MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.01 3月2日 タイ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦タイGP
■開催日:2025年3月1日(土)予選/スプリント結果
■開催地:ブリラム/タイ(4.554km)
MotoGP
■コースコンディション:ドライ
■予選 気温:34度/路面温度:50度
■スプリント 気温:37度/路面温度:57度
■周回数:13周(59.202km)
■PP:M・マルケス(1分28秒782/ドゥカティ)
■FL:M・マルケス(1分29秒991)
Moto2
■コースコンディション:ドライ
■気温:37度 ■路面温度:58度
■PP:M・ゴンザレス(1分34秒634/カレックス)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
クアルタラロ選手、スプリントで7位獲得
昨年11月以来、待ち続けたMotoGPが帰ってきた。2025シーズン開幕戦、タイGPのスプリントが行われ、Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロ選手が7位と健闘してシーズン初ポイントを獲得。チームメイトのA・リンス選手はオープニングラップで後退したが、その後17位まで挽回してチェッカーを受けた。
クアルタラロ選手はQ2で10番手となり、4列目からスタート。互いに競り合うB・ビンダー選手とP・アコスタ選手(ともにKTM)を抜き去り、さらに前を走るJ・ミラー選手を追いかけていった。そのミラー選手が残り7ラップで転倒したため、クアルタラロ選手は自動的に6番手に浮上。このとき5位との差はすでに広がっていたが、思い悩む間もなくアコスタ選手が再び後方に迫り、2台の激しいバトルへと発展した。しかし最終的にはクアルタラロ選手が先を譲り、その後は安定したペースを守って13ラップを走り切った。トップとの差は13.437秒だった。
一方のリンス選手は19番グリッドからスタートし、一時14番手まで浮上したもののコーナーで大きくはらんで21番手まで後退してしまった。しかしここから何度かオーバーテイクを成功させ、またライバルたちの不運もあって17番手まで挽回。残り2ラップでは同じくYZR-M1に乗るM・オリベイラ選手との差を急速に縮めていったが、パスには至らず、そのままの順位を維持してゴールした。トップとの差は20.140秒だった。
この結果、クアルタラロ選手は3ポイントを獲得してランキング7位につけ、リンス選手はノーポイントに終わった。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計3ポイントでチーム・ランキング6位、ヤマハは合計3ポイントでコンストラクターズ・ランキング4位となっている。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手、6位走行中に転倒リタイア
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手はスプリントで6位まで浮上する好調ぶりを見せていたが、中盤で転倒してリタイアとなった。チームメイトのM・オリベイラ選手は16位に留まった。
ミラー選手はQ1で2位に入り、Q2に進出。Q2でも4番手と健闘し、ヤマハ勢トップとなるグリッド2列目を確保した。スプリントでは絶好のスタートを切って6番手に上がり、順調に走行を続けていたが、7ラップ目に前方のF・モルビデリ選手(ドゥカティ)について行こうとペースを上げたところで転倒してしまった。好調を結果に結びつけることはできなかったが、ここまでの活躍が高く評価されている。Q2で記録したベストタイムはポールポジションのM・マルケス選手(ドゥカティ)にコンマ3秒差と迫っており、オフシーズン中に培われたヤマハの進化を証明するものとなった。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
デビュー戦で、ゲバラ選手がグリッド4列目を確保
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のI・ゲバラ選手とT・アルボリーノ選手は予選でそれぞれ11番手と20番手を獲得し、グリッド4列目と7列目から日曜日の決勝をスタートすることとなった。
ゲバラ選手はウイーク初日から好調な走りを見せ、プラクティス(PR)で12番手を獲得して直接Q2に進出。Q2では序盤で1分35秒156の好タイムを記録したものの、その後は思うように更新することができず、少しずつポジションを下げて11番手となった。しかしペースは安定しており、決勝では上位争いが期待される。
一方のアルボリーノ選手は依然として厳しい状況が続いている。前日のPRでQ2進出のチャンスを逃し、Q1からの復活を目指していたが、1分35秒239の6番手に留まり、Q2進出に必要なトップ4には届かなかった。
MotoGP QUALIFYING RESULT
MotoGP SPRINT RESULT
Moto2 QUALIFYING RESULT
COMMENT
MotoGP
SPRINT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手(7位)
「全力を尽くしました。もしかしたら、もうひとつポジションを上げられたかもしれませんが、今日はフロントタイヤの温度に問題がありました。明日は改善できるといいのですが、レースが長くなればタイヤへの負担も大きくなってしまいます。タイヤ温度をうまくコントロールできれば、もう少し近づくことができるでしょう」
A・リンス選手(17位)
「レース序盤でうまくペースがつかめませんでした。でも最後の5ラップはとても好調で、ファビオ(クアルタラロ)やその周辺のライダーたちと同等の1分31秒台中盤のペースで走ることができました。これからデータを分析し、明日に向けて変更を試みます」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「ライダーもチームもシーズン開幕を長い間、待ち続けていました。しかし今日は厳しい展開となり、ファビオ(クアルタラ)とアレックス(リンス)は予選で苦戦しました。それでもスプリントではファビオが10番グリッドからスタート後に好位置につけ、最終的に初ポイントを獲得することができました。アレックス(リンス)のほうはアップダウンが激しく、好スタートを切ったあとコーナーはらんで遅れてしまいました。コースに復帰したときは21番手になっていましたが、最後まで懸命にプッシュを続けました。終盤になると少しずつリズムが良くなっていったので、このときのデータが明日の決勝で役に立つでしょう。27ラップと長いレースになるので、タイヤの温存とライダーの持久力が重要になります。
