ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 10月19日 マレーシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦マレーシアGP
■開催日:2008年10月18日(土)予選
■開催地:マレーシア/セパン(5.548km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:29度 ■路面温度:31度
■PP:D・ペドロサ(ホンダ/2分01秒548)
REPORT
V・ロッシとJ・ロレンソが2、3番手フロントロウ獲得
激しい雨に見舞われてコンディションがめまぐるしく変化したセパン・サーキットで、フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシとJ・ロレンソは、揃ってフロントロウを獲得した。
ロッシは午前中のドライ・コンディションで4位。午後になると125ccクラスの走行中に雨が降り続き、モトGPの予選はウエット・コンディションでスタートした。ところがセッション途中で天候が回復。太陽が照りつけると路面が急速に乾き始めるという難しい状況となった。各チームがとくに苦労したのがタイヤ・チョイスで、路面の変化に遅れることなくついていこうと懸命の作業。そのなかでロッシとそのチームクルーは見事にタイミングをつかみ、セッションを通じて上位をキープすることができた。終盤を迎えてロッシとチームメイトのJ・ロレンソが1-2につけていたが、最終ラップでD・ペドロサが上回り、ロッシが2位、ロレンソが3位となった。
ロレンソは今季8度目、そして5回連続のフロントロウを獲得。午前中のドライ・コンディションでは決勝用のセッティングを中心に取り組み3位。その後、激しい雨が降ったり、再び太陽が照りつけたりとコンディションが変わったが、ロレンソはロッシ同様、その度に正しい選択を行って好調をキープした。そして最終ラップを終えた時点でロッシに続く2位につけていたが、その後ペドロサがトップタイムを記録したためロレンソは3位となった。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ予選5位と12 位。ふたりはともに、予選セッション終盤の10分で一度トップに立ったあと順位を下げた。ウエットで始まり、途中からドライへと変わった今回の予選では、ウエット・タイヤで乾いた路面を走る状況も余儀なくされた。
エドワーズは、最初はいくらか手間取ったもののすぐに対処し、スリックに履き替えると順調にペースを上げていった。プラクティス初日にドライ・コンディションでトップタイムを記録したエドワーズ。コンディションが良くなるにつれてますます調子を上げ、終盤のタイムアタックでは残り18分で3位に浮上。そして残り6分の時点でついにトップに立った。2分02秒245のベストラップはしかし、最終ラップの戦いで塗り替えられてしまう。結局エドワーズは3つポジションを下げて5位となった。エドワーズにとっては7月中旬のドイツGP以来のベストグリッド獲得。
一方のトーズランドは、フルウエット・タイヤからインターミディエイト、さらにスリックへと交換しながらも着実に自分のペースをつかみ、残り17分の時点で3位に浮上。そして残り9分では2分02秒282を記録して一時トップに立ったが、その後、逆転されて12位まで順位を下げることとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'01.548 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'01.957 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'02.171 |
4 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 2'02.192 |
5 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 2'02.245 |
6 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 2'02.836 |
7 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'02.953 |
8 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'03.078 |
9 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 2'03.110 |
10 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 2'03.184 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'03.271 |
12 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 2'03.282 |
13 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 2'03.392 |
14 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'03.835 |
15 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'04.001 |
16 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 2'04.378 |
17 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 2'04.679 |
18 | 青木宣篤 | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'04.835 |
19 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 2'05.120 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(予選2位/2分01秒957/21周)
