ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.07 6月15日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第7戦カタルニアGP
■開催日:2014年6月15日(日)決勝結果
■開催地:カタルニア/スペイン(4.727 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:34度
■PP:D・ペドロサ(1分40秒985/ホンダ)
■FL:M・マルケス(1分42秒182/ホンダ)
REPORT
ロッシが2位、ロレンソが4位を獲得
モビスター・ヤマハ・MotoGPのV・ロッシがカタルニアGPで2位獲得の快挙。チームメイトのJ・ロレンソは序盤でレースをリードしたあと、徐々に順位を下げて4位でチェッカーを受けた。
予選5位から好スタートを切ったロッシは、第1コーナー進入までに3位へ浮上。まもなくもう1台抜いて2位に上がり、ロレンソのすぐ後ろにつけると、3周目でトップに立ち、レース終盤までそのポジションをキープ。しかし残り7ラップの第1コーナーと第2コーナーでそれぞれM・マルケスとD・ペドロサに先行を許して3位へ後退した。その矢先、マルケスとペドロサが身体を起こして手を上げ、イエローフラッグを要求。ロッシはこの間にトップを奪ったが、その次の第2コーナーで再びマルケスが先行。残りは4ラップ。ペドロサが再度しかけてロッシは3位に後退。マルケス、ペドロサ、ロッシの順で迎えた最終ラップでは、終盤でペドロサとマルケスが接触してはらむアクシデントがあり、ロッシはこれを避けて2位でゴールに滑り込んだ。優勝はマルケス。その差はコンマ5秒だった。
一方のロレンソは予選2位から好スタートを切り、第1コーナーでペドロサをパスしてレースをリード。しかしまもなくロッシとマルケスに抜かれて3位となり、残り19ラップでペドロサにも先行を許して4位に後退した。最後までトップ3の後方につけ、そのままのポジションをキープしてチェッカーを受けた。
ロッシは20ポイントを加算して合計117ポイント。ランキングトップのマルケスを58ポイント差で追うランキング2位。ロレンソは13ポイントを獲得して合計78ポイント。ランキング3位のペドロサを34ポイント差で追っている。モビスター・ヤマハ・MotoGPは束の間の休暇をとり、6月28日にはオランダで開催されるアッセンTTに出場する。
モンスター・ヤマハ・テック3のP・エスパルガロが、ホームGPで7位を獲得。グリッド10位から好スタートを切り、オープニングラップ終了までに3台をパス。その後も安定したリズムで順調に走行を続け、ほとんどの時間帯でそのポジションをキープした。そして16ラップ目以降はドゥカティ・ファクトリーのA・ドビツィオーゾと激しいバトルを展開。これが最終ラップまで続き、エスパルガロは経験豊富なライバルを抑え込んで7位でチェッカーを受けた。これで連続6回目のトップ10フィニッシュ。シリーズポイントでは合計58ポイントとしてランキング6位。依然としてサテライト・マシンの中のトップにつけている。
チームメイトのB・スミスは、序盤でポジションを下げたあと懸命に挽回して10位。スターティング・グリッド8番手から好スタート切ったものの、1ラップ目終了時点で12位まで後退。しかし、ここから決意みなぎる走りを見せて15ラップ目までに10位へ。さらに順位を挽回したいところだったが、すでに前車との距離が離れていて届かなかった。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロが総合6位。オープン・カテゴリーではトップに立った。スペシャル・カラーを施して臨んだ決勝。グリッド2列目からスタートし、ロング・ストレートでは12位へと後退したものの、2、3ラップのうちに6位まで挽回。そのポジションを最後までキープしてチェッカーを受けた。トップのマルケスとの差は14秒。シリーズポイントは合計54ポイントとなり、ランキング7位につけている。
一方、チームメイトのC・エドワーズにとっては厳しい展開。マシンは激しくスピンし、思うようにプッシュしてゆくことができず18位に留まった。明日はマシン・テストに参加予定。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 42'56.914 |
2 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +0.512 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +1.834 |
4 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +4.540 |
5 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +11.148 |
6 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | +14.213 |
