MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.03 3月30日 アメリカズ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦アメリカズGP
■開催日:2025年3月28日(金)プラクテイス、29日(土)予選・スプリント、30日(日)決勝
■開催地:オースティン/アメリカ(5.513km)
CIRCUIT DATA

■開設:2012年
■コース長:5.513km
■ベストレースラップ:2分02秒575(2024年:M・ビニャーレス)
■オールタイムラップレコード:2分00秒864(2024年:M・ビニャーレス)
■2024年の優勝者:M・ビニャーレス(アプリリア)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP、第3戦アメリカズGPへ
第2戦アルゼンチンGPを終えたMonster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロとA・リンスは、アメリカはテキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカ(COTA)へ向けて出発。お気に入りのコースと雰囲気に迎えられ、ポジティブな気持ちでレースウイークの開始を待っている。
クアルタラロは第2戦終了時点でランキング15位。COTAには良い思い出があり、同コース初出場の2015年にMoto3で2位、MotoGPで2シーズン目の2021年に同じく2位、2023年は3位でそれぞれ表彰台に上った。
一方のリンスは現在ランキング16位。トリッキーなことで知られる特徴的なCOTAをとても気に入っており、MotoGPでは2019年に優勝、2022年に2位、2023年は決勝レース優勝、スプリント2位と活躍。またMoto2では2015年と2016年にそれぞれ3位と1位、Moto3では2013年に優勝と数々の好成績を残している。
COTAは2012年に完成し、翌2013年からMotoGPを開催している比較的新しいサーキット。コースは全長5.513キロで、1.2キロに及ぶストレートと左11、右9のコーナーが設けられ、マシンセッティングにおいては高速ストレートとタイトなヘアピンとのバランスが求められる。非常にシャープな第1コーナー進入がオーバーテイクの一番の見どころとなる。
Prima Pramac Yamaha MotoGP、アメリカへ
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラーはアルゼンチンGPで13位。チームメイトのM・オリベイラは土曜日のスプリントで他車の転倒に巻き込まれてリタイアした。その際に肩を負傷して今大会を欠場することとなり、代わってヤマハ・オフィシャル・テストライダーのA・フェルナンデス選手がYZR-M1で初出場する。
COTAに入る前にはアメリカ・テキサス州ワチタフォールズにある第80飛行訓練航空団の本拠地、シェパード空軍基地に立ち寄り、2日間にわたりアリスティド・カロテヌート中佐率いる第89飛行訓練中隊のゲストとして貴重な体験を楽しんだ。
第80飛行訓練航空団は欧州-北大西洋条約機構(NATO)共同ジェット機パイロット訓練(ENJJPT)プログラムの拠点で、NATOの将来の戦闘機パイロット育成を目的として同盟14カ国から訓練生とインストラクターを受け入れている。訓練生は55週間のトレーニングコースを通じ、地上訓練から練習機「T-6テキサンII」の操縦へ、さらに超音速機「T-38タロン」へと進む。
「T-38」はアメリカGP決勝前にオースティン上空を飛行する機体で、チーム・ディレクターのG・ボルゾイは、その訓練飛行も体験した。
ミラー選手は第2戦終了時点で合計8ポイントを獲得しランキング13位。COTAには特別な思い出があり、2014年のMoto3でポール・トゥ・フィニッシュ。MotoGPでも2度、3位表彰台を獲得し、うち2019年はPramac Racingから出場していた。一方のフェルナンデス選手は2021年のMoto2での4位が最高位。
Moto2
アルボリーノとゲバラ、好相性のコースで活躍を期す
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のT・アルボリーノとI・ゲバラは今週末、過去に好成績をおさめた相性の良いコースで上位獲得を目指す。
