MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.01 3月2日 タイ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦タイGP
■開催日:2025年3月2日(日)決勝結果
■開催地:ブリラム/タイ(4.554km)
MotoGP
■周回数:26周(118.404km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:36度 ■路面温度:57度
■スプリント 気温:37度/路面温度:50度
■PP:M・マルケス(1分28秒782/ドゥカティ)
■FL:M・マルケス(1分30秒637)
Moto2
■周回数:22周( 100.188km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:36度 ■路面温度:57度
■PP:M・ゴンザレス(1分34秒634/カレックス)
■FL:M・ゴンザレス(1分35秒390)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
過酷な暑さのなかで奮闘
タイのうだるような暑さのなか、全26ラップで競われた決勝は、Monster Energy Yamaha MotoGPにとって非常に厳しい戦いとなった。F・クアルタラロ選手は序盤から苦戦したが15位でゴールしてポイントを獲得。A・リンス選手は逆に最初の数ラップでポジションを上げてポイント圏内を走行していたが、終盤で後退して17位となった。
クアルタラロ選手は10番グリッドから好ダッシュを決めたものの、マシンの感触がそれまでとは異なっていることに気づいて見る見るうちに18番手までポジション・ダウン。ここからは試練の戦いが続いたが、レース後半に入ってライバルたちも苦戦し始めると、少しずつ順位を挽回した。最終的には15位でチェッカーを受けて1ポイントを獲得。トップとの差は26.456秒だった。
一方のリンス選手は19番グリッドからスタート後、混戦をくぐり抜けて5ラップ目までに14番手へ浮上。その後ひとつ下げて15番手に落ち着いた。15ラップ目にはE・バスティアニーニ選手(KTM)に先行されたものの、同じラップでJ・ミル選手(ホンダ)の転倒があり再び15番手。このままポジションをキープしてシーズン初ポイントを手中にしたいところだったが、終盤はエンジンが熱くなって苦しい展開を強いられ、17位まで後退した。トップとの差は31.095秒だった。
この結果、クアルタラロ選手は合計4ポイントでランキング13位、リンス選手は未だノーポイント。Monster Energy Yamaha MotoGPはチーム・ランキング11位、ヤマハはコンストラクターズ・ランキング5位となっている。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手11位、オリベイラ選手14位でともにポイント獲得
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手とM・オリベイラ選手が2025シーズン開幕戦の決勝で、それぞれ11位と14位を獲得した。
前日のスプリントでは上位争いを展開しながら転倒してしまったミラー選手。決勝で目標にしていたのはグリッド2列目の優位性を生かしてポイントを獲得し、同時にYZR-M1の開発に役立てるためのデータ収集を行うことだった。
完璧なスタートから好位置につけ、小椋藍選手(アプリリア)やF・モルビデリ選手(ドゥカティ)とバトルしながら6番手を確保。その後も果敢な走りを続けて順調にポジションをキープした。ところが8ラップ目あたりでフェアリングに不具合が生じ、ペースダウンを余儀なくされてしまう。終盤は守りの走りに徹し、徐々に順位を下げて11位でゴールした。
一方のオリベイラ選手は17番グリッドからの挽回を目指すも厳しい展開。気温36度、路面温度50度の暑さに加え、周辺のマシンから発せられる熱も過酷なものだった。オープニングラップの混戦のなかで16番手につけたあとは粘り強く走り続け、残り5ラップで15番手、残り3ラップで14番手に上げてチェッカーを受けた。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
アルボリーノ選手、初ポイント獲得
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のT・アルボリーノ選手が13位を獲得、チームメイトのI・ゲバラ選手はフライングのペナルティを受け16位となった。