7 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +16.127 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +16.175 |
9 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | +18.040 |
10 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +24.781 |
11 | Y・ヘルナンデス | Ener+50.581gy T.I. Pramac Racing | Ducati | +37.153 |
12 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +42.921 |
13 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | +43.299 |
14 | M・ピロ | Ducati Team | Ducati | +55.157 |
15 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | +59.191 |
16 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'00.906 |
17 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'01.284 |
18 | C・エドワーズ | NGM Forward Racing | Yamaha | +1'06.121 |
19 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | +1'25.195 |
20 | M・ファブリッチオ | Octo IodaRacing Team | ART | +1'40.665 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 175 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 117 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 112 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 78 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 71 |
6 | P・エスパルガロ | Yamaha | 58 |
7 | A・エスパルガロ | Yamaha | 54 |
10 | B・スミス | Yamaha | 40 |
18 | C・エドワーズ | Yamaha | 8 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 175 |
2 | Yamaha | 127 |
3 | Ducati | 74 |
4 | Forward Yamaha | 54 |
5 | ART | 2 |
6 | AVINTIA | 2 |
7 | PBM | 1 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(2位)
「非常に素晴らしいレースだった。すごくエンジョイできたからハッピーだよ。スタート早々からペースを上げ、長い時間、トップをキープすることができた。でも100%満足できたわけじゃないんだ。というのも、本当なら勝てたはずなのに、終盤ではライバルたちのほうが僕より速かった。全力を尽くしてもダニに抜かれてしまいチャンスを失った。いいレースができたと思う。また表彰台に上ることができたので、これからもこの調子をキープしていきたい」
J・ロレンソ選手談(4位)
「ちょっと悔しい気持ち。ライバルたちが手ごわいことはわかっていたし、今回はバレンティーノも非常に好調だった。気温は昨日ほど高くなくコース・コンディションもそれほど悪くはなかったが、残念ながら僕は、オープニングラップでリードを広げることができなかった。バレンティーノに抜かれたときも同じような状況で、単独走行のようにはうまく走ることができなかった。マシンはブレーキングが好調。でも最後のふたつのコーナーでは、去年とは打って変わって苦労することになったんだ。立ち上がりでグリップ感がなくなり、ダニの後ろにぴったりとついて行くことができなかった。そしてその分を、いくつかのコーナーでようやく取り戻すという繰り返し。この問題がなければ勝利の可能性もあっただろう。コーナー進入は好調だったが、コースの終盤でそのアドバンテージをすべて失ってしまうような状態。悔しいけれど、これ以上どうすることもできなかったんだ」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「非常に見応えのある素晴らしいレース。前回のムジェロ同様、今シーズンで最もエキサイティングなレースのひとつになった。