前回のアルゼンチンGPではアルボリーノが決勝終盤で右前腕に問題を抱え、ペースダウンを余儀なくされて11位に後退。ゲバラ選手は好調なスタートにもかかわらずタイヤの消耗に苦しみ15位でフィニッシュした。チームは挽回を目指して準備を整えている。
COTAはライダー、メカニック、そしてファンからもシーズン中最も美しくスリリングなサーキットのひとつと見なされている。このコースで優勝経験を持つふたりのライダーは、その技術的な強みを生かして上位争いに照準を合わせている。
アルボリーノは2022年、昨年のMoto2チャンピオンである小椋藍に3.4秒差をつけて独走優勝。2023年にはグリッド8番手からスタート後、チャンピオンシップのライバル、P・アコスタと16周のレースのほとんどで熾烈なバトルを繰り広げ、フィニッシュライン直前で先行を許して0.146秒差の2位となっている。
一方のゲバラにとってこのコースは、MotoGPスターを目指した子供の頃からの夢を実現させた場所。2021年10月3日、当時20歳だったゲバラ選手はD・フォッジア、J・マクフィー、J・マシアを抑えて世界選手権初優勝を果たした。Moto2で3シーズン目を迎える今年は自らの足跡を残すとともに、BLU CRU Pramac Yamaha Moto2に栄光をもたらしたいと熱望している。
第2戦終了時点でアルボリーノ選手は合計8ポイントでランキング14位、ゲバラ選手はアルゼンチンGPの15位で1ポイントを獲得し、ランキング18位となっている。
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手
「アルゼンチンGPの決勝はアンラッキーでしたし、全体を通してもあまり良い状態ではありませんでした。それだけに新しいラウンドを迎えることをうれしく思い、期待しています。多くの課題があることはわかっているので、そのためのウイークとなると思いますが、一歩でも前へ進めるよう願っています。時差ぼけを避けるためにアルゼンチンのあとはアメリカで過ごしてきたので準備は万全です。COTAは好きなコースでオースティンの街全体も気に入っています。とても楽しみです」
A・リンス選手
「私はアルゼンチンGPのあと一度自宅に帰り、家族と過ごしてからここに来ました。COTAは大好きなコースなのでとてもうれしいです。たくさんの特別な思い出があり、ファンの皆さんもとても温かく迎えてくれるので毎年楽しみにしています。とは言え、コースとしては非常にテクニカルなので、セッティングを煮詰めるためのハードワークが欠かせません。アルゼンチンGPの間に改良が必要な部分を特定しており、今大会のなかで何らかの答えを見つけたいと思っています」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「ヨーロッパへ戻ってから1週間、チームはまた地球の西側にやって来ました。アルゼンチンGPとアメリカGPの間に短い休みがありましたが、ヤマハとふたつのMotoGPチームは怠惰に過ごしていたわけではありません。今大会に向けて舞台裏でしっかり準備を進めていました。チームもライダーもオースティンが大好きですが、ここは決して簡単なコースではありません。高速、テクニカルで体力的に厳しく、非常にバンピーでもあります。しかしながら私たちはこれまでに好成績を残していますし、ライダーたちにとってもお気に入りの場所です。チーム一丸となり、モチベーションを高めて全力でウイークに臨みます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手
「オースティンは大好きなコースなので、戻ってくることができてとてもうれしいです。大勢の熱狂的ファンとともに素晴らしい時間を過ごすことができるでしょう。ヤマハでのレースは今回が初めてなので予想はできませんが、セッティング面で最も難しく、他とはタイプが異なるこのコースでYZR-M1がどのような走りをしてくれるのか楽しみにしています。楽な戦いにはならないと思いますが、現時点ではできるだけ多くのデータを集めることが最も重要だと考えています。代役としてチームに加わってくれるアウグスト(フェルナンデス)を歓迎するとともに、ミゲール(オリベイラ)の早い回復を祈っています」
A・フェルナンデス選手
