ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.18 10月26日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2008年10月24日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:スペイン/リカルド・トルモサーキット(4.005km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:15度 ■路面温度:16度
REPORT
初日、ロレンソが3位、ロッシ4位
モトGPシーズンはいよいよ最終戦。フリープラクティス初日の今日、バレンシアは終日、雨に見舞われた。今季10度目の優勝を目指しているフィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは、午後の第2セッションで転倒があったものの、総合4位につけている。
午前中は雨が激しく、気温も低かったことから8ラップだけの走行。午後になるといくらか雨脚が弱まったため、ロッシはチームクルーとともにウエット用セッティングに取り組み、21ラップを走行して4位につけた。セッション前半、最終ラップでリアを滑らせ転倒したが、幸い怪我はなく、スペアマシンで走行を続けることができた。
チームメイトのJ・ロレンソにとってはホームGPとなるバレンシア。M1にはスペシャル・カラーリングが施され、ロレンソがこれまでに優勝したことのある合計14カ国の国旗が描かれている。
午前中のフリープラクティスでは激しい雨をものともせずに3位と健闘。雨が弱まった午後はヤマハ+ブリヂストンのウエット用セッティングでさらに調子を上げ、再度3位を獲得した。今日の天候が明日以降も続く見込みで、チームは今の方向性をキープしながら、とくにフロントを中心にさらなる改善を目指していく。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ9位と16位。
コンディションが少し回復した午後からのセッションで、エドワーズは、マシンの荷重配分を変更して臨み、一時は4位まで浮上。その後、後退したものの、1分47秒314のベストタイムで9位につけた。
一方のトーズランドは、はじめは激しい雨に手間取っていたが、スーパーバイクで走り慣れたコースだけに徐々に調子をつかみ、午前中のセッションでは11位を獲得。午後の第2セッションではタイムをさらに1.5秒短縮する健闘を見せたものの、リアグリップの問題もあり16位に留まった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.777 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.864 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'45.959 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'46.070 |
5 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'46.260 |
6 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'46.522 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'46.807 |
8 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'47.055 |
9 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'47.314 |
10 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'47.483 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'47.620 |
12 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 1'48.015 |
13 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'48.437 |
14 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'48.469 |
15 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'48.504 |
16 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'48.771 |
17 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.092 |
18 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'51.871 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行3番手/1分45秒959/39周)
「スペインで雨に見舞われてしまったのは非常に残念。でも今日の走行はうまくいったので満足している。午前中は路面のコンディションがかなりひどくて乗りにくかったが、午後からはいくらか良くなってペースも上がったし、セッティングの作業も順調に進めることができた。ミシュランのレインタイヤは好調。明日以降もこの天気ならば、さらに煮詰めていくことができるだろう。
ヨーロッパに戻って来れたのはうれしいが、スペイン人ライダーにとって、スペインでのレースは本当に忙しい!今回のマシンは特注のカラーリングで、僕はとても気に入っている。今までのグランプリで勝ったことのある国の国旗がすべて描かれていて、まさにロレンソ・ワールドという感じ!」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「十分な手応えを得ることのできた一日だった。ウエットでのベース・セッティングができて、マシンもミシュラン・タイヤもここまでとても順調だ。明日は、とくにフロントエンドについて、もう少し改善が必要。天候がこのまま続くならば、我々の作業も方向性を維持して、さらに前進を目指す。もちろん、決勝の前にドライを走っておきたいと思っているが、どちらになっても対処できるだけの準備は整っている」
V・ロッシ選手談(フリー走行4番手/1分46秒070/29)
「このコースはウエットになるととても難しい。しかも今日のように気温が低いとかなり厳しいんだ。路面がしっかりグリップしてくれなくなってしまうからね。午前中のセッションでは、走り出した途端に雨が激しくなってしまったので、ほとんど何もできなかったが、午後はコンディションがいくらか回復し、僕のフィーリングも良くなった。ブリヂストンのウエットでとても速く走れたので、このようなコンディションなら、かなり良いところまで行けそうだ。最終コーナーでミスをして転倒してしまった。でも怪我はまったくなかったので、ピットに戻り、今度は少し硬めのタイヤに履き替えて走行を続けた。まだまだ行けたはずだが、今日の時点での4位には満足している。あとは明日の天気が気になるところ」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「午前中は雨がひどくて、わずかなラップしか走ることができなかった。午後はコンディションが少し良くなったので、ようやく仕事が始められたという感じ。と言っても十分にウエットだったのだが、溺れてしまうほどではなくなっていた。バレンティーノはすぐに上位につけたが、我々としてはまだ課題が残る状態。最終コーナーでの転倒は残念だったが、ペースが遅かったので怪我をせずに済んだのは幸いだった。今日のような天候がこのあとも続くようなので、データを分析して明日以降につなげていきたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行9位/1分47秒314/36周)
「ドニントンパークで使用したウエット用セッティングでスタート。フィーリングは良かったが、フロント荷重が大きすぎた。それで荷重配分を変えて、もう少しリアにかかるようにしたら、さらに走り易くなったんだ。ミシュランの柔らかめのレイン・タイヤはとても気に入った。このコースはウエットになるとフィーリングをつかむのが難しいが、柔らかめのタイヤならペースも上げられる。硬めのタイヤも試してみたが、同じレベルの信頼感は得られなかった。でもソフト・タイヤが30ラップ持つのかどうかという心配もあるんだ。今晩、チームのみんなと相談して、もう少し荷重をリアに移行して安定して走ることができるかどうか試してみたい。
このコースは雨になるととても難しい。思うようにプッシュすることができないので満足感がないんだ。ふつうはフロントとリアの挙動によってグリップを感じることができるが、ここではオール・オア・ナッシング。グリップしているか、していないかにかかわらず、限界のサインを感じることがないまま、過去にも多くのライダーが転倒しているんだ」
J・トーズランド選手談(フリー走行16番手1分48秒771/41周)
「今日はあまりいいところがなかった。明日以降も雨になりそうなので、課題は多い。フィーリングが良くなくて走りにくかったので気持ちも良くないが、少なくとも課題がみつかり、解決のためのアイディアも浮かんでいる。今日のような路面コンディションだとリアフィーリングがつかめないので、リアタイヤをよりしっかりと接地させることが必要。今はまるで、薄い氷の上を走っているような感覚なんだ。それでも取り返しのつかないほど離されているわけではないし、正しい方向に進んでいるはず。リアの荷重が増えれば信頼感も増してくるはずだ。
このコースは、ウエット・コンディションではいつもとても難しい。とくに激しい雨になれば、実に簡単に転倒してしまうんだ。そして、晴れて路面が乾き始めたとしても、グリップはなかなか上がってこない。ライダーとしてはペースを上げていけると思ってしまうが、そんなときに何の警告もなく激しいスライドが起きたりする。今日はうまくいかなかったが、決勝までには調子をつかむことができると信じている」