ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 10月19日 マレーシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦マレーシアGP
■開催日:2008年10月17日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:マレーシア/セパン(5.548km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:32度 ■路面温度:37度
REPORT
YZR-M1のV・ロッシが初日総合2番手。トップはC・エドワーズ。
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは、第17戦マレーシアGPのフリープラクティス初日を総合2位で終了。2分02秒台を記録したのはトップ3台で、なかでも午前中の第1セッション、午後からの第2セッションの両方で記録したのはロッシひとりだった。
第1セッションでトップに立ったロッシ。第2セッションは、スタート時に雨粒が落ち始めたため数分遅れてピットアウト。しかしその後、天候が悪化することはなく、各車、午前中に使用したドライ用のセッティングで走行を続行。ロッシはセパンのコースに合わせたベース・セッティングの追求に時間を割いた他、ブリヂストン・タイヤのチョイスにも取り組んだ。
チームメイトのJ・ロレンソも総合5位と好調。午前中の第1セッションではロッシに続く2位につけていたが、午後はわずかな雨でコンディションが変化したこともあり、リアタイヤのグリップ不足を感じてタイムを更新することができなかった。本人は自信を失っておらず、明日はフロントロウを狙っていく。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズは本来の調子を取り戻し、フリープラクティス初日に総合1位を獲得。午前中の第1セッションで4位につけたあと、午後の第2セッションでも雨の影響を受けることなく好調をキープ。雨粒はセッション後半まで残ったが、エドワーズはタイム更新に集中し、ついには2分02秒667を記録してトップに立った。
気温32度の暑さのなか、エドワーズはフロントのセッティングをシーズン序盤のものに戻すことを決断。これによってマシンに対する信頼感が増したばかりでなく、長くテクニカルなセパンのコースでコーナースピードが上がって好タイムにつながった。チームメイトのJ・トーズランドは、昨年11月にここセパンでモトGPデビューを果たしているが、今回は第1セッションのベストタイム、2分03秒964で13位につけている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 2'02.667 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'02.693 |
3 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'02.970 |
4 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'03.050 |
5 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'03.179 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'03.232 |
7 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'03.346 |
8 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 2'03.430 |
9 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 2'03.474 |
10 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 2'03.550 |
11 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'03.723 |
12 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 2'03.925 |
13 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 2'03.964 |
14 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'04.169 |
15 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 2'04.183 |
16 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 2'04.204 |
17 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 2'04.256 |
18 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 2'04.267 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行2番手/2分02秒693/38周)
「午前中はトップ、午後にはコーリンに続く2位というのはヤマハとして最高の結果。このコースはテクニカルでコース幅が広いのが特徴で、難しいけれどもとても楽しんで走れるのでとても気に入っている。でもシーズン前にテストをしたときとはフィーリングが違っている。というのはマシンのほうがかなり変わったし、タイヤについても経験を積んでいろいろなことがわかってきたからだ。今シーズンの間にこんなに進歩できたのだと実感できてとてもうれしい。今日のペースはすでに十分に速かったので、決勝でもいいところへ行けるだろう。でも、さらに一歩前進し、セッティングを煮詰めることは必ずできる。明日はあとひとつかふたつ試してみるつもり。今回もやる気は満々!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「初日として、とてもいい出来だったと思う。午前中のセッションから好調で、すべてがうまくいっていたし、午後からは、序盤の雨で少し時間を無駄にした以外は、最後まで好調をキープすることができた。1日を通してペースも良く、冬季テストで得ていたデータにさらに多くのことを追加することができた。マシンはすでに十分なレベルにあるので、明日はセッティングをさらに煮詰めていくことと、タイヤチョイスの最終決定を行う予定」
J・ロレンソ選手談(フリー走行5番手/2分03秒179/38周)
「フィーリングはとても良かった!ただ、午後からはいくつか変更を行ったため、グリップが十分に得られなくなってタイムを上げることができなかった。でも問題が何なのかはわかっているので僕としては何も心配していない。今回もまた上位争いに絡んでいけるという自信が持てたので、明日はもちろんフロントロウを狙う。ここはとても暑くて大変なんだけれど、M1を走らせるのはやっぱり楽しい。この状態が週末まで続いてくれるように願っている」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「午前中のセッションは非常に好調だった。そしてチームとして有意義だったのは、冬季テストのあと、シーズンを戦いながら獲得してきた多くの改良点を確認できたことだ。午後はコース・コンディションが変わって難しいところもあり、またちょうど良いタイミングでベストなタイヤを使用することができなかったのは残念だった。明日はさらに改善できると確信しており、決勝もきっといい走りができると思っている」
C・エドワーズ選手談(フリー走行1位/2分02秒667/36周)
「このところ厳しいレースが続いていたので、トップに戻ってくることができてとても嬉しい。フロントのセッティングをシーズン序盤の仕様に戻したら、それがとても良かったので自信を取り戻せた。ルマンのテストでオフセットを変更し、その後の数戦は、あまり得意でなかったコースでも好成績をあげることができた。
ムジェロとカタルニアで5位、ドニントンは4位、そしてアッセンでは表彰台に上った。つまり方向性は正しかったんだ。そこまでは魔法のようなセッティングを見つけることができたのに、そのあとフロントエンドに悩むようになってしまった。コーナースピードが上がらず、コーナーではらむことも多かった。でも今は、僕がもっとも慣れてきたセッティングに戻したので、とてもフィーリングがいい。フルバンクの状態でラインを外れてしまうようなことがなくなって、とても自然なんだ。
以前は、コーナー中にマシンの向きを変えるときは、フロントを力づくで押さえつけねばならないような状態だった。今はフロントタイヤの挙動がとてもよくわかるようになって、とくに僕のようにフロントのフィーリングに頼る乗り方をするライダーにとっては、このことがとても大切なことなんだ。僕のライダーとしてのキャリアを考えてみれば、いまの時点でまだ学んでいるような時間はないかもしれない。
しかし、自分の信じることにこだわることの大切さを学んだような気がしている。ミシュランはすばらしいタイヤを用意してきてくれたので、決勝用のペースもとても安定している。グリップが少し落ちてきたときでも、タイムをキープすることができるんだ。雨が少し降っていたが、自信をもって攻め続けることができた。こんな気持ちで走れたのは本当に久しぶりだ」
J・トーズランド選手談(フリー走行13番手/2分03秒964/38周)
「このコースはとても長くて難しいので、順調に走れるようになるまで少し時間がかかる。1月に行ったテストは、もうずっと昔のことのような気がするよ。午前中のセッションは気持ちよく走れたが、午後からはセッティングの面であまり進歩せず、少し残念だった。コーナー立ち上がりが問題だったので、明日に向けて何をするべきかは、もう分かっている。
コーナー途中と立ち上がりのスロットルを開けるところで、リアがラインから外れてしまうような感覚があって、ここのように路面に凹凸のあるコースでは、その問題が倍にもなる。低速から加速していくコーナーがたくさんあるので、リアのフィーリングが非常に重要なんだ。2分03秒台後半というタイムは、決勝のペースから約0.7秒ほど遅れているだけなので、今日はそんなにひどくなかったと思っている」