ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月5日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2008年10月3日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(4.448km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:13度 ■路面温度:15度
REPORT
V・ロッシ、初日総合2番手
前回の第15戦日本GPにおいて、最高峰クラスで6度目、また他クラスを含めて自己通算8度目となる世界選手権タイトルを決定したばかりのV・ロッシが、第16戦フィリップアイランドのフリープラクティスを開始。午前中のドライ・コンディションで2位を獲得したが、午後は雨のためタイム更新はならなかった。
ロッシはここフィリップアイランドで、最高峰クラスで過去に5回の優勝を果たしている。そしてそのうちの2回は、ヤマハでタイトルを獲得した2004年と2005年のものだ。フリープラクティス1日目、午前中は明るい太陽に恵まれ、ロッシのライディングも好調で、C・ストーナーに続く2位。しかし午後になると、沿岸に位置するコースは雨と風に見舞われてコンディションが一変。ロッシは順位を下げて6位に留まった。土曜日、日曜日も不安定な天候が続く予報が出ているため、今日の作業が役に立つこととなりそうだ。
チームメイトのJ・ロレンソは、昨年と一昨年の250ccクラスで優勝を果たしている。モトGPで初めての挑戦となった今回は、午前中のドライ・セッションで8位、午後のウエットでは5位に上がった。午前中のセッションはミシュランタイヤのフィーリングを確かめることに時間を割き、午後は、このところのウエットでの好調を今回も再現して、自信の走りを見せた。
テック3ヤマハ・チームのJ・トーズランドとC・エドワーズは、それぞれ総合8位と12位。同チームは2月にテストを行った際に素早くセッティングを煮詰めて手応えを得ており、トーズランドは午前の走行でトップ3にあとコンマ2秒と好調な走りを見せた。しかし、午後からの第2セッションは、このコースの特徴とも言える天候の激しい変化に見舞われて状況は変化した。トーズランドはそれでも次第に自信をつけて18位で走行を終えた。トーズランドは決勝日、28回目の誕生日を迎える。
一方のエドワーズは、2003年の最高峰クラスデビュー以来、今回で100回目のモトGP出場。午前中のセッションは12位でトーズランドのペースにわずかに及ばなかったが、午後からは10位に上げており、ウエット、ドライ両方のコンディションに自信を得ている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'30.094 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'30.764 |
3 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 1'31.043 |
4 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'31.051 |
5 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'31.070 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'31.161 |
7 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'31.221 |
8 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'31.235 |
9 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'31.248 |
10 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'31.277 |
11 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'31.284 |
12 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'31.368 |
13 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'31.532 |
14 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'31.719 |
15 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'31.803 |
16 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'31.814 |
17 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'32.211 |
18 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'32.415 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行2番手/1分30秒764/49周)
