ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 8月17日 チェコ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦チェコGP
■開催日:2014年8月17日(日)決勝結果
■開催地:チェコ共和国/ブルノ(5.403km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:17度 ■路面温度:23度
■PP:M・マルケス(1分55秒585/ホンダ)
■FL:D・ペドロサ(1分56秒027/ホンダ)
REPORT
ロレンソが2位、ロッシが3位を獲得!
モビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソが激しい首位争いの末に2位を獲得。チームメイトのV・ロッシが3位で続き、前回のインディアナポリスと同様、ふたりが揃って表彰台に上った。
ロレンソはいつものようにスタートから激しくプッシュ。グリッド6位、2列目から飛び出してB・スミスとM・マルケス(ホンダ)をパス。ロッシはぴったりとそのあとについて丘を駆け下る。その後は6台の集団がめまぐるしく順位を入れ替える展開となり、ロレンソは2ラップ目に入るところでD・ペドロサ(ホンダ)を抜いて3位に浮上。続く第3コーナーでドゥカティのA・イアンノーネとA・ドビツィオーゾをパスし、ついにトップに躍り出た。同時にコースレコードを塗り替える1分56秒066を記録するなど、その後も順調に攻め続けるが、やがてペドロサが追い上げを開始。ロレンソも身体を伏せて懸命に逃げ切りを図ったが抑えきれず、最終ラップでは僅差の戦いとなり、ペドロサが前でゴール。ロレンソは0.410秒差で2位となった。
一方、245回目のグランプリに挑むロッシは、グリッド7位、3列目から好スタートを切ってスミスをパス。次にマルケスを追いかけ第4コーナーでパスしたが、再び抜き返され、そのままテールについてペースを上げてゆき、そろってドビツィオーゾとイアンノーネをパス。
12ラップ目になってロッシは再び勝負を開始。13ラップ目にマルケスをとらえたあとは、ペースを上げてアドバンテージを広げ、3位でチェッカーを受けた。
シリーズポイントでは、ロレンソが合計137ポイントまで伸ばしてランキング4位をキープ。ロッシが173ポイントでランキング3位。2位のペドロサとの差は13ポイント。次回は2週間後、イギリスはシルバーストーンで開催される。
モンスター・ヤマハ・テック3のB・スミスは、トラクションに悩みながらも9位を獲得。予選ではフロントロウまで0.004秒差の4位と好調だったスミス。決勝のオープニングラップで9位まで後退したが気力を維持し、5ラップ目にはファステスト・タイムを記録。周回を重ねるにつれてリアのトラクション不足を感じるようになり、それに耐えながら懸命に挽回を図る。最終ラップではゴール直前で8位に接近したが届かず、そのまま9位でチェッカーを受けた。
一方、チームメイトのP・エスパルガロはトップグループを追いかける途中で転倒。予選9位からスタートしたエスパルガロは、素早くペースを上げてトップグループのすぐ後ろの7位へと浮上。安定したリズムをキープしてトップ5を目指して追い上げていたが、7ラップ目、8位走行中に転倒してリタイアとなった。怪我はなかった。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロは、今回もオープン・カテゴリーでトップ。総合8位でチェッカーを受けた。
高速コースのブルノでエスパルガロは、フロントに悩みながらもリズムをキープしてスミスやポルと激しいバトルを展開。シリーズポイントでは合計85ポイントとなりランキング6位へ再浮上した。
エスパルガロのチームメイトとして初出場のA・デ・アンジェリスは、レースのなかで何台かパスして16位を獲得。ニューマシンに慣れるためにも、明日のテストが貴重なチャンスになる。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 42'47.800 |
2 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +0.410 |
3 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +5.259 |
4 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | +10.454 |
5 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | +17.639 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +17.834 |
7 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +23.819 |
8 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | +29.621 |
9 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +30.364 |
