを見せていました。次は決勝距離でも力強く走り切れるようになるでしょう。アラゴンを楽しみにしています。タイプが異なるサーキットなので展開も変わってくるでしょう」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手(5位)
「好スタートを決めてすぐさまトップグループに加わることが不可欠でした。今日の私のスタートは完璧だったと言っていいでしょう。第2コーナーで4番手に上がり、さらにトップに立つことができました。Moto2で初めての経験でした。非常にエキサイティングなレースで、私自身本当に楽しみました。そのなかでもトラクションに苦戦し、とくに第3セクターでは遅れてしまいましたが、トップから離されないよう、あらゆるコーナーでハードブレーキングを実践しました。ここではかなり力強い走りができていたと思います。最終ラップで前のバトルに食い込みたかったのですが、うまくいきませんでした。それでも5位は良い結果ですし、私とチームの士気をより一層高めてくれる大きな成果だと思います。いい仕事ができていて、確かに進化していることを証明できました。今までとはまったく違う心持ちで次のアラゴンに向かいます」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「イサンの(ゲバラ)の素晴らしいレースにとても満足しています。彼はウイークを通じて絶好調でした。すべてのセッションで、どんなコンディションでも速さを維持し、マシン・コントロールをマスターして自信をつかみ始めていることがよくわかりました。今日のレースについてもいい戦いができるという確信を持っていました。そしてスタート前に私にこう言ったのです。"アレックス、心配いらないよ。今日は素晴らしいレースになる。スタートがうまくいけばトップについて行ける"とね。まさにその通りになりました。実際にはそれ以上だったと言ってもいいかもしれません。わずか数コーナーでトップまで上がったのですから。今日のレースで、私たちが正しい道を歩み、ボスコスクーロのポテンシャルを最大限に引き出せていることを確認することができました。このことがトニー(アルボリーノ)にも後押しになることを願っています。彼は厳しい時間を過ごしています。今日も後方からスタートし、難しい戦いを強いられました。それでもなお懸命に頑張ってポイントを持ち返ってくれました」