最も注目を集めたのは11番グリッドを獲得したゲバラ選手。プラクティス中は決勝用のマシンでも好調な走りを見せており、上位争いを展開できると期待されたからだ。それを裏付けるように決勝では絶好のスタートを切り、オープニングラップの第1コーナーで一気に5番手まで浮上。ところが数分後にはレース・ディレクションによりフライングと認定され、ダブル・ロングラップ・ペナルティが課されてしまった。ペナルティ履行後は20番手まで後退し、後半で挽回したものの、16番手に留まりポイントには届かなかった。
一方のアルボリーノ選手は予選20番手と苦しい状況に置かれていたが、序盤の混戦を抜けたあとはリズムをつかみ、徐々にポジションを上げて13位でチェッカーを受けた。BLU CRU Pramac Yamaha Moto2に初めてのポイントをもたらした。
MotoGP RACE RESULT
MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT
MotoGP RIDERS RANKING
MotoGP CONSTRUCTORS RANKING
Moto2 RIDERS RANKING
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手(15位)
「序盤からグリップに問題を抱えていました。かなり苦しい状況でした。初めはタイヤをもっと暖めればいいのだと思っていたのですが、まったくプッシュできず、マシンがスライドして、1周目で大きくポジションを下げてしまいました。そしてその後も残念ながら、思うようにペースを上げることはできませんでした。集団の後方についていると本当に暑くて、とにかくすべてにおいて非常に難しい戦いでした。次のアルゼンチンに期待します」
A・リンス選手(17位)
「この暑さに対応しなければならず、体力的に非常に厳しいレースでした。昨日のスプリントでも少し感じていたのですが、今日は7ラップあたりから対処しきれなくなり、脚にやけどまでしてしまいました。それでもパフォーマンスの面では小さく一歩、前進できたと思っています。毎ラップ、100%の力を注ぎましたが、残り4ラップの第4コーナーでフロントを滑らせ、そのあとは苦しい状況をコントロールできませんでした。当然、結果には満足できていないので、すべてのデータを見直して改善につなげたいと思います」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「今回は全体的に、非常に難しい戦いでした。結果を見れば、私たちのタイヤ・チョイスがおそらく間違っていたのでしょう。しかしここ数日の感触では、他のタイヤでは、それ以上にうまくいっていなかったのです。ファビオ(クアルタラロ)がなぜ、彼のいつもの走りができなかったのかを知るために、データをより詳細に分析しなければなりません。アレックス(リンス)のほうはリアタイヤが完全に終わってしまっていました。加えてエンジンが非常に熱くなっていたため脚をやけどしてしまったのです。今日のデータは2週間後のアルゼンチンGPに向けての非常に重要な手掛かりになると思います」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手(11位)
「全体的には良い一日だったと思います。決勝中も非常に好調だったのですが、8ラップ目くらいでフェアリングに問題が出たことで上位グループから離されてしまいました。留め金がひとつ外れてフェアリングが緩んできてしまったのです。皆さんもご存知の通り、最近はエアロダイナミクスが非常に重要で、フェアリングに問題が生じたあとはコーナリングやコーナースピードの維持に苦戦するようになってしまいました。それがとくに顕著だったのが、私が得意としている第4コーナーと第5コーナーでした。しかも熱い空気が全部、真っ直ぐ吹きつけてくるので、まるで料理をしているみたいな状況です。暑さが一層、増しただけでなく、ストレートではフェアリングを固定するために腕の内側にやけどもしてしまったのです。それでもなんとかゴールラインまでたどり着きました。結局、終盤で順位を下げてしまいましたが、なんとかまとめ、ポイントを持ち帰ることができました。今回は基盤固めに集中的に取り組んできました。そしてこれからもハードワークを続けます」
M・オリベイラ選手(14位)
