ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月5日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2008年10月4日(土)予選
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(4.448km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:30度
■PP:C・スト―ナー(ドゥカテイ/1分28秒665)
REPORT
J・ロレンソが予選2位
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは予選2位、今季7度目のフロントロウを獲得した。250ccクラスに出場した昨年と一昨年はここフィリプアイランドで優勝しており、初めてのモトGPも期待される。ポールポジションはC・ストーナー、また予選3位はN・ヘイデン。
フリープラクティス1日目はドライよりもウエットで好調ぶりを見せたロレンソ。今日は好天となったが、夜を徹して行ったセットアップ変更が功を奏してドライ・コンディションでも順調にラップを重ねることができた。午前中は3位。午後も同様の好調ぶりで、序盤は決勝用セッティングで安定性を増し、後半になって予選タイヤを履くと、そのすべてでタイムを更新。そして最終ラップではストーナーにわずか0.069秒届かず2位となった。トップ4台は現行のポールレコードを上回っており、明日の決勝では見応えあるバトルが予想される。
V・ロッシは予選終盤のタイムアタックでミスをおかして12位。明日の決勝はグリッド4列目からスタートすることとなった。ロッシは第3コーナーへ向かうところでコースアウトして転倒。首の筋肉を傷め、軽度のむち打ち症を負ってしまった。ロッシは今晩、集中的に治療を行い明日に備える予定。
好天に恵まれた2日目、ロッシは午前中のセッションで6位。午後からの公式予選はフロントロウ獲得に照準を合わせ、2本目の予選タイヤ装着時に一時トップタイムを記録したが、その後転倒。ピットに戻り医師の診断を受けたあと、スペアマシンで再びコースに出たが、さらなるタイム更新はならなかった。
チャンピオンがすでに決定しておりプレッシャーはないが、依然として好成績を目指す気持ちに変わりはない。
テック3ヤマハ・チームのJ・トーズランドは予選5位と健闘。ポールタイムからはわずか0.366秒差、フロントロウからは0.2秒差と速さを見せた。また予選タイヤだけでなく決勝用タイヤでも上位陣のタイムに近づいている。
トーズランドはワールドスーパーバイクに参戦していた昨シーズン、ここフィリップアイランドで優勝している。今日の公式予選では好天も味方して順調にマシンをセットアップ。決勝用のセッティングではマイナー調整を行って1分30秒後半を記録しており、明日は表彰台を目指して臨む。
チームメイトのC・エドワーズは午前中のセッションで5位を獲得。午後から行われた公式予選では1分29秒513のタイムで7位となった。エドワーズはミシュランの予選タイヤ1本目でトップに浮上。その後さらにコンマ5秒更新したが、0.236秒差でグリッド2列目に届かなかった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'28.665 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'28.734 |
3 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'28.756 |
4 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'28.808 |
5 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'29.031 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'29.277 |
7 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'29.513 |
8 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'29.558 |
9 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'29.710 |
10 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 1'29.925 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'29.942 |
12 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'30.014 |
13 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'30.202 |
14 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'30.297 |
15 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'30.545 |
16 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'31.157 |
17 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'31.939 |
