ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 9月28日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2008年9月26日(金)フリー走行2(総合結果)
■開催地:栃木県/ツインリンクもてぎ(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度 ■路面温度:22度
REPORT
ロッシ、フリー走行3番手
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシは、フリープラクティス初日を総合3位で終え、好調をアピールした。ロッシはこの日本GPで、チャンピオン決定のための最初のチャンスを迎える。ライバルのC・ストーナーが優勝したとしても、ロッシは3位以内に入れば、ここでタイトル獲得が決定することになる。
雨のなかで行われた第1セッションでロッシは、序盤から好調ぶりを発揮して2位。午後になって雨が上がってコンディションが変化すると、おもに低速コーナーでフロント・グリップの不足を感じながらもコンスタントにハイペースをキープ。ストーナー、ペドロサに続く3位につけた。
前回のインディアナポリスではウエット・コンディションで表彰台を獲得したJ・ロレンソ。今回のフリープラクティス初日も午前中は雨に見舞われたが、そのなかで再びウエットでの強さを見せた。しかし午後になって路面が乾き始めると調子が上がらず、総合15位で1日目を終えた。
午前中の第1セッションでは、一時トップに立つなど絶好調。その後、後退して4位となった。ドライ・コンディションとなった第2セッションではリアのグリップ不足に悩まされることとなり、何種類かのミシュラン・タイヤを履き替えてトライするものの効果は上がらなかった。しかし本人もチームも自信を失ってはおらず、明日の走行に期待をつなげている。
テック3ヤマハ・チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ13位と14位。
ドライ・コンディションとなった午後からのセッションでエドワーズは、開始直後からリズムをつかんでトップに浮上。序盤の10分ほどトップをキープしたあと徐々に後退したが、中盤までは4番手につけていた。ベストタイムは1分49秒344まで上がったが、終盤の数分で順位を下げ、13位となった。
一方のトーズランドは、1分49秒424で14位。初めてのコースで難しいコンディションに見舞われて苦労した。セッション終盤になっても順位はあまり上がらなかったが、マシン・セットアップについてはサスペンション調整が成果を挙げ、ブレーキングでの安定性とコーナー進入時のリアグリップに自信を持つことができるようになった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'48.121 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.194 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.510 |
4 | A・ドビツィオーゾ | JiR Team Scot MotoGP | Honda | 1'48.770 |
5 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'48.779 |
6 | S・ギュントーリ | Alice Team | Ducati | 1'48.794 |
7 | N・ヘイデン | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.800 |
8 | M・メランドリ | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'48.945 |
9 | T・エリアス | Alice Team | Ducati | 1'48.974 |
10 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'49.149 |
11 | 中野真矢 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'49.190 |
12 | J・ホプキンス | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'49.197 |
13 | C・エドワーズ | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'49.344 |
14 | J・トーズランド | Tech3 Yamaha Team | Yamaha | 1'49.424 |
15 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'49.505 |
16 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.664 |
17 | A・ウエスト | Kawasaki Racing Team | Kawasaki | 1'50.131 |
18 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda | Honda | 1'50.158 |
19 | 秋吉 耕佑 | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'50.879 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行3番手/1分48秒510/46周)