「非常に長くタフな戦いになると予想していました。そしてその通りになりました。誰にとっても同じですが、まさに究極の暑さだったのです。そのためタイヤのコントロールがレースの鍵を握っていました。別のスペックを選ぶべきだったのかもしれませんが、スタート直後からとにかく、タイヤをしっかり管理することに努めました。フロントグリップにはかなり苦戦して、リアのほうがまだ残っていたときでさえ、うまくマシンの向きを変えられず、ほとんどすべてのコーナーで大きくはらんでしまいました。そのあとリアグリップも低下し始めると、最大限、努力するということしかできなくなっていたのです。それでも終盤は少し楽になり、ポジションも挽回してポイント圏内に入ることができました。スタート・ポジションを考えれば受け入れられる結果だと思いますし、貴重なデータを収集することもできました。テストの段階から、私たちの使命はトップとの差を縮めることだと理解しています。テストの日数が増え、マシンが4台になり、データを共有できるようになって、必要なものはすべて揃っています。今はそのことだけに集中しています」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「ジャック(ミラー)のフェアリングの問題は本当に残念です。あれがなければ、もっといい成績を獲得できたに違いありません。でもすべてはスムースに運んでいて、彼は高い競争力を発揮し、ハイペースを維持してトップグループに近づいていました。これは大いに評価できることです。ミゲール(オリベイラ)もいいレースをしました。もっとも低いグリッド・ポジションの影響は否めませんし、この過酷な暑さのなかで集団に囲まれてしまうと、そこからポイント圏内まで上がってくるのは簡単なことではありません。しかし彼はそれをやってのけたのです。タイヤ・チョイスはジャックとは違ったのですが、その影響が少しあったかもしれません。でも確かなことはわかりません。全体的には依然としてポジティブな状態です。いい仕事ができましたし、最初のレースで両ライダーがポイントを獲得したのですから十分に評価できると思います」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手(13位)
「マシンのフィーリング不足に悩んでいて、それに対処するだけで精一杯というような状況でした。ですからミスをおかさずゴールラインまでたどり着くことがおもな目標でした。序盤からフロントエンドに苦戦し、自分のリズムをつかめず、完璧なラップは1ラップもありませんでした。結局、1ラップの走りが遅いだけでなく、決勝でのペースも決して速くはなかったのです。このような状況で私にできることは、少しでも良いポジションで完走することだけでした。望み通りの順位ではありませんが、わずかでもポイントを獲得できたことは少しなぐさめになりました。すでにアルゼンチンに目を向けています。次こそ一歩、前進しなければなりません」
I・ゲバラ選手(16位)
「最後はほろ苦い気持ちが残りましたが、全体的には満足しています。自分ではフライングはしていないと思ったのですが、たぶんしていたのでしょう。そこまでの4ラップがとても順調で、集団のなかで気持ちよく走れていただけに、いろいろな意味で本当に残念です。ウイークを通じてハイペースを維持し、オーバーテイクやポジションアップもうまくできていました。決勝では1分35秒台も可能だと思っていましたが、ペナルティの間に路面の汚れたところに乗ってタイヤに砂がついてしまったため、左コーナーでスライドするようになってしまったのです。そのあとはライディングが難しく、ウイーク中にもなかったような1分37秒台のペースで走ることになりました。リアタイヤの状態に対応するためライディング・スタイルを調子しようとしましたが、あまりうまくはいきませんでした。グリップが低下し過ぎてしまったので、そのなかで最大限を引き出すしかなかったのです。そのなかでもいくつかポジションを挽回しましたが、残念ながらポイントには届きませんでした。それでも今回はウイークを通じていい仕事ができました。チームのみんなのハードワークに感謝するとともに、彼らに謝りたいと思います。今は次のアルゼンチンに集中しています。きっと素晴らしい週末になるでしょう」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「イサン(ゲバラ)のミスは残念だったとしか言いようがありません。序盤の走りはとても素晴らしく、トップグループに加わり順調にペースを維持していたのですから。ロングラップ・ペナルティを2回履行したあとは多くのポジションを失っただけでなく、タイヤの左側を汚してしまって最初のフィーリングまで失ってしまいました。とても不運なことでしたが、レース序盤の彼の強さを確認できたのはとても良かったと思っています。トニー(アルボリーノ)のほうはかなり後方からのスタートで、過酷な暑さのなかでの挽回はあまり期待できないものでした。それでもポイント圏内まで上がってきたのは、私たちにとってうれしいサインです。金曜日から苦戦を強いられましたが、その瞬間から同時に追い上げを始めました。これも重要な教訓です」