10 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +37.639 |
11 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +55.604 |
12 | M. ピロ | Ducati Team | Ducati | +56.727 |
13 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | +56.908 |
14 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | +1'04.135 |
15 | L・キャミア | Drive M7 Aspar | Honda | +1'04.902 |
16 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | +1'20.666 |
17 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | +1'24.282 |
18 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | +1'27.436 |
19 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'38.867 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 263 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 186 |
3 | V・ロッシ | Yamaha | 173 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 137 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 118 |
6 | A・エスパルガロ | Yamaha | 85 |
7 | P・エスパルガロ | Yamaha | 78 |
10 | B・スミス | Yamaha | 65 |
18 | C・エドワーズ | Yamaha | 11 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 275 |
2 | Yamaha | 194 |
3 | Ducati | 125 |
4 | Forward Yamaha | 88 |
5 | PBM | 8 |
6 | AVINTIA | 6 |
7 | ART | 4 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(2位)
「ついにマルクに勝つことができた。でも優勝は他のライダーに奪われてしまった。朝のウォームアップから決勝序盤まで絶好調だったので、優勝のチャンスも十分にあったと思うけれど、しばらくするとマシンのフィーリングが変化してきてダニに抜かれてしまった。彼を抑えきるためには、僕ももっとアグレッシブにならなければならない。終盤になってもマシン自体はそれほど悪くなかったんだけれど、僕のほうが限界ぎりぎりでとらえることができなかった。もしあと1ラップあったら、勝負を仕掛けて勝てたかもしれないが、もう遅過ぎたんだ。もちろん優勝したかったけれど、今日のダニは素晴らしいレースをしていたよ。マルクの調子があまり良くなかったので絶好のチャンスではあったんだけれど、僕らのほうもそれに備えた完璧な計画を立てていなかった…。この経験から学び、今後に生かしていかなければいけない。ヤマハとチームには感謝している。おかげでマシンがとても良くなってきているんだ。他のサーキットに行っても、きっと好調を維持できるだろう。僕自身のコンディションも絶好調なので、また勝利を目指して戦っていきたい」
V・ロッシ選手談(3位)
「決勝結果には非常に満足している。それまでが苦しかったからね。昨日は転倒して指を負傷。今朝のウォームアップではセッティングがうまくいかず、怪我の痛みもあって思うように走ることができなかった。午後になって診療所を訪ねて決勝に備えて処置をしてもらい、マシンのほうもチームが頑張って準備してくれた結果、このような良い走りができるようになったんだ。ペース良く走り、また表彰台に上ることができたのでハッピー。ただ序盤で離されてしまったのはちょっと残念。しばらくしてリズムをつかみ、マルクをパスできたときは本当にうれしかったよ。今日の彼はマシンがスライドしていて問題があったようだ。だからいつものような速さではなかったんだ。僕も優勝を目指して戦ったが、3位も決して悪くない。ダニとホルヘが強かったからね」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「前回のインディアナポリスに続いてダブルで表彰台。このような素晴らしいレースを見ることができて非常にうれしく思っている。すべてはここまで頑張ってきたホルヘ、バレンティーノ、チームの努力の賜物だ。また今回は、いつもとは違うウイナーが誕生した。それが我々でなかったのは残念だが、このところの好調を見れば、我々に順番が回ってくる日も遠くないと確信している。明日までここに残り、2種類のテストを予定している。ひとつは2015年型プロトタイプと初対面。ホルヘが午前中にテストし、午後はバレンティーノが乗ることになっている。ふたつめは、現行の2014マシンに2015プロトタイプのエンジンを載せてみる。2015年に向けた開発の方向性について、はっきりとしたビジョンをつかめるよう努力したい」