最後に、アレックスのプラクティスでの記録が私たちの人為的ミスによりキャンセルされたことを明らかにしておきたいと思います。彼のマシンの1台に搭載された受発信機がFIMのスタッフによりしっかり封印されていなかったことがわかったのです。これは技術的な違反ですが、悪意を持って行われたのではなくミスによるものです。今日のセッションが始まる前に装置を交換し、アレックスはいつも通りに走行を続けることができました」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
M・オリベイラ選手(16位)
「フロントエンド周りがうまく機能せず、グリップがまったく感じられないような状態でした。タイヤ圧が上がり過ぎていると感じていたのですが、実際にはまったく問題ありませんでした。しかしコーナー進入のブレーキ・リリースで自信が持てず、それが走りに大きく影響してしまいました。グリッドのかなり後方からのスタートだったことを考えれば、ファビオ(クアルタラロ)にわずか6秒差というのは悪くないと思います。現時点ではトップライダーたちとは比較にならず、私たちは依然としてかなり離されています。今はまずヤマハのトップのライダーを参考にするべきで、ファビオのペースよりも1周につき0.25秒遅れている状態です。明日の決勝はより長く、厳しくなるので、展開が予想できません。おそらく今日以上に難しいチャレンジになるでしょう。最初の数ラップが重要なので、スタートに集中していきます。そして早めにできるだけ多くのライダーをパスして後半で楽な展開に持ち込みたいと思います」
J・ミラー選手(DNF)
「シーズン最初のスプリントがこのような結果になるとは思っていませんでした。いくつかのコーナーでアンダーステアがあり、マシンからの警告を受け取っていたのですが、それにもかかわらずハードプッシュを続けていたのです。もっと頭を使わなければならないところで少しやり過ぎてしまったのかもしれません。でも4カ月間もレースから離れていて、いきなり競争が激しくなると夢中になってしまうのです。第8コーナー進入では何も変わったことはしていなくて、いつもと同じようにブレーキをかけ、ライン取りも良かったのですが、ちょうどタイヤのグリップが落ち始めたところだったため転倒してしまいました。あのとき私は、モルビデリについて行こうとしていました。彼もまたその前のバニャイアを追っていたので、ふたりのバトルが私を助けてくれることを期待していたのです。そのようにレースをとても楽しんでいたので、転倒してしまったことは本当に残念です。それでもこのことから学び、明日はもっといいレースができるようがんばりたいと思います。とは言え、予選でのパフォーマンスにはとても満足しています。マシンをエンジョイできているので、明日はそれを結果につなげたいと思います」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「最後は残念な結果になりましたが、それよりも継続的な進化に注目したいと思います。あまり大声では言いたくありませんが、ヤマハは間もなく、ドゥカティを除くその他すべてのメーカーの前へ出ることができるでしょう。そしてそれが重要な出発点になるのです。今日のことは確かにとても残念ですが、同時にポジティブな兆しでもあります。転倒を除けば、ジャック(ミラー)はYZR-M1への見事な適応性を見せました。彼がもう少しだけ慎重であったなら、レースを完走し、マシンの改良に必要な貴重な情報をエンジニアに提供できていたでしょう。際立ったパフォーマンスはいつも素晴らしいものですが、今はプロジェクトの確立のほうがより重要です。でも元ライダーとしてお話しするとすれば、レーサーである以上は本能的に成功を追い求めてしまうのをよく理解できるのです。またミゲール(オリベイラ)については、望んでいた順位ではありませんでしたが、レース中の彼のペースはトップ10に楽に近づけるものでした。問題はグリッド位置が後ろ過ぎたことで、それによって、より厳しい展開を強いられますし、オープニングラップでは他のマシンにぶつけられてはらんでしまいました。クアルタラロからわずか6秒差でゴールし、しかも1周目で3秒も失っていたとすれば、彼のレースにはポジティブな要素もあるのです。ここで明日のレースに目を向ければ、パフォーマンスの基盤はすでに出来上がっているので、あとは結果を持ち帰ることを期待するばかりです」
Moto2
QUALIFY
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手(11番手/1分35秒156)
「今日の結果に満足しています。FP2(フリープラクティス第2セッション)ではユーズド・タイヤで18ラップを走行し、決勝レース終了時のタイヤの状態をシミュレーションしてみたのですが、ずっと好調ペースをキープすることができました。リズムをうまく作れていると思います。そのほかにも細かいところをいくつか調整し良い感触を持っています。予選での好タイムは1ラップだけでしたが、それでも大きな成果を達成できました。あのあともう少し前との差を縮められそうだったのですが、思ったよりも難しいチャレンジでした。希望の順位にはまだ届いていませんが、私にとってはMoto2予選でのベストポジションのひとつです。明日の決勝が楽しみです!」
T・アルボリーノ選手(20番手/1分35秒239)
「マシンのフィーリングには満足しているのですが、Q1の結果は残念なものでした。金曜日の作戦上のミスが影響し、このようなことになってしまったのだと思います。Q2進出は可能だったと確信していますが、いくつかの小さなミスの代償を払った格好です。いずれにしても、最も重要なのはマシンに乗っているときの感覚です。ペースは悪くないので、いい戦いができると信じています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2にとって最初の予選セッションは、非常に満足できるものでした。イサン(ゲバラ)は最初のアタックで、単独走行中にベストタイムを記録しました。しかし2回目の走行ではリアのグリップ不足に苦戦し、それ以上に更新することができませんでした。トニー(アルボリーノ)についても、グリッド・ポジションは別にして、ここまでの進化には満足しています。アタック中に本来の理想的なラップタイムが出ていれば、Q2に進出してグリッドも上げることができたはずですが、残念ながらすべての要件を1ラップに揃えることができませんでした。それでもFP2で行った作業を通じて、いくつかの問題を解決することができました。また決勝用マシンのペースはふたりとも素晴らしく、明日に向けて自信を与えてくれています」