18 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'31.995 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選2位/1分28秒734/27周)
「今日はずっと安定して走ることができた。午前中でさらに一歩、前進できたこともあって、午後からの公式予選は好タイムを記録。風がかなり強かったため見た目よりは難しいコンディションだったのだが、とにかく僕のマシンはよく走ってくれた。ポールポジションをほんの僅かの差で逃したことはやはり悔しいが、フロントロウはうれしいし、決勝のセッティングでハイペースをキープできたことは心強い。ライバルたちもとても速いので厳しい戦いになることはわかっているが、明日が楽しみな気持ちに変わりはない。最近はスタートが課題になっているので、昨日はその練習を何度か行った。明日は好スタートを切って、そのまま上位をキープしたい。連続4回目のフロントロウ獲得はチームとミシュランのおかげだ」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「またフロントロウを獲得することができて非常にうれしい。これで明日の決勝もチャンスがある。ドライ・コンディションに関しては、昨日に比べると格段に良くなったが、まだリア・トラクションに問題も残っているので、これから改善が必要だ。タイヤもベストなものが見つかって、今日のペースはとても良かった。明日も、これをそのまま使えるようなコンディションになってくれればいいのだが...。また予選タイヤでも非常に速かったが、残念ながら、わずか0.069秒差でポールを逃すこととなった。明日のウォームアップでさらに改善したいと考えているが、すでに十分に良い状態なので、明日のレースを楽しみにしている」
V・ロッシ選手談(予選12位/1分30秒014/23周)
「予選タイヤを履いてプッシュしていたら、第2コーナーではらみ、その出口でコースアウトしてしまった。そのままコースに戻れると思っていたが、濡れた芝生に乗ると同時にコントロールを失った。そして地面に叩き付けられて頭と首をかなり激しく打ってしまった。ブリヂストンのレース・タイヤはとても良くてペースもつかんでいただけに、12位スタートは残念。これからコスタ医師とクリニカ・モバイルのスタッフに首を治療してもらって、そのあとはなるべく早くホテルへ帰って休むつもりだ。明日になればきっとよくなるだろう。タイヤ、セッティングともにとても好調なので、僕もいいレースがしたいんだ」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「あの瞬間までは、何もかもが好調に進んでいたんだ!あれはいわゆる転倒ではなくて、ちょっとコースを外れてしまっただけ。ただそのままコースに戻ることができずにグラベルにはまってしまった。絶好調だっただけに本当に残念だ。バレンティーノは首に痛みを訴えていて、夜までにもう少し回復するよう、治療を受けている。明日の朝また診てもらって、ベストの状態で決勝に臨めるようにしたい」
J・トーズランド選手談(予選5位/1分29秒031/25周)
「フロントロウを獲得できるはずだったので、悔しい気持ち。最終ラップのアタック中、第2コーナーでははらんでしまい、さらにシベリア・コーナーでは立ち上がりでスライド。それでも29秒フラットが出ていたのだから希望は大いにある。終わってみればフロントロウが28秒7、ポールポジションが28秒6だというのだから、ミスをしてもなお、もうほんのちょっとでポールに届いていたことになるんだ。しかも、このコンマ3秒はどこで遅れたのかということもはっきりわかっているので、どこで縮めようかと悩んでいる状態よりはずっといい。テック3のみんなの仕事ぶりには感謝している。マシンはドライ・コンディションで非常に素晴らしかった。それにここほど走り慣れたコースは本当に久しぶりなので、両方の条件が揃って最高に気持ちよく走ることができるんだ。こうしてすべてが揃ったとき、僕の力を披露することができるのはうれしいこと。ここで良い走りを見せられないとすれば大きな問題だ。知り尽くしたこのコースで、このマシンでどこまでやれるのか、この挑戦をしっかりとやり遂げなければならない。
レース用セッティングについてはリアに少し変更を加えて、かなり良い仕上がり。これによってコーナー立ち上がりでタイヤが扱い易くなり、スピンしたり揺れたりすることなく、しっかりと路面を捉えてくれる。またこのことでタイヤの耐久性も上がっており、この点はこのコースで非常に重要な要素となるだろう。スタートさえうまくいけば、必ずトップについていく。上位について行くチャンスはこのところずっとなかったので、非常に楽しみ。それに、僕はまさにそのためにモトGPに移って来たんだ。タイムを見る限り激しいバトルが予想される。全力を尽くし、自分の誕生日を好成績で祝いたい」
C・エドワーズ選手談(予選7位/1分29秒513/24周)
「午前中に5位を獲得した時点では、予選ももっと上へ行けると思っていた。午前中のセッションでセッティングをスタンダードにもどすと、すぐにフィーリングが良くなった。ペースも良かったし、気持ちよく乗れていたので自信を持って予選に臨むことができたんだ。ところが午後になるとマシンを変更しなければならなくなり、同じフィーリングをキープすることができなかった。
通常ならマシンを替えるのは大きな問題にはならないが、ここのコースのようにすべてがハイペースで繊細な場合は、変更が大きなものに感じられるようだ。マシンは非常にリジッドな感じで、どうもうまく乗れなかった。しかも予選タイヤに履き替えて、さらに激しくプッシュしていくと、フィーリングの良くないところはペースが上がらなくなる。そうこうするうちに7位ということになってしまって本当に悔しい思いがしている。今日のフィーリングの悪さを考えたら、もっと順位を下げていたとしても不思議はない。だからこれ以上は不満を言うわけにはいかないだろう」