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MotoGP/Moto2

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。

Rd.06 5月11日 フランス

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第6戦フランスGP
■開催日:2025年5月11日(日)決勝
■開催地:ル・マン/フランス(4.185km)

MotoGP
■コースコンディション:ウエット
■気温:16度/路面温度:19度
■周回数:26周(108.81km)
■PP:F・クアルタラロ(1分29秒324/ヤマハ)
■FL:A・マルケス(1分34秒187/ドゥカティ)

Moto2
■コースコンディション:ドライ
■気温:17度 ■路面温度:20度
■周回数:22周(92.07km)
■PP:M・ゴンザレス(1分34秒315/カレックス)
■FL:B・バルタス(1分34秒941/カレックス)

REPORT

MotoGP

Monster Energy Yamaha MotoGP
リンス選手12位、クアルタラロ選手は転倒リタイア

第6戦フランスGP決勝は不安定な天気の影響で大波瀾の展開。路面コンディションが目まぐるしく変わるたびに多くのライダーがマシン交換を行い、順位も大きく入れ替わった。そのなかでMonster Energy Yamaha MotoGPのA・リンス選手は12位でフィニッシュ。ポールポジションを獲得していたF・クアルタラロ選手はトップを走行していたが、4ラップ目の第14コーナーで転倒してリタイアとなった。

スタートの約10分前に雨が降り出した。路面状況確認のため行ったウォームアップ・ラップでクアルタラロ選手はマシンを大きく振られて危うく転倒という場面。他のライダーたちも難しさを実感し、全員がピットに戻りウエット用マシンに乗り換えた。このあとピットレーンからのスタートが集中したため赤旗中断となり、クイックスタートの手順を経てレースは26周に短縮された。

しかしドラマはまだ続いた。サイティング・ラップを終えたあと、クアルタラロ選手を含めて多くのライダーが再びドライ用マシンへの交換を決意。スタートは通常通りグッドから行われたが、ピットに戻ったライダーたちにはダブル・ロングラップペナルティが課されることとなった。

リンス選手は豊富な経験を活かし、混乱のなかでも冷静さを保っていた。スタート前にマシンを交換せずそのままグリッドに並び、オープニングラップで14番手から16番手に後退したあと2ラップ目にピットに戻ってスリック・タイヤに交換。しかし復帰後も思うように順位を挽回することができなかったため、4ラップ目に再びレイン・タイヤに履き替えて19番手でレースに復帰した。この間も転倒やマシン交換が相次ぎ、リンス選手は8ラップ目に14番手まで浮上。後半はほぼ単独走行となり、ひたすら周回を重ねていたが、19ラップ目にM・オリベイラ選手、23ラップ目にA・マルケス選手(ドゥカティ)が転倒したため12位に上がってチェッカーとなった。トップとの差は1分35秒357だった。

クアルタラロ選手はポールポジションから好スタート。M・マルケス選手(ドゥカティ)がホールショットを奪ったが、すぐさま前に出てアドバンテージを広げ始めた。そして1秒以上離したあと、3ラップ目に1度目のロングラップ・ペナルティを履行。これで一旦6番手に後退したが、B・ビンダー選手(KTM)をパス。さらにA・マルケス選手、F・アルデゲル選手(ドゥカティ)、M・ビニャーレス選手(KTM)がペナルティを完了する間に2番手に上がり、M・マルケス選手の背後につけた。しかし4ラップ目、最終コーナー立ち上がりで転倒。幸い怪我はなかったが、ホームレースを残念な結果で終えた。

この結果、クアルタラロ選手は合計56ポイントでランキング7位、リンス選手は合計23ポイントでランキング16位。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計79ポイントでチーム・ランキング4位、ヤマハは合計72ポイントでコンストラクターズ・ランキング4位となっている。

チームは今週火曜日と水曜日にミサノ・ワールドサーキットでプライベート・テストを実施し、2週間後の23~25日に第7戦イギリスGPを迎える。

Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手、オリベイラ選手ともに転倒リタイア

Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手とM・オリベイラ選手はウエット・タイヤでレースをスタート。序盤はミラー選手がウエット選択ライダーのトップに立ち、後半はオリベイラ選手が上位まで追い上げる素晴らしい走りを見せたが、いずれも最終的に転倒してリタイアに終わった。

雨に翻弄されたレースで、ミラー選手とオリベイラ選手はそれぞれの潜在的なポテンシャルを見事に発揮した。雨雲レーダーを確認し、迷わずウエット・タイヤを選択。ウォームアップ・ラップのあとで多くのライダーがスリックに履き替えるためピットに戻る間も判断は変わらなかった。序盤の混乱のなかではスリック勢に分があるかに見えたが、再び雨が強まるとミラー選手がみるみるうちにポジションアップ。その後ろには同じくレイン・タイヤを選択し、最終的にこの日のウイナーとなるJ・ザルコ選手(ホンダ)がつけており、すでに10秒のアドバンテージを築いていた。