バレンティーノの走りからは、彼の豊富な経験が見てとれた。好スタートを切り、まもなくトップに立ち、その位置を長くキープ。そして、とくにレース終盤になってタイヤの耐久性が落ちてきたあと彼の経験が生かされ、それによって、この2位が実現した。ホルヘのほうは、昨日のフリープラクティスでロングランを成功させており、決勝でも期待がかかっていた。しかし残念ながら、スタートはうまくいったものの、そのあとは思うようにペースが上がらず、トップ争いから水をあけられることになった。今日の状況では、4位が精一杯だったと言っていいだろう。明日までここに残り、IRTAテストに参加。そのあとアラゴンへ移動してさらにテストを続ける予定。ホルヘの今日のデータを分析し、どこが悪かったのか、そしてどうするべきなのかを検討し、解決策をさぐっていく」
モンスター・ヤマハ・テック 3
P・エスパルガロ選手談(7位)
「ウイーク初日からずっと苦しい状況が続いていたので、決勝で7位を獲得できたことは良かったと思う。ル・マンとムジェロが好調だったし、ホームGPで活躍したいと思っていただけに残念が気持ちはあるが、ものごとはいつでも、計画通りにはいかないものだ。高速コーナー、とくに第4セクションではリアグリップが十分に得られず遅れてしまう。明日のテストでトラクション・コントロールのセッティングをいくつか試し、対処法を見つけたい。気温が高いときにいつも現れる問題なので、何とか解決したいんだ。でもドビツィオーゾとバトルし、最後まで抑え切ったことはうれしかった。今回も、チームのみんなの献身的な仕事ぶりに感謝。次のアッセンでも、サテライト・トップを目指したい」
B・スミス選手談(10位)
「今日の結果にはがっかり。言葉もみつからないよ。予選まではとても好調で総合4位を獲得。マシンのフィーリングも上々だったんだ。ところが今日は、そのフィーリングが変わってしまっていて、とくに序盤はうまくいかず苦労した。中盤以降はわずかながら状況が好転したが、そのころにはすでに遠く離されてしまっていたんだ。決勝中のペースは昨日までとはかけ離れたもの。非常に残念なことだったけれど、次のアッセンまでには調子を取り戻したい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3、チーム・ディレクター談
「前回のムジェロも素晴らしかったが、今回もことばでは言い表せないほどの見事なレースだった。トップ3のバトルは誰が勝っても不思議ではなく、それに加えて今にも雨が降り出しそうな天気に皆がやきもきした。そしてこのことが、戦いの緊張感をより増幅させたのだ。わがチームのライダーたちについては、ポルは好スタートから一気に順位を挽回。チームではアレックスについて行けるだろうと考えていたが、残念ながら彼のほうがわずかに速かった。一方、ブラッドリーのほうはスタートで出遅れたのは残念だが、終盤にはドビツィオーゾ、ポル、アレックスよりも速いペースで走っていた。ただ、すでに遠く離されていたので順位を上げるのは不可能だった。ふたりとも上位を目指せる力を持っているが、レースとはこのようなもの。ポイントを獲得できたことを評価したい。今はただ、次のアッセンを楽しみに待つだけ。去年はC・クラッチローが、ポールポジションから決勝3位を獲得した場所だ」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(6位)
「今日の結果に満足している。今シーズン最高のレースだったと言っていいと思う。激しいバトルを展開し、トップとの差を14秒にとどめることもできた。ファクトリーマシンと比較すれば、長いストレートで不利になり、実際、多くのライダーにストレートで抜かれてしまった。ポジション挽回のために全力を尽くし、2,3ラップで6位まで上がった。ブラドルと同様のリズムで走れていたので、スタートさえうまくいっていれば、彼についていくことができたはずだけれど…。いずれにしても今はとってもハッピー。チームのみんな、電子制御システムに携わるスタッフたち、そしてマグネティ・マレリのサポートに感謝。明日のテストでも電子制御システムに取り組む予定。ニューシャシーも試す予定なので、雨が降らないことを祈っている」
C・エドワーズ選手談(18位)
「朝のウォームアップで変更を施したが、期待したような結果は得られなかった。コーナーではマシンが激しくスピンし、グリップを得られず悔しい思いをした。とにかくタフなレースだった。明日はニューパーツをテストし、引き続き作業に専念する」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「本来の走りを取り戻しつつあるバレンティーノは、4戦連続表彰台を獲得しランキング2位を確保。ホルヘは前戦ムジェロでの好調を維持することができませんでしたが、粘り強く最後まで走り続けて、先に繋がるデータを提供してくれました。苦しい戦いが続いており、ファンの皆さまの期待に応えることができず申し訳ありません。少しずつですが確実にバイクの改良も進み、トップの背中が見えてきました。まずは1戦でも早く一矢報いることができるよう全力で戦い続けますので、ご支援・ご声援宜しくお願いします」