「初めに、ミゲールの早い回復と復帰を願っています。同時にPrima Pramac Yamaha MotoGPから出場する機会を与えてもらったことをとてもうれしく思います。ヤマハのマシンに初めて乗った瞬間に安心感を覚えました。YZR-M1のテストはまだわずか2回ですが、最初からすぐに好感触を得ることができました。COTAは難しいコースですが、同時に素晴らしいコースでもあります。簡単なタスクではありませんが、ペースを上げ、レースの感覚を取り戻し、新しいチームと仕事に取り組む方法を早くつかんでいきたいと思っています。その意味でもチームクルーと早く対面したいと思っていますし、新しい冒険とヤマハからのデビューを心待ちにしています」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「第89飛行訓練中隊のゲストとして貴重な体験ができたことに感謝しています。"T-38タロン"での飛行は人生で最も素晴らしい経験になりました。かなりの体力が要求され、私のように、あまり大きなチャレンジに直面したことのない人間にとっては、最初の数分間はとくに楽しむどころか忍耐を強いられました。でも慣れてくると、まさにユニークな感覚になります。最も印象深かったのは加速よりも高いGの状態が長い旋回飛行でした。そのなかでは呼吸に集中し、体幹を整えて足を踏ん張らなければなりません。非常に困難であると同時に魅惑的な体験でもありました。航空機とバイクでは異なりますが、最先端技術や規律性、厳しいトレーニングなどの共通点もあります。ひとつ確かなことは、次の人生では戦闘機のパイロットになりたいということです。
しかし今はPrima Pramac Yamaha MotoGPとともにアメリカGPに集中しています。残念なことに、前回のテルマス・デ・リオ・オンドで怪我をしたミゲールが参加できませんが、チーム全員が早い復帰を願っています。アウグストにとっては、COTAは厳しいコースであり、YZR-M1の経験もまだ少ないので楽な仕事ではないでしょう。しかしチームとして、彼ができるだけ早く適応できるよう全力で支えていきます。ジャック(ミラー)については過去に好成績を残しており、その経験がマシン開発の面でヤマハのエンジニアの重要な後押しとなるでしょう」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手
「アルゼンチンGPの後、右前腕の状態を調べるためにメディカルチェックを受けました。レース終盤で腕が固まってしまい、トップ5が十分可能だと思っていた戦いをふいにしてしまいました。事前テストの間にしっかりケアしなかったのが原因だったのかもしれませんが、もう同じミスは繰り返しません。また近日中にドップラー検査を受ける予定で、最も深刻な箇所を特定して迅速に治療に入ります。でも全体的には自信を持っています。
レースに関しては、私はCOTAが大好きで、いつも速く走れます。好成績のためには相性の良さを活用する必要がありますし、それが士気を高めることにもなると考えています。マシンはタイのデビュー戦と比べ、前回のアルゼンチンで大幅に進化しており、セッティング面でさらに改善する方法についてチームと話し合ってきました。アルゼンチンでは途中までトップ5をキープできたので、今回はうまくいけば表彰台を狙えると思っています」
I・ゲバラ選手
「COTAは世界選手権で初優勝したコースで、私にとって特別な場所です。レイアウト、コーナーの多様性、長さなど非常に厳しいコースですが、大好きです。今回の目標はトップグループに加わることで、それが可能であることはすでに証明しています。タイではトップを走りながらダブル・ロングラップ・ペナルティを受け、アルゼンチンではグリッド・ポジションさえ良ければ、もっと上で戦えたでしょう。だからこそ金曜日から好調を維持し、予選で最大限の力を発揮することが重要です。グリッドの前のほうからスタートすればその後のすべてが楽になり、レース戦略に集中できます。トップライダーと同等のペースを持っていることは証明できているので、あとは土曜日のパフォーマンスを向上させるだけです」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「オースティンでライダーたちのパフォーマンスを見るのが本当に楽しみです。二人ともここで優勝経験があり、大好きなコースでのレースに興奮しています。元々の相性の良さ以上に私を安心させてくれるのは、成長し、団結しているチームの姿です。トニー(アルボリーノ)とイサン(ゲバラ)はチームスタッフらと多くの時間を過ごし、それぞれのクルーチーフと絆を深め、信頼し合い協力し合える素晴らしい雰囲気を作り上げています。自信を構築し、マシンに好感触を持ち始め、心から楽しめるコースであれば、ハイパフォーマンスに必要なすべての要素が揃います。具体的な順位についてはまだお話しする段階ではありません。重要なのはこの着実な進歩を継続することで、セッションごと、レースごとに改善し続ければ最高の結果を狙えるでしょう」