オリベイラ選手とともに新しいメインパートナー「Alpine」の70周年記念カラーを走らせ、夢を実現しようとしていた矢先、ミラー選手が6ラップ目の最終コーナーでハイサイドの転倒。その後はオリベイラ選手が一身に期待を背負い、他のライダーたちがマシン交換やロングラップ・ペナルティ、多くのクラッシュを繰り返すなかでも淡々と周回を重ね、8ラップ目にはザルコ選手に続く2番手に浮上した。

第2戦アルゼンチンGPで負傷し、未だ万全ではない状態で臨んでいたオリベイラ選手は後半でM・マルケス選手とA・マルケス選手(ともにドゥカティ)に追い上げられ、さらにP・アコスタ選手(KTM)、M・ビニャーレス選手(KTM)、F・アルデゲル選手(ドゥカティ)に先行されて7番手に後退。そして残り8ラップでミラー選手と同じ最終コーナーで転倒。
チームにとっては二重の痛手だが、この週末にプリマ・プラマック・ヤマハのクルーが成し遂げた素晴らしい仕事を無効にするものではなく、2週間後のシルバーストーンでのレースに向けて弾みを付けるものとなった。

Moto2

BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
ゲバラ選手、アルボリーノ選手ともにリタイア

第6戦フランスGPはBLU CRU Pramac Yamaha Moto2にとって非常に厳しい結果となった。T・アルボリーノ選手は部品の組み付けにミスがあり3ラップでリタイア。I・ゲバラ選手も残り4ラップでギアボックスに不具合が生じて走行を中止した。

アルボリーノ選手はQ2で11番手を獲得。決勝では好スタートを決めて第2コーナーまでに数台をパスしていたが、続くシケインで混戦に巻き込まれて再び後退してしまった。その後も懸命に挽回を目指していたが3ラップ目に転倒。ゲバラ選手も序盤でポジションを上げていたが、ギアボックスのトラブルでリタイアを余儀なくされた。

この結果、アルボリーノ選手は合計29ポイントでランキング13位、ゲバラ選手は合計12ポイントでランキング16位。BLU CRU Pramac Yamaha Moto2は合計41ポイントでチーム・ランキング10位となっている。

MotoGP RACE RESULT

MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT

MotoGP RIDERS RANKING

MotoGP CONSTRUCTORS RANKING

Moto2 RIDERS RANKING

COMMENT

MotoGP

Monster Energy Yamaha MotoGP
A・リンス選手(12位)

「大きなストレスと難しい決断の連続でした。何もかもが信じられないような出来事で、本にしてもいいようなレースだったと思います。レーダーを見ると雨が近づいていました。始めはそのまま行くつもりでしたが、そのあとタイヤ交換に戻り、それからレッドフラッグでクイックスタートの手順となりました。私はレース中に2回もピットに戻りました。他のライダーたちより1回多かったのです。グリッドではウエットを履いていて、それは正しい判断だったのですが、苦戦したのでスリックを試そうと思いました。そしてスリックに換え、そのあともう1度ウエットに戻したのです。そのあとはとにかく落ち着いていこうと思いました。路面の限界の判断がとてもデリケートだったからです。レース中盤でライン取りをいろいろ変えてみたら1分46秒台で走れるようになり、マリーニとの差を16秒も縮めることができました。あと数ラップあったらパスできていたと思います」

F・クアルタラロ選手(DNF)

「優勝あるいは表彰台獲得のためにペースをキープするのは難しいだろうと思っていました。そのため雨が降り出したときに、とにかく最初の数ラップで100%プッシュしていきたかったのです。スリック・タイヤでのスタートは正しい選択だったと思います。いいペースで走り、最初のロングラップ・ペナルティを行ったあとも順調にプッシュしてマルク(マルケス)にかなり接近していました。でもそのあと雨が少し強まって転倒してしまったのです。でも私たちは確かにベストを尽くしました。残念な結果ですが、それでもウイークを心からエンジョイできました。素晴らしいペースとラップタイムを証明することができたと思います。全力を出し切ったのです。観客のみなさんも喜んでくれました。木曜日にサーキットに到着した時点ですでにグランドスタンドは満員でした。そしてファンのみなさんがウイーク中ずっとサポートしてくれたのです。残念ながら私は勝てませんでしたが、ヨハン(ザルコ)の気持ちを想像することができます。おめでとう!」

M・メレガリ(チーム・ディレクター)

