ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 11月8日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦バレンシアGP
■開催日:2009年11月7日(土)予選
■開催地:スペイン/リカルド・トルモサーキット(4.005 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:28度
■PP:C・ストーナー(ドゥカティ・1分32秒256)
REPORT
ロレンソが予選3位、ロッシは4位
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが予選3位。今季16度目のフロントロウを獲得した。チームメイトのV・ロッシは4位。ロレンソは昨日に引き続き、M1+ブリヂストンのセッティングの煮詰めを目指して作業を行いながら、セッション終了10分前まではトップをキープしていた。しかしその後、C・ストーナーに逆転され、さらにD・ペドロサにも抜かれて3位となった。ペドロサとの差はわずか0.018秒。しかしロレンソ本人はフロントロウ獲得に満足しており、決勝用セッティングでのペースも非常に良いことからシーズン最後のレースに自信を見せている。ランキング2位獲得に必要なポイントはわずか1ポイント。
一方、ロッシにとっては厳しい展開。セッティングが思うように進まずグリップが十分に得られなかったため、本来の走りができなかった。このあと夜を徹して作業に取り組むこととなりそうだ。それでも終盤に見せた好走で4位につけており、明日のウォームアップにチャンスをつなげた。ロッシはこの4位で、今シーズンのベスト予選賞を獲得。賞品として新車が贈られることになっている。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズは、昨日までのフロントエンドの問題を克服して予選5位と健闘。明日はランキング5位獲得を目指して決勝に挑む。首の怪我の痛みが再発し、抗炎症剤を服用して臨んだ公式予選で、エドワーズは1分33秒085のタイムを記録。世界チャンピオン、ロッシにわずか0.163秒遅れで5位につけた。予選5位獲得は、ここ7戦中で6度目。ポイント争いではA・ドビツィオーゾをわずか4ポイント差で追っており、明日の決勝ではこれを逆転してのランキング5位獲得に自信を見せている。一方、モンスター・ヤマハ・テック3チームで最後のMotoGP出場となるJ・トーズランドは14位。最終ラップに記録したベストラップは1分34秒107。グリッドポジションには不満が残るものの、明日は10位以内獲得を目指して全力で挑む。
ステリルガルダ・ヤマハのB・スピースは、フリープラクティス、予選と順調に調子を上げている。昨日のYZR-M1初走行の経験を通してマシンへの理解を深めてきたスピースは、2日目の今日もラップタイムを更新。午前中のセッションではブリヂストン・タイヤのセッティングにも取り組みながら、昨日のタイムを1秒近く短縮する1分34秒1を記録した。
午後からの公式予選ではさらにペースを上げて一時は8番手まで浮上。セッション終盤になってひとつ順位を下げたが、午前中のタイムをコンマ6秒更新する1分33秒539で予選9位獲得と健闘した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'32.256 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'32.519 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'32.537 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'32.922 |
5 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'33.085 |
6 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'33.154 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'33.391 |
8 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'33.475 |
9 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'33.539 |
10 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.678 |
11 | M・カリオ | Pramac Racing | Ducati | 1'33.809 |
12 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'33.844 |
13 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'34.097 |
14 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'34.107 |
15 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 1'34.188 |
16 | A・エスパルガロ | Pramac Racing | Ducati | 1'34.308 |
17 | G・タルマクシ | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 1'34.357 |
18 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'34.537 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選3位/1分32秒537/30周)