「まったく信じられないようなコンディション。正しいタイミングで正しいタイヤを判断しなければならないので、予選用のタイヤやセッティングと同じように戦略が重要になった。その点で僕らのピットの中はとてもうまくいっていて、状況が変わるたびにいつも正しい決定がなされていった。そのおかげでセッションを通じてトップあるいはその近くをキープすることが出来た。
2分01秒9のボードを見たときポールポジションが確定したと思ったが、ダニがそのあとタイムを更新。今日の彼はとても速かったので素直に祝福するよ。僕としては、この2戦はフロントロウから離れていたのだから、またここに戻って来ることが出来てうれしい。決勝で好成績を目指すための好位置を得たと思う。このコースが大好きだし、M1も絶好調なので、明日のレースがとても楽しみ。ドライのほうが、より楽しめると思うので、明日は晴れてほしい」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「難しいコンディションのなかで、とてもいい結果が出せたと思う。コンディションの激しい変化に正確についていくのは大変な作業だったが、我々チームはそれをしっかりとやり遂げ、その成果としてフロントロウを獲得することができた。手強いライバルがたくさんいるだけに、このフロントロウは非常に意味のあるものだ。それに明日も同じような状況になったとしたら、今日の経験が役に立つだろう。そんなことにならなければいいとは思っているが、準備はできている」
J・ロレンソ選手談(予選3位/2分02秒171/19周)
「変なコンディションだったけれど、コースが乾いて来るにつれてポールポジション獲得も不可能ではないと思うようになった。ラップタイムはとても良かったけれど、ウエットであれだけ走ったあとだったから、最終的に最高のところまでは到達できなかったし、自分の力を出し切ることもできなかったようだ。でもフロントロウはとても重要で、明日はここから表彰台を狙っていく。天気がもっと良くなって、完全なドライでレースができるよう願っている。マシンがとても良く走ってくれているので、明日のバトルが楽しみだ」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「いつもとはまったく違う予選セッションだった。コース・コンディションが激しく変わるので大変だったが、我々としてはそれを楽しむことができて、エキサイティングでもあった。チームの仕事ぶりは素晴らしく、タイヤもコンディションに合わせてベストなものを選ぶことができた。その結果として、こうして上位につけることができたのだ。午前中のドライ・セッションも好調で、昨日からさらに大きく一歩前進できたし、決勝用セッティングもかなり良くなってきた。好調のまま、フロントロウからスタートできるので、明日はとても楽しみだ」
C・エドワーズ選手談(予選5位/2分02秒245/17周)
「一言で言うとすれば、とにかく盛りだくさんのセッションだった。最後尾まで後退したり、トップに立ったり10位になったり、そして最終的には5位に落ち着いた。コンディションがあまりにも激しく変わるので、さっきまで絶好のタイヤを履いていたかと思うと、次の瞬間にはまったく合わなくなって、一気に5、6台に抜かれてしまうんだ。
セッションが始まるとまもなく路面が乾き始めて、ウエットとドライがミックスした状態のときには本当に大変だった。最も硬いタイヤを履いていたためすぐに消耗してしまい、どうすることもできない。それで一度ピットに戻って、スリックで行けるようになるまで待つことにしたんだ。願い通りに急速に乾いていったが、また降り出すんじゃないかという心配はぬぐえなかったし、その時点で僕は最後尾になってしまっていたのだから気が気じゃなかった。
前後ともにスリックを履いたのは、おそらく僕が一番最初だったと思う。まずは柔らかめの決勝用タイヤを履いて好タイムを出し、自信を取り戻すことができたんだ。また雨になったときのことを考えて、なるべく早くスリックに履き替え、タイムを出して順位を上げておきたかったというわけだ。予選タイヤは2本しか使わず、そのうちの1本はグリップの状態を確かめるためのものだった。結果、路面のグリップの状態は良好だが、ところどころまだ水たまりが残っているので注意が必要だということがわかった。
このコンディションのなか、タイムは昨年のポールタイムから1秒遅れとなったが、ライン取りには注意が必要だ。最後の予選タイヤで好タイムが出ていたが、ちょっとしたミスをして順位を下げてしまったのは残念だった。でも1日を振り返ってみれば、ウエットでスタートし、レイン・タイヤで乾いていく路面を走るのに苦労しながらもグリッド2列目を確保することができたのだ。だから明日はきっといいレースができると思う。ここまでドライではずっと好調。そして今日はリアショックのスプリングを少しソフトにしてマシンのフィーリングがとても良くなってきた。こうしたすべてのことをひとつに集め、明日の結果につなげたい」
J・トーズランド選手談(予選12位/2分03秒282/20周)
「今日はタイミングと判断がすべてだった。つまり路面がどんどん乾いていくなかで、いつスリックを履いて飛び出していくのかを判断することが最も重要だったんだ。僕は残念ながら、それがうまくできなかった。僕がタイヤを履き替える間に、絶好のタイミングは過ぎてしまっていたというわけだ。
でも2分02秒は不可能じゃなかったし、そうすれば2列目に入ることができたと思うと悔しくて仕方がない。序盤のフルウエットのときは、あとで乾いてくることがわかっていたから無理はしなかった。所々に水たまりが残っている状態で、そこをスリックで走り抜ければ一気にトラクションを失ってしまうかもしれない。ポジションは大きく変動して、3位に浮上したと思ったら10位以下に落ち、また次にはトップまで上がったりした。
すべては路面の乾き具合によるものだった。最後の予選タイヤでのタイムアタックでは、ウォームアップから激しくプッシュしてペースを上げ過ぎたため、何度もスライドしてしまった。そのせいで結局、もう一度タイヤを履き替える時間がなくなってしまったんだ。午前中のドライ・セッションでは良い方向へと進んでいた。2分02秒後半のタイムが出せるまでにセッティングを仕上げることができれば、6位入賞を目指して戦っていける」