「午前中はかなり路面が濡れていたが、僕は最初から好調でとても速く走ることができた。マシンのセッティングが良かったし、ブリヂストン・タイヤもしっかり機能してくれた。でも午後になってドライ・コンディションになるといくつか気になるところも出て来て、ストーナーとペドロサに追いつくことができなかった。
問題はフロントのグリップ不足だが、このコースはとても難しくて、もともと僕らのYZR-M1には、完璧にマッチしているとは言いがたい。現時点で、やはり低速コーナーでいくつか問題が出てしまっているということだ。でも、それでもまだ3位につけているのだから最悪の状態というわけではない。明日は必ずもっと良くなる。天気も良くなってくれるよう願っている」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日一日で、ウエットとドライの両方のテストを行うことができたし、その結果も上々だった。ただ、午後の走行は完璧というわけではなかったから、これからまだ取り組まなければならない課題が残っているということだ。でも、そうしたなかでも3位につけていることは良い材料。今日は天気に翻弄されたが、明日はどうやら、一日中晴れそうだ。時間を最大限、有効に使ってセッティングをしっかりと煮詰めていかなければならない」
J・ロレンソ選手談(フリー走行15番手/1分49秒505/42周)
「いつもならウエットはあまり得意じゃなくて、ドライのほうが速いんだけれど、今日はどういうわけか、そのまったく逆になってしまった! 午後のセッションのことは自分でもまだよくわからないが、とにかくコーナー進入でのリア・グリップが足りないような感じがして、自信を持って突っ込んでいくことができなかった。感覚的にはドニントンやアッセンとちょっと似ている。
今、チームは一生懸命に頑張っているし、ミシュランとも協力して多くのデータを集めることができた。だから明日は何らかの解決方法が見つかると信じている。また、僕自身も、このコースに合わせて自分のライディングスタイルを工夫しなければならない。いずれにしても、明日はもっと暑くなりそうなので、コンディションも僕らの味方をしてくれるだろう」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「午前中は好調だったが、午後は厳しい展開になった。問題もいくつか発生してしまった。一番の問題はリアのグリップ。これについてはこれからデータを詳細にチェックし、何が間違っていたのかを理解しなければならない。前回、前々回と調子が良かっただけに残念な気持ちが強いが、まだ金曜日なのだから修正するための時間は十分にある。とくに今日の午後の最後の走行では、多くのデータを収集することができた。これを分析して明日以降に生かしていきたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行総合13番手/1分49秒344/41周)
「楽しい一日というわけにはいかなかった。走り出してすぐにトップに立ったときには、すべてが順調のように見えた。5、6周走ってみんなのペースが上がって来たあとも、2位や3位をキープすることができた。自分では好調だと思っていたが、何人かがタイムアタックを開始すると、僕は一気に順位を下げることになってしまった。
リアタイヤをいくつか試してみたが、結局いいものは見つからなかった。課題はそこにあったと思う。なかでも一番良いと思われるタイヤでさえ、他のライダーのものにはかなわない状態だ。セッション最後の6周は公式予選のつもりで走ってみると、1周だけまぁまぁのタイムも出たが、やはり49秒3以上は無理だった。このコースでの自分のベストラップも出ているのだが、マシンの感触についてはリアのフィーリングがどうしてもつかめない。フロントタイヤはとてもいいのに、リアはスピンしてしまい、トラクションを得られないんだ。
マシン自体のほうは、いくつか調整して素晴らしい状態になっているというのに...。自分自身にプレッシャーを与えて、できることはすべてやっているつもりだが、それでもこの順位なのかと思うと悔しい気持ちになる」
J・トーズランド選手談(フリー走行総合14番手/1分49秒424/44周)
「午前中のセッションは完全に無駄にしてしまった。しかもそれは、このところの数戦もそうだったんだ。ミサノは好成績を残すことができたが、あれはただ単に、毎ラップ同じタイムをキープすることができたからだった。つまり他のライダーたちがそれほど安定していないときには6位も可能というわけだ。でもあの日、僕はまったく速くなどなかったんだ。
セッティングがうまくいかなくてイライラしていたが、最後になってサスペンションに大幅な変更を試してみたらそれがぴったりとはまったという感じ。順位は気にしていないが、マシンに手応えを感じることができたので、本当にほっとしている。サスペンションの変更によってブレーキングでの安定性が向上、コーナー進入時にリアタイヤがしっかりと路面を捉えるようになった。
ブレーキング、コーナー進入と立ち上がりについては、このところずっと感触が良くなくて、まるで自分のしっぽを追いかけるみたいに懸命に試行錯誤をしていた。なぜこんなことになっているのか、チームのみんなと真剣に話し合ったことが良かったと思う。その結果が今、現れたのだ。新しいサーキットの走行初日で、今回ほどタイムでトップに近づけたのは初めて。
雨のなかで初めてのコースを走るということ自体は、それほど問題にはならない。スピードが落ちる分、路面の凹凸の状況やライン取りについてじっくりと確かめることができるのは、むしろいいことかもしれない。ただ、ドライでの走行時間が少ないということについては、今シーズンは本当に苦労してきた。今年はなぜか、雨がとても多いんだ」