「最終戦でまたフロントロウに並ぶことができてうれしいよ。今シーズン、この場所を逃したのは1回だけになったわけだ!マシンのフィーリングはとてもいいし、僕自身もよく乗れていると思うので、明日の決勝はきっとうまくいくと確信している。明日の一番の目標は、ランキング2位を確実に獲得すること。そのためには1ポイントだけ獲ればいいことになる。でもそれとは別に、やっぱり最終戦を好レースで締めくくりたいという気持ちもあるので、いつものように上位争いを目指していくつもり。スペインのファンの目の前で走るのは楽しみ。バレンシアでのシーズン最終戦は、いつも最高の雰囲気なんだ!」
D・ロマニョーリ、チーム監督談
「今日は午前も午後もいい走りが出来た。いつも通りフロントロウ獲得を目標にしていたので、それが達成できてハッピーだ。また決勝用セッティングでのペースもとてもいいので、明日も自信を持って臨むこができる。この最終戦をしっかり戦っていけそうだ。今日も非常に風が強かったが、明日はもう少し静かになってくれるよう願いたい。我々チームとしては、セッティングをさらに煮詰めるべく最後の最後まで全力を尽くすわけだが、今の時点ですでに十分に準備は整っている」
V・ロッシ選手談(予選4位/1分32秒922/25周)
「今日はベストの出来というわけにはいかなかったね。未だに適切なセッティングが見つかっていない状態なんだ。いつものように懸命に作業に取り組んできたけれど、グリップが十分に得られないため速く走ることができないんだ。その結果、2列目からのスタートになってしまったので、明日の決勝がどうなるのか、少し疑問符がついてしまうよ。セッションの終盤でソフトコンパウンドのタイヤを履いていくらかタイムが上がったけれど、このコンディションなら明日の決勝ではハードコンパウンドを履かなければならない。今晩もう一度頑張ってみて、さらに明日の朝のウォームアップも使って少しでも状況を改善していきたい。とは言っても、ベスト予選賞の受賞はうれしいニュース。今日の唯一、良かったこと!」
D・ブリビオ、チーム監督談
「現時点でまだたくさんの課題が残っていて、適切な解決策が見つからない状態。問題はタイヤに十分なグリップがかかってくれないこと。そのためバレンティーノは本来の走りをすることができない。この2日間で集めたデータをすべて分析し、少しでも状況を改善するためのアイディアを見つけ出さなければない。しかい予選4位はそれほどひどいわけではないし、問題を解決できたれば、上位を狙っていけるポジションだと思っている」
C・エドワーズ選手談(予選5位/1分33秒085/28周)
「どうやら僕は、この5位というポジションにはまってしまったようだね!確かにゼッケンは<5>だけれど、だからと言っていつでも予選5位にならなければならないわけじゃないのに。でも前にも話したように、バレンティーノらのあの4人、まるでエイリアンのような彼らのすぐ後ろに付けていることは、うれしいことだ。彼らはこの世界のトップだから、そのすぐ後ろにいる僕もすごく頑張っていることになる。それは今の僕に考えられる最高の状態なんだ。予選終盤のアタックの時、ソフトコンパウンドのタイヤを履いてしばらくはクリアラップがとれなかった。もっと速く走れることが自分でわかっていたから、少しイライラしちゃった。フロントフォークを柔らかめにしたらフィーリングがとても良くなって、マシンがよく曲がってくれるようになった。今はコーナリングではらんでしまうこともないので、タイヤへの負担も軽減できるはず。決勝用タイヤで前の4人のペースについていけるのかどうかは分からないが、シリーズで5番目のライダーにむけて、それを実現できたことがうれしい。ドビツィオーゾは少し後ろにいるけれど、僕はとにかく自分の仕事に集中するだけ。
首の痛みは、昨年のドイツGPでのクラッシュが原因。そのあと何度か悪化はしたが、実は今回、シャワールームでシャンプーに手を伸ばしたときに頭をひねって、またちょっと傷めてしまったんだ。でも明日はもう大丈夫だと思う。明日もいつも通りベストを尽くして、少しでも良い成績でシーズンを締めくくりたい。そしてモンスター・ヤマハ・テック3のみんなの努力に恩返しをしたいんだ」
J・トーズランド選手談(予選14位/1分34秒107/28周)
「コンディションがすごく難しかった。風が強かったからコースの状態が読みにくいし、砂や埃がたくさん出ていてグリップもうまくいかない。そういうわけで予選は計画通りには進まなかったしタイムもあまり上がらなかった。だけどセッティングには手応えがあって、明日の決勝では安定した走りができると思う。もちろんグリッド14位からのスタートでは楽ではないだろう。とくにこのコースはタイトでツイスティだから、オーバーテイクが難しいんだ。だから何とか好スタートして、そのまま安定したペースを保って、モンスター・ヤマハ・テック3のみんなのためにいい成績を残したい」
B・スピース選手談(予選9位/1分33秒539)
「今日もまた、いい走りができた。まだ気持ちよく乗れるというところまではいっていないし、乗り馴れたマシンのようにはいかないけれど、こんなに短い走行のなかでもトップ10に入れたこと、そして他のヤマハ・ライダーからそれほど大きく離されていないことは喜んでいいと思うんだ。明日はスタートが肝心だけれど、そこはまだマスターできていない。
スタート練習は2、3回しかチャンスがなかったので、明日はここのところが僕にとっての最初の課題になるだろうね。予選を終えてみて、結果はまずまずと言っていいと思う。あとはこのマシンで少しでも多くの周回を重ねることが必要になってくるだろう。マシンがどのように動きたがっているかを感じることができるようになってきたけれど、それにしっかり対処する準備が僕のほうにまだできていないというような状態。でも乗るたびに速くなってきているので、方向は間違っていないんだと思うよ。タイヤのほうもまだまだだけど、とにかくラップ、ラップ、もっとラップを重ねることなんだ!」
M・メレガリ、ステリルガルダ・ヤマハ・チーム監督談
「思っていたとおり、今日は昨日より良くなって、また一歩前進できた。ベンはマシンとタイヤへの理解をさらに深めてきているが、今日は強風のコンディションに苦しめられた部分もあったようだ。とは言え、たった3時間のライディングでグリッド3列目を得たことは本当に素晴らしいこと。彼は今日も実に多くのことを学んだと思うので、明日がますます楽しみだ」