モンスター・ヤマハ・テック 3
B・スミス選手談(9位)
「予選が好調だっただけに、今日の結果は期待を大きく下回るものになってしまった。間違いなくトップグループにもっと近づけると考えていたんだ。原因がわからず、まるでミステリーのようなんだけれど、昨日の午後や今朝のウォームアップの時よりリアのグリップが落ちていた。決勝ではトラクション・コントロール・システムがより多く働かなければならず、コーナー出口の立ち上がりに時間がかかってしまった。加えてストレートを駆け降りるときにはリアがスピンした。本当ならもっとハイペースで走れたはずなので、このような形でウイークを終えることになり悔しい。トップ6を目指し、ファクトリー・ライダーにチャレンジしたいと思っていたが、レースではときに、このようなことが起こるもの。原因を究明し次の戦いに備えたい。次回は僕のホームGPになるので、ファンのみんなに良いレースを見せるよ」
P・エスパルガロ選手談(DNF)
「転倒リタイアは、ライダーなら誰もが望まないこと。このような結果になり、とてもがっかりしている。スタートは悪くなかったし、決勝でのペースは非常に順調で何台かパスすることもできた。ところがフロントのフィーリングがかなりナーバスになっていて、ストレートでちょっとミスしてバレンティーノから離されたあとは、再び追いつくことができなくなってしまったんだ。その後ブラドルに抜かれたものの、その頃には少しリズムを取り戻して順調になってきていた。それなのに差が広がっていることに気づいて、激しくプッシュしたら、なんの前触れもなく転倒してしまったんだ。こんな終わり方は望んでいなかったので本当に悔しい。でも早く気持ちを切り替えて明日のテストに備えなければならない。やるべきことがたくさんあるし、なかでも最も大きく重要な部分、つまり僕自身を改善するべく頑張らないと!」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3、チームマネジャー談
「予選が非常に好調だったので、前回のインディアナポリス同様、トップ4のすぐ後ろの位置を狙っていけると確信していた。ところが結果は望んでいたものとは違ってしまった…。ポルは順調にスタートしてハードにプッシュしながらトップグループについていったが、突然フロントが切れ込み転倒。ドビツィオーゾやイアンノーネについて行けるだけのスピードがあったので残念だ。一方、ブラッドリーは少し悩んでいたようだ。そのなかでできる限りのことをして9位を獲得した。もちろん望んだ結果ではなかったが、これがレースというものなのだ。ふたりがこのような形で終わったことで、チーム・ランキングではドゥカティに差を開けられることになってしまった。この悔しさを次へのモチベーションに変えてリベンジしたい。運良く、明日はここでテストが予定されているので、今日の問題を究明して今後に生かしていけるよう努力する。次回はブラッドリーのホームGPとなるシルバーストーン。彼自身はもちろん、ポルやチームの決意と志はさらに高くなるだろう」
A・エスパルガロ選手談(8位)
「オープン・カテゴリーのトップ。全力を尽くしてきたので、今はとても満足している。昨日まではいろいろ苦労したが、チームとともにセッティングに取り組み、多くの箇所を変更し、今朝もまたいくつかの策をテストしてここまでくることができた。ブルノはとても速いコースなので、僕らにとっては不利になるだろうということもわかっていたし、その上、インディーと同様、フロントに問題があった。そうしたなかでブラッドリーやポルとバトルできたのはハッピー。全力を尽くし、チャンピオンシップのポイントもいくらか獲得できた」
A・デ・アンジェリス選手談(16位)
「MotoGPに復帰することができてうれしい! これが今シーズン初めての最高峰クラスでのレースだ。ここまでセッションごとに良くなってきて、明日のテストでもう一日、走れるので、ニューマシンの特徴をつかんで慣れていきたい。決勝に関しては、初めの4、5ラップは集団についていくことができた。初回で良いレースができたので、これからさらに、一戦一戦しっかり成長していきたい。チームのみんなに感謝。彼らのおかげで、マシンのことが少しずつわかってきた」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「またしてもレース直前に降雨の可能性がある天候だったため慌しく準備をすることになりましたが、ホルヘ、バレンティーノともに上手くタイヤ性能をマネージして終盤に気迫の追い上げを見せてくれ、2戦連続でダブル表彰台を獲得することができたことは素直に喜びたいと思います。サマーブレイク明けのテコ入れ効果により調子は上向きで、ライダー・スタッフともにモチベーションを高く保っています。今は1戦でも早く一矢報いることを目標にがんばりますので、引き続きご支援・ご声援よろしくお願いします」