「チャンピオンが決まってから初めてのレース。でもモチベーションは依然として非常に高く、今回も何としても好成績をあげたいと意気込んでいる。午前中のセッションではハイペースのリズムをつかむことができて、何度かいいタイムも出て2位。1日目としては満足の出来だ。とは言っても完璧ではなくて、タイヤのほうをもう少し試さなければならない。タイヤにとっては厳しいコースで、とくに左側は負担が大きいのでリアがスピンしてしまう。またウエット・コンディションではコーナー進入のフィーリングがあまり良くなくて、タイムが上がらなかった。明日の天気がどうなるかによって、これからの取り組み方も変わってくるので、様子を見たい」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「またしても、半日ウエット、半日ドライという難しいコンディション。午前中の素晴らしい天気が続いてくれなかったのは残念だが、いずれにしても、我々としてはまずまず順調というところだ。午前中は、課題はまだあるなかでも、ハイペースが出ていた。でも午後はそういうわけにはいかなかったんだ。天気はどうなるかわからないので、両方のコンディションに備えてタイヤを選らばなければならない。でもまだ金曜日なのだから、あす以降もこの調子で頑張っていくだけ。そして少しでも前へ進むのだ」
J・ロレンソ選手談(フリー走行8番手/1分31秒235/52周)
「午前中と午後とのコンディションがまったく変わってしまった。大好きなコースなので、ここでM1を走らせるのをずっと前から楽しみにしていた。125や250のときと同じように速く走れるのかどうか確かめたかったんだ。午前中はミシュランのタイヤをいくつも試し、午後はまた雨になったので、午前中とは別のことをテストするチャンスにもなった。ミシュランのウエットはかなり良さそうで、週末までこの天気が続くなら好成績も期待できると思う。ドライでペースを上げるためには、もっと時間が必要になりそうだが、データを見る限り、どっちになったとしてもうまくやれると思う」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「2回のプラクティス・セッションはまったく違ったコンディションで行われた。午前中のドライではミシュランのすべてのオプションをテストすることができて有意義だった。多くの選択肢があるが、現時点ではフロントの安定性が少し気になっている。また、午後のウエットは、ホルヘにとってはいくらか楽な状況だったようだ。もう少し追求するとすれば、コーナー進入の安定感が欲しいようなので、チームとしてやるべきことはリアタイヤの接地感の向上を図ることだ。明日はやはり晴れてほしいと思っているが、こればかりは状況を見守るしかない。天気は非常に変わりやすいので、今日、行った作業はとても重要だったと思う」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合10番手/1分31秒277/44周)
「午前中はとても好調で、気分も良かった。マシンの方向性がしっかり定まって、とてもよく走ってくれたんだ。そしてリアタイヤは一度も交換せずに走りきったにもかかわらず、3位まであとほんのわずかというタイムが出た。途中、コーナー立ち上がりのグリップを上げるためにリアショックを少し変更し、それが功を奏してタイムが安定した。タイヤがもっと良い状態のときに変更を行っていれば、トップ3も可能だったと思うし、そうなっていれば大きな励みになっただろう。でも、雨のなかでは気分を良くしてくれるような材料は何も見つからなかった。いろいろな変更を試してみたが、問題は一向に解決しなかった。コーナー立ち上がりがうまくいかない。スロットルに触ると、リアがスピンしてしまうんだ。それでリアのバランスがとれない。
明日は何とかドライになってくれそうなので、今日の午前中の作業をさらに進めたい。でもウエットになった場合を考えると、まったく新しいセッティングが必要だ。問題点はわかっているが、それを解決出来ていない状態。全員が懸命に頑張っているが、ここで少し立ち止まって考え直さなければならなそうだ。ウエットではグリップが足りなくなるが、マシンのバランスの感覚はそう変わるものでもないはず。ところがそれが、どうもうまくいっていないんだ」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合12番手/1分31秒368/52周)
「両方のセッションで、方向性を探るうちに時間切れになってしまったような感じ。午前中はとくに良いところもなかったが、自分ではそれなりの感触を得ることができた。終盤はタイムも上がってきたが、あのとき履いていたリアタイヤは決勝で使うつもりのないものなので、もしもタイヤが違っていたとしたら、もっと上へ行けたはずなんだ。ウエットではあまり気持ちよく走ることができなかったので、改善が必要だ。タイム自体は悪くなかったが、総合的に見て何かが欠けている。また雨が降ることがあれば、その時にすべきことはすでにわかっている。
ミシュランは、今まで試したなかでも最高に硬いタイヤを用意している。このコースではタイヤの左側の耐久性がよく問題にされるが、僕の場合は右側のフィーリングに少し問題があるようだ。右コーナーはふたつしかないが、いつものようなスムースな走りができなくて、そのふたつがラップタイムに大きく影響してしまっている。最後にシャシー・セッティングを変更したらフロントの感覚が向上したが、リアについてはまだ十分ではない。リアのスライドを調整するためにフロント周りを追求しているような感じだが、今は、どんな天気になろうと何とかやれるという自信はあるんだ」