「スタート直前の雨はライダーにとってもチームとっても難しいもので、タイヤ・チョイスはまさにギャンブルです。今日のレースはカオスとしか言いようがなく、すべてのことがある程度整理されるまでに長い時間がかかりました。でもそのあとはアレックス(リンス)が貫禄の走りを見せてくれました。26ラップの間ずっとコンディションは変化し続け、難しい状況でしたが、彼はラップごとに限界を見極め、どこまでプッシュできるか判断していきました。最終的にその努力が実り12位で走り切ることができました。
ファビオ(クアルタラロ)のことは私達も心を傷めています。ホームGPをこのような結果で終えることとなり、非常に落胆しています。しかし彼はオープニングラップで勇敢な戦いを見せてくれました。過去にも同じように変化しやすいコンディションで苦戦したことがありますが、転倒するまでの走りは本当に見事でした。これをまたいつか遭遇することになるウエット・レースに向けた良いサインと受け止めています。私たちはすでに2週間後のイギリスGPに目を向けています。でもそれまで何もしないでいるわけではありません。火曜日と水曜日にミサノでプライベート・テストを行い、マシン開発に集中的に取り組みます」

Prima Pramac Yamaha MotoGP
M・オリベイラ選手(DNF)

「最後まで走り切ることができず、とても残念です。このようなクレイジーなレースでポイントを獲得できたとすれば大きな励みになっていたでしょう。ギャンブルではありましたが、いずれ雨が戻ってくることはわかっていて、それがいつなのか、またどのくらいの激しさなのかだけの問題だったのです。そして決断が報われました。雨のなかでは身体への負担も少し軽減されて楽だったのですが、雨が強まるとリアグリップがなくなり、突然マシンが振られるなど非常に難しい状態になりました。それをコントロールするのはまさに悪夢のようでした。ペースを落としていましたが、それでも転倒を避けることはできませんでした。本当に残念です」

J・ミラー選手(DNF)

「ひとことで説明するのは難しいですね。ギャンブルし、天気予報を信じ、チームも私も戦略は間違っていませんでした。予想が的中したのです。序盤はスリック勢に抜かれて厳しい状況でしたが、必ず立場が入れ替わるときが来ると確信していました。そして予想通りに雨が強まり、挽回し始めました。そのあともすべてにうまく対応し、難しい状況をなんとか乗り切ろうとしていたのですが、最終コーナーで一度転倒しそうになり、次にもう一度同じことが起きてとうとう転倒してしまいました。路面のバンプのせいなのか、あるいは水たまりなのかはわかりません。でもそれまでとてもうまくやっていただけに本当に残念です。チームためにも、またあのときヨハン(ザルコ)が後ろを走っていたことを考えても悔しさでいっぱいです」

G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)

「すべてがうまくいっていたのに最終的にすべてを失うことになりました。このようなレースについてコメントするのは難しいです。天気予報は雨を約束していましたが、最後の瞬間まで降り出さなかったためとても難しい判断になりました。それでも私たちは正しいチョイスをし、さらに他のライダーたちがタイヤ交換のためピットに戻るなかでも、その誘惑に抗いました。これは私たちにとって重要な教訓となりました。ジャック(ミラー)の転倒はもちろんショックでした。あの時点でザルコ選手を10秒リードしていたのです。ミゲール(オリベイラ)も同様にレースを終えましたが、一時は2番手まで上がり素晴らしい走りを見せていました。体力的に厳しい状態でも本当によく頑張ってくれました」

Moto2

BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手(DNF)

「好調にスタートしたのですが、オーバーテイクが思うようにできず、100%の状態ではありませんでした。そのため徐々に後れてしまったのですが、それでもプッシュし続けて挽回を目指していました。ブレーキングを遅らせ、全力で戦い続けました。しかし残り4ラップでギアボックスに問題が発生し、結局ゼロポイントに終わってしまいました。このあと数日、休んでから次のシルバーストーンに向かい、また勢いをつけていきます」

T・アルボリーノ選手(DNF)

「どのような終わり方であれ、良かったところは評価したいと思っています。何度も上位グループに近づき、重要なことをいろいろ学びました。また怪我がなかったのは幸いでしたが、当然ながら今日の出来事にはがっかりしています。ひとを責めるは好きではありませんが、素晴らしいレベルを持ったチームでこのようなミスは受け入れがたいことです。今はとにかく前へ進み続けたいと思います。怪我がなかったことが最も重要なので、ポジティブな気持ちを維持して次のシルバーストーンでは、もっといい走りをお見せしたいと思います」

A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)

「チームを代表してトニー(アルボリーノ)に謝罪します。私たちは彼に全幅の信頼を寄せており、彼の自信と信頼を取り戻せるよう全力で頑張っていきます。レース序盤で素晴らしいペースを見せ、上位争いへ向かおうとしていたところだったのですから本当に残念です。またイサン(ゲバラ)にも申し訳なく思っています。彼のポテンシャルを最大限引き出せるセッティングを見つけていたのですが、序盤からずっとギアボックスのトラブルに悩まされ、このような結果になり残念です」

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